10年以上空き家を放置するリスクは?売却、解体する場合の注意点も解説
相続などにより10年以上もの長期間にわたり空き家を保有しており、今後の管理が心配な人も多いのではないでしょうか?
できるなら売却したいと考えていても10年以上も経過している空き家が売れるかどうかわからないといった不安を抱えているかもしれません。
では10年以上経過している空き家を売却するのは不可能なのでしょうか?
この記事では、10年以上たっている空き家の売却に関して詳しく解説します。
目次
10年以上経過している空き家 そのまま放置するリスク
10年以上経過している空き家をそのまま所有している場合、きちんと管理ができていなければいくつかのリスクを負うことになってしまいます。
10年以上経過している空き家を放置することに伴うリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここからは10年以上経過している家をそのまま放置するリスクについて解説します。
(1)家として利用することが不可能となっている
家は住むことにより維持管理ができている面があります。
水道の使用や窓の開け閉めを行うことで自然と換気がなされ、建物を維持していくことに繋がっているのです。
しかし、誰も住まずに長期間経過していると建物の劣化が進んでしまい、あっという間に建物として利用できない程の劣化状態になりかねません。
つまり10年以上も放置することにより家として利用することが非常に難しくなってしまいます。
放置すればするほど、家としての利用が難しくなってくる点が放置するリスクのひとつです。
(2)特定空き家に指定されてしまう
近年社会問題として挙げられているのが、空き家問題です。
核家族化の進行や、団塊の世代からの急速な相続などが進み、空き家が増加しています。
空き家がきちんと管理されていれば大きな問題はありません。
しかし管理されていない空き家が急激に増加しており、軽微な地震でも倒壊する程に廃墟化している空き家も増えています。
そこで、管理されていない空き家を行政が特定空き家として指定することができる、空き家対策特別措置法が平成27年に施行されました。
特定空き家に指定されてしまうと、固定資産税の宅地並み課税からの除外や、罰金などさまざまな罰則が科せられる可能性があります。
(3)コストだけがかかり家計の負担となり続ける
10年以上放置されている空き家となると、その間のコストはずっとかかりっぱなしということです。
空き家などの建物や土地といった不動産は、所有しているだけで固定資産税や都市計画税といった税金を支払う義務を負います。
不動産がある自治体から課税される地方税で、1月1日時点における不動産の所有者はこの税金を年間4回に分けて支払わなければいけません。
空き家を放置していますのでお金を産むわけでもなくコストばかりを支払い続けなければいけないのです。
家計の負担となりますのでこれもリスクとして挙げられるでしょう。
(4)いつのまにか再建築不可の土地になっている
10年以上も空き家となっている場合、いつの間にか再建築が不可能の土地となっている可能性も考えられます。
家を建てる条件として、隣接する4m以上ある道路に2m以上接していなければいけないという決まりごとがあり、この条件を満たすことが家を建てる大原則です。
隣接する道路がいつの間にか無くなっていることも考えられ、そうなると新たに家を建てることはできなくなってしまいます。
長期間放置していると周りの環境が変化してしまい、空き家に悪い影響を与える可能性があるといったリスクも考えられるでしょう。
10年以上経過している空き家は売却することも可能?
前章により、空き家状態を10年以上もの長期間放置しているとさまざまなリスクを抱えてしまいあまりいいことではないというのがわかります。
では、10年以上も経過している空き家を売却することは可能なのでしょうか?
ここからは、10年以上経過している家を売却する方法などについて解説します。
(1)10年以上経過していても建物付きで売却することは可能
先に回答を述べると10年以上経過している空き家でも売却することは可能です。
しかし、あまりにも劣化が進んでいる家や、家としての需要があまりないような地域に空き家がある場合は、売却にかなり苦戦することも考えられます。
特に10年以上もの長期間にわたり空き家状態であると、売却にとっては悪影響です。
満足できる金額での売却は難しいケースや、売却までの時間が非常に長期間になってしまうといったことが考えられるでしょう。
(2)解体費用分の減額請求があるかもしれない
売却が満足できる金額ではないケースとして、家としての活用を考えておらず、新たな家を建築するために購入することが挙げられます。
空き家は解体し、新しい家を建築する目的での購入ですので、空き家の解体費用が別途かかることがネックとなり解体分の費用を減額交渉されるかもしれません。
解体分の減額交渉を受けると、当初に想定した金額よりも安い金額で売却することになります。
(3)近年は古民家風の建物も人気
古くなっているから全体的に売れないかというとそのようなことはありません。
というのも、最近あえて田舎の古い家に住み、自分なりに古民家風などにフルリノベーションしてスローライフを楽しむといった人も増えています。
特に2020年の新型コロナウイルスの影響により、テレワークなど、わざわざ出勤しなくとも働くことができるワークスタイルが急速に発展しました。
田舎に定住することも以前と比べると、格段にやりやすくなっています。
10年以上経過している空き家でもスローライフ志向の人が購入する可能性が非常に高くなっているといえるでしょう。
(4)売却により、今後の経済的負担から逃れられる
