傾いた家の売却は可能?傾きの調査方法や売却時の注意点を解説

空き家相談

傾いた家 売却

所有している家が傾いている場合、売却などに支障が出るのではないかと心配になるのではないでしょうか。

そもそも傾いた家など売却できるのかといった不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、傾きの調査方法や売却時の注意点などについて詳しく解説します。

傾いた家は、売却が可能?

まず気になる点として挙げられるのが、そもそも傾いた家は売却ができるのかといった点です。

ここからは傾いた家の売却が可能なのかといった点について詳しく解説します。

(1)傾いた家でも売却はできる

結論を先に言えば、傾いた家でも売却は可能です。

家の傾きによって、売却がスムーズにできるかどうかの違いはありますが、家が傾いているから売却できないといったことはありません。

傾いた家の売却に関して注意しなければいけないのは契約不適合責任を負ってしまう可能性がある点です

契約不適合責任とは、売買契約書に記載されている内容に関して契約内容に適合しない引き渡しとなった場合、売主の責任を追及する権利を指します。

追完請求や、代金減額請求、最悪の場合は契約解除や損害賠償請求にまで売主の責任が及びますので傾いた家の売却は可能でも注意が必要です

(2)問題になる家の傾きは?

傾いた家を売却するにあたり、どの程度の傾きが売却に影響を及ぼすのでしょうか。

近年、家を売却する前に資格を持った住宅診断士が家の状況を調査し、不具合を記録するホームインスペクションの実施が推奨されています。

家の不具合を事前に把握し、売却後の余計なトラブル防止の観点や中古不動産の健全な流通が目的です。

ホームインスペクション上で傾きと判断されるのは、柱と床が6/1000以上の傾きを示している場合となります。

同じく住宅の品質確保や紛争解決よって定められた品確法でも6/1000以上だと傾いている可能性が高いとされていますので、6/1000が一つの目安といえるでしょう

(3)傾いた家の調査方法

家が傾いていると感じた場合、どのような調査があるのでしょうか。

最もよく利用されている調査方法としてレーザーレベルによる調査が挙げられます。

レーザー照射器から水平にレーザーを照射し、傾きを調べる方法です。

複数個所に照射器を設置して調べられます。

レーザーレベルによる調査は個人では難しく、専門家に依頼するのが一般的です

個人でできる調査方法としては、水平器やスマホアプリなどが挙げられます。

しかし不動産売買となると、万が一傾きの調査が間違っていたとなると、売主は大きな損害を受けるかもしれません。

やはり専門家に依頼し、調査するのがオススメといえるでしょう。

(4)傾いた家はどんな不具合を発生させる?

