田舎の実家を処分する方法と注意点・処分しにくいケースもある?
田舎にある実家を相続などにより所有することになった場合、どのような処分方法を考えるのでしょうか?
いきなり田舎にある実家を所有することになったとしてもどのような方法がわからないと悩んでいる人が多いのが現状といえるでしょう。
この記事では、田舎の実家を所有している場合の注意点や処分方法、うまく処分する方法などについて詳しく解説します。
田舎の実家 所有し続けておく際の注意点とは
まず、効果的な処分方法を考える前に、できるだけ思い出の実家だから所有しておきたいと考える人も多いのではないでしょうか?
しかし田舎の実家を所有し続ける場合、いくつかの注意点がありますので、注意点をしっかりと理解した上で所有する必要があります。
ここからは、田舎の実家を所有し続けておく際の注意点について解説しましょう。
(1)固定資産税が毎年かかる
田舎の実家に限らず不動産を所有する場合、新たにかかる税金が固定資産税です。
固定資産税は不動産を所有している人が払わなければいけない地方税で、所有者に対し各自治体から納税通知書が送られてきます。
年間4回に分けて納税する方法が一般的です。
そう安い税金ではなく、築年数や実家がある場所、広さなどによって納める固定資産税額は異なります。
しかしお金を生まず、誰も住んでいない実家ともなると固定資産税を負担に感じてしまうケースが多いといえるでしょう。
(2)老朽化による倒壊などの不安
既に誰も住んでいない実家ともなると、老朽化のスピードは大幅に早まってしまいます。
特に、修繕しなければいけない場所にも気づかないとなると心配になるのが、倒壊などの不安です。
すぐに倒壊するという訳ではありませんが、地震などが起こってしまった場合、他の家屋よりひどい被害となってしまうケースが考えられます。
田舎の実家ともなれば、遠い場所に生活の拠点を持っている所有者は、なかなか田舎の実家を点検する機会がありません。
老朽化が大幅に進んでしまう点も十分に注意しなければいけないのです。
(3)管理できていないことに関する近隣トラブル
先ほど、管理できていないことに対する老朽化のリスクについて解説しました。
管理できていないことに対する注意点で更に考えられることは近隣トラブルです。
管理ができていないということは、雑草の手入れが不十分になってしまう点やゴミの不法投棄に気づかないといった懸念が挙げられます。
雑草の手入れを怠ってしまうと、隣近所への雑草が侵入してしまうことや、不法投棄による悪臭で近隣に迷惑をかけるといった近隣トラブルの原因となるのです。
近隣との関係性が悪くなってしまうと、今後の実家を処分する際に、非常に不利益を生じてしまうことがあります。
遠方に実家があり、なかなか出向けない場合などは十分に注意しなければいけません。
(4)解体すると固定資産税があがる
老朽化の不安や、きちんと管理できない場合、いっそのこと解体し土地のまま所有しておこうと考える人もいるのではないでしょうか?
解体すると建物がなくなるので、建物の固定資産税は無くなります。
しかし、土地の固定資産税が大幅に上がってしまうことを見落としがちです。
建物が建っている土地は宅地となり、一般的に土地の固定資産税は宅地の場合、通常の固定資産税の1/3若しくは1/6まで軽減されています。
つまり建物を解体したために、所有している土地は宅地ではなくなり、固定資産税の軽減措置が無くなってしまうのです。
土地の固定資産税が、3倍若しくは6倍まで上がってしまうので、建物があるとき以上の固定資産税を納税しなければいけないかもしれません。
これも注意点として理解しておく必要があります。
田舎の実家を処分する方法には何がある
田舎の実家を処分する場合、一つだけの方法ではなくいくつかの方法により処分することが可能です。
ここからは4つの処分方法について詳しく解説します。
(1)賃貸として貸し出す
まずは、賃貸として貸し出す方法が挙げられます。
田舎の実家をそのまま所有して空き家のまま放置していても維持管理費や前述した固定資産税などさまざまなコストを支出しなければいけません。
賃貸として貸し出すことで家賃収入を得ることが可能です。
しかも、賃貸に出して不動産管理会社に管理を委託することで、定期的な点検も出来るようになり老朽化の歯止めともなります。
(2)売却してしまう
賃貸で貸し出す場合、家賃収入を得ることはできますが、その後貸主としての責任を負い続けなければいけません。
修繕の費用負担や、退去が出た場合の原状回復費用など、いくつかの場面で費用を負担しなければいけないでしょう。
このような支出を負担と感じる場合は、売却するという方法も挙げられます。
売却することにより、今後の維持管理費用などの心配は無くなり、まとまった現金を手にすることも可能です。
田舎の実家が今後も負担となることはない処分方法として代表的な方法といえるでしょう。
(3)相続放棄してしまう
田舎の実家ということは築年数も相当古く、活用方法が限定される可能性も考えられます。
更に、売却できないような場所にある場合、なかなか現金化できずにコストばかりかかることにもなりかねません。
そのため、相続放棄をしてしまい田舎の実家を所有しないという方法を選択することが可能です。
相続放棄した場合は、他の相続人が所有するか、国庫に帰属することができます。
ただし、一旦所有してしまうと相続放棄はできない点や相続放棄できる期間が決まっていることも理解しておきましょう。
こちらも、処分しようがない田舎の実家においては活用される手法です。
(4)自治体に寄付してしまう
いったん所有して、どうしても処分方法が見つからない場合は、自治体へ寄付することも可能です。
しかし、この場合自治体が寄付を受け付けてくれるかどうかがわかりません。
寄付された不動産が自治体によって活用できると判断された場合は、寄付を受け付けてくれるでしょう。
あまり活用しやすい事例ではありませんが、寄付として処分することも可能です。
田舎の実家で処分しにくいケースは何?
