古家付き土地の解体費用の相場は?費用を安く抑えるコツも解説
古家付き土地を相続などにより所有することになった際、特に誰も住む予定がない場合などは、売却を検討する方も多いのではないでしょうか?
この記事では古家付き土地の解体費用や、解体のメリット、デメリット、解体を安く抑えるコツなどについて詳しく解説します。
構造別・古家付き土地の解体費用の相場
古家といっても構造によって解体費用は異なります。
ここからは解体費用を計算する方法や、構造別解体費用の相場について解説しましょう。
(1)古家付き土地の解体費用を計算する方法
古家を解体する場合、解体費用に影響するのが坪単価と広さです。
坪単価とは、解体費用一坪当たりの単価を指し、広さは解体する建物の延べ床面積を表します。
建物の構造には大きく分けて
- 木造
- 鉄骨造
- RC造
の3パターンがあります。
木造は解体費用が安く、RC造の解体費用が坪単価は高くなるのが一般的です。
広さとは建物の延べ床面積を指します。
つまり構造はRC造で、延床面積が広いと解体費用は高くなると考えておくといいでしょう。
ただし、あくまでも簡単な計算式であって、隣接する道路の幅や土地の形状などによっても費用は大きく異なります。
一般的な目安として捉えておきましょう。
(2)木造の解体費用相場
木造の解体費用における坪単価の目安として、坪3万円前後を考えておくといいでしょう。
木造住宅は比較的解体しやすいため、解体工事の日数も他の構造と比較すると長くはありません。
さらに解体時に注意しなければいけないのは廃棄物についてですが、こちらも材料があまり多くはありませんので廃棄の手間が少ない点が挙げられます。
延床面積が40坪とする場合、解体費用の目安として
40坪×3万円=120万円
と計算ができます。
ただし前述しましたが、あくまでも目安です。
付属物が多い場合や土地の形状が良くない場合などにおいては坪単価が上がりますので注意しましょう。
(3)鉄骨造の解体費用相場
鉄骨造の解体費用における坪単価の目安は、坪4万円前後を考えておくといいでしょう。
RC造よりも手間がかかりませんが、木造よりも解体の時間がかかり、廃棄する材料も鉄骨など若干多くなってしまいます。
そのため、坪単価で1万円程高くなってしまうでしょう。
延べ床面積が40坪とする場合、解体費用の目安として、
40坪×4万円=160万円
と計算ができます。
木造と比較すると40万円ほど高額になりますので、事前に金額を把握しておきましょう。
(4)RC造の解体費用相場
RC造の解体費用における坪単価の目安は、坪6万円前後を考えておくといいでしょう。
RC造は耐火性や耐久性、防音性が木造や鉄骨造よりも高いため、非常に強固な構造体です。
そのため、解体する際にも大きな手間や時間がかかってしまいます。
またRC造の建物となると、2階建てではなく3階建てや4階建てといったケースも考えられます。
高層になればなるほど、重機の使用などが必要になりますので、さらに高額になる可能性も考えられるでしょう。
先ほどと同様、延床面積が40坪とする場合、解体費用の目安として、
40坪×6万円=240万円
と計算ができます。
RC造に関しては前述したように階層や基礎の深さなどにも影響されますので、事前の調査は必須です。
古家付き土地を解体する4つのメリット
ここからは、古家付き土地を解体する4つのメリットについて詳しく解説します。
(1)売却しやすい
古家を解体することにより、土地が更地となります。
一般的には、古家がついているよりも更地の方が売れやすいのが不動産の特徴です。
解体を検討するほどの古家ともなると築年数が大きく経過している物件が多いので、購入希望者は、建て替えなどを考えた上で購入されるケースが多いといえます。
古家がついていると解体費用に時間と費用がかかりますので、最初から更地の状態で売却されている不動産の方が好まれるでしょう。
築年数が大きく経過しており、傷んでいる箇所が多い家の場合などは解体する方がメリットは大きいといえます。
(2)契約不適合責任の心配がない
解体せずに古家付きで売却し、購入者が居住目的で購入した場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。
契約不適合責任とは、売却する不動産が契約に適合しない状況にあった場合、売主が修繕や損害賠償といった責任を負うものです。
古家の場合、雨漏りやシロアリといった、売却してしまった後に不具合が見つかりやすい傾向にあります。
この場合、減額請求や修補、最悪の場合契約解除や損害賠償といった責任を売主が負ってしまうかもしれません。
