空き家を建て替える場合の解体費用や手順・建替え以外の選択肢も解説
かなり築年数も古くなった空き家を建て替えようとする場合、なかなか実行に移せない原因のひとつがどのくらい費用がかかるかわからないという点です。
また、空き家を解体し建て替える理由のひとつとして自分たちが居住する目的といったケースも多いのではないでしょうか?
この場合、手順を段取りよくしなければ解体から建て替え、そして実際に居住するまでに余計な手間をかけることにもなってしまいます。
段取りよく手順を踏んで、空き家の解体から建て替えを行い効率良く住めるようにしなければいけません。
この記事では、空き家を建て替える場合の費用や手順、リノベーションとの比較といった点について詳しく解説していきましょう。
目次
空き家を解体、建て替えする前にチェックするポイントは?
まず、空き家を建て替えるときには決定する前にいくつかの注意点がありますので、しっかりとチェックしておく必要があります。
では、どのような点に注意して建て替えを行わなければいけないのでしょうか?
建替えを行う前にチェックするポイントについて解説します。
(1)解体や建て替えにかかるコスト
まず、前もってしっかり把握しておかなければいけないのが、解体や建て替えにかかるコストです。
単純に新築工事を行うのではなく、空き家を解体しなければいけませんので解体分のコストが単純な新築工事よりかかってしまいます。
また、建て替えに限ったことではありませんが、建て替えの工事だけではなく、外構工事などの付帯工事費用も計算しておく必要があるでしょう。
これらの費用をしっかりと把握し、資金計画を行った上で建て替えを決定する必要があります。
建て替え前に必ず行わなければいけない大事なチェックポイントのひとつです。
(2)建て替えができるエリアであるのかどうか?
空き家が古くなったからいって、建て替えが必ずできるかどうかはわかりません。
空き家を一旦更地としてしまうと建て替えができないことがあります。
このような物件を再建築不可物件といい、たとえ自分の土地でもあらたに住まいを建築することができません。
非常に多い原因のひとつとして空き家が建っているときにあった道路がなくなってしまい、建築基準法の接道義務を満たさなくなったことが挙げられます。
また、用途地域の区分が変わってしまい建物を建てられなくなったということも挙げられるでしょう。
このように空き家があるから同じように建て替えができる物件ばかりではありません。
再建築不可物件ではないかどうかについてもチェックが必要です。
(3)解体から建て替えまでのスケジュール
空き家の解体から建て替えまでのスケジュールもあらかじめきちんと組んでおく必要があります。
あまりにきついスケジュールを組んでしまうと、思わぬ事態への対応が難しくなってしまうでしょう。
しかし、あまりにもゆっくりしすぎてしまうと、仮住まいなどの家賃が余分な負担となってしまいます。
建て替えを行う業者さんと事前に打ち合わせを行い、無理なくスムーズに建て替えを行うスケジュールを前もって組んでおきましょう。
(4)リノベーションとの比較
解体し、建て替えとなってしまうと大きな費用がかかることは前述しました。
そのため、あらかじめ資金計画を行っておくことをおすすめしましたが、もうひとつチェックしておきたいのはリノベーションができるかを確認することです。
リノベーションを行うことができると、解体し建て替える方法よりもコストを抑えることができます。
再建築不可物件などは建て替えすることができません。
大幅なリノベーションによっても空き家を活用できますので、コストのバランスも考えて比較しましょう。
空き家を解体し、建て替えするまでの手順は?
解体前のチェックポイントについて解説しましたが次に必要となるのが、解体し建て替えするまでの手順です。
空き家の解体から建て替えまで、どのような手順を踏むとスムーズにできるのでしょうか?
ここからは、空き家の解体から建て替えまでの手順について解説します。
(1)解体、建て替えの見積もり依頼
まずは、見積もり依頼です。
どのくらいの金額がかかるのかをしっかりと把握しておかなければ、準備する資金など資金計画を立てることができません。
できれば見積もりは複数社からとって、解体や建て替えの相場をしっかりと理解しておきましょう。
誰もが、費用を抑えて建替えしたいと考えます。
複数から見積もりを受け取り、ベストのプランを選択しましょう。
(2)解体、建て替えプランの資金計画
見積金額が決まると資金計画を行いましょう。
どのくらいのローンを利用するのか?
贈与などを利用して建替えするのかといった資金計画を十分に立て、解体と建て替え工事を行う必要があります。
2~3社の建築会社から最も高い金額のプランで資金計画を建てることにより、どのプランでも対応することが可能です。
(3)建築会社の決定
建築会社を1社に選び請負契約を交わします。
解体業者と建築会社が違っても問題はないですが、一般的には解体から建て替えを同時に依頼することで金額を安く抑えることができるでしょう。
請負契約を締結する場合は、しっかり契約書の内容を確認し、気になる点などは前もって聞き取りしておくことをおすすめします。
(4)建築確認申請の提出と住宅ローン本審査の申し込み
建築確認申請を役所に提出し、あわせてローンの審査に向けた準備を行います。
確認申請が下りてからでなければ、ローンの本審査を受けることができません。
確認申請は、建築会社で行うにしろ書類の準備は自分で行う必要があります。
建築確認申請が下りた後ローンの本審査となりますので、建築申請が下りた後は、速やかに本審査の手続きに入ることができるよう準備は早めに行っておく必要があるでしょう。
ローンの本審査が下りた後、はれて解体工事の着手となります。
(5)仮住居への引越し
解体工事が始まる前に行うのが、仮住居への引越しです。
賃貸住宅を借りる場合は、短期的な契約となってしまいますので、なかなか仮住居が見つからない場合があります。
早めに不動産会社に依頼し、短期入居でも可能な物件を前もって探しておく必要もあるでしょう。
多少住まないのに家賃を払う期間があるかもしれませんが、短期的な契約は受け付けない場合も多いので、1ヶ月程度の家賃の二重払いは受け入れる必要があるかもしれません。
(6)解体、建て替え工事がスタート
解体や建て替え工事が始まってしまうと、そう動くこともありません。
しかし、解体や建て替え工事中は状況確認のために定期的に訪問した方がいいでしょう。
工期は順調に進んでいるのか?
