空き家にも防犯対策が必要?空き家犯罪を防ぐポイントを解説
近年、日本では空き家が急増し、社会問題となっています。空き家が急増した主な原因は、総世帯数が総住戸数を下回ってきたことや、核家族化が進み、親が亡くなって相続した実家に住む人が誰もいなくなるケースが増えたことなどです。
空き家状態となった実家を早めに売却することも選択肢の一つですが、思い出が詰まった実家を手放したくないと考えて、空き家状態のまま放置している方も多くいらっしゃるようです。しかし、防犯対策を十分に行わずに空き家を放置することにはリスクが伴います。
この記事では、空き家の防犯対策が不十分な場合のリスクや空き家を犯罪から守るための効果的な防犯対策などについて解説します。
空き家の防犯対策が不十分な場合のリスク
空き家の防犯対策を軽視していると、様々なトラブルが発生するリスクがあります。具体的にどのようなリスクが発生する可能性があるのか説明します。
(1)家財道具の盗難
空き家の防犯対策が不十分な場合、家財などが盗難の被害にあう可能性があります。
久しぶりに空き家を訪問したら、置いてあったはずの家財道具が一式無くなっていたなどということも起こり得ます。
空き家には高価なものは残していないという方もいらっしゃるかもしれませんが、長年使用して愛着が残っている家財などを置きっ放しにしている方は少なくありません。
空き家の場合、いつ盗難の被害にあったか特定するのは難しいため、盗難届を出しても解決する可能性は低いです。
(2)不審者による不法占拠
防犯対策が不十分なまま空き家を放置していると、他人が侵入して不法占拠されるリスクもあります。
不審者から空き家として管理が甘いという認識をされてしまうと、勝手に住み着かれて、家の中がぐちゃぐちゃにされてしまうこともあるのです。不法占拠された場合、家屋内に生ゴミが残されたままになり、害虫の発生を引き起こすおそれもあります。
(3)犯罪に利用される
防犯対策が不十分な空き家は、犯罪のために利用される可能性もあります。実際に、空き家が麻薬の取引に利用されたケースも報告されています。
また、不正な手段で得た商品の郵送先に指定される可能性もあります。他にも、人を監禁するために利用されるなど、悪質な犯罪のために利用される可能性も否定できません。
(4)火災
空き家が不法占拠されると、ゴミが溜まり、火災が発生する可能性があります。また、空き家状態になっていると、放火されるリスクもあります。
火災が発生して家屋が焼失すると、罹災証明の届け出や、警察による現場検証などの多大な労力が必要になる上、高額な処分費や解体費がかかることになります。
火災は最も大きな被害を起こす可能性が高いので、防犯対策を行っていなかったことへの後悔は非常に大きくなるでしょう。
狙われやすい家の特徴
防犯対策の有無に関わらず、犯罪者に狙われやすい家と狙われにくい家が存在するのも事実です。
狙われやすい家を空き家にしている場合は、さらに防犯対策の重要性が高まります。狙われやすい家にはどのような特徴があるのか説明します。
(1)人の通りが少ない場所にある
人通りが少ない場所にある空き家は要注意です。そのような場所に不審者がいて不審な動きをしても、近所の人の目に留まって警察に通報される可能性が低いためです。
空き巣などの犯罪者が狙う家を選ぶ際は、可能な限りリスクを避けるといわれています。
人通りが少なければ、空き家の中にある家財などを運び出す際にも時間に余裕が持てるでしょう。また、多少侵入に手間取ったとしても、通行人などから見つかるリスクが低いため、人通りが少ない場所の空き家は犯罪者に狙われやすいといえます。
(2)角地にある
角地にある空き家も、空き巣などの犯罪で狙われやすいため注意が必要です。
前述した通り、空き巣などの犯罪者は、狙う家を選ぶ際にリスクを避けることを第一に考えます。角地が狙われやすい要因の一つとして、面している道路が2か所あるため、空き巣が見つかった場合に逃げやすいという点が挙げられます。
逃走経路を事前に確認し、万一、見つかった場合でもスムーズに逃げることができるように準備した上で空き巣に入るので、逃げ道は多ければ多いほど好都合なのです。また、角地は、どちらかの道路から侵入もしやすいという特徴があり、両端に家がある場合と比べて、下調べがしやすいという点も空き巣から選ばれやすい理由といえます。
(3)窓が多い
窓が多い家も犯罪者に狙われやすいため要注意です。
空きマンションよりも空き家の方が不法占拠されやすい理由の一つに、窓が多いという点があります。窓が多いということは、それだけ侵入経路や逃走経路が多いことを意味します。玄関はしっかり施錠していたとしても、窓の防犯対策が甘く、窓から侵入されるケースは非常に多いです。2014年の警察庁が発表した戸建てへの侵入手段として、無締り(無施錠)の次に多いのがガラス破りでした。全体の4割近くがガラス破りによる進入なので、戸建てのように窓が多い建物は空き巣や不法占拠者にとって格好の獲物だといえるでしょう。
