空き家の通水は必要?行わない場合のダメージについて解説

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空き家 通水

空き家状態の住んでいない家を所有している場合、気になる点が水道契約を継続するかどうかといった点です。

水道は契約を継続していると使用しなくても、基本料金を支払わなければいけません。

基本料金を払いたくないからといって空き家の水道は契約を停止してもいいのでしょうか?

契約を廃止するということは、今後空き家の通水は行えないということになってしまいます。

では、空き家の通水を行わなければ、どのようなリスクを負ってしまうのでしょうか?

この記事では、空き家の管理における通水を行う必要性や、空き家の通水ができない場合の対処方法といった点について詳しく解説します。

空き家の管理で通水を行わないとどうなってしまう?

空き家を管理する中で、通水は非常に必要な作業で、通水を行わなければ空き家にダメージを与えることがあります。

空き家の通水を行わなかった場合に考えられる空き家への影響について解説します。

(1)水道管に錆が出て破損しやすい原因となる

長期間、空き家状態で水道を使用していない場合、水道管に錆が発生し破損の原因となる場合があります。

よく、長期間水道を使用しておらず、久しぶりに水道の蛇口をひねると赤水が発生しますが、これは水道管に発生している錆がはがれ赤い水となって流れ出ているのです。

錆がはがれてしまうと、水道管に穴が開き、漏水が起こる原因になります。

また、排水管も同様です。

排水管の場合は、漏水が起こってしまうと、周りの土をはぎ取ってしまい勾配が取れず、排水が逆流してしまうかもしれません。

水道管の漏水や勾配が取れないといった現象が起こってしまうと、修理や交換を行う必要があります

多額の修理費となる場合がありますので、通水を行わない空き家への悪影響といえるでしょう。

(2)封水トラップ内の水がなくなり悪臭がこもる

排水管や給水管には封水トラップがあり通水を行うことにより、自然と封水トラップに水が溜まります。

封水トラップに水が溜まっているとどのような効果があるのかといえば、悪臭を防ぐ効果をもたらしているのです。

排水管は下水道管に直結していますので、封水トラップがなければ悪臭が室内に上がってきます。

封水トラップの水が、悪臭に対し蓋をする役割を果たし、通常使用している場合は悪臭が上がってくることがありません。

しかし、空き家状態により通水を行わなければ水が蒸発し、封水トラップ内の水がなくなりますので悪臭が上がってきてしまうでしょう

しばらく空き家に立ち入らなければ悪臭がこびりついてしまい、ちょっと換気したくらいでは臭いが取れないといったことにもなりかねません。

これも通水をしない場合の悪影響のひとつです。

(3)害虫が発生し建物が破損する

先ほど解説した封水トラップにはもう一つの役割があります。

封水トラップに水を溜めることで悪臭が上がるのを防ぐ以外に、ゴキブリなどの害虫が下水から上がってくることを防ぐ役割も果たしているのです。

ゴキブリやねずみといった害虫が下水管から上がってくることにより、

  • 病原菌をまき散らす
  • 柱などの木材をかじって空き家に傷がつく

といった悪影響を及ぼす可能性が考えられます。

害虫の発生は、悪臭よりも空き家自体に直接的なダメージを負うことになりますので、大きな悪影響になるといえるでしょう

(4)特定空き家に指定される可能性もある

通水がされない空き家ということは、定期的に立ち入りしておらず、管理が不十分な空き家であることが想定されます。

近年、空き家問題が徐々に深刻化しており、空き家に対する早急な対策が必要なため2014年に施行されたのが空き家対策特別措置法です。

空き家対策特別措置法により、管理されていないと行政から判断された空き家は、特定空き家に指定されてしまい、さまざまな罰則を受ける可能性が考えられます。

罰則としては、

  • 固定資産税の宅地並み課税から適用除外される
  • 50万円以下の過料が科せられる
  • 行政代執行による解体

といったことが考えられます。

特定空き家に指定されるとデメリットが非常に大きいので、通水なども含む定期的な空き家管理が必要なのです。

空き家の適切な通水ってどうしたらいいの?

空き家に関して水道契約を停止して通水しなくなってしまうと、空き家に対してさまざまな悪影響を及ぼすことがわかります。

では、実際に空き家の管理において適切な通水とはどのようなことを行えばいいのでしょうか?

