空き家を高く売るための売却方法や注意点を解説
「空き家を所有しているが、高く売ることは可能なのか」
「空き家を所有している場合、高く売るにはどのような手順が必要なのか」
誰も住んでおらず、今後も活用の見通しがない空き家を所有している場合、売却して現金化しようと考える方も多いのではないでしょうか。
あまり不動産について詳しくない方などは、空き家を高く売ることが可能なのか、空き家の売却に必要な手順などがわからないといった方も多いでしょう。
この記事では、空き家を高く売ることが可能なのかといった点や、空き家を高く売るにはどのような手順が必要なのかといった点について詳しく解説します。
空き家を高く売ることは可能なのか
そもそも誰も住んでおらず、所有者が活用できない空き家を高く売ることができるのかといった点が所有者にとって最も気になる点です。
空き家の売却について解説します。
(1)空き家でも高く売却することは可能
誰も住んでおらず、現在の所有者ではうまく運用できない場合、空き家を所有していても固定資産税や維持費などのコストばかりがかかってしまいます。
空き家で活用方法がない場合は、売却して現金化してしまうといった流れが一般的です。
空き家でも売却は可能ですし、状況によっては高く売ることもできます。
しかし、全ての空き家が高く売却できるわけではありません。
空き家を高く売るには、空き家の状況やエリアによっても大きく異なり、場合によっては、購入時の金額よりも大幅に安い金額での売却になってしまいます。
空き家を高く売るには、どのようなものが価格に影響するのかをしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
(2)空き家の築年数は売却価格に大きく影響する
空き家を売却する際、売買価格に影響するもののひとつが築年数です。
築年数が古ければ古くなるほど、売却価格は安くなってしまい、木造住宅だと耐用年数の築22年を超えてしまうと、建物自体の価格はゼロとみなされてしまいます。
築年数が経過していない新しい建物ほど、購入時に近い価格で売却しやすくなるといえるでしょう。
(3)エリアの相場などを確認しておく
空き家の売却には築年数が大きく影響することを述べました。
築年数だけが空き家の価格に影響するのであれば、購入時以上の金額で高く売ることは難しいと思う方も多いのではないでしょうか。
空き家を高く売るには、築年数だけではなく、エリアの相場が大きく影響します。
不動産の価格は、常に一定の価格という訳ではありません。
経済状況によって価格は大きく変動します。
また、空き家があるエリアに駅や大型の商業施設などができた場合も、価格が上昇する要因となるでしょう。
どんどん発展しているようなエリアだと、不動産の価格も上昇基調となり、空き家を高く売ることも可能です。
空き家を高く売るには、エリアの相場などをしっかりと確認しておく必要があるでしょう。
空き家を売るにはどんな手順が必要?
空き家等の売却に対して、はじめて不動産の売却を行う場合や、あまり経験がない場合、売却の手順がわからないといった方も多いのではないでしょうか。
ここからは空き家を高く売るための手順について解説します。
(1)査定を依頼する
まずは、不動産会社への査定依頼です。
所有している空き家がどの程度の価格で売れるのかを不動産会社に査定してもらいます。
査定価格は不動産会社によって異なり、より高い査定額を提示した不動産会社へ依頼すると高い査定価格で募集することになります。
ただし、相場よりもかけ離れた金額で募集したとしてもなかなか高く売ることができません。
不動産一括査定サイトなどを利用すると、ネット上で必要な情報を入力するだけで複数の不動産会社から査定書を取得できます。
複数の不動産会社からの査定で、大まかな相場や、高い価格で売却できそうな不動産会社に募集を依頼するといいでしょう。
(2)売却依頼する不動産会社を決めて媒介契約を締結する
査定書や不動産会社の対応などから売却をお願いする不動産会社を決めると、不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介契約には3種類の方法があり、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任契約から選択しますが、どの契約を選択しても費用は発生しません。
費用は売買契約が成立し、引き渡しが完了した後の仲介手数料を、媒介契約が締結した不動産会社に支払わなければいけません。
基本的には3ヶ月の契約期間となりますので、3ヶ月が経過した後は他の不動産会社と媒介契約を結びなおすことも可能です。
(3)募集する
売却価格を決定し、募集を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を締結すると募集活動に入ります。
募集活動を行うのは、依頼した不動産会社です。
近年の募集方法として最も集客効果が見込めるのがネットでの募集といえます。
自社のHPや不動産検索サイトなどに物件を記載することにより、多くの方に売却情報を認知してもらいます。
また、募集チラシの新聞折り込み広告や、自社店舗への掲示、現地での募集のぼりなども効果的な募集方法です。
あらゆる募集方法を使って買主を見つけてくれる不動産会社に依頼することで、高い金額でも売却できる可能性が高まるでしょう。
(4)売買契約を締結し手付金を受け取る
募集活動により購入希望者が表れると、内覧などを行い、売買契約を締結します。
売買契約を締結する際、手付金を買主から受け取ります。
一定期間内に買主から売買契約を破棄したい場合は、手付金を放棄して売買契約を放棄することが可能です。
売主は預かった手付金の返還と、手付金と同額の金銭を支払うことで、売買契約を破棄することができます。
(5)空き家を引き渡す
売買契約から住宅ローンの実行や、測量など引き渡しまでに必要な作業がすべて完了すると引き渡しとなります。
引き渡し時には、手付金を引いた売買代金の残代金が支払われると同時に、所有権の移転登記を行い引き渡しが完了となります。
空き家を高く売るにはどんな注意点がある?
