空き家の管理は委託すべき? 管理サービスの費用やメリット・デメリットを解説
空き家を所有しているが遠方で管理ができない、近くに住んでいるがなかなか空き家を見に行く時間がない、など空き家の管理について悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
空き家の増加は、今後我が国においても大きな社会問題となる可能性も高く、空き家対策特別措置法の制定など、所有者の管理に対する責任が重くなってきているのが現状です。
近年、空き家管理を委託するサービスも増えています。
空き家管理サービスを利用することも効果的ですが一般的な認知度は低く、どのようなものなのか、わからないという人も多いです。
この記事では、空き家の管理を怠っている場合のリスクや空き家管理委託サービスの概要、費用といった点を詳しく解説します。
目次
空き家を管理できない場合、どのようなリスクが想定される?
空き家の管理を満足に行っておらず、わかってはいるけれど管理できていないという人が多い昨今において、空き家を管理しないリスクとはどのようなものがあるのでしょうか?
空き家を管理できていない場合のリスクについて解説します。
(1)特定空き家に認定される
空き家対策特別措置法が2015年2月に施行され、管理ができていない空き家に対して行政の指導が入るようになりました。
管理ができていないと認定された空き家は特定空き家に指定されます。
助言や指導が行われ、行政の強制的な立ち入りなどもできるようにもなりました。
なかなか改善の兆候が見られない場合、住宅用地特例の対象から除外されることになります。
不動産を所有している場合、居住用の建物やその土地などは宅地となり、宅地ではない固定資産税の支払いよりも1/3若しくは1/6まで固定資産税が減額されているのです。
しかし、特定空き家に指定され助言や指導を受けても改善が見られない場合、勧告といった措置を受けることになり、住宅用特例地の対象から外されてしまいます。
つまり、固定資産税が宅地にもかかわらず減額できず、3倍から6倍に上がるのです。
さらにそれでも改善されない場合は、50万円以下の過料や行政代執行による解体なども課せられます。
特定空き家になると、経済面に関する大きな負担が科せられることになるでしょう。
(2)火災や犯罪に巻き込まれてしまう
空き家で管理ができていなければ、当然ながら人の出入りはありません。
この場合、注意しなければいけないリスクとして不審者の出入りが考えられます。
不審者が出入りして勝手に室内で寝泊まりするなどされてしまうことがあり、火災を引き起こすなどのリスクが想定されるといえるでしょう。
また、人の出入りがないのをいいことに不正な犯罪取引が行われる可能性もあります。
火災や犯罪に巻き込まれるリスクも空き家では起こりやすい要因のひとつです。
(3)急激な劣化、廃墟化により利用できない建物になる
建物は、人が住むことにより換気がなされ、修繕などを行うことで維持管理が保たれます。
しかし、人が住んでいないので満足な換気もされませんし、手入れも行き届かなくなるでしょう。
そうなると急激な劣化が起こってしまいます。
劣化が進むにもかかわらず、さらに放置し続けると廃墟化してしまい、もう解体しか方法がないといったことにもなりかねません。
劣化が進むということは同時に資産価値がどんどん目減りすることに繋がります。
劣化、廃墟化のリスクもしっかりと認識しておきましょう。
空き家の管理委託とはどのようなサービス?費用は?
上記のように空き家において管理していなければさまざまなリスクを負ってしまうことがわかります。
そこで注目されるのが空き家の外部委託サービスです。
ここからは空き家の外部管理委託について解説します。
(1)空き家増加に伴う不動産会社の新たなサービス
前述しましたように空き家の増加は社会問題に発展しており、空き家の所有者には管理に対して社会的に大きな責任を負うことになりました。
そこで注目されるのが空き家管理の外部委託サービスです。
不動産会社が空き家に対する管理を請負、空き家の所有者は一定の報酬を支払います。
ここ数年、空き家管理サービスを提供する不動産会社が増えており、空き家の管理に悩んでいる人に対する外部委託のニーズが高いといえるでしょう。
(2)空き家の管理委託を依頼した場合の費用は
空き家管理の委託サービスにかかる費用面は、各不動産会社で異なっています。
サービスの内容も異なりますので、一概にははっきりとした費用はいえません。
複数の不動産会社が提供しているサービスを見てみると、相場的には月額1万円前後の料金で提供しています。
空き家が遠方にある場合などは、交通費などで月額1万円以上かかる場合もありますので、自分が管理した場合のさまざまなコストを計算して判断してはいかがでしょうか?
