空き家に火災保険をかける必要性・保険選びのポイントも解説

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空き家 火災保険

少子高齢化や、団塊の世代による急激な相続が進み、空き家問題がにわかに注目されています。住まれていない空き家状態で放置されている建物が増えており、総務省が実施した「住宅・土地総合調査」では、2033年には、全世帯数の3割が空き家になると予測されています。

空き家を放置しているリスクの中でも大きなトラブルを引き起こすおそれがあるのが火災のリスクです。万一、火災が発生した場合に備えて、火災保険に加入するべきか迷っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、空き家を放置することによるリスク、空き家で火災が発生した場合の損害の内容、空き家のために火災保険を選ぶ際の留意点や確認すべきポイントなどについて解説します。

空き家を放置することによるリスク

空き家状態になる理由として多いのが、実家を相続したけれど、住む人がいないため、空き家状態で放置しているというケースです。しかし、特にメンテナンスなどを行わずに空き家を放置していると様々なリスクに直面する可能性があるため注意が必要です。

特に注意しておかなければいけないリスクが以下の2つです。

  • 倒壊リスク
  • 火災リスク

この2つのリスクについて、詳しく説明します。

(1)倒壊リスク

空き家を放置することにより大きなトラブルに発展する可能性があるリスクの一つが倒壊のリスクです。

空き家を放置していると、換気しないため、空気の入れ替えができません。そのため、カビの繁殖を引き起こす可能性が高まります。カビの繁殖は、ダニやゴキブリなどの害虫を発生させる要因となります。

さらに、ダニやゴキブリの繁殖は、ネズミやシロアリを発生させる要因となり得ます。ネズミやシロアリは、木材を食べてしまうので、建物の急激な劣化を引き起こすおそれがあります。

 

また、空き家を放置していると、外壁の損傷から雨水などが入り込んでも気づくことができません。木材が水分を多量に含んだ状態になると、木の腐食や劣化を加速させます。

建物の中でも特に木材が大きなダメージを負う要因となるのです。木材の劣化が進むことにより、すぐに建物が倒壊するわけではありませんが、地震や台風などの自然災害が発生した時に倒壊する可能性が大幅に高まるでしょう。

空き家が倒壊し、近隣へ被害を与えてしまうと、賠償費用を支払う責任を負うことになります。他への被害がない場合でも、解体の費用など莫大な金額が必要になる場合があるので、リスクを回避するための対策を行うことが大切です。

(2)火災リスク

倒壊リスクと並んで、重大なトラブルに発展する可能性が高いのが火災リスクです。

空き家で人が住んでいないのに火災が起きることがあるのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、空き家を放置していると、知らない間に不審者が侵入して不法占拠されていても気づくことができないのです。不審者による火の不始末から火災が発生する可能性は十分に考えられます。

防犯面に不備があると不審者が侵入しやすいため注意が必要です。こまめに立ち寄ることができない場合は、十分な防犯対策を講じる必要があるでしょう。玄関を二重ロックにする、窓に防犯鍵を付けるなどの対策も不審者の侵入を防ぐために役立ちます。

空き家で火災が発生した場合の損害

実際に空き家で火災が発生した場合、どのような被害を受ける可能性があるのでしょうか。具体的な損害の内容について説明します。

(1)空き家に残っている家財の損害

空き家で火災が発生した場合、空き家に残している家財に対する被害が想定されます。

空き家を放置している場合、高価な家財を置いていることは少ないかもしれません。しかし、骨とう品や美術品など、自宅では大きくて保管できないような品物を空き家に残しているケースは少なくありません。また、実家の場合、思い出の品物や仏壇といった金銭には換算できないようなものを置いている場合も多いです。

火災が発生すると、このようなものが焼失してしまう可能性があります。火災保険に加入していれば、ある程度金銭的な損失はカバーできますが、思い出の品物のような気持ちの部分で残している品物に対するカバーはできません。

火災保険に加入したとしても、空き家をしっかり管理して、火災の発生を防ぐための努力を怠らないことが大切です。

(2)焼失した空き家の処分・解体など

火災により空き家が焼失した場合、処分や解体のための費用が必要となります。

焼失した建物は、焦げたにおいが充満してしまうので、しばらく放置すると近隣住人に迷惑をかけるおそれがあり、早急に処分・解体作業を行わなければいけません。

しかし、火災が発生した後の解体となると、保険会社とのやりとりや、役所での罹災証明の発行などに大きな手間がかかります。

また、通常の建物の解体と比較して、火災で焼失した建物の解体にかかる費用は高額です。なぜなら、通常の建物を解体した木材は再利用できますが、燃えた木材の再利用はできないからです。

