空き家の換気扇はつけっぱなしにしておくべき?メリットと注意点を解説
空き家の管理に非常に重要なポイントといわれるのが空気の入れ替え。
空気の入れ替えを定期的に行わなければ、建物の傷みが早くなってしまうといわれています。
空き家を定期的に管理し、空気の入れ替えを行うのに重要な役割を果たすのが換気扇です。
なかなか空き家に訪問できないと悩んでいる人は、せめて換気でもと思い換気扇をつけっぱなしにしているケースもあるようです。
では換気を行わなければ、空き家にはどのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか?
また、換気扇をつけっぱなしにしておくメリットや注意点にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では空き家の管理と換気扇の関係性について詳しく解説します。
目次
空き家の換気扇にかかわるトラブルには何がある
まずは、空き家管理の中において定期的な訪問ができず換気ができない場合や、換気扇を使っていない場合に起こりやすいトラブルを知っておくことで、換気の重要性をしっかりと理解しておかなければいけません。
換気扇を使わないことによるトラブルについて詳しく解説します。
(1)湿気がこもりカビが生える
換気扇を使用せず、十分な換気が行えない空き家は、新鮮な空気の入れ替えができません。
室内の空気が、空き家にこもったままになってしまいます。
このような状態になってしまうと、空き家には湿気が充満している状態になるのでしょう。
湿気が多い状態は木材などに大きなダメージを与えてしまう要因となってしまいます。
木材に水分が溜まりすぎ、腐食などを発生させることになってしまうでしょう。
また、湿気はカビを発生させることにも繋がります。
水分が溜まった木材にカビが発生してしまうことや、畳などにもカビが発生しやすくなってしまうでしょう。
カビは不衛生な状況だけではなく、畳の交換などの修繕費用もかかってくることになりますので管理面に大きな悪影響となります。
カビが起こりやすくなる点がトラブルのひとつです。
(2)ホコリがたまりダニなどが発生する原因となる
換気扇を十分に使用せず、空気の入れ替えを行わなければ、家の中にあるホコリがたまってしまうことにもなるでしょう。
ホコリは誰もいなければ発生しないわけではなく、空気中に浮かんでいるものが外部に排出できずにホコリとなってしまうケースもあります。
ホコリがたまった空き家にとって、もっとも環境がよくなる状態となるのがダニなどの害虫です。
花粉などもホコリの要因となり閉めっぱなしとなっていても、隙間からこれらホコリの要因が空き家に侵入します。
ホコリや湿気がこもった部屋はダニが好む環境となりますので、ダニなどの害虫がたくさん繁殖する要因となるのです。
(3)害虫や害獣も発生しやすくなってしまう
ダニなどの発生はさらなる害虫や害獣を呼び寄せる原因に繋がります。
カビやダニを食べにゴキブリなどが発生し、さらにネズミが発生するといった悪循環に陥行ってしまうことが考えられるのです。
ダニやカビだけではなくゴキブリやネズミまで発生するとなると、さまざまな病原菌をまき散らしてしまう可能性も考えられます。
さらにネズミが壁や柱をかじり建物自体に大きなダメージを与えるかもしれません。
建物自体の価値がどんどん下落してしまう要因になってしまうといえるでしょう。
空き家の換気扇をつけっぱなしにしておく費用は?
なかなか空き家に訪問できないので、換気扇をつけっぱなしにしておこうと考える人も多いのではないでしょうか?
ここで気になるポイントが換気扇をつけっぱなしにしておくことに対する電気代です。
換気扇は、キッチン、トイレ、お風呂などいくつかの箇所に設置されています。
これらの電気代がつけっぱなしにしておくとどのくらいかかるのかについて解説しましょう。
(1)キッチンの換気扇代
キッチンにある換気扇は、キッチンででやすい湿気や調理中の脂分などを屋外に排出することを目的として設置されています。
換気扇を弱設定にして使用した場合、一般的に30w程度の電力を消費しますので、30wで1ヶ月間つけっぱなしにしていた場合の電気代を計算しましょう。
1時間あたりの電気料を27円/kwhとします。
30w=0.03kwですので
0.03kw×24時間×27円/kwh×30日=583円
1ヶ月あたり600円に満たないくらいの電気代がかかることがわかります。
(2)トイレの換気扇代
トイレは臭気や湿気がこもりやすい環境ですので、トイレの換気扇は湿気を輩出するために設置されています。
トイレの換気扇はそう電力が強いものを使用されているわけではありません。
一般的には3w程度の電力が使用されています。
では先ほどと同じように1ヶ月間つけっぱなしにしていた場合の電気料を計算してみましょう。
3w=0.003wですので
0.003kw×24時間×27円/kwh×30日=58.3円
1ケ月あたり60円に満たないくらいの電気料となります。
前述したキッチンの換気扇と比較すると1/10程度ですので、1ヶ月つけっぱなしにしてもほとんど負担がないといえるでしょう。
(3)お風呂の換気扇代
次にお風呂の換気扇について計算します。
お風呂は、最も湿気や水分が溜まりやすく、換気扇を使用しなければ、すごくカビが発生しやすい箇所といえます。
一般的に、お風呂の換気扇に使われている換気扇の電力は15w程度です。
お風呂の換気扇も同様に1ヶ月分の電気料を計算します。
30w=0.015kwですので
0.015kw×24時間×27円/kwh×30日=291円
1ケ月あたり300円に満たない金額が発生することになります。
カビなどが発生してしまうと、除去するのにもさらに費用がかかることになるでしょう。
300円程度のコストであるならば、つけっぱなしにしておくのも修繕コストを回避することになるといえるでしょう。
(4)24時間換気システムの換気扇代
マンションなどには特に多いのですが、近年、戸建て住宅にも積極的に設置されているのが24時間換気システムです。
部屋にある全ての換気扇が上部で一つにまとまっており、換気扇のスイッチをオフにしていても常に微弱の換気を続けています。
最近設置されているケースが多いので省エネ使用になっている点も24時間換気システムの特徴です。
1ヶ月の電気代は部屋の広さや使用している換気扇によって異なりますので、一概にいえませんが、一般的には1ヶ月間使用したとしても500円程度といわれています。
先ほど、単体での換気扇電気料について計算しましたがすべての換気扇をつけっぱなしにしているよりも24時間換気システムを使用した方がコストは安いといえるでしょう。
空き家の換気扇をつけっぱなしにしておくメリットは?
