古家付き土地をリノベーションするメリットとデメリット・注意点も解説
古家付き土地を所有している場合、いくつかの活用が考えられますがリノベーションして活用する方法もその中のひとつです。
この記事では、古家付き土地をリノベーションした場合のメリットやデメリット、リノベーション以外の活用方法などについて詳しく解説します。
目次
古家付き土地をリノベーションするメリットとは?
ここからは、古家付き土地をリノベーションするメリットについて詳しく解説しましょう。
(1)古家ならではの雰囲気を残して古民家風の住まいができる
古家の特徴として挙げられるのは新築物件のような最新の設備やデザインではない、昔の雰囲気が味わえる住まいである点です。
古風な味わいを活かせる点が古家ならではの特徴といえます。
今の仕様ではほとんど見られない土壁や屋根瓦など、昔の家ならではの特徴を活かしたリノベーションが可能です。
古民家風の雰囲気を活かしながらリノベーションによって設備の導入や現在のニーズに合った仕様にできますので、双方の良い点が活かせます。
特に近年は古民家風の住まいに住みながら、スローライフを楽しむ層が増えていますので、利便性の高い古民家などがリノベーションによってつくられるでしょう。
(2)購入における費用が安い
古家付き土地は、更地の土地や、築年数が新しい家付きの土地と比較すると購入費用が安い点がメリットとして挙げられます。
古家土地の古家部分に関して、築年数によってはまったく価値がないものとして査定されるのが一般的です。
古家がついていると、建て替え希望の方が土地を購入したいと検討している場合、古家は解体の対象となってしまい、逆に費用がかかってしまう要因となります。
そのため、解体費用分を値交渉されるケースも多いので、もともと解体費用を差し引いた金額で売却されているケースも見られます。
つまり、購入希望者は安く価格で購入しやすくなるといえるでしょう。
(3)固定資産税が安い
古家と築年数の新しい家を比較すると、古家の方が固定資産税は安い点が挙げられます。
固定資産税は、固定資産税評価額に所定の割合をかけて税額が決定します。
固定資産税評価額が、税額に大きく影響しますが、築年数が経過すればするほど固定資産税評価額が安くなるのが特徴です。
また、更地と古家付き土地に関して土地部分の固定資産税は、古家が建っていると固定資産税の宅地並み課税の適用が受けられます。
古家付きの土地は、固定資産税が1/3もしくは1/6まで減額されますので古家があると大きな節税効果が見込めるのです。
これも大きなメリットといえるでしょう。
(4)予算に合わせられる
古家付き土地をリノベーションする場合に気になるのは費用面ではないでしょうか。
古家をリノベーションするとなると、場合によっては建て替える費用と同程度のコストがかかる場合もあります。
しかし、リノベーションは、自分の予算に合わせて実行可能です。
できる範囲でリノベーションを実行し、また資金が貯まると手を付けていない部分を実行することもできます。
場合によっては、緊急性を及ぼすリノベーション部分などもありますが、ある程度金額の調整ができる点がメリットです。
古家付き土地をリノベーションするデメリットや注意点とは?
古家付き土地のリノベーションはメリットばかりではありません。
デメリットや注意点も理解しておく必要があります。
ここからは、古家付き土地のリノベーションにおけるデメリットや注意点について詳しく解説しましょう。
(1)耐震性などに劣る場合がある
古家付き土地が築年数の浅い家と比較して、劣る部分として挙げられるのが耐震性です。
古家の場合、旧耐震基準のときに建築されている建物も多く、新耐震基準の建物と比べると、地震に弱く倒壊の危険性が高くなってしまいます。
そのためリノベーション時に、耐震の補強をしなければいけません。
耐震の補強に関するリノベーションは費用が高額になりやすい点が挙げられます。
自分の身を守るためには補強工事が必要ですが、予算が大幅にとられてしまい内装などのリノベーションに費用がかけられないかもしれません。
耐震性が劣る点はデメリットといえるでしょう。
(2)リノベーション内容によっては高額になる
どの部分をリノベーションするのかによって、かかる費用は大きく異なります。
自分の希望するすべてをリノベーションしようとすると、非常に高額になってしまうケースも考えられるでしょう。
前述しましたが、建て替えるのと同程度の費用負担になるかもしれません。
また、特に注意が必要なのが設備の導入です。
最新の設備を導入しようとすると、設備の購入費用だけでも非常に高額になる場合もあります。
あらかじめ予算を決めた上で、最も優先順位の高い場所からリノベーションしなければすぐに予算オーバーとなってしまうかもしれません。
高額になる点を十分考慮した上で計画的なリノベーションがポイントです。
(3)防火地域の場合リノベーションが制限される
土地の環境によってはリノベーションが制限されるケースも考えられます。
特に注意が必要なケースが、古家の所在地が防火地域に属するケースです。
都市計画法では、防火地域と準防火地域に指定されているエリアがあります。
古家が防火地域に建っている場合、リノベーションする際にも防火性の高い素材を使用しなければいけません。
使用できる材質に制限がかかってしまいますので、リノベーションの中身に影響される可能性が考えられます。
また、防火性の高い素材は価格自体が高いものも多く、リノベーションを妨げる要因となってしまうでしょう。
(4)間取りの変更がしにくい工法がある
