田舎の空き家を放置すると罰則の対象になる可能性が!有効活用の方法は?
田舎にある空き家。
元々は実家だったけど、誰も住まなくなっていて放置されている状態。
このような形で誰も住まなくなっている空き家が急増しています。
一部にはお化け屋敷のようになっている空き家もありますが、なぜ、空き家が急増しているのでしょうか?
また、空き家をきちんと管理できない事情には何があるのでしょうか?
管理が不十分な空き家の今後の問題や対策などについて解説します。
目次
田舎の空き家を放置している人が増えている
空き家がどんどん増えており社会問題化しているといった具体的な現状まで把握している人はまだまだ少数でしょう。
しかし、お化け屋敷のように廃墟化した空き家の近くに住んでいる人たちには、深刻な問題として捉えられています。
空き家が増えている現状や要因などについて掘り下げてみましょう。
(1)空き家が社会問題化している現状とは
総務省の平成30年住宅・土地統計調査によると2018年の空き家に関する割合は、全体の13.6%。
48万9千戸と過去最高を更新し続けています。
データが取り出され始めたのが1958年、つまり60年前。
当時の空き家率は全体の2.0%の36万戸ですので、約23.5倍まで増加しています。
しかし、今後も空き家の増加傾向は止まらず、2033年には30.2%の2,150万戸近くまで増えるだろうと想定されているのです。
3戸に1戸は空き家となるという驚きの試算となっています。
空き家が次々と増え、空き家を放置する家が増えてくることに対するリスクに行政が危機感を持っているといえるでしょう。
(2)なぜ空き家のままにしているのか?
どうせ住まない空き家なら、いっそのこと解体した方がすっきりするのではないかと思うところですが、当然ながら解体するにも費用がかかります。
広さや場所などによって金額が異なるので一概には言えませんが、建築リサイクル法の施行などにより、昔より解体に対する金額的な負担や手間は大きくなっているのです。
また、固定資産税の住宅地特例も絡んできます。
不動産の所有者は、固定資産税や都市計画税といった地方税を、毎年地方自治体に納めなければいけません。
土地と建物双方に固定資産税はかかります。
この固定資産税は、居住用建物が建っている土地に関しては、それ以外の固定資産税より1/3若しくは1/6まで軽減されるというメリットを持つのです。
つまり、解体してしまうと、土地の固定資産税は、3倍から6倍に跳ね上がります。
解体費用はかかる、固定資産税は上がるといった理由により、空き家のままとしている人が多いのが現状といえるでしょう。
(3)空き家が増加する要因は何?
空き家がどんどん増加している要因は、ここ数年のサイクルでいえば団塊の世代による相続です。
第一次ベビーブーム世代である団塊の世代も、すでに70代に差し掛かっています。
そのため、実家が相続などで子供に引き継がれますが、
- 担い手となる子供は遠方で生活している
- 少子化により子供がいない
といった理由で空き家となっています。
昔は、実家を引き受けるのは長男で、親が無くなったら長男が実家を引き継ぐといった慣習でした。
しかし、核家族が当たり前となった世の中では、実家を引き継ぐという考え方が希薄となり、実家が空き家となっても誰も住まず、空き家が増えているという流れになっています。
空き家対策特別措置法って何? 空き家について罰則も
空き家に対し、危機感を持った行政が行った政策が2015年に全面施行された空き家対策特別措置法です。
まだ、一般的には浸透していませんが、空き家のしっかりした管理を不動産の所有者に求め、十分に管理されていないと判断された空き家に関しては、複数の罰則があります。
空き家対策特別措置法について触れていきましょう。
(1)空き家対策特別措置法とは
空き家対策特別措置法とは空き家に関する管理の徹底や不動産の有効活用を求めた法律です。
- 管理が悪く、景観を損ねる空き家
- 近隣の生活環境に害を及ぼしている空き家
- 倒壊リスクがある空き家
- 不衛生で近隣へ迷惑をかけると思われる空き家
- このような空き家に対し、行政が指摘できるようになりました。
2015年5月に全面施行され、トラブルの解消や、不動産の有効活用などに役立てています。
今まではできなかった、敷地内への立ち入り調査や個人情報の閲覧が可能になり、所有者に対して行政面からの指摘ができるようになったのです。
空き家に対する行政の姿勢を見せた法律ともいえるでしょう。
(2)特定空き家に指定されてしまうとこんなデメリットが
空き家対策特別措置法の施行により、管理不十分と認定された空き家は特定空き家として認定されます。
特定空き家に指定されると、行政から空き家の改善に向けて注文が出されます。
しかし、中には全く改善の傾向が見られない空き家などもあるのですが、全く改善の傾向が見られない場合は、段階を経て、罰金や最悪の場合行政代執行ということになるのです。
デメリットに関しては詳しく後述します。
(3) 火災保険が適用外になる可能性も
空き家になると、火災保険の適用から外れてしまうかもしれません。
本来住宅の火災保険は住宅物件として位置づけられ、住宅保険や住宅総合保険でリスクが担保されます。
しかし、空き家となった時点で住宅ではなく、店舗などで加入する一般物件扱いとなってしまい、住宅保険の適用からは外れてしまうのです。
