空き家をシェアオフィスとして活用するメリットとデメリット
空き家を所有している人の悩みとして一番気になるのが、どう空き家を活用していくのかという点です。
その中で近年、新たなビジネススタイルとしてシェアオフィスの利用というのが注目されており、空き家をシェアオフィスとして活用する方法が注目されています。
しかしシェアオフィスといってもピンとくる人はあまり多くはないでしょう。
果たしてシェアオフィスとはどのようなものなのでしょうか?
また空き家をシェアオフィスとして活用する場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
この記事では、空き家のシェアオフィス活用について解説します。
目次
そもそもシェアオフィスとはどのようなもの?
まずはシェアオフィスがどのような賃貸形式なのかがよくわからないという人も多いでしょう。
ここからは、シェアオフィスの概要や利用者、どんなタイプのシェアオフィスがあるのかといった点について解説します。
(1)シェアオフィスとは?
シェアオフィスとは、賃貸形式の一種でそれぞれの個室をオフィスとして区切り、共用部分は複数人が利用できるミーティングスペースとして活用ができるものを指します。
それぞれのスペースごとに賃貸借契約を結び使用が可能です。
およそ10㎡~20㎡程度の広さを一つの個室として賃貸契約を交わします。
多種多様な業種の人がそれぞれのスペースを借り、業務を行っていますので特定の業種の人たちが集まって利用しているわけではありません。
最近は、パソコンひとつで仕事を完結することも可能なケースが増えています。
効率的に使えるスペースだけがあればいいということでシェアオフィスが利用されています。
時代のニーズに合った新しい賃貸方式です。
(2)どのような人が活用するの?
では実際にどのような人が活用しているのでしょうか?
全ての業種の人が利用できるという訳ではありません。
例えば、お客様が頻繁に訪ねてくるような業種や、連絡を頻繁にとらないといけないような業務の場合は、シェアオフィスだと他の契約者に支障が出る可能性もあります。
よくシェアオフィスを利用する業種としては、弁護士や税理士といった士業関係や、デザイナー、ライターのフリーランスなどが利用するケースが多いです。
そもそもシェアオフィスの原型は、同じ士業人たちやデザイナーの集まりが共同で事務所を借りて利用していたのが起源だといわれています。
それが進化し、さまざまなタイプのシェアオフィスが増えているのが現状といえるでしょう。
(3)どんなタイプのシェアオフィスがある?
ではシェアオフィスにはどのようなタイプのシェアオフィスがあるのでしょうか?
下の表にまとめました。
個室シェアオフィス | 完全に仕切られ1~3人程度が使用できる |
半個室シェアオフィス | ネットカフェのように半分が区切られているオフィス |
自由席(コワーキングスペース) | 全く仕切られていない部屋で各々自由に席に座り仕事をする |
シェアオフィスにもさまざまな上記のようにさまざまなタイプがあり、それぞれ利用料金も異なります。
近年は、別途会議室を利用できるスペースの確保や無料のドリンク、喫煙室なども設けられているシェアオフィスなどもあるのです。
さまざまなサービスが提供されているといえるでしょう。
空き家をシェアオフィスとして活用するメリットは?
シェアオフィスの概要やタイプについて解説しましたが、空き家の活用方法としてシェアオフィスを検討する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?
まずは、空き家をシェアオフィスとして活用する場合のメリットについて解説します。
(1)空き家が決まりやすくなる
今までは居住専用の住宅として募集していてもなかなか成約できなかった場合、賃貸層を変えて募集することで空き家が決まる可能性が高くなります。
また、居住用の賃貸として募集すると、借主が見つからない限り家賃収入はゼロです。
しかし、シェアオフィスの場合は空き家をシェアオフィスにし、分割して賃貸に出すことになります。
例えば、4人に貸し出せるシェアオフィスとして募集している場合1人でも契約していたら住まいの賃料には届かないかもしれませんが一定の家賃収入はあるわけです。
居住用の戸建てを賃貸する場合、全く家賃が入らないか、入居が決まり家賃が入るかという0か100かしかありません。
しかし、シェアオフィスなら75%の家賃が入るなど賃貸経営に起こりうるリスクを抑えることが可能です。
(2)郊外でもok
現況は都心部でシェアオフィスが多いのが現状です。
しかし、都心部だけではなく郊外にシェアオフィスがあっても全く問題はありません。
逆に、人ごみの多い都心部に仕事に出るのは嫌だという人もいますので郊外でシェアオフィスを経営しても需要はあるでしょう。
都心部で事務所を借りるとなると、非常に高い賃料になります。
しかし、スペースを有効活用できるシェアオフィスなら自分が必要とするスペースを借りることができるので、通常よりも安い賃料で借りることも可能です。
更に郊外でのシェアオフィスとなると、都心部よりも家賃単価が安いのでさらに家賃コストを抑えることができます。
このような理由から郊外でシェアオフィスを経営しても一定の需要は見込めるといえるでしょう。
(3)情報が共有できる
更にメリットとしてはシェアオフィス内で情報を共有できるという点が挙げられます。
例えば、同じデザイナーがシェアオフィスの契約をしていると、ちょっとした話から仕事に繋がる場合もあるでしょう。
また、WEBデザイナーがライターを探している際に、シェアオフィスを借りているライターに仕事を依頼ができるかもしれません。
全く異なる業種の人が集まっているので、普段聞くことがないような情報を得ることができ、自分の仕事に生かすこともできるのです。
情報を共有しやすいといった点もメリットとして挙げられます。
(4)収益が増えることもある
空き家を居住用として賃貸で貸し出すよりもシェアオフィスとして分割で貸し出す方が収益は上がります。
シェアオフィスは空き家を分割して貸し出すため、1戸を丸ごと賃貸するよりも高い坪単価で貸し出すことが可能です。
更に、細切れの賃貸なので前述しましたが家賃が全く入らないといったリスクを抑えることが可能となり、結果として収益が増えることに繋がります。
これもメリットとして挙げられる一例です。
空き家をシェアオフィスとして活用するデメリットは?
