空き家をシェアハウスとして活用・成功のポイントと注意点を解説
誰も住まなくなって随分と時間が経ってしまった空き家。
賃貸で貸し出そうとしていたけども借り手がなかなか決まらないといった悩みを持っている人も多いのではないでしょうか?
普通に賃貸として貸し出ししてもなかなか決まらないといったケースが増えており空き家の活用に頭を抱えてしまいます。
その中で空き家の有効活用として注目されているのがシェアハウスです。
シェアハウスを活用し空き家の改善を図ろうとする動きが目立ちます。
では、このシェアハウスというのはどのような貸し出し方なのでしょうか?
また、シェアオハウスとして貸し出す場合、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
この記事では空き家をシェアハウスとして貸し出す点について解説します。
目次
そもそもシェアハウスとはどのような貸し出し方なの?
そもそもシェアハウスとはどのような貸し出し方なのかがわからないという人も多いのではないでしょうか?
近年は、テレビ番組などでシェアハウスを題材とした番組などがありますので一般的に浸透しているかもしれませんが、まだまだよく理解できていないという人も多いのが現状です。
まずは、シェアハウスとはどのような賃貸方法なのかといった点について解説します。
(1)シェアハウスとは?
シェアハウスとは、一戸建てやマンションの一室を複数人で借りることを指します。
部屋をそれぞれシェアして生活しますが、家賃もシェアしますので、一人当たりの家賃負担が少なくなることが特徴です。
全く赤の他人同士が生活する場所を賃貸として提供しますので、家族を一つのグループとして貸し出す一般的な賃貸とは少し性質が異なります。
しかし、20代から30代の若者世代はシェアハウスとして部屋を借りることに抵抗がなく、一定のニーズがあるためシェアハウスが増えているといえるでしょう。
(2)シェアハウスの現況は厳しい?
シェアハウスとしての貸し出しは、増加の傾向がみられていました。
少し前のデータですが、運営物件数の推移を見てみましょう。
国土交通省:「シェアハウスに関する市場状況調査結果について」
シェアハウスの物件数は、年々右肩上がりで順調に戸数を増やしています。
しかし、2018年に女性用シェアハウスであるかぼちゃの馬車事件が起こり、シェアハウス物件の建築にブレーキがかかってしまいました。
一気に熱が冷めてしまい、供給もいったんは止まってしまいます。
しかし、現在でもシェアハウスに対するニーズは高く、戸建ての空き家などは複数人で借りることができるのでシェアハウスに変えて募集しているケースも見受けられます。
(3)シェアハウスに将来性はあるの?
まだまだシェアハウスが占める割合は非常に少なく、現況は需要に供給が追い付いていない状況となっています。
急激な上昇ということは考えにくいのですが、一定の需要はあることから今後も供給戸数は増えていくことが想定されるでしょう。
空き家をシェアハウスとして活用するメリットは?
シェアハウスの需要や将来性について解説してきましたがまだまだ一定の需要は見込めることから今後も十分空き家の新たな活用方法として利用できるでしょう。
では、実際に空き家をシェアハウスとして活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ここからはシェアハウスを活用することによるメリットについて解説します。
(1)空き家が決まりやすくなる
空き家の場合、一般的な賃貸のやり方だと対象となるのは家族世帯となるでしょう。
しかし、なかなか家族世帯ではニーズがないようなエリアだと部屋が決まらず、空き家のまま放置しておくことになります。
シェアハウスとして貸し出すことで、対象となる層が変わりますので、ニーズに合うかもしれません。
同じ賃貸とはいえ、全く違う層を新たなターゲットとすることで空き家が決まりやすくなる可能性があります。
しかも、基本的に一般で賃貸による貸し出しとシェアハウスとして貸し出すのに対し、大幅なリフォームを行う必要がありません。
つまり、コストはそうかからないということになります。
空き家の状態で、一般的な賃貸としての募集とシェアハウスとして募集が両方できるのです。
これは非常に大きなメリットとなるでしょう。
(2)収益は増える
シェアハウスを借りる人のメリットとして家賃が等分できるという利点があります。
例えば4人で住みたい場合、10万円の家賃だったとしても4人で等分するので25,000円の支出で済むのです。
例えば4,000円家賃を上げて入居したとしても一人当たり1,000円の負担で済むことになります。
つまり、シェアハウスとして貸し出す場合は、家賃を上げて、収益が増えることになりやすいのです。
ちょっとしたグレードアップ工事程度ならば、家賃に上乗せすることも一般の賃貸物件よりはやりやすいといえるでしょう。
(3)あまりシェアハウス自体がないので長期の入居が見込める
何度か繰り返しましたが、シェアハウスは需要に供給が追いついておらず、まだまだ対象戸数は少ないというのが現状です。
すると、シェアハウスの広い部屋に安い家賃で済めるという利点の物件が少ないため、一旦シェアハウスで入居するとなかなか退去がなく、長期の入居が見込める可能性があります。
賃貸経営は、なるべく長く入居してもらうことで安定した家賃収入が見込めることが特徴です。
現状、供給戸数が少ない状況であるシェアハウスは、賃貸経営のメリットでもある安定的に長期の家賃収入が見込める可能性が高くなりやすいといえるでしょう。
空き家をシェアハウスとして活用するデメリットは?
