空き家のリフォームに補助金を利用できる?制度の内容を解説
リフォームで空き家をきれいな状態にできると活用方法も大きく広がります。
しかし、空き家のリフォームはどうしても費用面の心配をしなければいけません。
特に大幅なリフォームを行う必要がある場合は大きな費用が発生し、最初に高額な初期投資が必要です。
しかし空き家のリフォームには、補助金が給付されているケースがあります。
空き家が年々増加しており、放置された空き家について不安が高まる中、リフォームに補助金を活用できるとなると、空き家改善に対し効果的な一手となりえます。
この記事では、空き家のリフォームに関する補助金制度について詳しく解説しましょう。
目次
空き家のリフォームに補助金はある? なぜ制度が導入された?
空き家のリフォームは前述したように、ある程度のコストを負担しなければいけません。
補助金などがあると空き家の所有者も負担が軽くなりリフォームに取り組みやすく、空き家が増加している昨今、空き家問題の改善に繋がります。
ここからはリフォームに対する補助金制度について解説しましょう。
(1)自治体によってリフォームの補助金制度は多数ある
各自治体によって取り組みは異なりますが、空き家のリフォームに対して補助金を設けている自治体はいくつもあります。
主な補助金の内容として下記の要件が挙げられます。
- 一定金額を上限としてリフォーム金額の1/2を補助
- フォーム要件によって補助金を交付
- 子育て世帯など入居者の内容によって補助金を交付
それぞれ補助金の内容も対象となる条件も自治体ごとに異なりますので、空き家のリフォームを行う場合は各自治体のHPを確認する必要があります。
(2)空き家の増加や放置されている建物の再生
前段でも触れましたが、近年空き家の増加が社会問題化し、廃墟化した空き家などが増えています。
空き家をリフォームして自分たちで居住したり、賃貸に出したりといった対策を行うには、最初のリフォーム費用が負担となります。
しかし補助金によってリフォーム費用の負担を減らすことができますので、空き家の増加を抑え建物の再生につなげることが可能です。
(3)その地域の不動産価値を維持するため
空き家状態でもきちんとメンテナンスができていれば、建物自体の価値を維持することはできます。
しかし、空き家にコストをかける余裕がないという人が多く、修繕個所をほったらかしにしていると劣化が進み、建物自体の価値はどんどん落ちていくことになるのです。
リフォームによって建物をきれいな状態に戻し、活用することにより建物の不動産価値を維持することが可能です。
(4)どの自治体も補助金を出しているわけではない
ここで注意したい点が、リフォームに関する補助金は全ての自治体が出しているという訳ではない点です。
各自治体によって対象となるリフォームも条件も大きく異なり、補助金を出していないケースもあります。
先ほども触れましたが、リフォームの前には必ず自治体のHPをチェックしましょう。
空き家のリフォームを補助金で行うメリットとは?
空き家のリフォームにおいて、補助金を利用することによりいくつかのメリットを受けることができます。
ここからは空き家のリフォームで補助金を利用するメリットについて詳しく解説します。
(1)自分たちの資産に対して価値を増加することができる
空き家でなかなか活用方法がないとはいえ不動産は所有者の資産です。
補助金を使ってリフォームを行い、有効活用することができると不動産自体の資産価値を維持できるだけではなく場合によっては価値を高めることが可能です。
リフォームによって例えば高い賃料で貸すことや高い金額で売買することが可能になります。
(2)近隣とのトラブルが回避できる
空き家問題のリスクとして近隣のトラブルが挙げられます。
空き家が近くにあると、さびれてしまった地域と受け取られ、自分たちの家にも悪影響を及ぼすので、あまりいい感情は持ちません。
さらに空き家が荒れ果てていたり、廃墟化したりだと、改善してほしいという気持ちを強く持つことになり、所有者に対して反感を持つことになります。
そのため、近隣住民とのトラブルに発展しやすい状況になり、空き家を起因としたトラブルが起こりやすくなるのです。
補助金によりリフォームの負担をやわらげることで、リフォームする人が増えると、空き家の解消に繋がります。
必然的に近隣トラブルを防止する働きも備えるといえるでしょう。
(3)倒壊や犯罪といったリスクが軽減できる
空き家を定期的にメンテナンスしなければあっという間に劣化が広がり廃墟化してしまうことも珍しいことではありません。
廃墟化してしまうと、中程度の地震が起こっても倒壊する可能性も高まってしまいます。
また空き家状態が長く続いていると、犯罪の発生に繋がることも考えられます。
例えば、違法薬物の取引場所や、無断侵入なども起こりやすくなるといえるでしょう。
最も注意したいのが火災、特に放火です。
火災の要因として放火は上位にランクされることが多く、特に空き家などは放火だけではなく無断侵入による火災なども考えられます。
リフォームしてきれいな状態にすることによりこれらのリスクが軽減されるのも大きなメリットといえるでしょう。
(4)収入を増やすこともできる
リフォームも満足に行わない空き家は活用方法がなく長期間空き家状態になってしまうこともあります。
空き家のまま放置していると、固定資産税の支払いなどといった費用ばかりが毎年出てしまいます。
補助金を使ってリフォームすることにより賃貸で貸すこともできるようになります。
売買で現金化することも可能です。
リフォームすることによって活用法方法が広がると、収入を得ることも可能になりますのでこれも大きなメリットといえるでしょう。
空き家のリフォームで補助金を利用するデメリットとは?