(3)空き家管理委託で行うサービスの特徴は?
空き家管理サービスの概要は月に1回~数回、不動産会社の指定する担当者が空き家を訪問し、換気や修繕個所のチェックなどを行うのが主なサービス内容です。
修繕個所などや気になる箇所に関しては定期的な報告書を所有者の元に送り、修繕の手配なども併せて行います。
かんたんな除草作業程度であればその場で除草などを行うサービスなどを付帯しているケースもあり、不動産会社によってサービス内容はさまざまです。
基本的な管理委託内容は上記に挙げた内容となりますので、付帯サービスがどの程度なのかという点に加えて、サービスにかかる費用負担などを比較する必要があるといえます。
空き家の委託管理と自主管理どちらがいいの?委託管理のメリット
空き家管理の方法は先ほどまで挙げた、外部委託と自分たちで管理する自主管理に分けられます。
では、外部委託と自主管理、どちらの管理方法がいいのでしょうか?
それぞれのメリットやデメリットを比較することでどちらの管理がいいのかを決めやすくなるでしょう。
まずは委託管理のメリットについて解説します。
(1)わざわざ出向くことなく管理することができる
外部委託の最も大きなメリットとしてはわざわざ自分たちが出向いて管理をする手間が省けるという点です。
空き家が遠方にある場合やなかなか時間が取れなく空き家の管理まで手が回らないという人には外部委託は非常にニーズが高いサービスといえるでしょう。
(2)不動産のプロにチェックしてもらえるので適切な対応が期待できる
空き家管理で空き家に出向くのは不動産会社の社員や不動産会社が委託した内装業者さんなどが現地訪問します。
不動産のプロである不動産会社の社員や、いくつもの修繕を手掛けた内装業者さんなどが空き家の確認を行うのがサービス内容の一環です。
プロの視点から修繕個所などの提案に期待ができます。
自分たちの管理では気づかないような箇所でも提案やその場での処置などを行うこともありますので、自分たちでチェックするより、より精密なサービスに期待が持てます。
(3)賃貸や売却に繋がる場合もある
住まない空き家をいつまでも管理しておいても毎月費用がかかるばかりなので、多くの人は空き家をどうにか活用したいと考えます。
このような場合も、不動産会社にいずれは何かで活用したいといった意向を話しておくと活用方法の提案も行われます。
さらに、委託した空き家を借りたいというお客様や購入したいというお客様を紹介してくれる場合があり不動産会社に委託することで次の活用方法が見つかることもあるのです。
(4)定期的に空き家のチェックがわかる
自分で管理する場合、少し怠けてしまい訪問する期間が長引いてしまうこともあります。
そのうち、どんどん訪問の期間が長くなってしまい、いつの間にか定期的な訪問をしなくなってしまうということもあるのではないでしょうか?