シェアハウスは、メリットばかりではありません。
いくつかのデメリットも考えられますので、メリットとデメリットを比較しながら空き家をシェアハウスとして活用するかどうかを決める必要があります。
ここからはシェアハウスのデメリットについて解説します。
(1)入居者間のトラブルが起こりやすい
一般の賃貸で貸し出す場合は家族や親族といった血縁関係の人を入居させることが多いのは、トラブルがあった場合に対処しやすいからです。
シェアハウスは、赤の他人が共同生活を行いますので、ときとしてトラブルになりやすいことがデメリットとして挙げられます。
入居者間のトラブルがクレームとして大家さんに届くこともあり、その場合はクレームに対する対応が必要です。
入居者間のトラブルが近隣に飛び火して騒音などのクレームを近所から受ける可能性も考えられるでしょう。
シェアハウスは、入居者間のトラブルが起きやすいのであまり管理経験がないオーナーさんは要注意ですね。
(2)管理が手間になることも
上記のケースも同じような内容となるのですが、トラブルなどが起こりやすいので管理に手間がかかってしまいます。
ときとして、たいしたことがない問題でもこじれにこじれ、どうしようもない状態にまでなっていることも少なくはありません。
こうなると管理に非常に手間がかかることになってしまいます。
入居者間のトラブルがなぜか所有者に飛び火して、
- 退去したいから引越し費用を負担してほしい
- 原状回復費用は払わない
- 損害賠償を払え
- 家賃を払わない
といった、なぜは所有者の責任へ転嫁されたクレームになってしまうこともあるのです。
このように管理上の手間が増える可能性があることもデメリットといえるでしょう。
(3)いつの間にか一人が出て行って家賃の滞納
シェアハウスは、赤の他人同士が生活していることもあり、素性を入居者間がよく把握していないこともありがちな問題です。
そうなると家賃の滞納が起こってしまい、部屋に行ったらいつの間にか一人がいなくなっていたといったケースも考えられます。
一人の家賃滞納金額を他の人に請求できるわけもなく、かといってきちんと家賃を払っている人を退去させるわけにもいけません。
いつの間にか誰かがいなくなってしまうといったことも起こりえますので、このような対策もシェアハウス運営には欠かせないのです。
(4)他の人が住み着いていることもある
これもシェアハウスにありがちな事例ですが、いつのまにか、契約者の一人が出て行って別の人が住んでいるというケースも考えられます。
家賃は普通通りに入っているので、気にしていなかったら他の住人からの通報で他の人が住んでいるという事態もシェアハウスでは起こりやすいのです。
一般の賃貸でも、又貸しは起こりうる事例ではありますが、シェアハウスの場合はよりやりやすくなってしまうので注意が必要といえます。
空き家をシェアハウスとして活用する成功のポイントは?
シェアハウスに関するメリットやデメリットをいくつかの事例を挙げて解説しました。
しかし、なかなか活用方法が決まらない空き家などはシェアハウスなどを利用しうまく活用したいものです。
ではシェアハウスを成功させるポイントはどのようなものがあるのでしょうか?
ここからはシェアハウスを成功させるポイントについて解説します。
(1)立地がいい場所で行う
賃貸経営において成功しやすいポイントの一つは立地の良さです。
これは一般的な賃貸でもシェアハウスでも変わりません。
立地の良さとは一般的に
- 交通の便がいい
- 買い物などの環境がいい
- コンビニが近い
等が挙げられます。
立地環境が良い場所でのシェアハウス経営がおすすめです。
(2)リフォームの際LDKは広い方がいい
もしリフォームを行う場合はLDKを広くとっておいた方がいいでしょう。
複数人でシェアハウスを利用している場合、全員がゆったりとくつろぐことができるスペースが必要です。
それがLDKであることが多く、LDKが狭いと窮屈さを感じてしまいストレスとなることもあります。
また、数人がパソコンを使用することもあるでしょう。
少しゆったりとしたテーブルが置けるくらいのスペースがある方が好まれます。
(3)管理会社に管理を頼む
シェアハウスは、絶対ではないですが一般の賃貸と比較すると管理が難しいケースがあります。
前述した入居者間のトラブルや、突然入居者がいなくなっているなど、一般の賃貸よりも労力がかかりやすく、解決まで長い時間がかかることもあるでしょう。
シェアハウスを行う場合は、管理会社に管理を任せてしまうことも効果的です。
管理料が家賃の3%~5%程度かかりますが、家賃に上乗せして回収することもできるでしょう。
後々トラブルになりうまく解決できないと、余計にお金がかかることもありますので、管理会社に管理を任せてみてはいかがでしょうか?
(4)コンセプトを決め、入居者層を絞る
シェアハウスを行う場合、ある程度コンセプトを決め入居者層を絞ることで、早期の入居が見込める場合があります。
例えば、若い世帯に絞り込むのであれば、インターネットを引きこんでおき、使い放題にしておくと、入居に強力な武器となります。
お風呂に追い焚き機能を付けて、ライフスタイルが違う人たちも温めるだけでお風呂に入ることができるようにしておくなども効果的です。
基本的には若い世代が利用するケースが多いでしょうから、若者向けの設備や仕様がおすすめといえます。
まとめ
空き家の改善は、わが国でも大きな課題となっていますが、シェアハウスなど新たな入居者層を狙うことで空き家改善の手助けとなるでしょう。
今なら供給が少ない状況ですので先行者利益を得ることもできます。
しかし、メリットばかりではなく記事に記載したようなデメリットもありますので、慎重に検討する必要があるでしょう。
上手くいくと長期的に安定した家賃収入が期待できます。