田舎の実家を相続する場合の注意点・活用方法も解説
両親が亡くなってしまい、田舎の実家を相続している人や今後相続予定の人など、相続後に所有し続けることでどのようなことがあるのか不安な人も多いのではないでしょうか?
田舎の実家を相続し、その後特に利用していなければ、いくつかのコストがかかることや、その他にもいくつかのリスクが考えられます。
田舎の実家を相続した場合にはどのような注意点が考えられるのでしょうか?
また、田舎の実家を活用する方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、田舎の実家を相続した場合の注意点や活用方法などについて詳しく解説します。
住まなくなった田舎の実家を相続する場合の注意点とは?
誰も住んでいない田舎の実家を相続した場合、何もわからないまま相続してしまうと、のちのち大きな費用負担やさまざまなトラブルを抱えてしまう可能性が考えられます。
では田舎の空き家を相続するにあたり、どのようなことに注意しなければいけないのでしょうか?
ここからは、田舎の実家を相続する場合の注意点について解説します。
(1)税金や維持管理費用が定期的にかかってくる
田舎の実家を相続することにより、固定資産税や都市計画税の支払いが発生します。
固定資産税や都市計画税は、不動産の所有者にかかってくる税金です。
これらの税金は、地方自治体より課税される地方税で毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。
自治体により異なりますが、4月くらいに納税通知書が送付され、年間4回に分けて支払わなければいけません。
固定資産税や都市計画税は、所有している不動産の状況によって異なりますので一概にはいえませんが、なかには非常に高額な税金がかかります。
またこのような税金とは別に、維持管理費用も必要です。
建物のちょっとした修繕や、庭木の除草や剪定に関する費用が発生します。
これらのコストも定期的にかかりますので、安易に相続すると田舎の実家を所有しているために家計の負担が大きくなるといえるでしょう。
(2)老朽化が進み、住まいとして利用できなくなる
田舎の実家なので、なかなか行く機会がなくほったらかしにしてしまうと、老朽化が進みます。
家は人が住んで生活することにより老朽化を防ぎ、定期的なメンテナンスを同時に行うことで長く使用することが可能です。
しかし誰も住んでおらず、ほったらかしにしていると換気ができず、定期的な修繕も望めないことが多いでしょう。
そうなると老朽化が急激に進んでしまい、最終的には廃墟化してしまいます。
老朽化の程度がひどくなればなるほど、修繕の費用は大きくなってしまいますので、資産価値が大きく下落してしまうことにも繋がるのです。
廃墟化してしまうと住まいとしての利用はできなくなりますので、所有している意味がほとんどなくなってしまうことになります。
管理不備による老朽化によって資産価値が下落していく点も注意点として挙げられるでしょう。
(3)管理していかないと近隣ともめごとの原因となる
田舎の実家を相続し、管理面において不十分な面があると近隣とのもめ事を引き起こしやすくなってしまいます。
老朽化した空き家は、近隣住民の不安を高めてしまい、自分たちの家を売却する際のマイナス要因と感じてしまうかもしれません。
また、管理されていない空き家は、植木や草が伸び放題となってしまうことも考えられます。
そうなると植木が隣の家に侵入してしまい、葉っぱなどが隣の敷地に落ちて迷惑をかけてしまうでしょう。
また空き家から害虫や害獣が発生し、近隣へ入り込んでいくことも考えられます。
近隣住民には大きな迷惑となってしまうので近隣トラブルが非常に起こりやすい状態になってしまうのです。
これも田舎の実家を相続した場合の注意点としてしっかりと理解しておきましょう。
(4)特定空き家に指定されると色々な不具合が出てしまう
近年空き家の急増が社会問題化されており、空き家の適切な管理が今まで以上に求められています。
2014年に空き家対策特別措置法が施行され、空き家に関してさまざまな制限や罰則が与えられるようになりました。
特定空き家に指定された空き家は、行政に関する立ち入り調査や改善に関する助言や指導といった措置が行政から出されます。
それでも改善されない場合は、勧告といった措置が取られ、宅地に対する固定資産税の軽減措置から除外されることになるのです。
さらに改善が見られなければ50万円以下の過料や、最終的には行政代執行による解体などといった措置を受けることになってしまいます。
行政代執行にかかった費用などは所有者へ請求され、相続した田舎の実家を解体後、更地を差し押さえされる可能性もあるのです。
費用面での大きな負担となってしまうでしょう。
田舎の空き家を相続放棄する場合の注意点とは?
田舎の実家をあまり考えずに相続してしまうと、費用面などにおいて大きな負担となる場合があることを前述しました。
田舎の実家を相続しても誰も住まない場合やうまく活用できない場合は、相続せずに放棄してしまうことも可能です。
しかし、相続放棄においてもいくつかの注意点があります。
相続放棄ではどのようなことに注意しなければいけないのでしょうか?
ここからは、田舎の実家を相続放棄した場合の注意点について解説します。
(1)相続放棄とは
相続放棄とは、自分が相続する予定の遺産を相続せずに放棄することができることを指します。
遺産は、プラスの財産だけではなく、借金などマイナスの遺産も財産として相続しなければいけません。
つまり、マイナスの遺産を相続したために大きな返済を負う責任を持つこともあるのです。
今まで何の借金もなく普通に生活していた人が、相続によって借金を背負うようになってしまうと非常に割が合わないと感じるのではないでしょうか?