ここからは適切な通水の方法について解説します。

(1)水道契約は必ず継続しておく

空き家管理において通水は、とても大切な管理であることが前章などからも判断できます。

つまり、空き家で定期的に通水を行うことは維持管理に繋がるといえるのです。

水道契約は必ず継続しておき、空き家を訪問した際には、通水を行う必要があります

マメに訪問したとしても水道契約を停止しているために、通水ができないとなってしまうと、訪問したとしても空き家の管理がきちんとできているとはいえないでしょう。

水道契約は空き家とはいえ必ず継続しておき、空き家に関してきちんと管理できる体制を整えておく必要があります

(2)定期的に空き家に訪問し通水を行う

水道契約を停止していなかったとしても、空き家に訪問し、通水しなければ意味がありません。

水道契約を継続しているだけでは勝手に水道が流れているわけではないのです。

定期的に訪問し、通水を行う必要があります。

一般的に最低でも1ヶ月に1度以上は訪問し通水を行うと、水道管の中や封水トラップの中にある水が蒸発することなく、定期的に水を注入できるでしょう。

ただし夏場などは、水が蒸発する期間も短くなってしまいますので、夏場はもっと頻繁に空き家を訪問し、通水を行う必要があります

水が蒸発しない程度に適切な通水を行わなければいけません。

(3)水漏れや赤水の発生を確認する

空き家を訪問し、通水の必要性について前述してきましたが、ただやみくもに水道栓をひねるのではなく、通水した後の状況をきちんと確認しておく必要があります。

チェックするポイントは以下の点です。

  • 通水したときに赤水が発生していないかどうかのチェック
  • 通水したときに以前と水量など変化がないかのチェック
  • 通水した水がきちんと排水されているかどうかのチェック
  • 通水したときにどこか水漏れしていないかどうかのチェック

このような確認を通水時に行うことで、水道管や配水管の不具合をチェックすることができます。

また、あわせて空き家の適切な維持管理も行うことになりますので、通水する場合はこれらのチェックを行いましょう。

(4)全ての箇所を通水する

通水を行う箇所は一ヶ所だけではありません。

必ず、水道が引いてあるすべての場所に対して通水を行う必要があります

水道管はそれぞれ水道管ごとに分岐しており、1ヶ所だけ行っても全ての水道管をカバーできません。排水管も同様です。

主に通水を行う箇所として挙げられるのが

  • 台所
  • お風呂
  • 洗面所
  • トイレ
  • 洗濯用

などです。

空き家にある全ての水道に対して通水を行いましょう。

空き家の通水ができない? 管理ができない場合の対策とは?

前述したように、空き家の通水も含めた訪問は最低でも1ヶ月に1度程度。

夏場などはそれ以上の頻度で空き家を訪問し、通水を行う必要があります。

では、通水も含む空き家管理においてなかなか訪問できる時間がない。

つまり管理に手が回らない場合は、どのような対策を講じればいいのでしょうか?

ここからは、通水など空き家管理ができない場合の対策について詳しく解説します。

(1)空き家管理契約を行う

自分たちで頻繁に訪問できない場合など、不動産会社の空き家管理サービスを利用する方法が考えられます。

近年の空き家に対する警戒感などから、不動産会社が新たに提供しているサービスが空き家管理サービスです

定期的に不動産会社の担当者が空き家に訪問し、換気や通水、修繕が必要な個所などを発見し、所有者に報告します。

費用は、不動産会社によって異なりますが一般的には1ヶ月1万円程度のケースが多いでしょう。

どうしても自分たちで出向けない場合、コストはかかりますが空き家管理サービスを利用することも効果的な方法です。

(2)賃貸にして貸し出す

賃貸にして貸し出す方法が考えられます。

ここまでの通水に関する点に関しても入居者が存在すると、いつでも水道を使用することになりますので、自らが出向いて通水を行う必要がありません。

さらに、空き家は所有しているだけでも固定資産税や維持管理のメンテナンス費用といったコストが発生します。

これらのコストに関しても賃貸に出すと家賃収入を得ることができますので、家賃収入の中からこれらのコストを賄うことが可能です。

その空き家が、賃貸需要があるのかどうか?

空き家の手直しに当初、一定のコストがかかるといった問題はありますが、賃貸に出すことで自らが管理に出向く手間を省くことができます。

(3)売却する

なぜ空き家を所有しているかといった理由のひとつに、実家などが空き家になっているケースがあり、なかなか手放せないという事情などが考えられます。

そのような事情も踏まえ、所有し続けることに関し特に利用方法がない場合などに関しては売却してしまうのも効果的な方法です。

所有し続けることにより通水などの管理に出向く必要があり、さらに固定資産税などのコストを払い続けなければいけません。

売却することにより、このような手間やコストから逃れることができる上に一定の現金収入を得ることもできます。

いっそのこと売却し、現金化する方法も通水などの手間から逃れることができる効果的な方法でしょう

(4)解体する

通水などを行う必要性には空き家が傷んでしまい、資産価値が下落する可能性があることも理由のひとつです。

しかし、今後利用する見込みがない空き家に関しては、解体し更地として利用することなども考えられます。

空き家は所有し続けることにより、維持管理のコストなど収益を生み出すことなく、コストの支払いばかりが生じてしまうことも十分に考えられる不動産です。

今後、コスト面や通水などの管理面による負担から逃れるためには更地として所有し、駐車場として運用する方法や貸倉庫、建て貸地といった運用方法も考えられます。

今後コストがかかるばかりの空き家は早めに解体し、コストを省く以外に、新たな運用方法として利用できますので効果的といえるでしょう。

まとめ

空き家の通水は管理上必ず行っておく必要があり、通水などを怠ってしまうと、さまざまなリスクやコストがかかる要因となってしまいます。

単純に水を流すだけだと思う人も多いのですが、通水を定期的に行うことにより空き家をきちんと維持管理できることに繋がるのです。

そのためにも、空き家だからといって水道契約を止めてしまうことはおすすめできません。

通水を含めた適切な維持管理により空き家の資産価値を維持し、長持ちすることができます。

どうしても管理できない場合の活用方法などもこの記事では解説していますので是非参考にしてはいかがでしょうか?

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