空き家管理サービスとは?料金相場やサービス内容を解説
少子高齢化による人口減少で、空き家の増加が社会問題化されています。
管理されていない空き家が増えて、空き家が廃墟化し、さまざまなリスクが想定されるといえるでしょう。
空き家を所有しており、なかなか管理に出向けない人などはどうやって管理して良いのか悩みどころです。
管理に出向けない人のために近年増えているサービスが、空き家管理サービスです。
この記事では、空き家管理サービスの特徴やメリットなどについて詳しく解説します。
空き家管理サービスの特徴とは?
空き家管理サービスは、ここ数年で急速に成長してきているサービスです。
まずは空き家管理サービスの特徴について詳しく解説します。
(1)空き家管理サービスが必要になった背景とは
空き家管理サービスとは、空き家に定期的に訪問し管理するサービスを指します。
定期的に空き家に訪問し空き家のチェックを行い、維持管理するものです。
空き家管理サービスが必要になった背景として挙げられるのは前述したように急激な空き家の増加です。
人口減少や団塊世代の急速な相続により空き家が増え、更に管理ができない空き家が増えています。
空き家が管理できないと急速に劣化が進んでしまい、廃墟と化し、倒壊などのリスクを抱えることになってしまうのです。
さらに2014年に施行された「空き家対策特別措置法」も影響しています。
「空き家対策特別措置法」により管理されていない空き家に対し、公的な介入や罰則が適用可能となりました。
これにより所有者は空き家の管理を求められ、空き家の管理ができない所有者が、空き家管理サービスを利用する要因となっています。
(2)空き家管理サービスを提供するのはどこ?
空き家管理サービスを提供しているのは、一般的に不動産会社が行っています。
定期的に空き家を訪問し、部屋の換気や水道のチェック、サービス内容によっては簡易的な清掃も含まれます。
また修繕個所を発見すると、壊れている所の写真や修繕の見積もりを所有者に送付し、
確認してもらうなどのサービスです。
不動産会社によっては、買取や売却などの提案を行うケースもあります。
(3)空き家管理サービスを利用しない場合管理されていない空き家はどうなる
空き家対策特別措置法により、管理されていない空き家に対して行政が介入できるようになりました。
特定空き家に指定されてしまうと、空き家の管理改善に対する指導や助言が行われます。
これらに従わず、空き家の管理が全く改善されない場合、固定資産税の宅地並み課税が適用除外になってしまいます。
宅地並み課税とは宅地の固定資産税が、雑種地などと比較して、1/3若しくは1/6まで減額されていることです。
空き家のまま放置されている理由として、解体費用のコストと更地にしたとき、固定資産税の増額が挙げられます。
特定空き家に指定されると、空き家を所有しておくことのメリットが無くなってしまうことになるでしょう。
これでも改善しない場合、50万円以下の罰則や、最終的には行政代執行になる解体となります。
空き家の管理が自分できず、特定空き家に指定されてしまうと空き家を所有しているデメリットばかりになってしまうといえるでしょう。
(4)空き家管理サービスの将来性
空き家管理サービスは今後の需要が増えていくことが想定されています。
最も大きな要因は今後の空き家増加です。
空き家率と空き家数は年々増加の一途をたどり、2018年の空き家率は13.6%、空き家数も800万戸を超えています。
2033年には、空き家率が30%以上になり、空き家数は2,000万戸を超えると試算されており、空き家の増加に歯止めがかかりません。
これらの理由から空き家管理サービスはますます重要度が増していき、利用者も増える可能性が高いといえるでしょう。
空き家管理サービスの内容は?
空き家管理サービスの特徴や今後の需要といった点について解説しました。
実際に空き家管理サービスに依頼した場合、どのようなサービスを行うのでしょうか?