マイナスの借金を背負うことがないように相続人には相続放棄する権利が与えられています。
相続放棄によってマイナスの財産を背負うことなく今まで通りの生活を行うことができるので、マイナスの遺産が多い場合によく利用されている方法です。
(2)田舎の実家だけ放棄するということは可能?
親の遺産が多いので、相続放棄をしたくないが、田舎の実家だけは相続したくない場合、田舎の実家だけ相続放棄するといった方法はとることができるのでしょうか?
相続放棄は、相続予定となっている全ての財産を放棄しなければ相続放棄はできません。
つまり、田舎の実家だけ相続放棄するということは不可能です。
一部の財産だけを相続する方法を限定承認といいます。
限定承認とはマイナスの財産だけを受け取らないようにすることができる相続方法です。
しかし田舎の実家はマイナスの財産ではありませんので、限定承認でも田舎の実家だけ相続しないといったことはできません。
どうしても田舎の実家を相続したくなければ、相続する予定すべての財産を放棄しなければいけませんのでしっかりと理解しておきましょう。
(3)相続放棄しても管理責任は残る場合がある
相続放棄した場合、田舎の実家は他の相続人が相続することになります。
この場合、管理責任は相続した人が負うことになりますので、相続を放棄した人は影響を及ぼしません。
しかし、相続人全員が相続放棄してしまった場合、財産は国庫に帰属します。
この場合、国が管理責任を負うのかというと基本的に相続放棄して国庫に帰属しただけでは、国は空き家を管理しません。
管理責任は、相続放棄した相続人が負うことになります。
管理責任まで放棄する場合は、家庭裁判所で相続財産管理人を選任してもらわなければいけません。
基本的には家庭裁判所が弁護士を相続財産管理人として選任しますが、相続財産管理人の選任には費用がかかります。
一般的には20万円~100万円程度の予納金が必要となりますので、相続放棄するだけでは管理責任が残る場合があることをしっかりと理解しておきましょう。
(4)相続放棄の意思表示には期限がある
相続放棄はいつでもできるのかといえばそうではありません。
相続放棄には期限が定められています。
相続が開始されたことを知った日から3ヶ月以内に相続放棄の手続きを取らなければ相続放棄は認められません。
相続放棄の意思表示には期限がありますので、早めに相続するのか、放棄するのかを決めておく必要があります。
田舎の実家を相続して活用する方法は?
相続した田舎の実家をうまく活用できずに相続したとしても持て余してしまうといった人が多い中、うまく活用することで、収入が増えるケースもあります。
田舎の実家を相続した場合、どのような活用方法があるのでしょうか?
ここからは田舎の実家を相続したときの活用方法について解説します。
(1)賃貸に出して募集する
賃貸に出して募集することが活用方法のひとつです。
入居者があなたに代わって部屋をチェックし、修繕などの不具合に関しては、入居者から連絡が届きますので、修繕の対応も空き家の状態よりも早く対応できるでしょう。
また、家賃収入を得ることができますので、固定資産税の支払いや修繕費用のコストも家賃収入の中から支払うことができます。
改装費用など初期投資が必要ですが、借主が現れたら定期的な家賃収入を得ることが可能です。
賃貸に出して家賃収入を得る方法が最初に挙げられる活用方法といえるでしょう。
(2)解体・更地にして駐車場経営
賃貸としての需要がない場合は空き家を解体し更地にした上で活用する方法が挙げられます。
解体することで空き家の管理を行う必要がなくなります。
空き家の管理にかかってくる維持管理費用の発生がなくなり、その更地を駐車場として貸し出すことにより、これも賃料収入を得ることが可能です。
解体し更地にすることによって宅地並み課税ではなくなるので固定資産税は増額します。
しかし建物部分の固定資産税が無くなり、賃料収入が得られますので、これも効果的な活用方法といえるでしょう。
(3)農地として貸し出す
賃貸の需要もなく、更地にしても駐車場の需要がない場合も考えられます。
誰も住まない田舎の実家に対する維持管理費用や税金などコストばかりがかかってしまい費用と労力が負担となるでしょう。
このような場合、空き家を解体し、農地として貸し出す方法をとることができます。
いくつかの申請が必要にはなりますが、農地にすることで固定資産税の大幅な減額が可能です。
また、空き家の賃貸や駐車場より収入は低いのですが、家賃収入を得ることができます。
空き家の維持管理コストがなくなり、固定資産税も減額した上に収入を得られるので農地として貸し出す方法も効果的といえるでしょう。
まとめ
田舎の実家を安易に相続してしまうと、さまざまなリスクなコストがかかる可能性があることを述べてきました。
田舎の実家を相続しても、全くメリットがないと思う場合は、相続放棄を行うことも効果的です。
ただし、相続放棄しても管理責任が残ることもありますので、相続放棄もしっかり調べた上で行うことをおすすめします。
田舎の実家には、賃貸で貸し出すことにより新たな収入源を確保することも可能です。
この記事を参考に活用方法を考えてみてはいかがでしょうか?