外部委託サービスではそのようなことはなく、毎月一定回数で訪問しますので定期的に空き家をチェックすることができます。
自主管理では怠けてしまって自信がないという人も外部委託だと安心して任せることが可能です。
空き家の委託管理と自主管理どちらがいいの?委託管理のデメリット
外部委託はメリットばかりではありませんので、しっかりとデメリットも理解しておきましょう。
次に外部委託のデメリットについて解説します。
(1)費用がかかる
やはり毎月一定の費用がかかってしまうという点はデメリットに挙げられるでしょう。
自主管理だと、ほとんど費用がかからないケースもありますので、外部委託か自主管理の大きな判断材料となります。
(2)中には不誠実な業者もいる
先ほど、自主管理のメリットにおいて不動産のプロが確認すると述べました。
しかし、中には不誠実な業者もおり、満足にチェックしないケースや高額な修繕費を請求するといったケースも考えられます。
外部委託の場合、業者選びも大きなポイントとなるでしょう。
(3)修繕などの決定は所有者がしなければいけない
管理を外部委託したとしても修繕に関する決定権まではありません。
最終的にどう維持管理していくのかという点は所有者が決める必要があります。
外部委託でも自主管理でも同じといえるでしょう。
空き家の委託管理と自主管理どちらがいいの? 自主管理のメリット
ここまでは、外部委託管理におけるメリットやデメリットについて解説しました。
同じように自主管理におけるメリットやデメリットもきちんと理解しておきましょう。
まずは自主管理のメリットについて解説します。
(1)委託費用を支払う必要がない
外部委託の時にかかる委託費用を負担しなくていい点が挙げられます。
毎月1万円前後の外部委託となると年間では10万円超、10年間依頼すると100万円以上もの負担が必要です。
しかも、いつまで管理しなければいけないかがはっきりとわかりません。
自主管理でコストを抑えるというのはメリットといえるでしょう。
(2)自分の経済状況に合わせて処置が可能
自分の経済状況により自由に手を入れることができる点もメリットとして挙げられます。
ちょっと資金的に苦しい場合は、自分でできる限り修繕するDIYなどで軽く応急処置を行うことにより対応も可能です。
自分の懐具合により維持管理の具合を柔軟に対応できるという点もメリットとして挙げられます。
(3)安い業者選別なども対応ができる
外部委託に依頼した場合、どうしても不動産会社の指定する修繕業者に依頼することが多くなってきます。
実際にもっと安い業者などに依頼することによりコストダウンを図ることもできますが、外部委託の場合は、不動産会社に断りを入れなければいけません。
自主管理だと、自分で自由に業者を選択することができます。
複数の業者に見積もりを依頼し、見積金額が安い業者を選択してコストダウンを図ることもできますので自主管理のメリットといえるでしょう。
空き家の委託管理と自主管理どちらがいいの? 自主管理のデメリット
当然ながら自主管理もメリットばかりではありませんので、最後に自主管理のデメリットについて解説します。
(1)手間がかかってしまう
管理に出向く、空き家の状態をチェックする、修繕が必要な場合は自分で修繕御者に依頼するなどどうしても手間がかかってしまう点が挙げられます。
何度か繰り返していますが、遠方に住まいがある場合や仕事などで管理に時間が取れない場合など特に負担を感じることでしょう。
(2)どこをどう見ていいのかがわからない
空き家の管理といっても不動産のことや家のことなどあまりわからないといった人にはどこをどうチェックしていいのかといった点について悩むのではないでしょうか?
外部委託だとプロの目線で適切な提案の期待が持てますが、自主管理だと維持管理がうまくできていないといったデメリットが考えられます。
(3)いつまで管理するのかゴールが見えない
外部委託管理の場合、時には賃貸や売買といった次の有効活用について不動産会社からのアドバイスにも期待が持てます。
しかし、自主管理だとそのような情報を手に入れることはできません。
また、いつまで管理しておけばいいのかといったゴールが見えづらい点もデメリットといえるでしょう。
まとめ
空き家の管理はい外部委託がいいのか自主管理がいいのかは一概にはいえません。
空き家所有者の状況によって大きく外部委託における利用度の高さは異なります。
今回の記事でそれぞれのメリットやデメリットについて解説しました。
手間を省きたいならば外部委託が有利でしょうし、なるべくコストをかけたくないなら自主管理が有利といえます。
この記事を参考に、空き家管理についてしっかりと理解し判断しましょう。