田舎の実家を別荘として活用する場合の注意点・メリットとデメリットも解説
すでに誰も住まなくなった田舎の実家。
もしくはもし今後、両親が亡くなったり、介護施設に入所したりで、誰も住まなくなってしまう可能性がある場合の実家。
どのように扱っていけばいいのでしょうか?
あなたはすでに自宅を所有しており、今後、田舎にある実家に住む可能性はほとんどないとしましょう。
一番に考える方法は売却でしょうが、思い出の実家を売却などで処分するのは抵抗があると思っている場合など管理方法に悩んでしまいます。
このように住まなくなった実家を管理する方法の一つが別荘として利用する方法です。
しかし、実家を別荘として利用する具体的な方法がわからないといった人も多いのではないでしょうか?
この記事では、実家を別荘として活用する場合にはどのようなメリットやデメリット、注意点があるのかという点について解説します。
田舎の空き家、別荘として活用できる?
空き家となってしまった実家を別荘化して利用するケースが増えています。
近年、一つの社会問題化となっているのが空き家問題です。
出典:総務省「平成 30 年住宅・土地統計調査」
年々空き家が増加しており、空き家等対策特別措置法が施行されるなど、今後空き家に対する管理といった点に対し厳しい措置が取られるようになってきました。
その中で、管理方法の一環として注目されているのが別荘化なのです。
(1)ただし別荘利用するにはメリットやデメリットがある
しかし、空き家を別荘として活用する方法は、まだ認知されていないことあり、よくわからないといった人も多いでしょう。
空き家を別荘として活用するにはいくつかのメリットやデメリットがありますので、しっかりと理解したうえで活用しなければいけません。
では、どのようなメリットやデメリットがあるのかを次の項目から解説しましょう。
田舎の空き家を別荘として活用するメリット
田舎の空き家を別荘として活用するメリットは大きく4点が考えられます。
これらの4点を詳しく掘り下げましょう。
(1)自由に使えて趣味の場としても利用できる
まず、あなたの実家なので、自由に利用できるという点が大きなメリットの一つです。
もちろん、近隣に迷惑をかけるような使い方はいただけませんが、避暑地に実家がある場合は、夏の暑い時期に実家で過ごすことができるようになります。
あなたの趣味がサーフィンや海釣りなどで実家が海の近くにある場合は、趣味が楽しめるでしょう。
2020年から新しいワークスタイルであるテレワークが急激に浸透しています。
わざわざ会社に出勤せずとも、自宅にネット環境を整えて仕事ができる方法です。
テレワークでわざわざ会社に行かなくていい分、別荘となった実家でちょっと仕事しながら趣味を楽しむことも可能でしょう。
テレワークの浸透により、遠方に出かけやすくなるので、実家を別荘として活用できる機会も増やすことができるのです。
(2)実家があるという心理的な安心感がある
実家が遠方にあり、仕事のために遠方で生活をしているとき、突然会社を辞めることになってしまった場合の不安などを感じることはありませんか。
仕事を辞めることになって住んでいる家を手放さなくなってしまった場合の、漠然とした不安を抱えながら日々生活している人も多いでしょう。
また、実家に親が実家に住んでいて帰省するときに実家に帰ると、なぜかほっとするように感じることがあります。
幼いころに過ごした実家は安心感を与え、日ごろ会社勤めでストレスを感じながら生活している人にとって、わずかでも実家で過ごすことによりリラックス効果を感じるのです。
このように実家を保有しておくことで心理的な安心感を得ることができるのです。
「急に仕事を辞めることになっても最終的には実家にも帰ることができるから安心だ」
「仕事のストレスがたまってきたので、ちょっと帰省してリラックスしよう」
実家を保有し、別荘として活用することでこのような心理的安心感が得られます。
(3)地元との繋がりがなくならない
多くの人は、幼少期、高校生くらいまでは実家で暮らす人が多いでしょう。
少なくとも20年前後は、実家のある地域で生活するわけなので、実家がある地元の繋がりをなくしたくはありません。
実家を別荘として活用すると、時々は帰省するわけですので、地元との繋がりを維持することになります。
特に、実家に帰省し地元の友達と久しぶりに出会うと、気分も高揚し、楽しい時間を過ごすことができるでしょう。
もし実家を売却してしまうと、自分が幼いころ過ごした地元との繋がりがなくならないにしても非常に薄くなってしまいます、
実家を別荘として保有することで、幼少期に過ごした地元との繋がりもそのまま維持できる点もメリットの一つです。
(4)お墓がある場合はお墓を守ることにも繋がる
実家が、先祖代々の土地や自宅である場合、実家と一緒にお墓が近くにあることが考えられます。
前述しましたが実家を売却してしまうと、あまりその地域に出向くことが少なくなってしまうので、次にお墓の管理が問題となることもあるでしょう。
お墓を移動することは、「埋蔵証明書」や「受入証明書」の発行などさまざまな手続きが必要です。
加えて「魂抜き」や「魂入れ」といった儀式も必要なので、手間と費用がかかります。
また、親類縁者は、実家のある地域にいて、墓の移動を好まないとなると、実家はなくても墓のために帰省することが必要となるのです。
つまり、実家を別荘として定期的に利用することは、そのままお墓を守ることに繋がるのでメリットとして挙げられるでしょう。
田舎の空き家を別荘として利用するデメリット
田舎の実家を別荘として活用するには上記のようなメリットが挙げられますがメリットだけではありません。
ここでは、田舎の実家を別荘として活用する場合のデメリットを4点挙げました。
デメリットについて詳しく解説します。