(3)重過失と認められないと近隣の延焼責任は免責

空き家で火災が発生した際、最も心配なのが、近隣へ被害が及ぶことです。近隣へ被害が及んだ場合、損害倍書責任を負うことになるか不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

民法の規定では、失火により他人の家屋に被害を及ぼした場合、重過失と認められない限り責任を負うことはありません。空き家の放置が重過失に該当するかという判断は、空き家の状態や火災が明らかに起こりそうなリスクを放置されていたかなどの事情によって大きく異なります。

重過失と認められない限り、他人への損害は免責されますが心情面のダメージは大きいでしょう。また、謝罪としてそれなりの額の出費は覚悟しておかなければいけないでしょう。

火災保険に加入していても、原則として、免責となった場合、近隣への被害に対する保険金はおりません。ただし、近隣への対応にかかる費用をカバーするために、類焼責任特約などの特約を付保することが可能なので、火災保険に加入する際は検討するとよいでしょう。

空き家の火災保険を選ぶ際の留意点とポイント

空き家でも火災が発生する可能性はあるため、万一に備えて火災保険に加入することが望ましいといえます。空き家の火災保険を選ぶ際に知っておくべき留意点や確認すべきポイントについて解説していきます。

(1)空き家は一般物件として加入される

火災保険では、居住用物件と一般物件という区分があり、人が住んでいない空き家は一般物件に分類されます。同じ補償内容でも、居住用物件よりも一般物件の方が基本的に割高になります。

また、空き家の管理状態が悪く、居住するのにかなりの困難が想定される場合、火災保険に加入することができないケースもあります。空き家なのに居住用物件として加入するケースもあるようですが、実際に火災が発生した際に、補償が受けられない可能性があるので、保険加入時には空き家であることを正直に申告するようにして下さい。

(2)補償内容はどこまで必要か

火災保険は以下の2つに大別することができます。

  • 火災や風災のみを補償する保険
  • 日常の災害や突然の事故による破損までカバーする保険

補償内容を充実させた方が様々なトラブルに対応できるので、当然ながら安心感は増すでしょう。しかし、保険費用もその分割高になるので、空き家の状況に応じて補償内容を決めた方がよいでしょう。

例えば、近隣住居が全くない一軒家の場合は、近隣への延焼を補償する類焼特約を付ける必要はありません。逆に、住宅地で近隣に住居が多い場合は、施設賠償責任保険などを付けて、他の人に損害を与えた場合などにカバーできる補償を付保しましょう。

補償内容をしっかり理解しておかないと、補償内容が不十分で、万一の時に火災保険が役立たない場合もあります。また、不要な補償を付けて、無駄に高い保険料を支払うことにもなりかねません。保険の専門家のアドバイスを受けながら、適切な補償について慎重に検討することが大切です。

(3)地震保険は必要か

居住用物件の場合、火災保険とセットで地震保険への加入を検討するのが一般的です。日本は世界の中でも地震大国として知られています。平成から令和に起こった甚大な震災被害を考慮すると、地震保険に加入しておいた方が良いと考えるのは自然なことでしょう。

しかし、空き家の場合、一般物件として火災保険に加入しているため、地震保険はセットで加入することができません。地震保険は、被災した人の生活を助けることを主な目的としているので、事務所や店舗と同等と扱われる一般物件の場合は加入することができないのです。

一般物件でも地震補償特約を付けられる保険商品も存在します。地震保険と比較すると条件面や費用面で不利になるケースが多いですが、どうしても心配な場合は地震補償特約を付けることを検討するとよいでしょう。

まとめ

この記事では、空き家を放置することによるリスク、空き家で火災が発生した場合の具体的な損害、空き家のために火災保険を選ぶ際の留意点や選ぶ際に確認すべきポイントなどについて解説しました。

空き家を放置しておくとさまざまなリスクに直面することになりますが、特に注意が必要なのが倒壊リスクと火災リスクです。万一に備えるためにも火災保険に加入しておくことをおすすめします。ただし、加入する際は、補償内容を十分に確認し、費用とのバランスを考慮することが大切です。

中には空き家の火災保険を取り扱っていない保険会社もありますので、空き家の火災保険を取り扱っているかを確認する必要があります。複数の保険を比較したいという方には、ネット上の保険見積もり一括査定サービスがおすすめです。ネット上に情報を入力するだけで複数の保険会社から見積もりを取ることが可能なので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

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