家が傾いてしまっていると、そもそもの住宅設備が機能低下して可能性が考えられます。

ドアや窓の開閉に支障が出始め、断熱性能も大きく損なってしまうでしょう。

耐震性にも不安が出てしまいます。

家の傾きによって、土台や柱などの基礎部分に対してずれが発生し、耐震基準を満たしていない家になっているかもしれません。

ハード面だけではなく、住んでいる方の身体的な部分に悪影響が出てしまう可能性も考えられます。

傾いた家に住んでいると平衡感覚が失われてしまい、身体的な不調を引き起こす要因となってしまうかもしれません。

家の傾きによっていくつかの観点から不具合が出てしまいます。

傾いた家を売却する方法

傾いた家の売却にはいくつかのパターンが考えられます。

ここからは傾いた家を売却する方法について解説しましょう。

(1)そのままの状態で売却する

傾いた状態でも売却は可能です。

先ほど、契約不適合責任のリスクについて前述しましたが、売買契約書にきちんと記載しておけば、売買契約後にトラブルになる可能性も低くなります。

売主にとって最も手間がかからずに売却できる方法といえるでしょう。

(2)傾きを直したうえで売却する

傾きをきちんと修繕した上での売却も可能です。

修理する期間や費用に関しては、傾き具合や立地環境などによっても異なりますので

一概には言えません。

傾きの修繕費用がさほど大きくなければ費用もそこまでかからず売却価格に影響も少ないでしょうが、修繕価格が高額になると注意が必要です

売却価格と修繕費用のバランスを考えた上で傾きを直すかどうかの判断が必要になるでしょう。

(3)更地にした状態で売却する

購入希望者の中には、少しでも不具合がある家には住みたくないと考えている方も多いのではないでしょうか。

また、傾いている家を購入する層の中には、購入後に家は解体し、そもそも土地目的での購入なども含まれます。

すでに築年数が経過し、傾きを修繕するのに高額なコストがかかる場合には、いっそのこと解体をして更地としての売却が挙げられるでしょう。

傾いた家ではなく、土地目的の購入となる層をターゲットとし、新築の家を建てやすいように解体して更地として売却します。

更地としての売却も効果的です。

傾いた家を売却するケースごとのメリット

傾いた家の売却方法について解説しました。

ここからは、傾いた家の売却におけるケースごとのメリットについて解説します。

(1)傾いたままの状態で売却するメリット

傾いたままの状態で売却するメリットとしては修繕や解体といった余計なコストがかからない点が挙げられます。

そもそも、土地の所有を目的として購入する層に関しては家が傾いていても解体しますので、まったく問題はありません。

契約不適合の内容もしっかりと売買契約書に記載しておくと、傾いていた家を売却したとしてもトラブルを避けられます

売却前にコストをかける必要がない点は大きなメリットといえるでしょう。

(2)傾きを補修して売却するメリット

家の傾きをきちんと補修して売却することにより市場価格と変わらない状態での売却が可能です。

また、契約不適合にひっかかる可能性もほとんどなくなるでしょう。

傾きを補修した上で、住宅の検査に合格すると既存住宅売買瑕疵保険に加入できます

既存住宅瑕疵保険に加入できると、売買した家に不具合が見つかった場合、不具合個所の修繕費用が保険金で出ますので、売却後に余計なコストを負担する必要がありません。

高い価格で売却できる上、売買後のトラブルにも対応しやすい点が大きなメリットといえるでしょう。

(3)更地にして売却するメリット

契約不適合責任を完全になくすためには、そもそも家がなければいいのです。

つまり解体して更地として売却すれば、家の不具合を心配する必要が無くなります。

また、家を新築する目的で購入を考えている層にとって、家があること自体があまり好ましいことではありません。

家を解体して更地にすることによる、逆に高い金額で売却できる可能性もありますし、建物に関する契約不適合責任のリスクは、まったく負うことなどありません。

築年数が非常に古く、傾きを直したとしても、家の価値があまりない場合などに関して解体、更地としての売却は大きなメリットとなるでしょう。

傾いた家を売却するケースごとのデメリット

傾いた家の売却にはデメリットも考えられます。

ここからは傾いた家を売却するケースごとのデメリットについて解説しましょう。

(1)傾いたままの状態で売却するデメリット

売却価格がどうしても安くなってしまいます。

買主は購入後に傾いた家を補修しなければいけません。

例えば市場相場と同じくらいの価格で募集したとしても、傾きを直す補修費用程度の値引きを交渉される可能性が非常に高くなってしまいます。

また傾き具合によっては、金融機関からの融資対象外となってしまう可能性も高いので住宅ローンを利用しない層しか購入できない可能性も考えられるでしょう

購入希望者が大幅に限られてしまう可能性がある点は大きなデメリットです。

(2)傾きを補修して売却するデメリット

傾きを補修して売却するデメリットとして挙げられるのは、修繕費用が大きなコスト負担となる点です。

傾きの状況によっては100万円単位の負担となってしまいます。

最悪の場合、売却価格以上の補修費用がかかってしまい、赤字になってしまうかもしれません

また、そもそも新たに家を新築する目的で購入を検討している層にとっては、補修されても解体してしまうのであまり意味はありません。

傾き以外の家も状態をしっかりと認識したうえで家の傾きを補修するかどうかを判断するといいでしょう。

(3)更地にして売却するデメリット

更地にして売却するデメリットとしては、傾いた家に住むことを目的として購入する層を完全に外すことになってしまう点です。

あくまでも新たに家を新築する層になってしまいますので、購入希望者の範囲を狭めてしまうでしょう。

傾きの補修と同様、解体にも費用がかかりますので、解体費用を売却価格に上乗せできるかどうかも大きなポイントです

解体費用を価格に上乗せできなかったら、工事の費用と労力分マイナスとなってしまいますのでこれもデメリットといえるでしょう。

傾いた家を売却するときの注意点

ここからは傾いた家を売却するときの注意点について詳しく解説します。

(1)そのまま売却する場合は値引きされることを前提に価格を決める

傾いたままの状態で売却する場合は、事前に通知しておくことは当然なのですが、あらかじめ値引きされることを前提として価格を決めましょう

大体の補修金額や、解体にかかる費用などを把握しておくと、値引き交渉される金額がある程度計算できます。

値引きを想定した売却価格提示がオススメです。

(2)不備箇所はすべてチェックしておく

傾き以外の不備箇所もしっかりとチェックしておきましょう。

傾きの原因が、まったく別の個所が影響していることも考えられます。

家の傾きが長期化していると他の個所に不具合が発生しているケースもあり、傾き以外で契約不適合責任の対象となるかもしれません

売却前にホームインスペクションなどの実施が効果的といえるでしょう。

(3)買取業者を候補に入れる

傾いた家の売却となってしまうと、なかなか購入希望者が現れない可能性も考えられます。

また、想定以上の値引き額を要求されるかもしれません。

不動産を売却する場合は、不動産会社に仲介を依頼して不特定多数の方を対象とする仲介と不動産会社が購入する買取という2種類の売却方法が挙げられます

不動産の買取業者が買主となる場合、買取業者が希望する価格に同意できると、不動産の買取業者が購入しますので、スピーディーな売却が可能です。

また、仲介の時に不動産会社に支払う仲介手数料も発生しません。

市場価格よりどうしても安い金額になってしまいますが、なかなか購入希望者が現れず早く現金化したい場合などは効果的な方法といえるでしょう。

(4)沈下の原因を把握しておく

もし傾いた家を補修した上で売却する場合、土台を水平にする必要があります。

家の特徴に合わせた工法を使って補修しますが、費用もそれぞれ異なりますので安い金額を選択すると、問題が完全に解消しない工法を選択するかもしれません。

つまり再度、家が傾いてしまう可能性も考えられます。

傾いた家を補修する場合、今後起こる可能性がほとんどない工法を選択する必要があります。

傾いた沈下原因をしっかりと追究した上で補修の工法を決定しましょう

まとめ

傾いた家の売却について解説しました。

傾いた家のまま売却も可能ですし、補修した状態での売却、解体しての売却それぞれにメリットがあります。

しかしデメリットもありますので、自分にとって一番メリットがある方法を選択しましょう。

傾いた家の売却に関しては、契約後のトラブルも想定されます。

ホームインスペクションなど事前の調査もしっかりとやっておき、契約不適合責任負担を回避しなければいけません。

しっかりと傾いた家の状況を精査して、売買契約後のトラブル防止につなげましょう。

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