空き家活用の課題と注意点とは・成功事例も紹介
空き家を保有している人の中にはうまく活用できておらず、今後どのようにして空き家状態を解消しようか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
空き家状態のまま放置していると劣化が進み、建物の資産価値がどんどん目減りしていきます。
うまく空き家を活用しながら維持管理しなければいけません。
この記事では、空き家の活用について成功事例や注意点などを詳しく解説します。
空き家の現状や課題
空き家についてどのような活用がされているかを見る前に、現在の空き家がどのような状態であるのかをしっかりと理解しておく必要があります。
空き家は現状増加しているのでしょうか。
空き家に対してどのような施策が取られているのでしょうか。
空き家の現状や課題について見ていきましょう。
(1)空き家の数は年々増加している
空き家の数は年々増加しています。
2018年の住宅・土地統計調査によると、居住実態がないいわゆる空き家の数は876万戸と総住宅数の約14%となっているのが現状です。
これは2013年の統計と比較すると、26万戸、約3.2%も増加しています。
2018年の空き家数は過去最高を記録しており、年々空き家数は増加の一途をたどっています。
2033年には空き家は、総住宅数の30%を超え、2140万戸を超えるといわれており、今後空き家の数が飛躍的に増加するとの想定です。
空き家の数は年々増加していますので、早急な空き家に対策が求められているといえるでしょう。
(2)なぜ空き家が増えているのか?
なぜ空き家が増えているのでしょうか。
最も大きな要因として挙げられるのが少子高齢化による人口減少です。
人口が減少していますので当然ながら、住まいが残ってしまうことが考えられます。
また、人口の減少により急速に進んでいる地方の過疎化による空き家の増加も挙げられるでしょう。
空き家は年々増加していますが、ここ数年は大幅に増加しています。
最も大きな要因は、団塊の世代による相続が急増している点です。
団塊の世代とは第一次ベビーブームに産まれた1947年から1949年の世代を指す言葉で、人口の割合が全体の5.3%と非常に大きな割合を占めています。
ここ数年で団塊の世代の相続が急速に増えており、実家を子どもたちが引き継がないケースも多く、空き家となっているのが現状です。
(3)空き家が増えていくときに考えられるリスク
空き家が増えてしまうと、さまざまなリスクが現れます。
空き家状態のまま管理されていない状態も多く、劣化が急速に進んだ空き家が増えています。
劣化が進んでも管理がされていなければさらに劣化は進み廃墟化するかもしれません。
そうなると気になるのが倒壊です。
普通ならば倒壊しない地震でも廃墟化した空き家だと倒壊してしまうかもしれません。
また、害虫の発生や、犯罪・放火のリスク、ゴミの不法投棄などさまざまなリスクが考えられます。
空き家の増加は不動産価値の下落にも繋がりますので、リスクが非常に多くなるといえるでしょう。
(4)空き家の改善を国全体で進めている
空き家の改善は国全体で進められている政策です。
空き家の解体などに対して補助金や助成金を出しています。
これは、国の施策である「空き家再生等推進事業」により各自治体に対して補助を行っているからです。
解体に関する補助金や助成金の種類や名前は、各自治体によって異なります。
空き家に対する改善に関しては国全体で進めている難問であるといえるでしょう。
空き家を活用するとどのようなメリットがある?
空き家の数は年々増加し、さまざまなリスクがあることを解説しました。
空き家の活用は国を挙げて行っている社会問題といえます。
では、実際に空き家を活用することにより、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは空き家を活用することのメリットについて解説します。
(1)収入を得ることができる
空き家を所有しているだけで、固定資産税やメンテナンスの費用などさまざまなコストがかかります。
このコストを負担することが重荷になってしまい管理できていない空き家が増えているといえるでしょう。
空き家を売却や賃貸に出すことによる活用で、収入を得ることが可能です。
例えば売却することで、今後のメンテナンス費用や固定資産税などがかからない上にコストばかりかかっている空き家を現金化することができます。
賃貸に出すと、維持管理費や固定資産税にかかるコストを家賃収入から賄うことができますので、負担が大幅に減るうえに収入を得ることが可能です。
上手く活用できると収入が増える点が大きなメリットといえるでしょう。
(2)建物の維持管理に繋がる
建物の維持管理にも繋がります。
コストばかりかかってしまうと負担するのが嫌になってしまい、そのままの状態にしておくケースが増えることが考えられます。
つまり管理されない空き家がどんどん増加してしまい、近所にさまざまなリスクを抱えた建物が建っていることになるでしょう。
上手く活用して、収入などを得ることができると、維持管理費用を出しやすくなり、資産価値の維持へと繋がります。
(3)高値で売却も可能
空き家状態でもエリアなどにより高値で売却することが可能かもしれません。
土地の形状が非常に良い状態や空き家でも築年数があまりたっていない建物などは、想定よりも高い金額で売却することも可能です。
逆に、全く売却できないリスクもありますが、地域相場の変動や、環境の変化など急に高値で売却できることも考えられます。
あまり所有している空き家に思い入れもなく、維持管理費の負担や所有の意識が薄い場合などに関しては売却してしまうと良いでしょう。