古家の構造によってはリノベーションしたくても工法により間取りの変更がしにくい場合があります。
一般的に家屋の工法として在来工法と2×4工法の2種類が挙げられますが、2×4工法の場合に注意が必要です。
2×4工法の場合、工法上壁の取り外しができません。
壁自体が構造体となっていますのでリノベーションなどによる壁の移設や移動などに大きな制限がかけられます。
2×4工法の場合、壁が取り外せないので間取りの変更が非常に難しくなります。
古家の工法を事前に確認しておきましょう。
古家付き土地のリノベーションにかかる費用相場
ここからは、古家付き土地のリノベーションにかかる費用相場について解説します。
(1)ケースによっては2,000万円以上かかることも
築年数が古ければ古いほど、リノベーションにかかる費用は高額になってしまう傾向です。
築年数が古くなればそれだけ劣化度が増しているケースが多く、補強などのリノベーションが必要になるでしょう。
前述した耐震補強だけではなく、古い建物は断熱性が落ちているケースも多く、断熱に関するリノベーションも検討しておかなければいけません。
断熱と耐震のリノベーション費用だけでも非常に高額な費用となり、場合によっては2,000万円以上のお金がかかる場合もあります。
古民家風の家に住みたいと思い、安く購入できたとしても高額なリノベーション費用まで考えていなかったとケースも考えられます。
事前に費用相場をしっかりと確認しておきましょう。
(2)耐震補強の費用相場
耐震補強のリノベーションについて何度が触れましたが、実際にどの程度の費用相場なのでしょうか。
耐震補強の内容としては、基礎部分や土台の補強が挙げられます。
基礎コンクリートのクラック補修やアンカーボルトの取り付けなどが必要です。
柱が劣化している場合は柱の交換により補強ができるでしょう。
土台や柱屋根といった接合部分に関しては金具などで固定することにより補強が可能です。
壁の補強においては筋交いの使用などは効果的な補強工事といえます。
費用の概算として300万円程度の費用がかかるのが一般的ですが、場合によってはもっと高額な費用もかかりますので、建物によって大きく異なります。
(3)電気や水道工事の費用相場
電気工事や水道工事も必要です。
電気工事の内容として電気配線の引き直しなどが挙げられます。
電気配線が古いと、容量が足りないケースが多くなってしまい、使いたい電化製品が利用できないかもしれません。
古い電気配線で最も注意すべきは漏電です。
最悪の場合、古い電気配線の漏電から火災を引き起こしてしまう可能性も考えられます。
水道工事の内容としては劣化した水道管の交換などが挙げられます。
水道管の劣化による水漏れや漏電などが発生する可能性がありますので、水道管を交換し建物へのダメージを防ぐことが可能です。
電気工事と水道工事では最低でも50万円程度の費用がかかり、劣化の程度ではさらに費用がかかるかもしれません。
(4)間取り変更などの費用相場
リノベーションに対するイメージとして部屋の中を大幅に改装するイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
古家の間取りは現在のニーズに合っていないケースも多く、設備や間取りを現在のニーズに合ったつくりに変更するリノベーションが求められます。
設備の交換などについては、設備のグレードなどによってはいくらでも費用がかけられるでしょう。
一般的には50万円以上の費用を見ておく必要があります。
リノベーション以外の古家付き土地の活用方法
ここからはリノベーション以外の古家付き土地の活用方法について解説します。
(1)リノベーションせずにそのまま住む
そのままの状態で住めるのであれば、リノベーションせずに居住する方法が挙げられます。
設備が古くても、あまり気にならない場合や、まったく予算がない場合などに効果的な活用法です。
長期間不在であった場合などは、多少の手直しは必要でしょうが、最低限の予算で抑えることもできるでしょう。
(2)解体して土地での活用
耐震性や耐久性に不安が残った古家に住んでいると、いつも不安を抱えながら生活しなければいけません。
いっそのこと解体し、更地として活用するのも効果的です。
駐車場や建て貸しなど、空き地の活用方法は何種類も考えられますので、需要に合った活用方法を検討しましょう。
(3)一部分をリフォームして使用する
部分的なリフォームだけで使用してはいかがでしょうか。
一部分だけをリフォームするだけでも古家が見違えるほど変えられます。
例えば、壁のクロスを全面張り替えるだけでも10万円前後の費用でイメージを大きく変えられるでしょう。
(4)そのままの状態で売却する
特に活用方法がなければ、そのままの状態での売却も可能です。
古家付き土地を所有して活用しない状態だと維持管理費用や税金などで、毎年一定の負担が強いられます。
負担を無くし現金化できる効果的な活用方法です。
更地にした方が、高い価格で売却しやすい傾向ですが、解体費用などがかかりますので、費用をかけたくない場合は、そのままの状態で売却するといいでしょう。
まとめ
古家付き土地のリノベーションについて解説しました。
リノベーション費用がどの程度かかるのかが大きなポイントとなりますが、あまり費用がかからない場合は、リノベーションして賃貸に出すといった方法も考えられます。
しかし、建て替えと同じくらいの費用がかかるのであれば、リノベーション以外の活用方法を検討してもいいでしょう。
古家付き土地のリノベーションには今回解説したようにメリットもデメリットもあります。
自分に合った活用方法やリノベーションを検討しましょう。