家じまいの際の片付けの手順・注意点も解説
近年、終活の一環として家じまいを検討している方が増えています。
そもそも、家じまいといった言葉が使われ始めたのもここ最近で、家じまいについてよくわからないといった方も多いのではないでしょうか。
この記事では家じまいの意味や行う理由、家じまいの手順や、活用方法といった点について詳しく解説します。
家じまいの意味と行う理由
まずは家じまいの意味と、なぜ家じまいを行うのかといった点について解説します。
(1)そもそも家じまいとは?
少子高齢化による人口減少と高齢者の増加が我が国における今後の課題といわれています。
高齢者の増加によって増えてきたのが家じまいです。
家じまいとは、今後自分たちの家を引き継いで居住する方がいないときに、自分の代で家を処分することを指します。
家じまいを行う方が増えた理由については後程それぞれ解説しますが、以下の理由が考えられます。
- 次に居住予定の後継者がいない
- 子どもや親族が遠方で実家が引き継げない
- 建物が劣化してすみにくい
複数の理由が重なり、家じまいをする方が増えているといえるでしょう。
それぞれの理由について解説します。
(2)次に居住予定の後継者がいない
少子高齢化によって、1世帯あたりの平均児童数が1.71人と減少傾向が続いています。
世帯に子どもがいない家庭が増えているのです。
昔はどんどん人口が増えていましたので、家を建てる方も多く、親が亡くなっても相続した方がそのまま住まいとして利用しているケースがほとんどでした。
しかし少子高齢化の昨今、人口はどんどん減少の一途をたどっています。
自分たちが所有している家は、今後誰も住まないとなれば残しても仕方ありません。
そのため、早めに処分して家じまいしようと考える人が増加しているのです。
家じまいする最も大きな要因とひとつといえるでしょう。
(3)子どもや親族が遠方で実家を引き継げない
核家族化も大きく影響しています。
昔は、大家族で暮らしている世帯も多く、祖父や祖母、親と子どもといった3世代でひとつの家に住んでいるケースも珍しくはありませんでした。
しかし核家族化が進み、子ども家族が別の場所に住んでいるケースが今では一般的です。
子どもや親族がいても遠方に住んでいる場合は、自分たちがいなくなったときに、管理ができない可能性が考えられます。
また管理できたとしても大きな負担をかけることになってしまうでしょう。
このような点から自分たちが生きている内に家じまいをして、子どもや親族に余計な負担をかけないようにとの考えから、家じまいする方が増えています。
(4)建物が劣化して、住みにくい
建物自体が大きく劣化してしまっていると、引き継がれたとしても修繕費用が高額になってしまうケースもあります。
また、次に引き継ぐには建物の設備も不便な仕様となっていることもあり、子どもさんたちが引き継ぎたくないと考えるケースも多いでしょう。
また、建物が古いと設備だけではなく、耐震性能に対する不安を持つ人がいるかもしれません。
特に近年は、地震被害によって多くの住まいが倒壊や半壊といった被害を受けています。
建物が古いと、地震に耐えられないかもしれません。
そのため、自分が生きているうちに家じまいしようとするケースが多いといえるでしょう。
家じまいによる片付けの手順
実際に家じまいをしようとする場合、どのよう手順を踏めばいいのかも気になります。
ここからは家じまいによる片付けの手順について解説します。
(1)家じまいした後の生活をきちんと考える
家じまいをするということは、自分たちの住む家が無くなってしまうことにつながります。
家じまいした後の住まいをどうするかをしっかりと検討しておきましょう。
家じまいした後の住まいとして考えられるのは以下の3点です。
- 賃貸アパートやマンションに住む
- 子どもたちの家に同居する
- 老人ホームなどに住む
しっかりと計画を立てておかなければ、家じまいしたくてもできなくなるかもしれません。
どの方法が最もいい選択になるのかは、家じまいをする方の生活環境や健康状態によっても大きく異なります。
十分に検討した上で決定することがオススメです。
(2)貴重品の確認、選別
長期間住んでいた家ともなれば、実際にどのようなものをどこに仕舞っているか、わからなくなっているかもしれません。
貴重品を確認し、選別しておきましょう。
特に大事な書類などが、どこにしまっているかがわからないといったケースも多いので、特に書類関係は前もって選別しておかなければいけません。
ただし、あまり荷物を抱えすぎてしまうと、新しい住まいが荷物でいっぱいになってしまうことも考えられます。
思い出の品なども非常に多いかもしれませんが、次の住まいに無理なく保管できる程度の貴重品に留めておくといいでしょう。
(3)荷物の整理
貴重品の選別や保管ができると、荷物の整理にかかります。
貴重品の確認・選別でも述べましたが、なるべくコンパクトにまとめることをオススメします。
新しく引越しする家の広さにもよりますが、家じまいを検討しているケースでの引越しの場合、次に住む家は今までよりも狭くなるケースが一般的です。
また、引越しは基本的に業者に依頼するケースが多いのですが、荷物をしっかりとまとめておかなければ、間違って不用品を新居に持っていくかもしれません。
逆に、必要だった貴重品を処分してしまうケースも考えられます。
段ボールなどにまとめておき、引越しに持っていくものと、廃棄するものをきちんと選別しておく必要があるでしょう。
(4)引っ越し