(4)近隣との関係悪化を防げる
空き家状態であまり管理ができていない場合、最も迷惑をかける存在となるのが、近隣住民です。
害虫の発生、不法投棄による悪臭、植木の侵入などさまざまな被害を受けやすいといえます。
特に廃墟化したような空き家が近隣にあると、自分たちの住まいに対しても大きな悪影響を及ぼしますし、倒壊などによる身体的なリスクも負う可能性があります。
空き家を活用することにより、このようなリスクが大幅に軽減されますので近隣住民との関係悪化を防ぐことも可能といえるでしょう。
空き家を活用する場合のデメリットや注意点
空き家の活用は、メリットばかりではなくデメリットも存在します。
ここからは空き家を活用する際のデメリットについて解説しましょう。
(1)最初にまとまった資金が必要
空き家を賃貸に出すためにリノベーションなどを行う場合、最初にリノベーションの費用が発生します。
空き家の傷み具合によっては非常に高額になってしまうことも考えられるでしょう。
そのため、空き家を賃貸するのに最初にまとまった資金が必要になってしまう場合があります。
空き家を活用する当初にまとまった資金が必要になる点がデメリットといえるでしょう。
(2)うまく活用できるかわからない
空き家を賃貸に出す場合リノベーションが必要で資金が必要な点を前述しました。
しかし、いくらきれいにしたといっても必ず賃貸に出して借り手があるわけではありません。
賃貸はきれいになったから需要があるわけではなく、エリアや環境にも大きく左右されます。
いくら資金を投下したといっても上手く活用できるかわからないといった点もデメリットとして挙げられるでしょう。
(3)維持管理費用がかかる
空き家を賃貸に出したとしても不動産を所有している以上、維持管理費用は必ず付きまとってきます。
高額な維持管理費用でなければ家賃収入で十分まかなうことができますが、高額な修繕費用が発生する場合などは、家賃収入以上のコストがかかってしまうこともあるでしょう。
また、不動産を所有している以上、毎年固定資産税などの税金も発生しますので納税しなければいけません。
借り手がない場合などはコストだけが発生するだけになってしまうでしょう。
これも大きなデメリットです。
(4)需要がなければ売れない
賃貸に出す場合、単純にリノベーションしただけではなくエリアや環境も大きな要因であると前述しました。
売却の場合も同様です。
エリアにある空き家を活用したいという需要がなければ売却もできません。
また、空き家の築年数や、土地の広さなども売却には重要なポイントとなります。
あまりにも築年数が古く、土地の形状が悪いなどの理由が売れない要因となってしまいます。
需要がなければ売却もできないといった点がデメリットといえるでしょう。
空き家を活用した成功事例
空き家の活用としていくつかの成功事例があります。
必ずしもあなたが所有している空き家に合致しているとは限りませんが、上手く活用できる手助けになるかもしれません。
ここからは、空き家を活用した成功事例について解説します。
(1)サブスク住宅
近年、よく利用されている方法として挙げられるのがサブスク住宅です。
サブスク住宅とは、定額料金で貸し出す住宅のことを指します。
サブスク住宅として登録すると、希望の期間だけ貸し出し、期間分の家賃を得ます。
ユーザーがサブスク住宅を利用できる期間は、1か月間や数日間などサービスの内容によって異なります。
長期間一人の人に長期間賃貸する方式ではありませんので、収益にばらつきがあることはありますが、近年需要が伸びているサービスです。
稼働率が高ければ、通常の家賃収入以上の収益を上げる可能性もある活用方法といえます。
(2)古民家賃貸
空き家は築年数が古く、前述したように賃貸に出す場合、リノベーション費用などが必要です。
しかし、古民家を賃貸に出すケースが増えており、設備などを大幅にリノベーションしなくても賃貸として募集することもできます。
もちろん古民家風にしてもリノベーション費用はかかりますが、前述したように大幅なリノベーション費用は必要ありませんので高額な費用は必要ありません。
初期投資が抑えられる活用方法といえるでしょう。
(3)介護施設
少子高齢化の影響で高齢者が年々増加しています。
そこで需要が高まっているのが介護施設です。
ディサービスなどの施設であれば、空き家をリノベーションして活用することができます。
空き家の活用方法として効果的といえるでしょう。
(4)サテライトオフィスなど
サテライトオフィスとは、わざわざ会社に出勤せずに、自宅近くのスペースでテレワークなどができる施設です。
コロナの影響により、テレワークなどにより出勤する必要がなく自宅で仕事を行える環境が整ってきています。
サテライトオフィスは、自宅近くにある仕事場といった形になりますので戸建てでも十分にサテライトオフィスとして運用可能です。
企業からまとまった期間での借り上げなども期待できるでしょう。
まとめ
空き家のままほったらかしにしてしまっていると、固定資産税などのコストがかかってしまうばかりで資産価値も急速に減少していきます。
上手く空き家を活用することにより収益を上げることも可能です。
空き家の活用には、収益を上げるほか資産価値の維持といったメリットがある一方、必ず収益が上がるかどうかわからないし、初期投資がかかるといったデメリットがあります。
空き家を活用する需要があるかどうかの事前分析が必要といえるでしょう。
この記事では空き家の活用事例なども解説していますので、空き家の活用に悩んでいる人は是非参考にしてはいかがでしょうか。