空き家バンクの登録要件・登録のメリットとデメリットも解説
空き家をうまく活用できず、賃貸や売却で募集しているけどもなかなか決まらなくて困っているという人も多いのではないでしょうか。
一般的に、空き家などの不動産を賃貸や募集に出す場合、不動産会社に依頼し売買市場に出します。
その他にできる募集として挙げられるのが空き家バンクの活用です。
空き家バンクといってもあまり認知度は高くないため、どのようなものかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では空き家バンクの特徴や登録に関する流れ、メリットやデメリットといった点について詳しく解説します。
そもそも空き家バンクとは?
空き家バンクについてまだまだ一般的に認知されているとはいいがたく、どのような制度なのか知らない人も多いのではないでしょうか。
ここからは空き家バンクの目的や内容といった点について解説します。
(1)空き家バンクの目的とは
空き家バンクができた目的としては、空き家の活用といった点が挙げられます。
地方には空き家が多く、田舎の空き家は需要が少ないため、賃貸や売却など一般的な募集をおこなってもなかなか成約しません。
空き家バンクを運営しているエリアに特化した空き家を空き家バンクが募集し、入居者や購入希望者を募ります。
一般の募集では、見ることができない山小屋やお屋敷のような戸建てなどが空き家バンクで募集されているケースもあり、田舎暮らしが希望の人にはおすすめのサイトです。
(2)空き家バンクの内容
空き家バンクを運営しているのは各地方自治体になります。
空き家を賃貸に出したい人や、売却したい人が、空き家の登録を行いホームページや自治体のお知らせなどで募集することが可能です。
前述しましたが、田舎の空き家などは一般の不動産検索サイトなどに掲載してもあまり人気がなく情報が埋もれてしまいます。
そこで、エリアに特化した空き家バンクに空き家を登録することにより田舎暮らしなどニッチなニーズに特化したサイトです。
(3)空き家バンクの必要性
なぜ空き家バンクが必要になったかというと、地方の空き家が急速に増加していることが挙げられます。
空き家の数は年々増加しており、2018年の空き家数は過去最高の876万戸と総住宅数の14%を占めているのです。
さらに2033年には30%を超え、2,000万戸を軽く突破するといわれています。
特に田舎では空き家の数が増え続けており、国と自治体が空き家解消を目的として空き家バンクができたといえるでしょう。
空き家バンクに登録できる要件には何がある
空き家バンクは前述したように地方自治体が運営しています。
自治体によって登録要件は若干異なりますが、主な登録要件について解説しましょう。
(1)空き家バンクを運営しているエリアにある
募集しようとしている空き家が、空き家バンクを運営している自治体があるエリアにあることが要件のひとつです。
空き家バンクはエリアに特化して空き家の活用を促すサービスなので、他のエリアにある空き家は掲載できません。
(2)不動産会社に依頼していない
例えば、不動産会社に売却を依頼している場合、その不動産会社とは媒介契約を締結し売却に関する募集や契約時の取りまとめなどをお願いします。
空き家バンクに登録する場合、不動産会社と媒介契約を締結していないことが前提となります。
媒介契約は一般的に3ヶ月間と期間が定められていますので、媒介契約締結後3カ月を経過し、媒介契約を解除すると空き家バンクへの登録が可能です。
(3)建築基準法に違反していない
空き家バンクに登録する空き家が建築基準法に違反していないことも条件のひとつです。
建築基準法とは土地に建物を建築する場合に定められた法律で、違反している建物は違法建築になってしまいます。
土地に建築して良い広さ以上の建物を建築しているなどが挙げられるでしょう。
空き家バンクに登録する前に違法建築でないかの確認が必要です。
(4)空き家バンクを運営している自治体の長が承認している
最後に空き家バンクを運営している自治体の長が承認した空き家でなければいけません。
基本的には戸建てや小屋といった建物が多くこれらの建物が承認されないことはほとんどありません。
承認されない建物として挙げられるのは、事業用の不動産や店舗などは認められないケースが多いので注意しておきましょう。
空き家バンクを登録する流れ
空き家バンクの内容や、登録できる要件といった点について解説しました。
空き家バンクに登録して募集したい所有者が次に気になる点は、登録までの流れではないでしょうか。
ここからは、空き家バンクを登録する流れについて解説します。
(1)書類の提出
書類を提出することから始まります。
書類の内容は自治体によって異なりますが、一般的な書類として挙げられるのは申込書の記載です。
空き家バンク登録用の申込書に必要事項を記載し提出します。
(2)現地の確認
空き家バンクの登録申込書を基に、空き家バンクの担当者が現地を確認します。
記載の内容と間違いがないかといった点などの確認です。
あわせて宅地建物取引業協会の担当者が同行確認して、申し込みされた空き家が賃貸や売却に問題がないかを調査します。
(3)空き家バンクへの登録
調査が終わり、問題がないと判断されると登録となります。
但し、希望する家賃や売却価格が妥当であるかどうかの打ち合わせを自治体、所有者、宅建業協会の担当者が協議を行い意見交換がなされます。
この意見交換会を経て、登録手続きが完了です。