近隣住民には大きな迷惑をかけていないか?
現場の監督さんが困っていることはないかといったことを注意しながら、定期的な訪問を行うといいでしょう。
(7)完成、引き渡し
建て替え工事が終わると引き渡しとなります。
仮住居の解約や引越しの手配などを行いましょう。
また、引渡し前には建築会社が行う竣工前検査により、修繕個所などがあれば前もって手直しを依頼します。
その後、問題なければ家の鍵を受け取り引き渡しです。
(8)引越し
引越しは引き渡し後翌日以降可能です。
引越しした後、解体や建て替えにより、近隣の人に迷惑をかけているかもしれませんので今後の円滑なお付き合いのためにも粗品などを配布することをおすすめします。
新たな住まいで快適な生活を楽しみましょう。
建て替えとリノベーション、空き家にはどちらがおすすめ?
解体と建て替え工事を同時に行う場合、どうしても費用面で大きな負担となってしまいます。
一般的な建築だけではなく解体工事の分コストがかかりますので、毎月の住宅ローン負担が大きくなる可能性があるのです。
そこで、解体・建て替えではなく、リノベーションによってコストを抑えるという方法が考えられます。
では、建て替えとリノベーションではどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
ここからは、建て替えとリノベーションのメリットやデメリットについて解説します。
(1)建て替えを行うメリット
建て替えのメリットとして、自分の希望に沿った間取りや、省エネ仕様など、自分の好みを通しやすいといったことが挙げられます。
全てゼロから自分の思い通りに決めることが可能です。
間取りも仕様も設計段階から決めることができます。
リノベーションはあらかじめ決まった間取りがあり、構造も以前の仕様を活かさなければいけません。
建て替えの大きなメリットといえるでしょう。
(2)建て替えを行うデメリット
デメリットは費用面です。
解体、建替えとなりますので費用が割高になりやすいといえます。
解体が始まってから仮住まいの引っ越し費用なども重なりますので、全体的に高額の費用となりやすいのです。
また、再建築不可物件だと建て替えができないといったデメリットも挙げられます。
(3)リノベーションを行うメリット
リノベーションのメリットは建て替えと比較すると費用が抑えられる点です。
まだ利用できる部分は有効活用し、解体を行いません。
解体、建て替えとは、費用面で大きな違いとなるといえます。
住みながらリノベーションすることも可能なので、仮住まいの費用なども節約できるケースがあることも費用面での大きなメリットといえるでしょう。
(4)リノベーションを行うデメリット
デメリットとしては、既にあるものを有効活用しながらの設計や建築となりますので、自由度が制限されてしまう点です。
建て替えはゼロから自分の思い通りにつくることができますので自由度は高いといえます。
自由度といった観点ではリノベーションは、建て替えよりデメリットとなりやすいといえるでしょう。
空き家の解体、建て替えの費用はどのくらいかかる?
では実際に解体から建て替え工事を行った場合の費用面について見てみましょう。
特に解体から建て替えとなると、それぞれに費用がかかりますので、個別の費用面での目安を理解しておくことがポイントです。
解体、建替え個別の費用面について解説します。
(1)解体の費用に関する目安
解体は、解体を行うエリアや土地の形状、住まいの構造などによって異なりますので、具体的な金額が分かりにくいといえるでしょう。
大まかな解体相場を構造別に表にまとめました。
構造 | 坪単価による解体工事の目安 |
木造 | 坪5万円前後 |
鉄骨造 | 坪7万円前後 |
鉄筋コンクリート造 | 坪8万円前後 |
強度が高い分、鉄筋コンクリート造が木造などに比べると割高になりやすいといえます。
しかし、前述しましたようにエリアや形状などによっても金額は大きく変わりますので見積もりなどで正確な金額を把握することは欠かせません。
(2)建て替えに費用の目安
建て替えに関しては以前の建物を全て解体し、更地となった状態から建築しますので、特段、余計な費用がかかるようなことはありません。
各ハウスメーカーが提供しているブランドや、施工会社によっても大幅に坪単価は異なります。
ローコスト住宅でもZEH仕様の住宅でも建築可能です。
土地の形状や接道状況などにより若干建築に制限がかかる場合もあります。
自分の予算に合わせてハウスメーカーや施工会社を選択しましょう。
できれば複数社から見積りをとって、自分の予算と望むライフスタイルに一番近いものを選ぶことをおすすめします。
まとめ
空き家の立て替えは、解体からのスタートとなりますので、リノベーションだけではなく一般的な建築よりも費用がかかる傾向です。
更に再建築不可の物件などもありますので事前の調査は絶対に欠かせません。
費用が高くなりやすいので十分な資金計画を立てた上で実行しなければ、見切り発車で進めてしまうと想定以上の費用がかかることも考えられます。
余分にかかった資金調達ができないとなると現在の住まいも無くしてしまうことにもなりかねないでしょう。
費用面をさえる抱負としてはリノベーションもありますので建て替えと比較し、それぞれのメリットデメリットから自分に合った方を選択しましょう。