空き家に対し、補助金を利用してリフォームを行うメリットについてひととおり解説しました。
しかし、補助金を利用したリフォームにはメリットだけではなくデメリットもあります。
両方をしっかりと認識しておくことにより、効果的な補助金の利用に繋がるといえるでしょう。
ここからは、補助金を利用したリフォームによるデメリットについて解説します。
(1)全額補助金が出るわけではない
いくつかの自治体によるリフォーム補助金の概要を見てみると一定の上限や、リフォームする一部分のみなど全額が出るわけではありません。
多少なりともリフォーム費用の負担があります。
(2)手続きに労力がかかる場合がある
補助金を申請する場合、申請の手続きが必要です。
さまざまな書類を準備しなければいけないケースもあるので、手続きに時間がかかる場合があります。
また年間予算が決まっており、手続きするころには予算が使い切られてしまい補助金自体が終了してしまうこともあるのです。
そのため、早急に書類などを集めて予算が使い切られる前に手続きを完了させなければならず、大きな労力がかかってしまいます。
これも補助金を利用する場合のデメリットといえるでしょう。
(3)リフォームの内容に制限がある
リフォームだったら何でも補助金が出るわけではありません。
リフォームの要件を細かく制限して、補助金を受け付けている場合もあります。
例えば、断熱に関するリフォームに関して補助金が出る場合や、高齢者対応のリフォームを行うことにより補助金が出るケースなどです。
大幅にリフォームしても実際に補助金が利用できるのは、行ったリフォームの一部だけといったこともあります。
これも補助金の内容をきちんとリフォーム前に確認しなければいけません。
(4)自治体によって手続きに相違がある
リフォームに関する補助金が出る要件などは自治体によって異なることを繰り返し述べました。
要件が異なりますので、自治体によって手続きも異なります。
自分が住んでいる自治体ではリフォームによる補助金の対象だったのに、空き家となった実家がある自治体では手続きが非常に多いといったこともよくある事例です。
一度補助金の申請を行ったからといって他の自治体ではその手続きで対応できるかはわかりません。
自治体ごとの手続き要件を詳しく確認しておくことが大切です。
空き家のリフォームで補助金が申請できる事例
空き家のリフォームに関するメリットやデメリットなどを解説してきましたが、実際にどのような補助金事例があるのかが気になるところです。
ここからは、空き家のリフォーム補助金が申請できる事例について詳しく解説します。
(1)函館市住宅リフォーム補助制度
函館市の住宅リフォーム補助制度は、バリアフリー化、断熱化、耐震かといったリフォームにおいて工事代の一部を補助する制度です。
バリアフリーや断熱のリフォームに関しては工事代の20%以内で20万円が上限となります。
耐震工事は、工事代の20%以内で40万円が上限です。
函館市内にある空き家であることや、函館市内に自らが住んでいるといった要件などがあります。
(2)錦町住宅リフォーム補助制度
熊本県錦町にもリフォーム補助金制度があります。
地域経済活性化と居住環境の向上が大きな目的です。
熊本県錦町のリフォーム補助金制度は、町内の施工業者を利用することが条件のひとつとなります。
20万円以上のリフォーム工事で20%以内が対象となり、30万円が上限です。
錦町に住民登録していることなども条件に含まれます。
(3)こどもみらい住宅支援事業
自治体ではなく、国土交通省のこどもみらい住宅支援事業事務局が支援するリフォーム補助金制度です。
子育て世帯や若者夫婦世帯が既存住宅を購入し、リフォームする場合60万円を上限として補助金を受けることができます。
リフォームの中に以下の工事を行うことが条件です。
- 開口部の断熱改修工事
- 外壁や屋根の断熱改修工事
- エコ住宅設備の設置
子育て世帯以外もこの制度を利用することはできますが、リフォームの上限額はやや下がります。
(4)既存住宅における断熱リフォーム支援事業
断熱リフォームを対象とした補助金制度です。
高性能な断熱材や窓などを使用したリフォームにより15%程度の省エネ効果が見込めるとなる場合、工事の一部を補助金として受け取ることができます。
工事代金の30%が補助金となり、戸建て住宅の場合は120万円、集合住宅の場合は15万円を上限です。
近年断熱などの補助金については、省エネ効果が見込めることからも地方自治体でも積極的に補助金を出しています。
断熱関係のリフォームを検討中の場合は補助金をきちんと確認しておきましょう。
まとめ
空き家はリフォームにより価値の維持や増価、収入が増える利用法がありますが、最初にかかるコストが非常に大きくなる場合があります。
しかし、不動産がある自治体によってはリフォームに関する補助金が利用できます。
補助金を活用できるとリフォームコストを大幅に抑えることが可能です。
空き家がある自治体がどのようなリフォームに関する補助金を出しているかを確認しておき空き家のリフォームに役立てましょう。