火災などにより、第三者に損害を与えた場合、管理不十分な空き家とみなされると賠償責任を負う場合があります。
しかし、空き家だと火災保険の適用外となり保険金が支払われません。
住んでいたころに加入している火災保険を更新し続けていても空き家となると対象から外れることがありますので注意しておきましょう。
もう空き家を放置しておくことはデメリットしかない
空き家対策特別措置法が施行されてから、もう空き家の放置にはデメリットしかなくなっています。
ここからは空き家対策特別措置法の施行後、空き家を放置しておくことのデメリットについて解説します。
(1)固定資産税が最大6倍になる
空き家のまま所有している要因の一つが固定資産税の軽減だと述べました。
しかし、空き家対策特別措置法施行以降、指導にも応じず管理不十分な空き家には勧告がなされます。
勧告された空き家は、固定資産税の軽減措置を受けることができません。
つまり、空き家があるのに固定資産税は3倍から6倍に跳ね上がるのです。
最大の要因ともいえる固定資産税の軽減措置を受けることができなくなります。
(2)さまざまなリスクを背負ってしまう
また、管理不十分な場合、さまざまなリスクを抱えたまま空き家を保有しておくこともデメリットです。
犯罪のリスクや景観のリスク、衛生面のリスクなどたくさん考えられますが、火災保険が使えなくなる場合も考えると、後々損害賠償などを抱える可能性もあります。
(3)最悪の場合行政代執行も
空き家に関し行政から指摘や勧告、命令など指摘レベルが大きくなっても一向に改善されない場合、行政代執行の措置が取られます。
不動産の所有者に代わり行政が、空き家を解体することになるのです。
費用は後日請求されますが、支払われない場合は、残った土地の差し押さえや、所有者の財産、給与などの差し押さえにもなりかねません。
非常に重い措置が取られてしまいますので、空き家の管理は今後所有者の義務として考えなければいけないのです。
空き家にしないための対策とは
空き家を管理できない場合、管理不十分だとさまざまなデメリットがあることを一貫して述べました。
では、特定空き家に指定されない対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
(1)売却してしまう
管理できないのであればいっそのこと売却してしまうのはいかがでしょうか?
エリアや状態、築年数などによって売却の金額は異なりますが、売却してしまうと建物の維持管理費用や、固定資産材の支払いはなくなり、現金が手に入ります。
解体によるイニシャルコストと維持管理のランニングコストが大きな悩みとなっている人に関しては売却がおすすめです。
(2)古民家として活用
築年数が古いので賃貸に出すのは無理だと最初からあきらめていませんか?
確かに築年数が古くなってしまうと借りる人の需要は少なくなります。
しかし、近年は古民家の家に住みたいという人も多く、特に田舎でのスローライフを望む声も大きくなっているのです。
以前と比べ、築年数の古い住まいの需要は高まっています。
あまり手を加えずに、自由にリフォームしていいといった条件で貸し出してもいいでしょう。
(3)別荘として活用
自分たちで避暑地などとして利用してもいいでしょう。
近年は働き方改革やテレワークなどによって、まとまった休みがとりやすい世の中へ変わっています。
別荘として田舎の空き家を活用することで、いつもの生活からリフレッシュできる効果にも期待が持てるでしょう。
また自分の実家であれば、昔ながらの仲間と旧交を温めることもでき、楽しい日々が過ごせそうです。
空き家を活用できない場合の対処方法
空き家の活用方法についてはいくつか前述しましたが、もう空き家の状態がボロボロで人に貸せる状態ではないことも考えられます。
次に空き家を利用できない場合の活用方法を解説します。
(1) 解体、更地にして売却する
空き家として利用できないのであれば解体して売却すると、空き家がある以上の金額で売却できることもあります。
そもそも築円数が古く利用できない空き家は、売却したところで使い道はありません。
それならば、前もって買主の解体の手間を省くために更地状態で売却します。
更地の方が買いやすいという特徴もあり、解体費用が安い場合は、解体費用を上乗せして売却することも可能です。
(2)解体、更地にして駐車場として経営
解体して更地にすることは前の売却と同じです。
しかし、需要があるのであれば駐車場としての運用はいかがでしょうか?
駐車場だと管理に手間を取られることも少なく、管理会社に任せることで、所有者が管理に手をわずらうことも大きく減ります。
駐車場収入で、固定資産税の支払いや運営費に充てることも可能です。
また、月極駐車場経営ならば大きな設備投資も必要ありません。
不動産の有効活用としては、空き家のまま保有しておくより大きなメリットがあります。
まとめ
田舎の空き家を放置しているなど少し心当たりがある人は、今までのよう不十分な管理だと行政から指摘を受けることになるでしょう。
空き家の管理をしっかりとすることでさまざまなデメリットから身を守ることができます。
しかし田舎に実家がありなかなか出向けないという人は、売却や更地にして駐車場経営なども効果的です。
空き家対策特別措置法により特定空き家に指定されないように、自分なりに分析し活用方法を考えなければいけません。その際の参考になれば幸いです。