実家売却はタイミングが大切・最適なタイミングをパターン別に解説
空き家となった実家。
今後活用する機会がないと思った場合は、実家売却を検討する人も多いのではないでしょうか?
利用しなくなった実家を空き家の状態で保有しておいても維持費用がかかってしまい経済的な負担がのしかかってしまいます。
そのため、空き家となった実家の売却を検討する人が多いのです。
しかし実家売却を検討しても、いつ売却したらいいのかといった点が気になります。
この記事では、実家売却のタイミングをいくつかのパターンによって解説していきます。
実家売却のタイミングはいつ?
実家売却のタイミングで考えられるのは
- 親が健在な時に実家売却
- 相続した後に実家売却
- 不動産市況により判断
- 金利により判断
- 築年数により判断
- 時期により判断
などが挙げられます。
ではどの時期に行うのが最適なのでしょうか?
(1)実家売却のタイミングはそれぞれ異なる
実家の売却時期に関し、どれが一番適正なのかというのは、それぞれの持つ事情などにより異なります。
先ほどいくつかのパターンを挙げましたが、ある人には最もいいタイミングでの売却だけど別の人は避けた方がいいなどさまざまです。
自分の事情をきちんと理解した上で、実家売却の時期を判断しなければいけません。
(2)それぞれに注意点があるのできちんと押さえておくことが大切
先ほど挙げた実家売却の時期は、それぞれ注意点がありますので、注意点をしっかりと認識しておかなければいけません。
のちほど、それぞれ詳しく解説しますが、「他の人がこの時期に実家売却していたから自分も同じ時期に売却しよう」と安易に行うと失敗してしまいます。
前述したように、実家売却の理由はそれぞれに大きく異なっており、同じ環境だと思っていても実は気づかない部分が違うということも考えられるでしょう。
実は、その気づかなかった時期が実家売却のタイミングに大きく影響してしまうことも考えられます。
それぞれの特徴と注意点、そして自分たちの状況をしっかりとリンクさせ判断する必要があり、大切なポイントです。
(3)タイミングにかかわらず周囲の了解を欠かさない
実家がすでに空き家となっており、相続した人が自分ひとりである場合、実家は自分のものになっているので自分で勝手に決めていいかというとそうではありません。
例えば実家が先祖代々の本家だった場合など、事前に親せきなどに伝えておく方が良いでしょう。
親がまだ健在の時は、もしもあなたが所有者だったとしても親御さんにも伝えた上で実家売却を行わなければ、余計なトラブルとなってしまう可能性も考えられます。
もしかすると先祖代々の土地に実家があるからということで、親せきに購入意向があるかもしれません。
また兄弟などがいる場合は、あなたが所有者となっていたとしても兄弟にとっては思い出の詰まった実家です。
事前に兄弟への連絡を欠かしてしまうとのちのちしこりが残ってしまう可能性が考えられます。
実家を売却する場合、トラブル防止のためにも関係性が深いと思われる人への連絡は欠かさないようにしましょう。
親が健全な時に実家売却する
実家売却の時期について先ほど6種類の実家売却時期を挙げました。
その中でひとつの判断基準となるのが実家の親が健全な場合と亡くなった場合です。
親が健在でも、既に老人ホームなどに入院していて、もう実家には戻らないケースも考えられます。
親が健在でも実家を使っていない場合などにおいては売却することも可能です。
最初に親が健全な時に実家を売却するケースについて解説します。
(1)所有者である親が元気な場合は売却が進みやすい
所有者である親が元気なうちに実家売却する場合は、全体的に話が早く進むので売却がしやすい状況となります。
親が痴呆などの場合には健在でも、後見人の手続きが必要となり簡単に売却できません。
また痴呆ではなくとも入退院を繰り返すような状況だと、実家をときには使用しなければいけない状況となってしまい、これも売却が難しくなってしまいます。
親が健在で、なおかつ認識がはっきりしている元気なうちに売却の手続きを行うことにより、売却が進みやすくなるでしょう。
(2)居住用財産の特例も利用できる
居住用財産の特例を利用することが可能です。
実家を売却するにあたり、売却によって利益が出た場合は、利益に対して所得税や住民税、復興特別所得税の課税対象となってしまいます。
税率は、所有期間5年未満だと税額が39.63%、所有期間5年以上だと20.315%と非常に高い税率です。
しかし、自宅を売却する場合、居住用財産の特例を利用することができます。
この特例が利用できると自宅を売却する場合、3,000万円以上の利益が出なければ課税されることはありません。
親が亡くなり相続後に売却する場合は、3年間はこの特例を利用することが可能ですが4年目以降には利用することができません。
親が健在のうちに実家売却するメリットです。
(3)親が認知症の場合などは売却が一気に難しくなる
前述しましたが、親が健在とはいえ、スムーズに実家売却ができない場合があります。
親が認知症になっている場合、正常な判断ができませんので、不動産売却など高額な取引を行うことができません。
民法第3条2項では「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」と定められています。
認知症の場合、実家売却する方法としては後見人の手続きを家庭裁判所に申請しなければいけません。
手続きに大きな時間がかかる点や法定後見人の了解など一気にハードルが高くなりますので、健在だからすべてがスムーズに売却できるとは限りません。
(4)親の住まいを確保する必要がある