(4)募集
登録が完了したら、自治体が募集作業に入ります。
自治体のHPや掲示板、広報誌などに情報を掲載しての募集作業です。
登録まで大まかに4つの手順を踏む必要があります。
空き家バンクを運営している自治体によっては若干異なる場合がありますので、自治体ごとの登録方法について事前に確認しておきましょう。
空き家バンクに登録するメリット
空き家バンクができた目的や内容などといった点については前述しました。
空き家バンクに登録することにより所有者に対していくつかのメリットが考えられます。
ここからは空き家バンクに登録することのメリットについて解説しましょう。
(1)不動産情報にはない空き家を見つけることができる
田舎暮らしをしたい、エリア限定で探したいといった人なら空き家バンクを利用するといいでしょう。
空き家バンクの情報は、基本的に不動産会社が募集を行っていない不動産ばかりです。
大手ポータルサイトや不動産会社が募集している物件は、多くの人に情報が知られていることもあり、新鮮味といった点では薄れていることが多いといえます。
空き家バンクに登録されている物件は、ニッチな層にぴったりとマッチすることが多く、自分が求める物件が一般的な募集で出てこない場合などに効果を発揮します。
あまり知られていない物件情報が得られる点がメリットのひとつです。
(2)安く空き家を利用できる可能性が高い
空き家バンクに登録される物件は、あまり賃貸や購入の層が多くないエリアの物件であることが多いといえます。
そのため、物件の価格が相場よりも安いことが多く、借主や購入希望者は、安く利用することも可能です。
空き家バンクに登録する前に所有者と自治体の担当者、宅地建物取引業協会の担当者と意見交換会を行うことを述べました。
所有者が高い金額で取引を望んでいたとしても、意見が通らなければ空き家バンクに登録できない可能性も考えられます。
そのため、通常の相場よりも安い価格で取引されることも多いので、安く不動産を利用しやすいといえるでしょう。
(3)自治体側にも空き家が無くなりことはメリットとなる
空き家バンクを利用して部屋が決まるということは、エリアの空き家が減ることに繋がります。
自治体が空き家バンクを運営している大きな目的はエリアの空き家をうまく活用してもらい、空き家自体を減らすことです。
空き家バンクから空き家の取引が成立するということは、自治体の目的通りいえるでしょう。
また空き家を購入した人が居住するとなると人口が増加します。
空き家活用により人口が増加したことになりますので自治体にとっては大きなメリットといえるでしょう。
(4)補助金が利用できる
空き家バンクは自治体が運営しているので、補助金や助成金をうまく活用することが可能です。
補助金制度は自治体によって異なりますが、改修の費用を補助する制度などがあります。
前述したように空き家バンクに登録されている空き家は、安く購入できるケースも多く、更に改修費用まで補助金が利用できるとなると、購入者にとっては大きなメリットです。
どこの自治体でも補助金制度を活用しているわけではありません。
同じ改修の補助に関しても、要件や補助金の額が異なっています。
事前にどのような補助金を活用できるのかをチェックしておきましょう。
空き家バンクに登録する場合のデメリット
空き家バンクの登録はメリットばかりではありません。
デメリットもありますので、メリットとデメリットをしっかりと確認しておく必要があります。
ここからは、空き家バンクを登録した場合のデメリットについて解説しましょう。
(1)所有者が直接やり取りする必要がある
空き家バンクで購入希望者などから連絡があった場合、自治体が契約や仲介は行いません。
所有者と購入希望者が直接やり取りを行いますので、トラブルになる可能性も非常に高いといえるでしょう。
実際に不動産取引は非常に複雑なことも多く、自治体と提携した不動産会社が契約の手伝いを行う場合もあります。
しかし、自治体によって異なり、案内や契約などを全て自分たちで行わなければいけないケースもあるでしょう。
安心して取引をできるかがわからない点がデメリットとして挙げられます。
(2)トラブル処理も自分で行う必要がある
トラブル処理も同様です。
不動産は購入したあとに、契約内容が異なるなどのトラブルになることがあり、不動産会社に仲介を依頼している場合は、不動産会社が対応します。
しかし空き家バンクで契約した場合は、基本的に買主と売主同士で行わなければいけません。
トラブル処理の経験が少ないため、非常にもめるケースも考えられます。
これも空き家バンクのデメリットといえるでしょう。
(3)あまり情報が詳しくない場合がある
不動産検索サイトなどで不動産を探す場合、ふんだんに情報を掲載しています。
しかし、空き家バンクの情報はあまり詳しくないケースが多いといえるでしょう。
情報が詳しくないため実際に現地に行ってみると、想像と大きく異なる場合もあります。
空き家バンクの情報だけではなく自分の目で確かめる必要があるでしょう。
まとめ
田舎暮らしがしたい人やエリアに特化した戸建てを探したい人などにおすすめなのが空き家バンクです。
自治体が運営しており、自治体が活用している補助金なども活用ができるので、非常に安く空き家を活用できる可能性が高いといえるでしょう。
空き家バンクへの登録はメリットばかりではなくデメリットもあります。
一般の不動産会社に依頼するのか空き家バンクに登録するのかをしっかりと判断して有効活用しましょう。