後悔しない実家売却の方法は?罪悪感を持たない処分方法を解説
両親が亡くなった後、誰も住まなくなっている実家の処分をどうすればいいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
「誰も住んでいないのだから、さっさと売却すればいいじゃないか」
と考えがちですが、実家を売却などで処分しようとする場合、少なからず罪悪感を持つ人が多いのです。
しかし、売却をためらうことによるリスクもあるので、空き家となっている実家を放置しておくわけにはいきません。
では、後悔や罪悪感を持つことなく空き家となっている実家を処分するにはどのような方法があるのでしょうか?
この記事では、後悔なく実家の処分を行う方法や、売却だけではない空き家となった実家の処分方法などについて詳しく解説します。
実家を売却する際に罪悪感や寂しさを感じる理由
実家を売却する際に罪悪感を持つ、または寂しさを感じるという気持ちを持つ人が多いと先ほど述べました。
なぜ、実家の売却には罪悪感や寂しさを持つことが多いのでしょうか?
(1)育った思い出がなくなってしまう
実家は、あなたが幼少期から青年期のいわば人生の中でもたくさんの経験や思い出をつくるときに住んでいる拠点です。
たくさんの思い出が詰まっている実家を手放すということは、同時に思い出まで手放してしまうのではないかという思いに駆られてしまいます。
懐かしく楽しかった思い出ばかりが頭をよぎってしまい、売却となると寂しさを感じてしまう人が多いようです。
また、実家を手放すことで、その地域との関係性が薄れてしまうことへの寂しさも同時に感じます。
このような思いから実家の売却には寂しさを感じてしまうのでしょう。
(2)先祖代々所有していた土地を自分の代で手放してしまう
空き家となった実家は、実は先祖代々から所有している土地の場合があります。
先祖代々守ってきた土地を自分の代になって手放してしまうことへの罪悪感を持ってしまうようです。
なぜか土地や家屋といった不動産に関しては、なるべく所有して、次の世代へ引き継ぐという考え方が根付いていることも罪悪感を持ってしまうことに大きく影響しています。
また、先祖代々所有している不動産の売却は、親族などからも売却に対して反発を受けることがあり、罪悪感に拍車がかかってしまうケースも考えられるでしょう。
後悔しないために売却する前に考えること
空き家となってしまったとはいえ、実家を手放す場合には、罪悪感や寂しさを持ってしまい後悔してしまうかもしれません。
実家の処分について後悔したくないのならば、どうしても売却して手放さなければいけないかどうかを一旦考えなければいけないでしょう。
売却という手段をとる前に考えなければいけない点について解説します。
(1)自分で管理ができるのかどうか
売却の前に自分で管理ができるかどうかを考えましょう。
近所に実家があるのであれば、少し立ち寄って管理することも可能です。
遠方にある場合は、別荘として活用ができるかどうかの検討もできるでしょう。
特に、近年会社に行かずとも仕事ができるテレワークといったワークスタイルも浸透しています。
まとまった休みを取って、実家でのんびり過ごすことも以前に比べるとやりやすくなっているので、セカンドハウス的な役割が果たせるかもしれません。
このように、自分で管理する方法を一度考えてみてはいかがでしょうか?
(2)実家を保有する場合の年間コスト
実際の住まいとは別に、新たに実家を所有しておくことに対する年間コストをしっかりと計算しておく必要があります。
不動産は、保有しているだけで固定資産税などの税金が発生します。
また、庭の除草や建物が破損している場合の修繕といった費用もある程度計算しておく必要があるでしょう。
年間で主にかかる項目は以下の通りです。
- 固定資産税や都市計画税
- 保守費用(植木の選定や除草)
- 修繕費用
- 定期的なメンテナンス(改修費用)
これらの費用を大まかに算出し、維持ができるようであればそのまま所有して管理することができます。
(3)遠方に住んでいる場合は空き家管理サービスを検討
「遠方に住んでおり、なかなか実家を見に行く機会がない」
「実家に行く交通費が大きな負担になる」
「忙しくて実家に立ち寄る時間が作れない」
このような理由で、実家を手放すことを決心しているかもしれません。
最近社会問題化している問題に空き家問題があり、今回のように実家が空き家になる数もどんどん増えています。
空き家が増えているのは確かに問題なのですが、大きな問題はその空き家が管理不十分で廃墟化していることなのです。
空き家が廃墟化する大きな要因の一つが、遠方に住んでおり管理ができないという点が大きく影響しています。
廃墟化した空き家が増えている問題を受け、各不動産会社が提供しているサービスが空き家管理サービスです。
なかなか空き家となった実家に訪問できないお客様の代わりに不動産会社が定期的に空き家を巡回します。
その中で、状況や修繕の提案、保守の提案といった報告を定期的にお客様へお知らせし、朱然や保守を請け負うといった内容です。
費用は各社で異なり、戸建てや共同住宅かといった面でも異なりますが、およそ月額1万円程度でサービスを提供しています。
実家に立ち寄る時間がないという人におすすめのサービスです。
空き家になった実家を放置するリスク
空き家が社会問題化しており、廃墟化している空き家が増えていると前述しました。
