空き家の解体費用が払えない場合の対処法・他の方法は?
実際に住んでいない空き家を相続などで取得した場合、相続人が空き家管理の責任を負う必要があります。
しかし、なかなか定期的に出向けず管理ができない場合、いっそのこと解体してしまおうと考える人も多いのではないでしょうか?
この場合、最も気になる点が解体費用です。
一般的に、どの程度の解体費用となるのかわからない人も多いのではないしょうか?
実際に解体の見積もりを取ってみると想定より高額でとても払えないと感じかもしれません。
では実際に空き家を解体する場合、解体費用はどのような面で違いが出るのでしょうか?
また、解体費用を安くするにはどのような方法が考えられるのでしょうか?
この記事では空き家の解体についてコスト面や解体以外の方法について詳しく解説します。
空き家の解体費用が払えない 費用が異なる場所は?
空き家などの解体費用は物件によっても異なりますので、一概にはいえません。
つまりさまざまな状況によって解体費用は異なっており、隣で行った解体費用が全く参考にならないといったことも考えられます。
では、空き家の解体においてそれぞれ費用が異なるのは、どのような点なのでしょうか?
ここからは解体費用が異なる部分について解説します。
(1)構造によって費用が異なる
建物の構造によって大きく必要は異なります。
構造とは、空き家がどんな材質で建築されているかということです。
一般的には、木造、軽量鉄骨、鉄筋コンクリートなどが挙げられます。
木造よりも鉄筋コンクリート造の建物が、解体費用は高いといえるでしょう。
コンクリートの場合、木造よりも多くの機材が必要だからです。
軽量鉄骨は木造と鉄筋コンクリートの中間程度の費用と考えておくといいでしょう。
また、平屋住宅よりも2階建て、3階建ての住宅が解体費用は高くなる傾向です。
ただし場合によっては平屋住宅の方が、2階建てよりも解体費用が高い場合があります。
これは平屋の場合、屋根や基礎にかかる部分が多くなることがあるからです。
まずは、自分が所有する空き家の構造がどうなっているのかを確認しておきましょう。
(2)立地によって費用が異なる
立地によっても解体費用は大きく異なります。
どのような立地に空き家があるのかという点です。
例えば隣接する道路も広く、解体に支障がない程度の広さが敷地にある空き家であれば、余計な費用負担をすることはありません。
また、隣家との距離も解体費用に反映するポイントのひとつです。
逆に、隣接する道路が狭い、道路がない、勾配が激しいといった立地に空き家がある場合、重機の搬入ですら難しい場合があります。
この場合、手作業で解体作業を行わなければいけないこともあり、隣接する道路が広い場合とは費用と手間が大きく異なるでしょう。
場合によっては交通の誘導整理を行う人員を配置する必要があるかもしれません。
さらに、隣家との間が密着している場合は、隣家に迷惑を及ぼさない対策にコストがかかります。
立地も解体費用に大きく関係する項目です。
(3)解体業者によって費用が異なる
解体業者によっても大きく解体費用は異なります。
例えば、自分の空き家解体に必要な重機を所有しているかどうかなどでも費用は異なります。
空き家から距離的に遠い解体業者などでは、移動費に余分な費用がかかるかもしれません。
解体業者によって、解体工事における項目ごとの単価が異なりますので、解体業者が苦手としている解体の内容ならば余計な費用を請求されるかもしれないでしょう。
解体業者の解体内容によっても大きく費用面は異なりますので、見積書の内容をしっかりと確認しておく必要があります。
(4)付随工事費によって費用が異なる
空き家の解体は家だけではなく、外構に関わる部分にも解体作業が必要です。
フェンスやブロック塀、駐車場のカーポートといったものが外構部分に設置していると、これらにも解体費用がかかります。
このような空き家以外にかかる部分が付帯工事費です。
また、庭に立派な樹木がある場合なども解体にはコストがかかる要因となってしまうでしょう。
付随工事に関するものが多ければ多い程、解体費用に加算され解体費用に影響します。
同じような場所で、同じような建物でも付随物の内容によっては解体費用には大きな違いが出るのです。
空き家の解体費用が払えない 安く解体する方法は?
上記で解説したように、解体費用はさまざまな要因で大きく異なります。
実際に解体費用の見積もりを取ったとしても状況によっては、想定よりも大きく異なることになるでしょう。
では、実際に解体費用の見積もりが想定以上に高かった場合、どのような方法をとればコストダウンが図れるのでしょうか?