ここからは空き家管理サービスの内容について解説します。
(1)訪問回数
一般的に空き家管理サービスにおける訪問回数は月に1回か2回程度です。
費用は訪問回数によって異なります。
常に人の目で管理しておきたい人は、月に2回以上のサービスを利用することも可能です。
しかし、一般的には月に1回程度のケースが多く、そう頻繁に訪問せず、1回の訪問で1ヶ月は維持管理できるサービスを目安としているといえるでしょう。
(2)内部巡回の内容
空き家管理サービスでは、空き家を訪問し、内部の巡回と外部の巡回により空き家を維持管理します。
内部巡回の内容としては、
- 通風、換気(全室のふすまや扉を1時間程度開放し、空気を入れ替える)
- 通水(部屋にある水道の蛇口を開放し、赤サビの付着防止と封水トラップへの補水)
- 簡易清掃(室内の簡単な掃き掃除や拭き掃除など)
- 雨漏りやカビのチェック(室内の目視により雨漏りやカビが発生していないかのチェック)
- 漏水のチェック(水廻りの排水管チェックや水道メーター廻りをチェックし、水漏れの確認)
これらのチェックを行い、空き家を維持管理していくサービスです。
(3)外部巡回の内容
次に外部巡回の内容についてまとめました。
- 庭の草木チェック(植木の剪定や雑草の伸び具合などのチェック。剪定や草取りの必要があった場合は所有者へ報告する)
- 郵便物の整理(ポストや玄関に入る郵便物や配送物などのチェック、必要なものがあれば所有者へ郵送)
- 近隣情報確認(不法侵入者や不法投棄があった場合の確認、大きな事件や事故が起こっている場合の報告など)
- 災害などの被害確認(災害により被害があった個所の報告)
これらの対応を行います。
基本的に植木の剪定や除草などが必要になった場合の費用は、空き家管理サービスの内容には含まれません。
別途費用が発生しますので注意しておきたいところです。
(4)オプションの内容
空き家管理サービスを展開する不動産会社によって異なりますが、定期訪問の際一緒に行うオプションサービスを準備しています。
オプションサービスの主な内容は下記の通りです。
- 植木の剪定や草の除草
- ハウスクリーニング清掃
- 畳の表替え
- シロアリ駆除
- 破損個所の修繕
- 除雪
などが挙げられます。
それぞれサービスの内容は異なり、サービス展開している不動産会社によって、費用も異なります。
オプションも踏まえた費用を算出し、どの空き家管理サービスが必要になるかの分析が必要です。
空き家管理サービスの費用相場
次に空き家管理サービスを利用した場合の費用は、構造や広さなどによって異なります。
今回は、戸建てとマンション、空き地の場合における費用相場について詳しく解説しましょう。
(1)戸建ての場合
戸建ての場合は前述した空き家管理サービスの内、内部巡回と外部巡回双方の点検が必要です。
そのため、費用もマンションや空き家と比べるとどうしても高くなってしまいます。
戸建ての場合、空き家管理サービスを利用する際の費用相場は一般的に月1回程度で8,000円~9,000円。
月に2回の訪問で16,000円~18,000円程度の費用相場です。
月に2回管理してもらう方が維持管理上は良いのですが、費用が割安になることはありません。
戸建ての場合、最も管理に費用がかかりますので、オプションなども含め年間の支出を確認しておくといいでしょう。
(2)マンションの場合
マンションの場合は戸建てと違い外部巡回に入る必要がありませんので、若干安めの費用相場となっています。
月1回の利用で、5,000円~6,000円、月に2回で8,000円〜9,000円が相場です。
戸建てと比較してもオプションを利用する機会は少なくなりますので、戸建てと比較すると費用を抑えたサービスが利用できます。
(3)空き地の場合
空地の場合は、内部巡回の必要性が無くなります。
そのため外部巡回だけでよく、解体された後の更地などの管理などで空き家管理サービスが利用されるでしょう。
費用相場としては月1回が4,000円〜5,000円、月に2回が8,000円〜9,000円程度です。
草木の除草や剪定オプションとして必要でしょうが、それ以外にはオプションを利用するケースもそう多くなく、住居系よりも費用を抑えられます。
空き家管理サービスを利用する場合のメリットと利用しないメリット
空き家管理サービスの内容や費用面について解説しました。
自主管理と空き家管理サービスの利用ではどちらを選択したらいいかわからないという人もいるのではないでしょうか。
ここからは、空き家管理サービスと自主管理のメリットやデメリットについて解説します。
(1)空き家管理サービスを利用するメリットは
空き家管理サービスを利用するメリットとして挙げられるのは、所有者が出向かなくても管理がしっかりできるという点です。
また、空き家を管理していなければどんどん廃墟化してしまい資産価値がどんどんなくなってしまいます。
しかし、定期的に空き管理サービスを利用することにより、空き家をきれいに維持できますので資産価値の維持につながるでしょう。
(2)空き家管理サービスを利用した場合のデメリット
空き家管理サービスを利用するデメリットとなるのはやはり費用面です。
空き家が近くにある場合は、定期的に自らが出向き管理を行えば、管理サービスの費用はかかりません。
空き家管理サービスを利用すると最低でも月に5,000円前後は必要になり、修繕や庭木の除草などは含まれません。
空き家に行ってもらい換気や簡易清掃だけでかかる費用となりますので、費用面の負担がデメリットといえるでしょう。
(3)自主管理のメリットは
では自主管理にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
自主管理のメリットは費用がかからず管理ができるという点です。
空き家が近くにある場合などは、自分が出向いて換気や簡易清掃などが行えますので、費用を払って空き家管理サービスに依頼する必要がありません。
自分の都合に合わせて空き家に出向き、点検やチェックが可能です。
自主管理の大きなメリットといえるでしょう。
(4)自主管理のデメリットは
自主管理のデメリットとして挙げられるのは、手間と労力がかかるという点です。
遠方に住んでいる場合などは、交通費などですでに月額の空き家管理サービスの費用くらいはオーバーしているかもしれません。
また、空き家の管理を行いますので、手間もかかってしまいます。
遠方などに住んでいる場合などは、特に自主管理の方がデメリットになるケースが多いといえるでしょう。
まとめ
今後も空き家は増加していくといった考え方が大半を占めており、空き家管理サービスの需要が増してくると想定されます。
不動産会社がこのサービスを提供することで、健全な不動産の流通や、資産の維持管理に繋がり、懸念される空き家問題に必要なサービスです。
この記事では、空き家管理サービスの内容や費用相場などについて詳しく解説しています。
しかし、空き家管理サービスにも自主管理にもメリットやデメリットがありますので、それぞれを充分に比較したうえで空き家管理サービスの使用を検討すると良いでしょう。