空き家を解体して駐車場にするメリットとデメリット

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空き家 駐車場

所有している空き家を持て余し、「いっそ解体して駐車場にした方が良いのでは?」「駐車場なら費用をかけず、安定した収入が得られるかもしれない」などと、考えている方もいらっしゃるでしょう。

空き家を解体後、更地を駐車場にして収入が得られる場合もあります。

しかし、駐車場とする前に、得られる利益だけではなく注意点も把握しておく必要があります。

この記事では、空き家を解体して駐車場にするメリットとデメリット、かかる費用について解説します。

空き家を解体して駐車場にするメリット

空き家を解体して駐車場とすれば、主に以下の3つのメリットが得られます。

  • 安定的な収入が得られる
  • 建設費用・維持費用が安く済み、投資リスクは低め
  • 将来的な転用が容易である

3つのメリットについて説明します。

(1)メリットその1・安定的な収入が得られる

一度駐車場の賃貸契約が成立すると、借りる側がすぐに車を使用しなくなるという事態はあまりないため、比較的安定した収益を得られる可能性があります

例えば月極駐車場を経営する場合、東京都心部の賃料目安は2.7万円といわれています。

40坪で車8台分の駐車場が満車となっているなら、以下のような収入が得られることでしょう。

1台あたりの月額賃料27,000円×車8台分=月間の総収入216,000円

216,000円×12か月=年間の総収入2,592,000円

諸経費は47万円程度かかるので、そこから差し引けば

2,592,000円-諸経費470,000円=手取り年収2,122,000円

手取り年収はおよそ212万円となります。

(2)メリットその2・建設費用・維持費用が安く済み、投資リスクは低め

駐車場にする場合は、マンションやアパートを建てる建築費用が不要なので、比較的少額の投資で済む点がメリットです。

例えば月極駐車場の場合、土地を舗装する費用がかかるものの、40坪の広さであれば70〜80万円程度の初期費用となります。

月極駐車場にした後も、清掃等の運営費・税金(固定資産税等)・万一に備えた保険料がかかるくらいなので、維持費の負担も多額とはなりません。

(3)メリットその3・将来的な転用が容易である

駐車場は建物がないため土地の形状や広さをそのまま活かせる他、将来的に別の用途へ転用しやすいというメリットがあります

駐車場として利用されていた土地は車の出入りや駐車が容易、照明・防水舗装・排水設備等を整備している場合が多いので、新たな土地活用を目指すときのインフラ整備費も抑えやすいです。

駐車場は主に次のような施設へ転用が可能です。

  • コンビニ:近隣の住宅やオフィスからの集客が見込める。
  • マンションやアパート:平坦で広い土地を有効活用できる。長期的な収益を見込める。
  • コインランドリー:土地の面積は狭くとも効率的に収益化が可能。住宅街や駅周辺ならば安定した収入が得られる。

空き家を解体して駐車場にする3つのデメリット

空き家を解体して駐車場にする場合、空き家周辺の状況をよく確認しておきましょう。

次のようなデメリットを把握しておかないと、安定的な収入を得られない可能性があります。

  • 駐車場の需要が高くないと、思うような収入は得られない
  • 空き家の解体費用がかかる
  • 空き家を解体して駐車場にすると固定資産税が増加

3つのデメリットについて説明します。

(1)デメリットその1・駐車場の需要が高くないと、思うような収入は得られない

駐車場の需要が高いのは駅近、住宅街やオフィス街が近い等、アクセスの良い立地です

駐車場にしても、駅や住宅街・オフィス街から遠く離れていると、借りようとする人はなかなか現れないことでしょう。

ただし、駐車場の近くに行楽地・観光地・保養地等があれば、安定した収入を得られる可能性もあります。

(2)デメリットその2・空き家の解体費用がかかる

所有している土地を駐車場として利用したいなら、まず土地の上に建っている空き家を解体しなければいけません

解体費用は空き家の大きさ・構造によって差が出てきます。下の表を参考にしてください。

空き家の構造 費用相場(1坪)
木造 3~5万円
鉄骨造 5~7万円
鉄筋コンクリート(RC)造 6~8万円

例えば40坪の木造家屋であれば120〜200万円程度、40坪の鉄骨造の家屋であれば200〜280万円程度の解体費用がかかります。

(3)デメリットその3・空き家を解体して駐車場にすると固定資産税が増加

住宅用地と比較すれば、駐車場の固定資産税の負担が重くなるケースもあるので注意しましょう

住宅用地の固定資産税・都市計画税は特例で、軽減措置(例:小規模住宅用地は1/6、一般住宅用地は1/3の固定資産評価額の減額)がとられます。

一方、駐車場には軽減措置が適用されず、固定資産税を満額支払わなければいけません

ただし、駐車場の設備費用を150万円未満に抑えられたなら、償却資産税(固定資産税の一種)の課税対象外となります。

所有している土地を駐車場にする費用

空き家を解体し駐車場とした場合のメリット・デメリットについて確認後、駐車場の建設を進めたいなら、初期費用・維持費等が支払えるかどうかも検討してみましょう。

駐車場と車道の状態や建設する駐車場の規模によっては、多額の費用がかかる事態も想定されます。

(1)初期費用

初期費用となるのは、主に土地整備費、機器等設置費、照明・看板設置費の3つです

駐車場の土地整備を行うときは、次のいずれかの舗装タイプがあります。

舗装タイプ 特徴 費用目安(1㎡)
砕石舗装 砂利を敷くだけの舗装方法 2,000円程度
アスファルト舗装 多くの駐車場で採用されており、走りやすい舗装方法 5,000~7,000円程度
コンクリート舗装 耐久性が高い舗装方法 8,000~10,000円程度