引っ越しする場合の注意点として挙げられるのは、家じまいする住まいの解約です。
電気やガスの解約やインターネット、宅配関係の解約などを忘れずに行いましょう。
但し、解体などにより住まいを処分する場合、電気や水道を使用することがあるかもしれません。
基本的には全ての契約を解約しておくといいのでしょうが、家じまいの方法によっては、継続して契約しておいた方が良いものもあります。
家じまいの処分方法に合わせて、契約関係をチェックしておきましょう。
(5)すまいの処分
引っ越しが終わるといよいよ家じまいです。
家じまいする方法については後ほど詳しく解説しますがいくつかの処分方法が考えられます。
家じまいをする場合、不動産会社へ依頼して処分するケースも多いことから、信頼のできる不動産会社をパートナーとしておくことがオススメです。
家じまいに対する具体的な提案や対応をしてくれると、安心して新しい生活へと移行することができるでしょう。
不動産会社の対応が悪いと家じまいがなかなかできないといったことにもなりかねません。
大手の不動産会社や小規模でもエリアに特化した強みを持つ不動産会社など色々な特色がありますので、自分なりに分析して不動産会社を選びましょう。
家じまいを行う際の注意点
家じまいに関して、家じまいをする理由や手順などについて解説しました。
家じまいを行う際にはいくつかの注意点がありますので。注意点をしっかりと把握することでスムーズな家じまいができます。
ここからは家じまいを行う際の注意点について詳しく解説しましょう。
(1)業者に片付けを依頼する場合は複数の業者から見積もりをもらう
業者さんに片付けを依頼する場合、できる限り費用を抑えたいと考える方も多いのではないでしょうか。
ただし費用ばかり安くてもサービスが悪ければ、安くしてもらった意味がありません。
業者に家じまいの片付けを依頼する場合、複数の業者から見積もりを取ることをおススメします。
ひとつの業者さんだけに見積もりを取って依頼してしまうと、相場より高い金額で頼んだのかもしれません。
片付けを業者に依頼する場合は、見積もりを複数社からとり、費用面を比較しましょう。
交渉していく中でサービス内容や対応状況などを比較したうえで片付けを依頼する業者を決定するといいでしょう。
(2)家族に前もって相談し、同意を得ておく
家じまいをするということは、子どもさんたちの思い出の実家が無くなることになります。
事前相談もなく自分たちの判断だけで決めてしまうと、子どもさんたちとの関係性が悪くなるかもしれません。
また家じまいをすることにより荷物の処分などでもトラブルになる可能性があります。
家族には必ず事前相談を行っておきましょう。
(3)片付けにかかる費用の目安を知っておく
片付けに関する費用を前もって把握しておきましょう。
正確な数字ではなく目安で構いませんので、費用の目安を把握しておく方が良いでしょう。
特に業者さんに片付けを依頼するとなると、家の広さや荷物の量によっても異なりますが、数十万円単位で費用が必要です。
費用の目安を把握して、資金の準備などを行っておきましょう。
(4)新しい家が必要な場合は前もって確保しておく
家じまいの注意点として家じまいをした後の住まいをどうするのかといった点をしっかりと準備しておかなければいけません。
新しい家が必要な場合は、家じまいを行う前に確保しておくといいでしょう。
ある程度次の住まいが確保できていなければ、なかなか家じまいが進まない可能性も考えられます。
すっきりと家じまいをするためにも、新しい住まいを確保しておくことがおススメです。
家じまいする際の処分方法
ここまでは家じまいをする予定でも片付け部分について重点を置いて解説しました。
実際に家を片付けた後に行う家じまいにはどのような方法があるのでしょうか。
家じまいの処分方法について解説します。
(1)実家を売却する
家じまいの方法として売却が挙げられます。
不動産会社に売却の仲介を依頼し、家を売却します。
不動産会社が査定した後、売却金額に納得できると、不動産会社と媒介契約を締結し募集活動を行います。
実家の売却は、売却された金額がそのまま手元に入ってくるのではありません。
不動産会社に支払う仲介手数料や各種税金の発生などがありますので、家じまいで売却を選択する場合は売却にかかる手数料を把握しておきましょう。
(2)実家を買取ってもらう
不動産会社に実家を買取ってもらう方法も活用方法として挙げられます。
不動産会社が買取金額を提示し所有者が納得すると、実家を売り渡します。
買取の場合は不動産会社が買主になりますので、仲介手数料を支払う必要がありません。
しかも価格面で合意するとすぐに売買契約から決済も可能ですので、スピーディな引き渡しを望む方に向いている家じまい方法といえるでしょう。
(3)解体する
家だけを解体する方法も挙げられます。
土地は、そのまま残しておきたいといったケースも多く、管理面のわずらわしさを解消するために、家だけを解体して土地だけを残す活用方法です。
この場合、解体費用が家じまいの費用に加算されることになります。
土地だけ残しておくことが確定している場合は前もって解体などの見積もりを取っておくと良いでしょう。
まとめ
家じまいが増えている理由や片付けの手順、家じまいする方法などについて解説しました。
これからも家じまいをする家庭は上昇傾向にあるといえます。
家じまいには、いくつかの方法がありますので、家じまいをするのにベストな方法を自分たちで理解した上で動かなければいけません。
事前に家族の了解などを取った上でスムーズな家じまいを行いましょう。