空き家の不法占拠のリスク・不審者の侵入を防ぐ方法も解説
所有している建物を空き家の状態で放置していると様々なリスクが想定されます。
知らない間に他人が空き家を勝手に不法占拠してしまうケースも空き家のリスクの一つです。
特に、遠方に空き家を保有し、ほとんど管理していない場合、何年間も不法占拠されているケースも珍しくありません。
この記事では、空き家が不法占拠された場合のリスク、不審者が入りやすい空き家の特徴、不審者の侵入を防止するための対策等などについて解説します。
空き家が不法占拠された場合のリスク
空き家が不法占拠されてしまうと、知らないうちに思いがけないリスクを抱えてしまう場合があります。
空き家が不法占拠された場合の具体的なリスクについて説明します。
(1)犯罪に利用される
ほとんど管理されずに放置されている空き家は、誰がどのように利用しているかわからないため、犯罪に利用されるリスクは非常に大きいといえます。
実際、空き家が不法占拠されて麻薬の取引場所として利用されるなど犯罪に利用された事例は複数報告されています。
近年横行しているネット犯罪で、不正に入手した商品の郵送先へ指定される可能性もあります。
(2)家財を盗まれる
空き家の管理が不十分だと、空き家に残している家財が盗まれてしまう可能性が非常に高いです。
根こそぎものが盗まれてしまうことも珍しくはありません。
空き家に、高価な家財道具が残されていることは少ないかもしれません。
しかし、思い出の品物や、現在住んでいる家には持ち運べない大きな家財等、多少の家財を残していることは少なくないでしょう。
あまり高価なものではなくても、愛着のある品物が盗まれてしまうと、精神的に大きなダメージを負うこともあります。
しばらく空き家に立ち入っていない場合、いつ盗まれたのか特定するのは難しいため、被害届を出しても犯人を捕まえることができる可能性は低いです。
空き家には盗難のリスクがあることを認識し、できる限り家財や思い出の品物などは置かないよう心がけましょう。
(3)ごみを放置される
不法占拠した人は当然ながら違法な手段で空き家に侵入していることを自覚しています。
そのため、空き家の使用状況が非常に雑になっていることが想定されます。
食べ物のゴミなどがキレイに片付けられていることはまずあり得ません。
そもそも違法な手段で進入しているので、ゴミを捨てることができないのです。
そのため、家の中は、ゴミ屋敷のような状態になることも想定されます。
ゴミがたまって汚くなると、不法占拠者はそのままの状態で逃げていきます。
しばらく経って、所有者が訪問した際、生ごみの異臭が漂い、害虫が発生しているかもしれません。
ゴミが放置されると、処分等のために余計な費用もかかります。
(4)火災を引き起こすリスクも
不法占拠者が家を雑に扱い、ゴミ屋敷のような状態になると、火災が発生するリスクも高まります。
火災が発生すると、近隣へ多大な迷惑をかけるだけではなく、解体費用や処分費用など、普通の戸建てを解体するよりも高額な費用がかかります。
手続きも面倒で、多大な労力を要します。
火災リスクは、一つ間違うと、人が亡くなる可能性も十分にあり得ますので、絶対に起こしてはならないリスクの一つといえるでしょう。
(5)不法占拠者と鉢合わせする可能性も
しばらく空き家を見に行ったときに、不法占拠者と鉢合わせする可能性もあります。
不法占拠者は違法な手段で侵入していることを自覚しているので、暴行されるなど危険な目に遭うおそれもあります。
暴行などはされなかったとしても、不法占拠者と引き合った場合の恐怖は計り知れなく、精神的なダメージを負うことになるでしょう。
不審者が侵入しやすい空き家の特徴
不審者が侵入しやすい空き家にはどのような特徴があるのでしょうか。外見上の特徴などについて説明します。
(1)明らかに人が住んでいないことがわかる
外から見ただけで、明らかに人住んでいないことがわかるような空き家は要注意です。
例えば、玄関ポストに郵便物が溜まっていると、すぐに空き家だと見抜かれてしまいます。
また、常にカーテンが閉めっぱなしになっている場合も、空き家だと気付かれるでしょう。
空き家にこまめに訪問できない場合は、郵便を止める、郵送先を変更するなどして、ポストを見ただけで空き家であることを見抜かれない状態にしておくことが大切です。
(2)セキュリティが甘い
セキュリティが甘いと不法占拠のリスクが高まります。
例えば、玄関のドアが古い形状で、鍵シリンダーも古いと不法占拠しやすいと思われるでしょう。
また、窓が多い家や雨戸が閉められていない家も、窓からたやすく進入できると思われるかもしれません。
家屋に入り込みやすい箇所が複数ある戸建ては侵入しやすいと判断される可能性が高いので、何らかの防止策や対応が必要です。
(3)植木が伸び切って外から見えない
外から見えにくい家も、中に入りやすいと判断されやすい傾向があります。
例えば、植木の手入れも十分に行えず、植木が伸び切っているような家です。