空き家を所有しておくことで、最も行ってはいけないのが空き家を放置することです。
空き家を放置することで、さまざまなリスクをかぶってしまう恐れがあります。
では空き家を放置しておくことによるリスクについて解説しましょう。
(1)倒壊のリスクがある
空き家を放置しておくことによる倒壊リスクは深刻な問題です。
空き家を放置しておくと考えられるのが害虫の発生です。
ゴキブリやダニが巣食ってしまいます。
すると、その害虫に対し、ネズミが繁殖してしまう可能性が考えられるでしょう。
ネズミが柱などをかじり建物の強度が落ちてしまう恐れや、シロアリの発生により柱や躯体部分の劣化が著しくなってしまうこと考えられます。
また地震などが起こったときに、大きくはない震度で他の建物が平気でも、実家だけが倒壊してしまうといったことにもなりかねません。
誰も住んでいないというだけでも建物の劣化は速まります。
倒壊が起きる可能性が高くなってしまうのは大きなリスクといえるでしょう。
(2)犯罪に利用されるリスクがある
空き家状態となり、誰も住んでおらず、また誰も立ち寄らないということが周囲に広まってしまうと犯罪に使われる可能性を考えなければいけません。
例を挙げると、
- 麻薬などの取引現場に利用される
- 不法占拠者が住みつく
- 不正な手段で取得した品物の郵送先になっている
等です。
誰も住んでおらず誰も管理していないことは、建物の荒れ具合や、郵便物のたまり具合で簡単に見抜かれてしまいます。
犯罪の温床となってしまうと空き家を放置しておくことへの社会的責任や、近隣からの反発などが考えられます。
犯罪リスクも十分注意しておかなければいけません。
(3)景観を損なうリスクがある
実家を放置しておくことで景観を損なう可能性も考えられます。
植木が伸び放題になっている。雑草が伸びて荒れ放題になっているなど、管理が不十分な場合には景観を損なってしまいます。
近隣住民に大きな迷惑をかけることになるでしょう。
更に心配なのはごみの不法投棄です。
一度ごみが捨てられてしまうと、次から次に不法投棄される可能性があります。
そうなってしまうと悪臭の原因となるだけではなく、産業廃棄物の不法投棄につながる可能性も考えられます。
久しぶりに実家に立ち寄るとごみの山になっていたという可能性も考えられるでしょう。
近隣住民には大きな迷惑となりますので十分注意する必要があります。
実家を売却しないで活用する方法
どうしても実家を手放したくないと考えている場合、売却のほかにはどのような活用方法があるのでしょうか?
売却によって罪悪感を持ち、寂しさを感じるようであれば売却ではない対処方法を考えなければいけません。
ここからは、実家を売却しない実家の活用方法について解説します。
(1)賃貸に出す
管理に対する労力がかけられない点や、年間コストを解消する売却以外の活用方法として賃貸に出して家賃収入を得る方法が考えられます。
更に、不具合があった場合や修繕依頼なども入居者から要望されますので、出向かなくとも実家の管理はしっかりとされているといえるでしょう。
エリアによっては、なかなか入居者が決まらない場合や、改装費用など初期費用負担がありますが、長期間実家を維持していく方法としては効果的な方法といえます。
(2)自分たちで改装して住む
前述しましたが、テレワークなどにより、会社に行かなくても仕事ができるワークスタイルが確立され始めています。
実際に、2020年のコロナ禍により、郊外の住宅が売れ始めている、住みたいまちランキングなどで郊外の都市が上位に挙がっているといった現象が起きているのです。
空き家となった実家もテレワークなどを活用することにより出社する回数が減ると、郊外であったとしても住まいとして利用しやすくなります。
自分たちで改装して住むことにより、毎月の家賃負担が減るというメリットを受けることもできるでしょう。
最初に改装費用がかかるかもしれませんが、賃貸の場合は家賃を支払う必要もないし、住まいを購入する必要もありません。
自分で改装して住まいとして利用できるのであれば最も有効的な活用方法といえるでしょう。
(3)別荘として利用する
前述しましたが、別荘として利用する活用方法が増えています。
実家が避暑地にある場合や、趣味が楽しめるポイントがある場合などには効果的な活用方法です。
もちろん管理は必要になり、年間のコストもかかりますが、ただ空き家管理をしておくよりも目的が明確になりますので、維持管理に対する意欲もわくでしょう。
ただし、別荘で活用する際には、すぐに利用できるような状態にしておく必要がある点や、最初に改装費用などがかかる点を理解しておかなければいけません。
初期コストとランニングコストを十分に把握したうえで別荘化する必要があります。
まとめ
思い出の詰まった実家を売却する場合には多少の罪悪感や寂しさを持ってしまうのは仕方ない部分があるかもしれません。
しかし、売却という手段をとる前に、一度自分で管理する方法について考えてみましょう。
空き家管理サービスを利用することや年間コストを算出し、自分が管理できないかをしっかりと吟味すると空き家の状態でも管理できるかもしれません。
また、賃貸に出したり、別荘化したりなど、売却だけではない管理方法も複数検討することができます。
ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか?