空き家をリノベーションして再利用する場合にかかる費用と注意点
空き家の効果的な利用方法の一つとして賃貸に出すという方法があります。
しかし、単純な内装工事で賃貸に出すのか、リノベーションまで行い大きく雰囲気を変えるか、同じ賃貸に出すにも手法はいくつか考えられるでしょう。
基本的には築年数が古い空き家の場合は、リノベーションにより再利用することが多いといえます。
では、空き家をリノベーションする場合、どのタイミングでリノベーションを行えばいいのでしょうか?
この記事では、空き家をリノベーションして再利用する方法やリノベーションすることによるメリットやデメリットについて解説します。
空き家をリノベーションして再利用 どのタイミングで行う?
まずは空き家をリノベーションによって再利用する場合、どのようなタイミングでリノベーションを行うことが多いのでしょうか?
まずはリノベーションを行うタイミングについて解説します。
(1)空き家を相続で譲り受けたとき
まず挙げられるのは、実家などを相続によって引き受けた場合です。
両親が他界してしまい、実家が空き家となった場合の運用方法として賃貸を選んだ場合、リノベーションして貸し出すといった方法がとられることが多いでしょう。
実家が空き家ともなれば築年数もかなり経過していることが考えられ、普通のリフォームでは賃貸需要が少ない可能性があるのです。
そこで、賃貸に出してもすぐに部屋が決まるようにリノベーションを行います。
また、このリノベーションは同時に、資産価値を上げて家賃を高く貸せるようにすることも可能です。
実家を相続で引き受けたとしてもしばらく放置しているケースもありますので、相続と同時にリノベーションを行うのは機会損失をなくすことにも繋がります。
実家などを相続で引き受けた場合の賃貸に出すために行うリノベーションはタイミングとして多いといえるでしょう。
(2)空き家がなかなか決まらない
すでに空き家を保有しており、空き家を賃貸で出してなかなか決まらない場合も挙げられます。
空き家を賃貸として貸し出している場合、年数が経過するとどうしても設備などが古くなってしまい、生半可なリフォームだけでは決まらなくなってしまうのです。
そのため、空き家の空室期間が長くなってきたころにリノベーションを行います。
空き家がなかなか決まらない理由はいくつかが考えられますが、空き家自体の古さや設備の老朽化なども挙げられるでしょう。
今までは簡単に決まっていたけど、全然決まらなくなったというタイミングを見計らってのリノベーションもタイミングとしては非常に多いのです。
(3)貸していたが退去され空き家となった
これも先ほどの例と同じく、すでに賃貸として募集しているケースにおいて、リノベーションを行うケースです。
空き家が退去になったと同時にリノベーションを行います。
この場合は、かなり長い期間入居されており、退去した部屋が非常に高額な修繕費用がかかるケースで多いといえるでしょう。
部屋の傷み具合が激しいため通常の原状回復工事を行うついでに、リノベーション工事を行います。削減にも繋がり、金額的なメリットも持つことになるのです。
退去による部屋の入れ替わり時期にリノベーションを行うのもよく見られるシーンといえるでしょう。
空き家をリノベーションして再利用するメリットには何がある?
リノベーションを行うタイミングについて解説してきました。
近年リノベーションという言葉が浸透していることもあり、多くのリノベーション工事が見られます。
では、リノベーションを行うメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
リノベーションのメリットについて解説します。
(1)きれいな部屋になるので入居が決まりやすい
賃貸におけるリノベーションの目的は、きれいな部屋にして入居を決まりやすくするということです。
やはり設備が古く、築年数が経過している物件よりも、築年数は古くとも、設備や部屋内がきれいに仕上がっている部屋の方が好まれます。
賃貸の入居を早く決めるという目的で、デザイン性のあるおしゃれなリノベーションを行うのです。
近年のリノベーションは年々進化しており、デザイナーを入れてこだわった部屋づくりなども盛んに行われています。
ちょっと趣を変えてかなり攻めたデザインも見受けられ、独特の部屋をニッチな層をターゲットとするリノベーションも目立っているといえるでしょう。
きれいな部屋にすることで部屋が決まりやすくなるという点がリノベーションの大きなメリットです。
(2)家賃を上げての入居募集もできる
リノベーションして、きれいな部屋にすることで家賃を上げることも可能です。
家賃を上げることは資産価値の上昇にも繋がります。
資産価値が上昇するとどのようなメリットがあるのかといえば家賃収入が上がるだけではなく、もし売却するとなった場合にも売却価格が上昇するのです。
賃貸経営のポイントには、いかに高い家賃で入居してもらうのか、そして家賃を落とさずに入居を維持できるか、といった点が挙げられます。
この点を最大限生かす方法のひとつがリノベーションによる家賃アップです。
特に築年数が古く今まで安い家賃で貸していたという人は、リノベーションによって家賃の大幅アップも可能といえるでしょう。
(3)改修工事も一緒に行えば長期運用できる
リノベーション工事を行う理由のひとつに前述しましたが築年数が古くなってしまったということが挙げられます。
築年数が古くなってくるとリノベーションも含め着手しなければいけないのが改修工事です。
改修工事とは、主に建物の外部に関する修繕工事のことを指します。
外壁の塗装や貼替、天井の屋根補修や雨どいの設置などさまざまです。
リノベーション工事を行う際に改修工事を同時に行うことにより、費用面の抑制に繋がります。
また、改修工事も行うことで、建物自体を長く使用できることになりますので、長期的な運用にも期待が持てるのです。
リノベーション工事と同時期の改修工事も大きなメリットとなるでしょう。
空き家をリノベーションして再利用するデメリットは何がある?
リノベーション工事はメリットばかりではありません。
デメリットもありますので、メリットを生かしデメリットの対策を行うことで、効果的なリノベーションに期待が持てます。
では、リノベーション工事のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
(1)費用が高額になる
普通の原状回復工事よりも費用が高額になってしまう点が挙げられます。
費用については後述しますが、あまり資金的に余裕がない場合は、リノベーション工事を行いたくてもできないかもしれません。
特に築年数が古ければ古い程、リノベーション工事は高額になってしまう可能性が高いのです。
リノベーション工事を行わず、普通の原状回復工事だけならば、賃貸に出しても高い家賃で貸すことができないでしょう。
借り入れなどによりリノベーションを行う場合もありますが、この場合、利息分の支払いも重なってしまうので、割高になってしまいます。
予算を定めてリノベーション工事を行うことはとても大切なのですが、あまり安い予算設定だと中途半端なリノベーション工事しかできないかもしれません。
どうしても工事費用が高額になってしまう点がデメリットといえるでしょう。
(2)必ず決まるとは限らない
賃貸で貸していた部屋が退去し、リノベーション工事を行ったとしても、必ず入居が決まるとは限りません。
費用をかけてリノベーション工事を行っても長期間部屋が決まらず、結局募集家賃を下げてしまったということも考えられます。
すぐに決まるかどうかがわからないために高額のリノベーション工事に及び腰になってしまうこともあるのです。
また、リノベーション工事の期間は普通の原状回復工事とは異なり、工事の期間も長期間にわたる場合があります。
例えば工事期間が長く、いわゆる繁忙期である1月から3月の時期を逃してしまったということも考えられるのです。
不確定要素が多く、必ず決まるとは限らないという点もデメリットとして挙げられます。
(3)マンションの場合リノベーションできる範囲に規制も
マンションと戸建てのリノベーション工事を比較した場合、どちらの方に手間がかかるかというとマンションの方です。
リノベーション工事は、基本的に大幅な内装工事を行い、前の住まいとは間取りなども異なってしまうこともあります。
しかしマンションの場合、給水管や配水管が共用なので、自由に設備を動かせない場合があるのです。
また、リノベーション工事は、大掛かりな内装工事となるため騒音が発生することがあります。
そのため、隣近所が密接しているマンションでは工事時間の規制や、防音なども要求されてしまい、工事期間が長くなってしまう可能性があることも考えなくてはいけないでしょう。
このような状況から、費用に跳ね返ってしまい同じリノベーション工事でも戸建てとマンションではマンションの方が、費用面で高くなることが考えられます。
マンションの場合は、リノベーション工事の規制がかかる点がデメリットといえるでしょう。
空き家をリノベーションして再利用するコストはどれくらいかかる?
先ほどから、リノベーションについてメリットやデメリットを解説しました。
デメリットのひとつに費用が高額になるという点を挙げましたがどのくらいの費用になるのでしょうか?
ここからはリノベーションにかかるコストについて解説します。
(1)数百万円単位の費用が必要
リノベーション工事は、高額な費用になりがちですが、数百万円単位の規模となることも決して珍しくはありません。
特に、設備を大幅に変えるときなどは、費用がかなりかかることが想定されます。
空き家の再利用として、リノベーションは非常に友好的なのですが費用面がネックとなり、どうしてもためらってしまうこともあるでしょう。
まずは、どの程度のリノベーション費用になるのかという事前の精査が必要といえます。
(2)ポイントを絞ったリノベーションも効果的
どうしても見積提示された全体のリノベーション工事が、費用面がネックとなりできない場合、ポイントを絞ったリノベーション工事も効果的です。
予算に合わせて全体的なリノベーション工事を行ってしまうと、中途半端になってしまうことが考えられます。
ポイントを絞ってリノベーションすることで、一点豪華主義をアピールでき、予算に合わせた効果的なリノベーション工事ができるでしょう。
(3)入れ替わりごとのリノベーションも可能
予算がない場合、先ほどのポイントを絞ったリノベーション工事に加え、入れ替わりごとに予算に合わせたリノベーション工事を行いましょう。
すると何回かの入れ替わりによって、最終的に全体的なリノベーション工事が完成します。
リノベーション工事による空き家の再利用に効果的な手法です。
まとめ
リノベーション工事は、空き家の再利用に効果的な方法のひとつで、近年築年数が古くなった空き家でよく利用されています。
リノベーション工事を行った空き家は、賃貸の面で優位性を示し家賃の上昇などにも期待できますが、反面費用の高額さなどがネックとなるでしょう。
それぞれのメリットやデメリット、特徴を掴み、リノベーションして活用するかどうかを決める必要があります。
空き家の有効活用にリノベーションを生かしましょう。