植木によって完全に家が隠れているため、外から見えず、少しくらいのセキュリティなら時間をかけて開錠できるため、不法占拠しやすいのです。
(4)破損個所が目立っている
不法占拠しようとする人は、外観の見た目でその家が空き家かどうか判断することが多いでしょう。
破損個所が目立っているような家は、空き家だと判断されやすい傾向があります。
例えば、玄関の扉が外れている、雨戸が外れている家は、一目で空き家だと見抜かれやすいです。
また、ところどころ外壁が剥がれている、網戸が外れて下に落ちているなどの場合も、空き家だと見抜かれやすいです。
つまり、普段生活していた場合に壊れていたら困る箇所が破損していると空き家だと判断される可能性が高くなるということです。
審者の侵入を防止する方法
空き家を不審者から守るためにはどのような対策を行う必要があるのでしょうか。
不審者の侵入を防止する方法について具体的に説明します。
(1)こまめな訪問
不法占拠のリスクを回避するには様々な方法がありますが、まずは空き家と認識されないための対策が必要です。
そのために最も効果的な防止策の一つがこまめな訪問です。
こまめな訪問は不審者の侵入防止だけではなく、建物の維持管理にも良い効果があります。
こまめに訪問し、空き家自体をチェックすることで不審者の侵入リスクは大幅に減ります。
不審者も所有者と鉢合わせしたくありませんし、こまめな訪問していることは家の状態を見るだけで何となくわかるものです。
こまめに訪問し、郵便物の撤去や、庭先の掃除をするだけでもきちんと管理されていると思われますので、侵入リスクを大幅に下げることが可能です。
(2)セキュリティに気を付ける
セキュリティに力を入れることも不審者の侵入防止に効果があります。
防犯カメラや監視カメラの設置や、ドアのカギを二重ロックにすることも大きな効果を発揮します。
窓に少しの衝撃で音が鳴る防犯ブザーなどを設置する、防犯フィルムを貼って割れにくくすることも、不審者の侵入防止対策となります。
また、家の周りに音が出る砂利を敷きつめるのも、不法占拠しようとしている人には効果があるでしょう。
玄関先にセキュリティシステムが完備されていることを示唆する警備会社のステッカーを貼ることも効果的です。
(3)空き家管理サービスの利用
空き家が遠方にあり、定期的に訪問するのが難しい場合、不動産会社がサービス提供している空き家管理サービスを利用することを検討するとよいでしょう。
近年、空き家の増加が社会問題化しているため、不動産会社の中でも管理を専門に行う部門を持つ会社が増えています。
空き家管理サービスを利用すると、毎月一定の金額を支払うことにより空き家の管理を全て任せることができます。
空き家管理サービスの主な内容は、月に数度の訪問によるチェック、破損個所の改善提案などです。
植木が伸びてくると剪定の提案などもしれもらえます。定期的な訪問が行われるため、不審者も侵入しづらくなります。
また、修繕が必要な箇所なども的確に指摘してもらえるので、とても便利で、利用される方が増えています。
遠方にある空き家に訪問するための費用や労力を考慮すると、空き家管理サービスを利用した方が割安かもしれません。
定期的に訪問するのが難しい場合は検討する価値があるでしょう。
(4)売却の検討も選択肢の一つ
今後空き家を利用する予定がないのであれば、思い切って売却するのも選択肢の一つです。
利用しない空き家を保有していても、維持費や税金などで出費がかさむだけです。
相続で空き家を引き受けた場合、3年以内に売却すると特別控除の恩恵を受けることが可能です。
譲渡税が大幅に減額されますので、税金負担なく売却できます。
早めに現金化することにより今後の負担を減らすことができ、不法占拠の心配もなくなりますので、空き家を利用する予定がない場合は売却を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、空き家が不法占拠された場合のリスク、不審者が入りやすい空き家の特徴、不審者の侵入を防止するための対策等などについて解説しました。
空き家を放置していることにより様々なリスクが想定されますが、不法占拠は中でも大きなリスクといえるでしょう。
ゴミの放置による建物の急激な劣化や火災発生のリスクだけではなく、気づかないうちに犯罪場所に利用される可能性もあり、非常に危険です。
家族との思い出が詰まった実家を空き家状態のまま所有している場合は心情的に処分したくないかもしれませんが、今後、利用する可能性がない場合、
思い切って売却して現金化することも選択肢の一つとして検討する価値はあるかもしれません。
空き家のまま保有するか売却するかお悩みの方は、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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