実家売却の手順をステップごとに解説・高く売却するポイントは?
両親が亡くなってしまい、誰も住まなくなった実家。
なかなか出向く機会も少なく、維持管理するのも費用がかかるのでこの際、売却をしようと決心したとします。
しかし、実家をどう売却したらいいのかわからない、実家の売却手順を知りたいといった声も多く聞かれます。
つまり、売却をスムーズに行うことができるかが不安に思っている人が多いといえます。
実家を売却するにあたり、売却前に行うことにはどのようなものがあるのでしょうか?
また、実家の売却においてポイントごとに行うことはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では空き家となった実家を売却する手順について詳しく解説します。
空き家となった実家を売却したい時に、まずやるべきこと
空き家となってしまった実家を売却する前に、行っておかなければいけないことがあります。
いくつかの行うべきことをきちんと行っていなければ、売却ができません。
ここでは、実家を売却する前に行うべきことについて解説します。
(1)相続を確定させる
まずは、両親が亡くなった後、実家の相続を誰がするのかを確定させましょう。
実家の所有権が誰にあるのかを明確にしておかなければ、不動産売買はできません。
この場合の注意点として、売却するつもりならば、実家の相続は、一人だけにしておくということです。
例えば、兄弟と分け合うということになってしまい、所有権を半分ずつ持つということになった場合、売却においてスムーズに進まない可能性が高くなります。
実家の所有権を等分に持つわけなので、売却について意見の相違が出てしまうと、売却がスムーズにできません。
実家の売却が原因で、兄弟仲が悪くなってしまうことも考えられます。
実家はあなた、現金を兄弟といった配分をした場合に、それぞれ相続するものの確認をしておくと、実家を売却する際、あなたが売却に関する意思決定を行うことが可能です。
(2)登記簿の書き換えを行う
相続者が確定すると、登記簿に所有権の明記を行います。
登記簿の所有権が親のままになっていると、不動産売買はできません。
なぜなら、すでに亡くなっている人とは売買契約が交わせませんし、誰が相続したのかもわからないからです。
不動産登記は、所有者が誰かということや不動産に関する権利関係を一般に公開するもので、登記簿にきちんと所有権が明記されていることで取引の安全性を図っています。
不動産の登記は、個人でも可能ですが専門的な分野です。
そのため、手続きや書類の提出が慣れていない個人では大きな労力を伴いますので、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士に依頼する場合、通常かかる費用とは別に司法書士の手数料が発生します。
相続における所有権移転の登記費用には以下の費用がかかります。
司法書士手数料 | 5万円~10万円 |
登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% |
作成に必要な書類収集 | 実費 |
登録免許税に関しては、どの司法書士に依頼しても、あなた自身が届け出たとしても税額に変更はありません。
司法書士手数料に関しては、取り扱う司法書士によって異なりますので、費用面で比較して司法書士を選択するのもいいでしょう。
(3) 境界を確定させる
一般的にはわかりにくいですが、境界の特定も非常に重要です。
境界とは、所有している土地の範囲を表します。
普段、測量など行わないので、長い年月が経ってしまうと隣地との境界があいまいになっている場合があるのです。
例えば本来の境界である位置から越境して建物が建てられてしまったり、屋根が境界を越えて入ってしまったりしているケースがあります。
相続が確定し、売却すると決めたのであれば、売却前か、売却と同時に測量して境界を確定しておきましょう。
測量は測量士に依頼しなければいけません。
測量士が隣地住人と対面してお互いの境界を確認し、境界を特定、図面を作成します。
費用は測量士ごとに異なりますが、測量に関しては現地に行かなければ測量は不可能です。
つまり、実家が遠方にある場合など、自分が住んでいる地域の測量士に依頼すると出張費用が請求されるかもしれません。
費用面を検討したうえで測量士に依頼する必要があるでしょう。
募集する前にやるべきこと
上記の手続きを進めた後に、売却に関する動きに入りましょう。
あとで、売却したことを後悔しないためにも募集する前にやるべきことを自分自身が納得した上で行う必要があります。
ここからは実家の売却にあたり、募集前に行うことを解説します。
(1)価格査定を行う
売却前に最も重要な作業としていくらで売却するのか募集価格を決めなければいけません。
とはいえ、どれくらいで売れるかなんて、一般の人には全くわかりません。
今までは、どこかの不動産会社に査定を依頼し査定価格を算出してもらっていました。
しかし、1社だけでの査定となると本当に妥当な価格なのかが不透明です。
でも2社、3社と依頼するには時間がかかります。
ましてや実家が遠方にある場合、そうそう何度も実家近くの不動産会社を訪ねるには費用も労力も大きなものとなるでしょう。
そこでおすすめなのが、不動産一括査定サービスです。
不動産一括査定サービスが一般的に普及して、多くの不動産一括さてサービスが展開されています。
必要とされる情報を入力するだけで、複数の不動産会社から査定価格が提示される非常に便利なサービスです。
複数社から査定が取れるし、査定する不動産会社も大手不動産会社から地場の不動産会社まで多岐にわたっています。
不動産一括査定サイトを利用することで、おおよその相場がわかり、どの不動産会社を選ぶのか選択肢が拡がる点が大きなメリットです。
また、わざわざ不動産会社に出向く労力も大幅に抑えられるので、実家が遠方のある場合などは特に利用したいサービスといえるでしょう。
(2)不動産会社と媒介契約を交わす
価格査定を行い、価格に納得できると不動産会社に売却の依頼を行います。
これを媒介契約といわれる契約です。
売却を依頼する媒介契約には3種類あります。
契約の種類 | 内容 |
一般媒介契約 | 複数の不動産会社に募集依頼が可能 |
専任契約 | 1社のみ募集依頼をするが自分で買主を探してもよい |
専属専任契約 | 1社のみ募集依頼を行い、自分で買主を探すこともできない |
どの媒介契約も募集依頼するだけでは費用はかかりません。
また、どの契約も契約期間は3か月間で、3か月経過すると継続するかどうか更新が必要です。
上記の表だけを見ると一般媒介の自由度があっていいと思います。
しかし、一般媒介だと複数の不動産会社に依頼するため、それぞれ不動産会社に対し、力が入ってないと感じられるかもしれません。
とういのも、媒介契約だけでは不動産会社には収益は上がらないからです。
売買が成立した場合の仲介手数料が不動産会社の収入となります。
そのため、媒介契約を交わしただけでは最初の広告費用などは不動産会社の持ち出しです。
結果、ほかの不動産会社が買主を見つけると広告費分赤字となるため、一般媒介契約ではあまり広告に力を入れないケースがあるのです。
できれば、信頼できる不動産会社1社と専任契約を結び、募集をお任せした方がいいでしょう。
もし、不動産会社の動きが不満ならば3か月経過してほかの不動産会社に変更しても構いません。
信用できる不動産会社選びが重要です。
募集中にやるべきことは ?