空き家を高く売るためにはどのような注意点を把握しておくといいのでしょうか。
ここからは空き家を高く売るための注意点について解説します。
(1)相続など所有権を明確にしておく
空き家の売却をする前に、空き家の所有権などを明確にしておかなければいけません。
例えば、相続などで空き家を引き継いでいる場合は、亡くなった方のままで移転登記がされていない可能性もあります。
空き家を取得した経緯などから、所有権がどのように登記されているのかを確認しておきましょう。
(2)複数が空き家を所有している場合は全員の同意が必要
空き家の取得が相続だった場合、もしかすると複数の相続人が所有しているかもしれません。
もし複数の方が空き家を所有している場合は、売却に全員の同意が必要です。
最も所有割合の多い方が売却の意向を持っていたとしても、一人でも売却に同意していなければ空き家を売却することができません。
空き家の売却を行う前に、所有者全員で話し合いを行い、同意を得た上で空き家の売却を行いましょう。
(3)築年数によっては測量が必要
空き家の築年数が古く、境界などの明示がはっきりしていない場合は、空き家の売買契約が成立し、引き渡す前までに測量する必要があります。
空き家などの不動産を売却する場合、きちんと境界を確定した上で不動産を引き渡さなければ、近隣住民との間でトラブルになってしまうかもしれません。
売買契約を締結した後は、測量士などに依頼し、境界を確定した上で不動産を引き渡しましょう。
測量なしでの売買契約も可能ですが、値引き交渉の材料にされることも考えられます。
売主の責任において境界を確定した上で売却することがオススメです。
(4)空き家が実家だった場合は3年以内に売却する
不動産を売却する場合、仲介手数料や測量費の他に譲渡税に関しても注意しなければいけません。
譲渡税とは、不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金です。
5年以上所有していたら譲渡所得の20.315%、5年未満の所有なら譲渡所得の39.63%がかかります。
しかし、実家などマイホームの場合は譲渡所得に対して3、000万円の特別控除を適用することが可能です。
相続で引き継いでいるということは、マイホームとして利用していた被相続人はすでに亡くなっていますので、相続人はマイホームとしては利用していません。
空き家が実家で相続などにより引き継いだ空き家を売却する場合、相続が発生した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却ができると特別控除を利用できます。
3,000万円の特別控除が利用ですると、空き家の売却により3,000万円以上の利益が出なければ基本的に譲渡税はかかりません。
譲渡所得税は大きな税負担になります。
特別控除の利用にも注視しておきましょう。
空き家を高く売るにはどんなコツがある?
空き家を少しでも高く売却するためにはいくつかのコツを理解しておくといいでしょう。
ここからは、空き家を高く売るためのコツについて解説します。
(1)査定は複数の不動産会社に依頼する
空き家を高く売る手順について解説した際に前述しましたが、査定は複数の不動産会社に依頼すると高く売却できる可能性が高くなります。
1社だけの査定書で売却してしまうと、本当に不動産会社が査定した金額が妥当であるかどうかがわかりません。
査定は複数の不動産会社に依頼し、ある程度相場を理解した上で売却価格を決めることがポイントです。
1社だけで判断しないことが高く売るコツのひとつといえます。
(2)専任媒介契約で不動産会社に依頼する
空き家を売却する前に不動産会社と媒介契約を締結し、売却の仲介を依頼しなければいけません。
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があることを前述しました。
不動産会社に媒介を依頼する場合の契約方法は専任媒介契約がオススメです。
専任媒介契約とは、3ヶ月間の契約期間で依頼した不動産会社だけに売却の依頼を行う契約です。
専任契約を締結すると、他の不動産会社に売却を依頼することができません。
つまり依頼した不動産会社の実績や実力が大きく影響することになります。
一般媒介契約だと複数の不動産会社に売却を依頼することができますが、他の不動産会社で売買契約が成立してしまうと、報酬を得ることができません。
募集活動に費やした労力が報われない可能性もありますので、一般媒介契約では不動産会社の動きが鈍い可能性も考えられます。
空き家を高く売るためには専任媒介契約を締結して売却を依頼するのがオススメです。
(3)ホームインスペクションなどを活用する
空き家などすでに築年数が経過している住まいを購入するときに買主が気になる点にはどのようなものがあるのでしょうか。
買主が気になるのは、購入後に何か不具合や修繕個所が見つかり、後から大きな費用が発生する可能性がある点です。
空き家等の中古住宅の売却において支障となるのが、購入後の修繕に関する心配といえます。
購入後に修繕などの心配を解消する方法として挙げられるのがホームインスペクションです。
ホームインスペクションとは資格を持った住宅診断士が家の状態をチェックし、売却前の状態を第3者目線で劣化状況や修繕個所をチェックするものです。
建物の基礎部分や外壁のひび割れ、雨漏りの状況などをチェックし報告されますので、問題がない場合は買主も安心して購入することができます。
費用相場も6万円前後と比較的安い価格で、ホームインスペクションが利用可能です。
買主の不安を解消できるため、高く売却できる可能性が高くなります。
まとめ
空き家でも高く売却することは可能ですが、きちんと相場や築年数、依頼する不動産会社などを選択しなければいけません。
複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる不動産会社に売却を依頼しましょう。
また、ホームインスペクションなどを利用することで、買主の修繕に関する不安を和らげることも効果的です。
築年数やエリア相場などから地域の売却相場をしっかりと理解した上で売却価格を決定し、募集するとスムーズな売却にも期待が持てます。