空き家の売却を行うことによる最も大きなメリットは、今後の経済的な負担から逃れられるという点です。
前述した固定資産税や都市計画税といった税金関係や空き家に係る維持管理やメンテナンス費用などの負担をかける必要がなくなります。
特に、特定空き家などに指定されてしまうと、宅地の固定資産税より3倍若しくは6倍まで上昇してしまうかもしれません。
空き家を売却することにより現金化することができるので、全くお金を産まない10年以上経過した空き家ではなく他のものに投資することも可能です。
売却によるメリットは金銭的にも非常に大きいものになるといえるでしょう。
10年以上の空き家を早く売却する方法
10年以上経過した空き家も売却可能と述べました。
前述したように10年以上の空き家である場合、売却には悪影響になることが多く時間がかかる可能性が高いといえます。
しかし、税金などの金銭的負担を早く逃れたいといった人はなるべく早く売却してほしいと願っているかもしれません。
ここからは、10年以上の空き家を早く売却する方法について詳しく解説します。
(1)空き家バンクに登録する
一般的に、空き家等の不動産を売却する場合、依頼した不動産会社が募集を行いますが、募集方法として、
- 募集チラシの作成
- 自社HPへの掲載
- 各種ポータルサイトへの掲載
- 新聞広告
などが挙げられます。
しかし空き家が田舎にある場合など、そもそもの需要が少ないため、一般的な募集方法だけでは、なかなか購入希望者が現れないかもしれません。
近年、田舎の空き家などの売却を促進するために各自治体で取り組んでいるのが「空き家バンク」です。
自治体が管理する空き家バンクに物件を登録し、自治体のHP上で募集した場合、購入希望者から問い合わせがあると、運営している自治体が空き家の所有者とマッチングします。
全ての自治体が取り組んでいるわけではありませんが、空き家バンクは、田舎の空き家などに効果的な募集方法のひとつです。
(2)不動産買取を利用する
不動産買取を利用するのも効果的な方法です。
不動産買取とは不動産会社が売却目的で、空き家などの不動産を買い取る方法で、所有者は短期間で仲介手数料もかからずに売却できるといったメリットがあります。
反面、不動産会社が購入にメリットがなければ購入しないことや購入されたとしても相場より安い価格での売却といったデメリットもありますので注意が必要です。
しかし、売買市場に出して不特定多数に募集するよりも、早い期間で売却ができます。
早く売却したい人には効果的な方法といえます。
(3)あらかじめ解体費用分を引いて市場に出す
先ほど、売却できても解体費用が差し引かれるケースについて解説しました。
家として活用するにはかなりの修繕費がかかり、建て替えた方がいいくらいの状態で売りに出していたとしましょう。
この場合、想定される解体にかかる費用分を差し引いて売買市場に出してはいかがでしょうか?
家の状態を売却するにあたって活用できるかどうかを判断し、空き家は解体した方が活用しやすいと判断したならば、解体費用分を差し引いた費用で市場に出します。
そうすると購入者とのニーズが合致し、早急な売却にも期待がもてます。
(4)親族に売却する
10年以上の空き家を所有しているケースで想定されるのは実家を相続した場合などが挙げられます。
親が亡くなってしまい、空き家となった実家を所有し続けているといったケースです。
思い出の住まいですから負担がかかるとはいえ、実家を売る決断にはなかなか踏み出せません。
このような場合は親族などに売却する方法も効果的です。
親族もなじみのある土地である場合が多く、先祖代々の土地などならば、喜んで購入する場合もあります。
売却を決めた場合、まずは親族に声をかけてみてはいかがでしょうか。
10年以上の空き家 売却以外の活用方法は?
ここまでは10年以上経過している空き家の売却について一通り解説しました。
しかし、どうしても売却はしたくない、色々な手は打ったが売れないなどといったことも考えられます。
ここからは、売却以外の活用方法について解説しましょう。
(1)賃貸に出す
まず挙げられるのが賃貸に出す活用方法です。
賃貸の入居者が現れると、管理面は借主である入居者が行い、不具合個所などを連絡してくれます。
修繕は行わなければいけませんが維持管理ができ、劣化を防ぐことに繋がるでしょう。
また、家賃収入が得られますので、固定資産税などの税金関係やメンテナンスの負担も家賃収入から支出することが可能です。
効果的な活用方法のひとつといえるでしょう。
(2)解体し更地として利用する
家は保有しているだけで維持管理などのメンテナンス費用がかかります。
また建物としての固定資産税もかかりますので、いっそのこと解体し更地として活用することも効果的な方法です。
ただし家が無くなり土地だけの所有となると、固定資産税の軽減措置から除外されますので、土地にかかる固定資産税が今までの3倍から6倍に上がります。
更地としての活用方法としては駐車場や建て貸し地などの活用が考えられますので、賃料収入を得ることも可能です。
(3)物置として利用する
自分たちの物置としての活用も考えられます。
売却や賃貸も更地としての活用も難しい場合は、自分たちで活用するほかありません。
物置として活用し、自宅の保管には大きすぎる荷物や、衣服類などを保管しておく場所としての活用も可能です。
まとめ
10年以上経過している空き家でも売却は可能です。
空き家の状態によってはマイナス要因となってしまい、なかなか売れない場合や相場よりも減額した金額で売却するといったケースも考えられます。
早く売却するにはいくつかの方法が考えられますが、買取の利用や解体費用をあらかじめ値引きした金額での売却などが効果的です。
また、売却だけではない活用方法などもこの記事では紹介していますので是非一度参考にしてはいかがでしょうか?