(1)管理し続けなければいけない
管理し続けなければいけない点がデメリットとして挙げられます。
例えば1年に1回程度、まとまった時期にだけ訪問したとすると、別荘としての活用は難しいかもしれません。
建物が劣化や故障などにより、急に使えないといったことも考えられます。
また、1年間実家を放置していると、草も伸び放題になっており、美観を大きく損ねている可能性もあるでしょう。
つまり別荘として維持するためには定期的な訪問が欠かせません。
定期的な訪問は、実家を別荘として活用している限り必要な作業です。
管理面での手間がかかる点はデメリットといえます。
(2)町内の付き合いが煩わしくなる場合がある
先ほど、メリットとして地元の繋がりがなくならないと述べました。
しかし、メリットが逆にデメリットと感じる場合があります。
町内会の付き合いが煩わしいケースです。
都心部においてはあまり多くありませんが、田舎となるとまだまだ町内会などの活動が活発で、毎月の集会や町内のごみ掃除などさまざまな行事が開催されています。
実家を所有している場合、このような行事に参加を強制される場合があり、遠方にいる場合は行事に参加するためだけに帰省しなければいけないケースも出てくるでしょう。
町内会の行事や付き合いが煩わしいと感じている場合には、大きなデメリットとなってしまいます。
(3)維持管理の費用が掛かる
別荘として年間数回しか利用しませんが、年間の固定資産税や定期的な剪定といった維持管理費用がかかり続ける点もデメリットです。
また、定期的に訪問するといっても田舎の実家が遠方にある場合は交通費も馬鹿になりません。
訪問した場合に、どこか壊れている箇所があれば修繕費用もかかりますので、1年に数回しか住まない別荘に費用負担がかかる点は経済的なデメリットといえるでしょう。
(4)別荘にするときにリノベーション費用がかかる
田舎の実家ともなると、そのまま別荘として活用できればいいのですが、リノベーションしなければ住まいとして活用できないかもしれません。
特に、長期間、空き家だった場合は実家の劣化が激しく、修繕費用に多額の費用がかかる場合があります。
趣味の場として利用したい場合や、ネット環境を整える場合などにおいてもリノベーションが必要になるかもしれません。
上記のような決して安くはないリノベーションに関する費用が最初にかかりますので注意しておきましょう。
田舎の空き家を別荘にするときの注意点
以上のメリットやデメリットを十分に理解したうえで実家を別荘にするかどうかを検討する必要があります。
また、これらのメリットやデメリットなどから考えられる注意点も、自分なりに分析し、対策を考えておく必要があるでしょう。
上記のメリットやデメリットから導き出される注意点を4点程挙げました。
注意点4点について解説します。
(1)初期費用と税金などのコスト関係をしっかりと理解する
デメリットにおいてあげたのが主に費用面です。
管理することにより、毎年の固定資産税、修繕費用、選定の保守費用をしっかりと計算しておきましょう。
別荘として利用するのにリノベーションなどのイニシャルコストはどれくらいかかるのか?
毎月のランニングコストはどの程度見ておくのか。
きちんと数字をはじき出して、維持できるかどうかの判断材料としなければいけません。
コストを計算せずにリノベーションしたが結局短期間で手放してしまうことになったとなると、かかった初期費用が無駄になる場合があります。
自分が保有し続けられるかどうかを事前に分析しておきましょう。
(2)自分で管理できないならば空き家管理サービスを利用する
定期的な管理訪問もデメリットとなりますが、交通費と手間が問題となる場合におすすめのサービスが空き家管理サービスです。
前述した空き家問題が社会問題化している要因を受け、多くの不動産会社がサービス展開しています。
1ヶ月に1回程度空き家を訪問し、破損個所や気になるところがないかをチェックしてくれます。
そして状況を定期的に報告し、修繕の手配なども対応してくれるので遠方の人は特に重宝するサービスです。
費用は各不動産会社によって異なりますが、おおむね月1万円前後の費用がかかります。
自分で管理した場合の、毎月の交通費や訪問の時間などを省きたい方にはおすすめです。
(3)維持管理できなくなった場合の対策も事前に考えておく
別荘として保有し続けていくにしても何年かごとに、改修費用や設備の交換といったコストもかかるので、万が一維持できなくなった場合の対処方法も考えておきましょう。
売却や賃貸に出すなど、いくつかの手段が考えられます。
あらかじめ、売却する場合はどの程度の金額で売れるのか?
賃貸に出すなら、どのくらいの家賃が入るのか?といった点を確認しておくと後々の対処方法として大きな参考になるでしょう。
いくつかのケースをシミュレーションして別荘として維持管理できなくなった場合の対処方法をしっかりと持っておきましょう。
まとめ
田舎にある実家を手放したくないけど、空き家の活用方法がわからないといった人に、おすすめなのが別荘化です。
実家の別荘化は、日々の生活でたまったストレスをリラックスできる効果があり、不慮のトラブルで会社を辞めた場合の受け皿としても安心感を持たせます。
趣味の場や避暑地として利用することによりさまざまなメリットを受けることができるでしょう。
しかし、年間でもあまり利用しないものに対し、維持管理の手間など、保有することでかかるコストと最初にリノベーションのコストがかかる場合があります。
かかってくるコストを前もって把握し、維持管理ができるのかどうかの判断や、メリットデメリットをしっかりと理解しておくことがポイントです。
維持管理ができるのであれば、実家の別荘化はとても効果的な空き家の管理方法といえるでしょう。