空き家になった実家の維持費用の内訳・税金や光熱費に関する注意点は?
空き家となった実家をうまく活用できずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
空き家となった実家は、所有しているだけで維持費がかかります。
空き家を保有しておくのにかかる維持費をしっかりと理解しておかなければ、金銭的な負担により家計が苦しくなってしまいます。
では、空き家となった実家の維持費用にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、空き家となった実家の維持費について詳しく解説します。
目次
空き家となった実家 維持費はどんな費用がかかるのか?
空き家にかかる費用を一言で維持費といっても種類は多岐にわたります。
ここからは、空き家となった実家にかかる維持費の内訳を項目ごとに解説しましょう。
(1)税金
まず挙げられるのが税金関係です。
土地や建物など不動産は所有しているだけで払わなければいけない税金があります。
固定資産税や都市計画税です。
固定資産税とは、建物や土地といった不動産や償却資産などに対してかかる税金で、国税ではありません。
固定資産税は地方自治体に納める地方税で毎年1月1日時点の不動産所有者に対して課税請求されます。
地方税ですので、税率は各地方自治体により異なるケースもありますが、一般的には固定資産税評価額×1.4%で計算し、この税額を年間4回に分けて支払う税金です。
都市計画税は、市街化区域内に土地や建物といった不動産を所有している場合に納税する市町村税です。
都市計画税の納税対象となる人には、固定資産税の納税通知書に都市計画税があわせて記載されています。
都市計画税も市町村税ですので、各自治体によって税率が異なるケースがありますが、一般的には固定資産税評価額×0.3%で計算され、課税される税金です。
これらの税金は、空き家の有無にかかわらず不動産を所有している限り対象となる税金なのでほとんどのケースで課税されるといえるでしょう。
(2)保険料
空き家だからといって火災保険などをかけていない場合、建物に損害が起こると大きな被害を受けることがありますので、十分注意が必要です。
空き家となった実家に火災保険をかける場合は、一般の保険では対応ができませんので居住用の保険をかけていると保険の対象となる損害でも保険金が下りない場合もあります。
また保険会社自体が空き家対象の火災保険には対応できない場合もあり、対応できる場合でも空き家の対象となる保険は、一般的に居住用の保険より割高です。
しかし前述しましたように、もし火災保険に入っていなければ、被害があった場合に大きな負担となる場合があります。
空き家とはいえ火災保険に加入することがおすすめです。
(3)水道料や電気料
空き家となっている場合でも、水道料や電気代などの光熱費は基本料金を支払わなければいけません。
そう大きな金額ではありませんが、電気料に関しては毎月、水道料に関しては自治体によって異なりますが毎月若しくは2ヶ月に1回の支払いをする必要があります。
水道や電気を止めてしまえばこれらの光熱費がかかることはありません。
しかし、所有し続ける場合には定期的な訪問を行い維持管理していかなければいけませんので、継続して契約し続ける必要があります。
空き家状態でもこれら光熱費がかかることをしっかりと理解しておきましょう。
(4)修繕にかかる費用
空き家状態の実家とはいえ、修繕が必要な場合が出てくるでしょう。
たとえば雨漏りや、壁の破損などが挙げられます。
空き家とはいえ実家を維持していく場合、これらの修繕費用を考えておかなければいけません。
前述した3つの維持費のように定期的にかかる費用ではなく、もしかすると修繕費がかからない場合も考えられます。
しかし修繕の必要性が出てくると、場合によっては非常に高額な修繕費となる場合もあり注意が必要な費用といえるでしょう。
空き家となった実家を維持するための注意点
実家が空き家となった場合、さまざまな維持費がかかることを前述しました。
空き家状態で管理をきちんと行わなければさまざまなリスクに直面し、万が一のことが起こってしまうと金銭的に多額の費用を払わなければいけないかもしれません。
きちんと空き家となった実家を維持管理することが、結局のところコストを抑えることにも繋がっているといえるでしょう。
ここからは空き家となった実家を維持するための注意点について解説します。
(1)定期的に訪問し、管理する
空き家の維持管理には定期的な訪問がかかせません。
空気の入れ替えを行い、劣化を防ぎ、庭の手入れを行うことで害虫被害などを抑えます。
また、空き家状態を続けてしまうと劣化が早まり、廃墟化することもあり自治体から特定空き家の指定を受けることも考えなければいけません。
特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の宅地並み課税から外れる場合や、罰金などを受ける場合があります。
空き家としてきちんと維持管理していくことが今まで以上に求められていますので、空き家状態でも実家を所有する場合にはきちんと定期的に訪問し維持管理に努めましょう。
(2)自治体の支援制度を活用する
空き家の増加は社会問題となっており、空き家の活用や除去などを目的として各地方自治体もさまざまな支援制度に取り組んでいます。
地方自治体によって支援制度は異なり、多くの支援制度がある地方自治体や全く取り組んでいないケースなどさまざまです。
空き家の解体に対し補助金が出るケースや空き家の改修工事に対し一定の要件を満たすと補助金がでるケースなどがあります。
一度空き家がある自治体の支援制度を確認してみると、対象となっている場合もあるでしょう。
自治体の支援制度も有効活用することでコスト削減に繋がります。
(3)ご近所と友好な関係を築く
空き家となった場合に気になるのが、不審者の侵入です。
不審者の侵入は、犯罪や火災などさまざまなリスクを負うことに繋がってしまいます。
しかし実家が遠方にある場合は、なかなか定期的に訪問することができません。
このような場合に頼りになるのがご近所さんです。
ご近所さんと友好的な関係を築いておき何か気になることがあった場合に連絡をもらえるくらいの関係性となると何かあった場合にすぐに気づくことができます。
対処が早くなるので、被害を最小限に食い止めることも可能となるでしょう。
(4)警察にお願いしておく
これも、不審者の侵入に関する対策ですが、警察にお願いしておく方法も効果的です。
あらかじめ、実家が空き家となることを伝え、連絡先まで渡しておけば、トラブルが発生した場合にいち早く対処することができます。
ご近所との関係性と同様に警察にもあらかじめ空き家であることを伝えておきましょう。
空き家となった実家の維持費が払えない そのほかの活用方法は?