ここからは解体費用を安く上げる方法について解説します。
(1)複数の業者から見積もりを取る
解体を行う場合の流れとして最初に行うのが、見積もりを解体業者に取ることです。
ここで、ある程度金額を把握することができますが、見積もりは1社だけではなく、複数の業者さんからとることで解体費用が安くできる場合があります。
1社だけの見積もりの場合、その解体費用が妥当なのかどうかがわかりません。
複数の解体業者から見積もりを取り、金額や内容をきちんと比較することで、解体費用を安く上げることができるでしょう。
(2)荷物はなるべく整理する
解体するからといって、家財などを余分に残しておくと、その分だけ解体費用が上乗せされてしまうことになります。
前述したように解体費用には付随工事費が大きく影響します。
家財なども重機でかんたんに処分することはできるのですが、廃材の量が増えることになり解体費用に加算されることに繋がるのです。
なるべく、家財などの荷物は自分たちで処分することをおすすめします。
近年では中古品であっても、リサイクルショップやインターネットなどにより売却できるかもしれません。
そうなると、コストがかかるのではなく、収入が入る可能性もあります。
家財などが残っていると、解体の日数が余分にかかる場合があり、これも解体費用が高くなる要因です。
処分できる荷物はなるべく自分たちで処分しましょう。
(3)閑散期に依頼する
解体は時期によって繁忙期があります。
1年間一定の仕事量という訳ではなく、一般的に10月~12月は解体の依頼が多く、解体業者は非常に忙しい時期に入るため、解体費用も高くなりがちです。
どうしても解体業者の繁忙期に解体する必要性があるならば仕方ありません。
しかし時期にこだわらないのであれば、繁忙期は避けることで費用の減額交渉なども比較的やりやすいといえます。
繁忙期に解体を依頼し、減額交渉を行っても仕事自体を断られる可能性も高く、減額は非常に難しいでしょう。
解体業者の繁忙期はなるべく避けることで解体費用の減額交渉がやりやすくなり、費用を抑えることができる可能性が高くなります。
(4)1月1日以降に解体する
1月1日以降に解体を行うことにより解体費用ではありませんが、固定資産税が高くならない状態で売却することが可能です。
家が建っている場合、土地の固定資産税は住宅地の軽減措置が適用されていますので、宅地以外の土地における固定資産税の1/3もしくは1/6まで減額されています。
つまり解体してしまうと土地の固定資産税が3倍若しくは6倍になるのです。
土地に家が建っているかどうかは1月1日時点に家が建っていかどうかで判断されますので、1月1日以降の解体だと土地の固定資産税は宅地がある状態の金額となります。
解体費用自体ではありませんが解体による余分なコストを抑えるのに効果的な方法です。
(5)自治体の補助金を利用する
近年、管理が満足になされていない空き家が増えていることが社会にも大きく影響を及ぼしています。
自治体もこの空き家問題を何とか解消しようと解体に対し補助金をだして、解体を促進しようとしているのです。
全ての自治体が補助金を出しているわけではありませんので、空き家があるエリアで解体の補助金を出しているかどうかを確認するといいでしょう。
空き家の解体費用が払えない場合 解体以外の活用について
ここまでは、空き家を解体する場合に費用が変わる要因や安く上げる方法について解説しました。
しかし、なかにはどうしても解体費用が捻出できないとなると、そのまま放置しておく原因にもなりかねません。
では、解体以外にはどのような方法が考えられるのでしょうか?
ここからは解体以外の活用方法について解説します。
(1)解体しないで売却する
現状のまま売却することで解体費用のコストを省くことができます。
解体費用分の減額交渉があるかもしれませんが、自ら解体費用を支出することなく現金化することが可能です。
空き家の傷み具合がひどく、空き家自体を活用しにくい場合などは効果的な方法といえるでしょう。
(2)ローンで分割返済する
解体もローンを組んで分割返済することができます。
金融機関の審査がありますので必ずローンが組めるわけではありませんが、一括で大きな費用負担をすることがありません。
(3)賃貸に出す
空き家の立地などにもよりますが、賃貸に貸し出して家賃収入を得ることも効果的な方法です。
入居者が室内の管理などを行いますので、空き家状態のままで残すよりも維持管理に繋がります。
近年ではスローライフを希望する人も多く、田舎の古い家でも賃貸の需要が増えています。
最初に内装費がかかる場合がありますが、解体費用以上にかからないのであれば、賃貸に出す活用方法も効果的でしょう。
(4)不動産会社に買い取ってもらう
田舎の空き家などは、売買市場に出しても売却に時間がかかるかもしれません。
早く手放したい場合などは不動産会社に買い取ってもらう方法も考えられます。
売買市場に出さず、不動産会社が活用する目的で、直接不動産を購入する方法です。
すぐに買い取ってもらえ、仲介手数料などを払う必要はありませんが、売買市場で募集する金額よりも安い金額での買い取りとなってしまいます。
すぐに手放したい場合などや、売れない場合などには効果的な方法です。
(5)自分たちで住む
自分たちで住んでしまう方法も考えられます。
所有する空き家近くに住んでいる場合や、現在賃貸に居住している場合などは自分たちで住むことで家賃を払う必要がなくなります。
自分たちが住むこと方法は、空き家を最も有効活用できるといえるでしょう。
(6)きちんと管理した上で物置として活用する
自分たちが住むには距離が遠い、先祖代々の家なので何とか保存したいといった場合にはきちんと管理した上で物置として利用してはいかがでしょうか?
管理を怠ってはいけませんが、自分たちの所有物が空き家にあるとなると、管理に対しても身に入るところでしょう。
防犯面や管理面をしっかりと行うことを前提とした上で、物置としての利用も効果的です。
まとめ
空き家の解体は、構造、立地、扱う業者、付随設備などによって大きく異なります。
まずは、解体業者に見積もりを依頼して金額を把握しなければいけません。
複数の見積もりや、なるべく自分たちで片付けることなどにより、解体にかかるコストを抑えることが可能です。
どうしても解体費用が捻出できない場合の活用方法などもこの記事で解説していますので、是非参考にしてはいかがでしょうか?