売却価格も決定し、いよいよ市場に募集を行います。
では、募集中にやるべきことはどのようなことがあるのでしょうか?
次に、募集中にやるべきことについて解説します。
(1)不動産会社と密に打合せを行う
まずは、募集中にも不動産会社と密に連絡を取り合いましょう。
そもそも、媒介契約において、専任契約の場合は、最低2週間に一度、専属専任契約は最低1週間に一度の報告義務があります。
問い合わせの状況や、お客様に物件を紹介したときの反応などお互いに状況を共有しておきましょう。
不動産会社に任せっぱなしではいけません。
お互いの認識を共有することで、次の対策が迅速にできます。
実家などの不動産売却には、不動産会社との信頼関係は欠かせません。
(2)内見にむけ部屋を片付ける
不動産の紹介の際、お客様が内見を希望する場合があります。
実家など、部屋の中には荷物や家具などが残っていることがあるでしょう。
不動産売却において内見は欠かせないものですので、内見があることを想定して部屋の中をある程度片付けておきましょう。
なるべくいらないものを処分してすっきりとした状態にしておくことで、お客様は自分たちが住む時、部屋に対してのイメージがわきやすくなります。
また、荷物がたくさん残っていると部屋全体が狭く感じられマイナスイメージです。
また、実家が遠方にある場合は鍵も不動産会社に預けておかなければいけませんので、貴重品などは絶対におかないようにしておきましょう。
売却先が決まったらやるべきことは ?
無事購入希望者が表れて申し込みが入ると、ちょっと一安心しますよね。
しかし、最後の詰めが甘く、売買が流れたなんてことは決して少なくはありません。
最後の詰めが甘かったことで悔やまないように、しっかりと気を緩めずに最後まで取り組みましょう。
ここからは、売却先が決まった後にやるべきことについて解説します。
(1)売買契約を締結する
まずは、売買契約の締結です。
あらかじめ、契約の内容などは不動産会社と確認しておきましょう。
売買契約を締結しても実際の引き渡しはまだ先です。
物件の引き渡し時にお金の受け渡しも同時に行いますが、売買契約においては手付金が買主より支払われます。
手付金は、売却価格の10%前後が一般的です。
もし売買契約以降に契約を破棄したい場合、買主側からの破棄の場合は支払った手付金を没収されます。
売主側からの破棄だと、手付金の返金とさらに手付と同金額の支払いを行います。
引き渡しまで順調に進むと手付金は売却金額に充当されますが、売買契約締結後のキャンセルは双方とも大きな費用負担となりますので注意しておきましょう。
(2)引き渡しまでに部屋を片付ける
募集において、内見があるため部屋を片付けておきましょうと述べましたが、売買契約が締結し、引き渡しとなる前に荷物を処分して、部屋を片付けておきましょう。
いらなくなったものは処分、思い出の品など必要なものは保管するなどの作業が必要です。
前もってスケジュールをたてて、引渡し前にバタバタしないような計画建てた行動がポイントですね。
(3)物件を引き渡す
最後に物件の引き渡しとなります。
お金の引き渡しと同時に所有権移転に伴う諸手続きが必要です。
基本的に司法書士が同行したなかで引き渡しは行われます。
お金の受領と所有権移転登記手続きが完了し、はれて実家の売却が完了です。
まとめ
思い入れのある実家ですが、維持管理費用や税金など住んでいないのにコストがかかるので、住まなくなった実家は金銭面だけでとらえると早めの売却をおすすめします。
近年空き家が急増し、目的もなく存在している空き家について、さまざまなリスクが叫ばれていますが、管理するのも売却するのもうまくできなかった結果の現状といえるでしょう。
近年は、インターネットの普及により、わざわざその場所までいかなくても対応できる機会が増えています。
実家が遠方にある場合なども、インターネットなどをどんどん利用し売却も含めた活用ができるように取り組む必要があるでしょう。