空き家にはさまざまな維持費がかかり、場合によっては負担金の多さからとても支払うことができないと思う人もいるのではないでしょうか?
空き家となった実家を維持管理するのは、金銭的にもその他の理由からも難しいとなると、その他の活用方法を考えなければいけません。
それでは空き家となった実家にはどのような活用方法があるのでしょうか?
維持管理以外の活用方法について解説します。
(1)賃貸に出す
賃貸に出して家賃収入を得る方法が考えられます。
賃貸の需要がある場所に限られてしまいますが、家賃収入を得ることにより税金の支払いに家賃収入の一部を充てることができるでしょう。
また、光熱費も借主が支払いますので負担する必要がありません。
最初に改装の費用などがかかる可能性がありますが、近年は古民家風の住まいも好まれる傾向がありますので、大きな費用をかけなくていい場合もあります。
賃貸に出すことにより所有したまま維持費の負担を大きく抑えることができるでしょう。
(2)売却する
売却して現金化することもよく利用されている活用方法です。
所有者となった人の生活圏が遠方にあり、実家とはいえ空き家状態のまま所有しておくことには何のメリットもないと感じる人には効果的な方法といえるでしょう。
(3)更地にする
空き家として所有するためにさまざまな維持費用が発生しますので、いっそのこと解体して更地にしてしまう方法も挙げられます。
空き家状態にしておくことで、宅地となり固定資産税の軽減措置を受けることが今までは可能でした。
しかし、空き家対策特別措置法により管理されていない空き家として特定空き家に指定されてしまうと固定資産税の軽減措置を受けることはできなくなります。
そのため空き家のまま所有しておくことに対するメリットは少なくなっておりデメリットが多くなっていますので、更地にしてしまうケースも増えているのです。
(4)自分たちで住む
自分たちで住むことも可能です。
会社との距離や子供の転校などといった解決する問題は多いので誰でもが利用できる活用方法ではないかもしれません。
しかしテレワークの浸透などにより、会社近くで生活圏を確立する必要もあまりなくなった場合には、実家に居住することによりさまざまなリスクを抑えることが可能です。
さらに、賃貸に住んでいる場合などは、実家に住むことにより家賃の支出を抑えることができます。
実家が空き家となり維持費がかかる前にやっておくこと
実家が空き家となる場合の維持費や、空き家となった後に行う活用方法などについて解説しました。
では、空き家となる前には何か対策などは必要ないのでしょうか?
ここからは実家が空き家となり、維持費用がかかる前にやっておくことについて解説していきましょう。
(1)相続放棄する
維持管理費用の負担が難しい場合や、前述した活用方法ができない場合などにできるのが相続放棄です。
相続放棄によって空き家となった実家を所有することを放棄することにより、維持費の支払いなどを避けることができます。
相続放棄は被相続人が亡くなり、あなたが相続人の権利を有して3ヶ月以内に決断しなければいけません。
実家を所有すること自体を放棄することで、維持管理や活用といった金銭的、時間的負担から逃れることが可能です。
(2)事前に活用方法を決めておく
実家が空き家となる前に空き家となることを想定して活用方法を決めておきましょう。
そうしなければ、前述した相続放棄などの手続きが取れない場合も考えられます。
実家を所有する前にあらかじめ対策や活用方法を考えておくことがおすすめです。
(3)維持する間場合の維持費をシミュレーションしておく
実家を所有する前に、あらかじめどの程度の費用を支出しなければいけないかを前もってシミュレーションしておきましょう。
維持費が負担にならなければそのまま所有してもいいでしょうし、維持費が負担となるのであれば次の活用方法を考えておかなければいけません。
金額的な計算を前もって行うことで今後の方向性をスムーズに決めることも可能です。
まとめ
実家となった空き家を維持するには前述したようにさまざまなコストが維持費としてかかります。
思い出の詰まった実家なので何とか維持していきたいと考える人も多いのでしょう。しかし、維持費用が負担となり満足な維持管理ができないことも起こり得ます。
そうなると、空き家の放置や廃墟化に繋がるでしょう。
事前にシミュレーションや活用方法を考えることにより、実家が負担となるリスクを大幅に減らすことが可能です。