親が健在のうちに実家を売却する場合、基本的に親が老人ホームなどに入所し、今後は実家に戻らないことが前提となるケースが多いといえます。
しかし老人ホームから退所を迫られた場合など、老人ホームを出てしまう可能性が考えられるので住まいの確保が必要です。
健在のうちに実家を売却する場合は一時的な帰宅などの場合に対する住まいを確保しておきましょう。
相続した後に実家売却する
次に考えられる実家売却のタイミングとして挙げられるのが、親が亡くなった後、つまり相続後に売却するケースです。
親が亡くなって、相続後に実家売却するメリットや注意点について解説します。
(1)売却しない場合は、維持管理で費用がかかる
相続後に特に実家を活用することなく、空き家状態にしておいた場合、固定資産税や修繕費用など、実家を維持管理しなければいけない費用が発生します。
空き家ですので収益を産むこともなく費用だけが出ていくことになるでしょう。
実家を売却しない場合は、空き家状態にせず何か運用しながら維持管理費用を捻出する必要があります。
(2)実家をきちんと片付けておく必要がある
実家を売却する場合、きちんと片付けを行っておく必要があります。
実家には使わなくなった家具や家電の他、思い出の品物なども多いでしょう。
保管しておく貴重品など、片付けに時間がかかってしまう場合があります。
できれば、実家の売却に取り組む前には片付けすることがおすすめです。
実家の売却において、室内の内覧などがあり荷物があると、内覧の時間が制限されます。
また荷物があると、募集の写真や家のイメージが掴みにくくなってしまい、実家売却にはマイナスポイントとなってしまうこともあるでしょう。
売却前には実家の荷物を片付けておく労力がかかります。
(3)親類へ事前に連絡をする
実家の売却では、親類へ事前に連絡しておくことがおすすめです。
実家の売却ともなると、もしかすると先祖代々の土地というケースや、親類がよく集まっていたかもしれません。
相続によりあなたが所有者となっていますので、売却するときに親族に連絡する義務はありませんが、今後のお付き合いなどを考慮すると連絡しておいた方がいでしょう。
(4)相続税に注意しなければいけない
親が亡くなり実家を相続する際には、相続税が発生するかもしれません。
基礎控除額よりも財産額が多ければ相続税の課税対象となります。
基本的に相続税は現金一括で支払わなければいけません。
相続税の納付や申告の期限は、相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内です。
相続税の対象となるかをきちんと確認しておく必要があるでしょう。
その他に実家売却するタイミング
その他いくつかの実家売却のタイミングについては、親が健在、亡くなったといったタイミングとあわせて検討することができます。
それぞれのタイミングについて解説しましょう。
(1)不動産市況が活発な時に高く売却できる
不動産を売却する場合は、少しでも高い金額で売却したいと誰しもが思っていることでしょう。
不動産は、不動産市況の状況によって金額が上下することがあり、不動産市況が好調で活発の時には高い売却に期待ができます。
不動産市況は、国土交通省が毎年発表する公示地価や不動産価格指数によって不動産が高い時期なのか安い時期なのかといった判断材料となるでしょう。
不動産市況が活発なときに売却することで、高値売却に期待ができます。
このような市況を確認しながらタイミングのいい時期に売却するといったことも可能です。
(2)金利が低い時は売却しやすい
比較的、金利が低い時期の売却もいいタイミングでの売却といわれています。
実家などの不動産売却において、購入者は誰もが現金一括で購入するわけではありません。
不動産を購入する人の多くは、ローンを利用して不動産を購入します。
金利が低ければ低いほど購入者はローンを組みやすくなりますので、不動産売買は活発になりやすいのです。
不動産売買が活発になると、購入希望者が増えていますので、売却しやすくなります。
さらに、不動産売買があまり活発ではない時期よりも高い実家売却にも期待が持てるでしょう。
(3)築年数が浅いうちに売却する
築年数が古い建物より、築年数が浅い建物の方が売却しやすく、さらに高い金額で売却しやすいといえます。
築年数が古い建物を購入して利用する場合、リノベーション費用などに大きな費用がかかるかもしれません。
また、維持管理費も築年数が浅い建物よりもかかりやすい傾向です。
基本的に実家などによくある木造住宅は、築年数が20年を経過している建物の場合、不動産としての価値はゼロになるといわれています。
つまり実家売却しても土地の価格のみでの査定となるため、安い金額での売却になることも考えられるでしょう。
なるべく築年数が浅い時期に売却する方が高く売却しやすいといえます。
(4)購入希望者が多い時期に売却する
実家などの不動産を売却する場合、1年のうちに購入希望者が多い時期と少ない時期があります。
新生活を送りやすい4月までには新しい住まいで生活したいといった人が多いので、2月や3月は比較的、購入希望者が多い時期です。
反対に5月や6月はあまり購入希望者が多い時期ではありません。
購入希望者が多い時期を狙って売却の募集を行った方が、実家は売却しやすいでしょう。
まとめ
実家売却のタイミングは、親が健在のときに売却するか相続後に売却するかになりますが、この記事ではそれ以外の実家売却のタイミングについても解説しています。
親が健在中でも相続後でもそれぞれメリットや注意点がありますので、しっかりと理解した上で実家売却を検討しなければいけません。
その他のタイミングとうまく利用することにより高値売却も期待できます。
それぞれのタイミングを上手く利用しましょう。