田舎の実家を処分しようと色々な方法を検討しますが、田舎の実家によっては処分しにくいケースがあります。
ここからは、田舎の空き家が処分しにくいケースについて解説しましょう。
(1)賃貸の需要が無い
田舎の空き家における処分方法のひとつとして賃貸で貸し出すことを挙げました。
しかし、実家があるエリアにおいて賃貸の需要が無い場合、中々借り手が見つかりません。
賃貸の需要が無い場合、賃貸で貸し出すことは非常に難しくなってしまいます。
エリアによっては処分方法のひとつである賃貸で貸し出すことができないことを知っておきましょう。
(2)修繕費用や内装費用が高額になりやすい
賃貸で貸し出す場合、修繕費用がかかってしまいます。
田舎の実家に修繕箇所が多い場合は、修繕費用や内装費用が高額になりがちです。
特に空き家の状態が長い場合は劣化具合も想像以上に早いこともあるので、想像以上の高額になってしまいます。
賃貸で貸し出す家賃のバランスに見合わない程のリフォーム費用が高額となってしまうことも考えられるでしょう。
収入とコストのバランスもしっかりと分析した上での処分方法を検討する必要があります。
(3)維持費がかかる
維持管理する場合は、維持費がかかります。
賃貸で貸し出す場合は、引き続き保有することになりますので、家賃収入を得る代わりに設備が故障した場合の修繕費用に併せて維持管理するための費用が発生するでしょう。
田舎の実家など戸建ての場合は、何年かに一度は定期的に改修工事を行い維持管理に努めなければいけません。
このような費用面の負担を所有する限り行う必要があります。
(4)選択肢が限られる
田舎の空き家について、いくつかの処分方法を解説しましたが、田舎の実家がすべて解説した処分方法を活用できるわけではありません。
賃貸に出す場合は賃貸の需要があるエリアかどうか?など、自治体に寄付する場合は自治体が所有するかどうかといった点が処分のポイントとなります。
また、相続放棄に関しても期間が限られていますんでいつでも放棄できるわけではありません。
田舎の空き家があるエリアや自治体の状況、所有者の状況などが原因となり選択肢が限られてしまうのも処分しにくいケースといえます。
田舎の実家をうまく処分する方法は?
上手く処分できない理由をいくつか挙げましたが、これらを踏まえ、どのような点に心がけると上手く処分できる方法が見つかるのでしょうか?
ここからは、上手く処分する方法について解説していきます。
(1)定期的なメンテナンスできれいに維持しておく
田舎の空き家を放置したままにしておくと、処分や活用に大きな費用負担の原因なってしまいます。
維持管理の費用や修繕箇所を放置することにより、賃貸に出そうと決めたときに多額の費用が必要になるのです。
実家の処分方法が決まっていない場合でも定期的なメンテナンスできれいに維持しておくことをおすすめします。
定期的なメンテナンスは突発的で多額になる修繕などの費用を極力抑えることが可能です。
またきれいな状態を維持しておくことで、資産価値の維持にも繋がり、売却などにおいて有利といえます。
維持管理を定期的に行いましょう。
(2)買取を利用する
田舎の実家を処分する方法として、最も良く利用される処分方法が売却だと前述しました。
しかし、買い手を見つける時間がかかるのが嫌で、早く売却したいと思う人も多いのではないでしょうか?
なるべく早く処分したいという人におすすめの売却方法が買取です。
買取とは不動産会社が買主となって田舎の実家を買い取ります。
個人が買主のときと違い、住宅ローンの審査などを待つ必要がありませんので、1週間以内でも引き渡し可能です。
一般的に売買市場に出すよりは売却価格が安くなってしまうケースが多いのが難点ですが、できる限り早く現金化したいケースでは非常に効果的といえるでしょう。
(3)田舎の実家に強い不動産会社を選ぶ
田舎の実家を処分する場合、賃貸に出す場合や売却する場合、力となるのが不動産会社です。
逆に依頼する不動産会社があまり満足できる動きができない場合、期待外れの処分内容になってしまう可能性が高くなってしまいます。
不動産会社も、得意な分野などがあり、都心部に強い不動産会社や、田舎に強い不動産会社などさまざまです。
田舎の実家を処分するにはやはり田舎に強い不動産会社を選ぶ必要があります。
いくつかの不動産会社への聞き取りや、インターネットなどで評判を調べて田舎に強い不動産会社を選びましょう。
まとめ
田舎の実家を相続して悩んでいる人も多いのですが、上手く処分することで家賃収入を得ることができるし、売却して現金化することも可能です。
しかし逆に負の財産となってしまい処分することができず、維持費や税金がかかるだけになってしまうかもしれません。
田舎の実家を相続する場合、きちんとした処分方法を相続前には、ある程度考えておくことをおすすめします。
相続放棄など、早くに行わなければいけない処分方法もありますので、相続により田舎の空き家を所有することになる場合は、早めの対応を心がけましょう。