駐車スペースの整備費用も必要です。

  • 駐車スペースを区切るラインの費用:1台5,000円程度
  • 車止め費用:1台4,000円程度

また、駐車場をコインパーキングにする場合、不特定多数の方々が利用するので料金の確定、料金未払いを防止するための機器の設置が必要です

  • 料金精算機本体費用:1台80~100万円程度
  • 料金精算機施工費用:80~100万円程度
  • ロック板費用:1台10万円程度

照明・看板には、利用者に駐車場である旨を明示し、料金・利用規約をわかりやすく説明する役割があります。

設置費用は20~40万程度です(コインパーキングの場合「満空表示機」も必要)。

セキュリティ対策を強化するため、防犯カメラ・フェンスも設置すると、更に初期費用が増します。

(2)維持費

主な維持費として運営管理費と税金がかかります

下の表を参考にしてください。

運営管理費
  • 管理費・人件費:管理費には駐車場の清掃・消耗品の補充・管理会社に支払う委託料が含まれ、人件費は専任の管理者を雇用する場合に発生する。
  • 電気代:照明設備の他、コインパーキングならば満空表示機・精算機・ロック板などの電気代が該当する。
  • メンテナンス・修繕費:定期的なメンテナンス費用。
  • 決済手数料:コインパーキングでキャッシュレス決済の精算機を導入したとき、サービス提供会社に支払う手数料。
税金
  • 固定資産税・都市計画税
  • 消費税
  • 所得税:不動産所得(月極駐車場の場合)
  • 所得税:事業所得または雑所得(コインパーキングの場合)
  • 事業税

(3)その他の費用

その他、駐車場と車道に高低差がある場合は歩道の切り下げ工事費用として、30〜100万円程度がかかります

駐車スペースが20台以上と大きな規模になる駐車場では、入口にゲートを設けることでしょう。

このゲートの費用は400〜600万円程度となります。

なお、万一の事態が起きた場合、損害金が補償される施設賠償責任保険に任意で加入すると保険料の負担も必要です。

駐車場の選択肢は2つ

駐車場を経営する場合、月極駐車場またはコインパーキングのいずれかとなります。

月極駐車場もコインパーキングも仕組みの違いや、それぞれにメリット・デメリットがあります。

自分の所有する土地の周辺状況をよく確認し月極駐車場にするのか、それともコインパーキングにするのか、冷静に判断する必要があるでしょう。

(1)月極駐車場

月極駐車場とは、駐車場のオーナー(貸主)が駐車場を借りたい人(借主)と直接賃貸契約を締結し、駐車スペースを貸して月額賃料を受け取る方法です

駐車場の周辺に住宅街・ビジネス街があり、特定の人が継続して駐車場を利用する場合に、月極駐車場の需要が高くなります。

月極駐車場では借主との賃貸契約が継続すれば、毎月安定した収入を得られます。

料金精算機やロック板等の特殊な設備が不要で、駐車場経営を開始できる点もメリットです。

一方、借主との賃貸契約が終了してしまうと、次の借主が見つかるまで毎月の収入は減少してしまいます。

また、管理会社へ委託せずに貸主が自分で管理する場合、借主の募集・契約手続きは貸主自身で行う必要があります。

(2)コインパーキング

コインパーキングとは、不特定多数の利用者が空いている駐車スペースに車を停め、精算機で利用した時間分の料金を支払う駐車場です。

駐車場の周辺に人気の店舗があったり、観光地があったりして、一時利用で訪れる客が多い場合に、コインパーキングの需要は高くなります

コインパーキングを運営するときは精算機等の設備が必要となるので、駐車場運営会社と契約を締結するのが一般的です

契約形態は以下の2種類があります。

  • 一括借上方式:所有する土地を一括で駐車場運営会社に貸し、初期投資を抑え毎月定額(1台〇万円と固定される)の賃料を受け取る方式。駐車場の工事の他、定期的な清掃や利用者のクレームを駐車場運営会社に任せられる。
  • 管理受託方式:駐車場のオーナーが工事費用の全てを負担後、駐車場運営会社に運営を委託する方式。その分、駐車場の利用料金は全てオーナーのものとなる(ただし、駐車場運営会社の委託費用は除く)。

利用者が数時間ごとに入れ替わるので収入は変動するものの、高い稼働率を維持できれば、月極駐車場よりも高い収入を得られる可能性があります。

まとめ

所有している空き家を持て余しているなら、空き家を解体し駐車場にするのも、土地を有効活用する方法の一つです。

ただし、空き家の解体費用や初期費用・維持費等を払いきれないのなら、別の方法を検討してみましょう。

また、駐車場にする場合は周辺の環境をよく把握しておかないと、利用者がなかなか現れず、安定した収入を得られない可能性もあります。

自分だけの判断に頼らず、事前に駐車場運営会社の担当者と相談し、自分の所有する土地で駐車場経営が成り立つのかを話し合ってみましょう。

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