空き家をシェアオフィスとして活用する場合はメリットばかりではなくデメリットもあります。
デメリットに対していかに注意していくかといった対策を行う必要があるでしょう。
ここからはシェアオフィスに関するデメリットについて解説します。
(1)ネット環境の整備は必須
ネット環境は必ず整えておく必要があります。
現代のワークスタイルにおいてネット環境は必須です。
ネット環境が整っていないようなシェアオフィスはそもそも選ばれません。
無料Wi-Fiの引き込みと常時安定して通信ができる状態、そして万が一通信が遮断された場合にすぐに復旧できるようなメンテナンス体制は整えておかなければいけません。
(2)定期的な清掃やメンテが必要
シェアオフィスは、共用部分も会議室や来客室として活用します。
貸し出ししている部分の清掃に関しては借主が行いますが、共用部分に関しては貸主であるあなたが行う必要があります。
また、無料ドリンクサービスなどの設備を設置している場合は、それらのメンテナンスも欠かせません。
貸しただけで終わりではありませんので、清掃やメンテナンスの手配や体制も整えておかなければいけません。
(3)セキュリティ面が心配
セキュリティ面も注意が必要です。
インターネットのセキュリティレベルを上げておくことも必要ですし、できれば各個室はカードキーや電子錠を設置しておきたいものです。
いつも同じ人が利用するわけではありません。
特にコワーキングスペースのように自由な配置で仕事ができるようになってしまうと、盗難のリスクなどが起こる可能性が高くなってしまいます。
また共用部分にカメラを設置することも効果的です。
これらの対策を行い、セキュリティレベルを上げておきましょう。
(4)入居者同士のトラブルが起こりやすい
全く関係のない赤の他人が共同でオフィスを使用することになりますのでトラブルが起こりやすいともいえます。
特に、仕事で使うので、トラブルが起こってしまうと自分たちの収益が落ちてしまうことに繋がるでしょう。
入居者間のトラブルは早急に改善しなければ思わぬところに飛び火し、損害賠償を請求される可能性も否定できません。
このような入居者間のトラブルについても対策が必要です。
空き家をシェアオフィスとして活用する場合の賃料相場やターゲット
シェアオフィスは立地や利用者の傾向などによっても賃料相場が変わります。
逆を言うと、立地によってターゲットを変える必要もあるのです。
ここからは立地における賃料相場とシェアオフィスのターゲットとなる層について解説します。
(1)都心部で経営した場合
郊外でもシェアオフィスの活用は問題ないと前述しました。
しかし、都心部なら尚更需要があり、賃料も高い相場で貸し出すことが可能です。
近年、都心部で運営しているシェアオフィスの賃料相場は、坪単価4万円~8万円程度といわれています。
しかし、これも前述しましたが、自分の使いたい広さだけを使うことができるので、坪単価が高くとも広さを抑えるので、コストも同様に抑えることができるでしょう。
都心部で働きたいけど、家賃が高いと悩んでいる場合は、シェアオフィスがおすすめです。
(2)地方都市で経営した場合
地方都市でシェアオフィスを経営した場合、駅に近い場合は、坪単価3万円前後で借りることができます。
駅から離れている場合でも坪2万円程度で借りることが可能です。
郊外になると更に家賃は安くなります。
極限にコストを抑えたい場合は、郊外に借りることがおすすめです。
(3)起業したばかりのフリーランス
次にどのような人がシェアオフィスの利用におすすめかといった観点から解説しましょう。
起業直後のフリーランスの方などは、なるべくコストを抑えたいと考えるのではないでしょうか?
起業直後はシェアオフィスを利用しコストを抑え、経営が安定軌道に乗り始めたらオフィスを構えるといったスタイルだとコストの削減に効果的です。
(4)他の人と積極的に情報を共有したい人
シェアオフィスの特徴は、異業種の方が出入りする環境下にあるという点です。
異業種の人たちとコミュニケーションを深めいろいろと交流したいという人も向いているといえるでしょう。
また、仕事を頼みたいような人がいる場合や、逆に仕事を頼まれる機会が訪れるかもしれません。
積極的に情報を共有したい場合においても、シェアオフィスは向いているワーキングスタイルといえます。
まとめ
まだまだ認知度は低いとはいえどんどん広まっているシェアオフィスは、空き家活用にも効果的な方法といえるでしょう。
今までの入居者層から視点を変えた募集により部屋が決まる可能性もありますし、さまざまなメリットがあります。
反面デメリットもしっかりと理解をし、対策を講じなければいけませんが、この記事を参考に空き家の活用豊方法として検討してみてはいかがでしょうか?