(4)家が外から見えにくい
家が外から見えにくい家も不法占拠されやすいため注意が必要です。例えば、以下のような家は外から見えにくいといえるでしょう。
- 塀に覆われた家
- 植木が伸びすぎて家全体を覆っている家
- 接道から家までの距離が長い家
外から家が見えにくいと、不法侵入者が侵入しようとしても通行人などから見られる心配がないので、侵入に多少時間がかかってもリスクは少ないといえるでしょう。
また、多少敷地内に入っても見つかりにくいので、下調べに時間をかけることもできます。
外から家が見えにくいというだけで、より不法占拠しやすい状況となるのです。外から見えやすい開放感のある家の方が、侵入した際に通行人などに見られる可能性が高く、不法占拠はやりにくい環境であるといえます。
空き家を犯罪から守るための効果的な防犯対策
空き家を犯罪から守るためにはどのような対策を行えばよいのでしょうか。効果的な防犯対策について説明します。
(1)定期的な訪問
空き家を犯罪から守るために最も基本的でかつ効果的だといわれているのが定期的な訪問です。定期的に訪問していると、異常があった際に敏感に察知することができます。
定期的に訪問している空き家は、空き家とはいえ、手入れが行き届いているため、不法侵入しようとたくらんでいる人も「人が来るかもしれない」と警戒します。また、定期的に掃除を行うことにより清潔な状態がキープできていると、ゴミ捨て対策にもつながります。
遠方に住んでいるなどの事情により定期的な訪問ができない場合は、不動産会社へ依頼して空き家管理サービスなどを利用してもよいでしょう。
(2)防犯カメラ・防犯フィルム
前述したとおり、空き巣などの犯罪者は、リスクを取ることを極端に嫌がり、少しでも防犯対策を行っているところは避ける傾向があります。そのため、防犯対策をしていることを認識してもらうための対策を行うことは効果的です。
防犯対策がされていることを外部から認識される方法の一つが防犯カメラの設置です。防犯カメラを設置する場合は、外から見えやすい場所に設置することで犯罪の抑止効果につながります。万一破壊されたと場合も、録画データは別のサーバーに保管されますので、犯人は特定しやすいでしょう。
また、窓からの侵入を防ぐ手段としては防犯フィルムがおすすめです。空き巣や不審者の多くは窓のガラスを破って侵入します。防犯フィルムは、フィルムでカバーすることにより、簡単に窓を割れないように強化するものです。防犯フィルムが貼ってあると、無理やりガラスを割ろうとしても時間がかかり、捕まる可能性が高くなるので、窓からの侵入防止に大きな効果を発揮することが期待できます。
(3)鍵の二重ロック
鍵の二重ロックも非常に効果のある防犯対策の一つです。二重ロックとは、玄関や勝手口などに鍵が二つ付いているもののことです。
空き巣や不審者は、不法侵入する際になるべく手早く進入したいと考えるものですが、鍵が二つ付いているだけで時間がかかると判断して進入をあきらめる可能性があります。
玄関や勝手口に鍵穴が二つ付いていることは侵入前から見た目でわかるので、犯罪抑止効果が期待できます。同じ鍵で2か所を開錠しないといけない分若干手間はかかりますが、防犯効果を高めるためには大切なポイントといえるでしょう。
(4)ご近所との交流
ご近所との交流も効果のある防犯対策の一つとして知られています。特にお隣との交流は効果的だといわれています。
定期的に空き家を訪問できない場合でも、ご近所と仲良くすることにより、空き家に関する状況を教えてもらえたり、電気が夜中についているなど不審な事があった場合に連絡してもらえたりするかもしれません。
ご近所としても、所有者がよくわからない空き家が近くにあるよりも、所有者の人となりがわかっていた方が安心感は増します。
(5)こまめな植木の手入れ
狙われやすい家の特徴として家が見にくいことを挙げましたが、植木の手入れをこまめに行うことで外部から見えやすい家へ変化させることが可能です。
家が外から見にくい状態になると、犯罪の被害にあうリスクが高まります。
こまめな植木の手入れは、外から見えやすくする効果だけではなく、空き家とはいえ、きちんと管理しているというイメージを作るためにも効果的です。
管理と防犯の両面で効果があるので、しっかり行うよう心がけるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、空き家の防犯対策が不十分な場合のリスクや空き家を犯罪から守るための効果的な防犯対策などについて解説しました。
空き家の防犯対策が不十分だと、様々なトラブルに巻き込まれるリスクがあります。リスクを回避するためには、所有している空き家の状況に合わせた防犯対策を検討し、可能な範囲内で効果的な防犯対策を実施することが大切です。