空き家の管理が十分にできず、換気ができていないと建物に悪影響となることを解説しました。
実際に換気扇をつけっぱなしにしていてもそう大きな電気代にはなりません。
換気扇をつけっぱなしにしておくと、どのようなメリットを受けることができるのでしょうか?
ここからは、換気扇をつけっぱなしにしておくことのメリットについて解説します。
(1)湿気がこもりにくくカビの発生を抑える
湿気がこもりにくいという点が挙げられます。
定期的な換気ができなければ、湿気がカビや木材を痛める原因になるのは前述しましたが、このような状況を防ぐために、換気扇をつけっぱなしにしておくことは効果的です。
換気扇をつけっぱなしにしておくことで空気の入れ替えを行い、空き家のダメージを抑える効果に期待ができます。
(2)ホコリがたまりにくい
ホコリが溜まりにくくなる点も挙げられます。
常に新鮮な空気を送り込むと同時に家の空気も輩出しますので、ゴミの原因となる空気中の汚れがこもりにくくなるのです。
ホコリを溜めにくくすることで害虫や害獣の発生を防ぎ、空き家をきれいな状態に保つことができます。
これも換気扇をつけっぱなしにしておくメリットといえるでしょう。
(3)悪臭を外に逃がし臭いがこもらない
空き家状態が長く続くと、配管の中やトイレの便器に溜まっている水分が蒸発しなくなってしまいます。
すると、下水道のにおいが空き家の室内に上がってきてしまい、悪臭が発生する要因となってしまうのです。
換気がされていなければ悪臭が家中に充満してしまいます。
この状況が長く続いてしまうと、悪臭がこびりついてしまい、掃除してもなかなか悪臭が抜けないといったことにもなるでしょう。
換気扇をつけっぱなしにしておくことで、空気の入れ替えを行うことができます。
室内の悪臭をともなった空気を外部に排出し、内部に新鮮な空気を入れ続けることができますので、これもメリットといえるでしょう。
(4)シックハウス対策に繋がる
もともと24時間換気システムが導入され始めた経緯は、建材から発生する化学物質などが、室内に密集することを防ぐために設置されています。
建材から出る化学物質が充満してしまうと人体に悪影響となってしまうので、シックハウス症候群を発症する原因となってしまうのです。
換気扇をつけっぱなしにしておくことで、建材からでる化学物質を外部に排出する効果がもたらされます。
24時間換気の代わりとして、換気扇をつけっぱなしにしておくことは効果的といえるでしょう。
空き家の換気扇をつけっぱなしにしておく際の注意点
空き家の換気扇をつけっぱなしにしておくことはメリットばかりではありません。
注意点もありますので双方をしっかりと理解した上でつけっぱなしにしておくかどうかを判断する必要があるでしょう。
ここからは、換気扇をつけっぱなしにしておくことの注意点について解説します。
(1)電気代がかかる
電気代がかかってしまう点がデメリットとして挙げられます。
先ほど、1ケ月あたりの電気代を計算しました。
そこまで大きな費用負担とはなりません。
しかし、定期的に訪問し空気の入れ替えなどをマメに行えば、換気扇をつけっぱなしにしておくことのコストは防ぐことができます。
コストが少ないながらもかかってしまう点がデメリットとなるでしょう。
(2)換気扇が壊れるかもしれない
換気扇が破損してしまうことも懸念材料です。
一般的に換気扇の耐用年数は15年程度といわれています。
しかし、換気扇をつけっぱなしにしておくことにより、耐用年数はもっと短くなってしまい、修繕や交換の期間が短くなる可能性もあるでしょう。
換気扇の交換費用といったコストが普段よりも余計にかかってしまうかもしれません。
(3)管理に出向かなくなってしまう
換気扇をつけっぱなしにしておくといった安心感から、管理に出向かなくなる可能性も考えられます。
定期的な管理はなにも換気を行うためだけではありません。
その他にも、さまざまな点を管理する必要がありますが、管理に出向かなければ換気以外の問題で空き家の劣化が急速に進むことも考えられます。
これもデメリットとなる要因です。
まとめ
結局、換気扇はつけっぱなしにしておく方がいいのでしょうか?
24時間換気システムが設置されているならば、24時間換気システムは空き家状態でも常に作動しておいた方がいいでしょう。
単体で換気扇がある場合は、場所などを限定してつけっぱなしにしておくことも効果的です。
また、空き家に出向く期間がどうしても長くなってしまう場合などはその時期にだけ換気扇をつけっぱなしにしておくなどしておくこともいいでしょう。
状況に応じて使い分けることにより換気扇をつけっぱなしにしておくことのメリットを効果的に受けることができます。