契約不適合責任は建物だけではなく土地に対しても責任を負いますので、買主が建物を解体した後に、土地に対する不具合を発見してしまう可能性も考えられます。
建物を解体してしまうと、建物に対する契約不適合責任を問われることはありません。
更地の状態ならば、土地の状態もよくわかりますので、不具合を事前に発見しやすいため売買契約前に発見しやすくなります。
大きなメリットといえるでしょう。
(3)古家の管理が必要なくなる
解体せずに古家を残した状態だと、古家を管理し続けなければいけません。
古家を持ち続けていると、維持管理の費用がかかりますし、修繕をしなければいけない箇所も出てきます。
古家を管理していなければ、劣化のスピードが速く、倒壊や近隣に迷惑をかけてしまうなどさまざまなリスクを背負ってしまうでしょう。
古家を解体してしまうと、当然ながら今後、建物に関する管理の必要がありません。
余計なコストを負担するケースも大幅に減ります。
解体による管理負担減も大きなメリットといえるでしょう。
(4)高い金額で売却しやすい
古家を残した状態よりも解体して更地として売却した方が売りやすいと前述しました。
古家があった場合、現況で売却しようとすると、建替え目的の購入希望者から解体費用分の金額について減額交渉を受ける可能性が高くなります。
また、購入希望者の解体費用負担を考えて、最初から安い金額で売却の募集をするケースも多いので、古家があるとどうしても安い価格になってしまいやすい傾向です。
最初から更地の状態で売却募集していると、減額交渉を受ける機会も非常に少なくなりますので、高い金額で売却しやすくなるでしょう。
これも大きなメリットのひとつといえます。
古家付き土地を解体する3つのデメリット
ここからは、古家付き土地を解体する3つのデメリットについて解説します。
(1)解体費用がかかる
真っ先に挙げられるデメリットは解体費用がかかる点です。
前述したように、解体の費用は、数百万円単位になるケースもそう珍しくはありません。
特に、建物の延べ床面積が広い場合や、隣接する道路が狭く、重機が入らない場合、廃棄する材料が多い場合などに関しては、高額な費用になってしまうことも考えられます。
解体後に売却するといった計画があれば、解体費用以上の金額を得る可能性もありますが、そのまま所有となると、解体費用は大きなコスト負担です。
費用面の負担が大きなデメリットとなります。
(2)固定資産税が高くなる
不動産の所有者が負担しなければいけない税金として固定資産税が挙げられます。
不動産の固定資産税評価額に一定の割合をかけて算出されますが、建物が建っている土地は宅地並み課税の適用が受けられています。
宅地並み課税の適用が受けられている土地は、通常の固定資産税の1/3か1/6まで減額されていますので、税制面では大きな節税効果をもたらしているといえるでしょう。
しかし建物が解体され更地となってしまうと、宅地並み課税の特例が受けられません。
つまり建物を解体してしまうと、土地の固定資産税が3倍や6倍にまで増額してしまします。
これも大きなデメリットといえるでしょう。
(3)再建築不可だと建て替えできない
古家を建てた当初は、建物が建てられた土地が、時間の経過とともに建物を建てられない土地に変わっている場合があります。
これを再建築不可物件といいますが、再建築不可になった土地にある古家を解体してしまうと、次に建物が建てられなくなってしまい、不動産の活用方法が大幅に制限されます。
建物が建てられなくなる土地になる要因としては隣接する公道の間口が2m以下になった場合や、公道に隣接しなくなったケースが挙げられるでしょう。
建て替えができず、古家をリノベーションするといった方法でなければ建物の活用ができません。
土地の価値を大きく損なってしまいますので、解体が大きなデメリットとなってしまうでしょう。
古家付き土地の解体費用を安く抑えるコツ
ここから、古家付き土地の解体費用を安く抑えるコツについて解説します。
(1)複数の業者から見積もりを取得する
複数の解体業者から見積もりを取得しましょう。
解体業者によって得意な分野や不得意な分野があり、解体費用も異なります。
最初に見積もりを頼んだ業者に決めてしまうと、安い金額で解体を依頼したかどうかもわかりません。
また、サービスの内容についても比較が必要です。
近年は、一括査定サイトの利用によって、必要な情報を入力すると複数の解体業者から見積もりが届きます。
このようなサイトを利用し、金額だけではなくサービスの内容なども比較して選択するといいでしょう。
(2)自分たちでできることは自分でする
解体するからといって、全部を任せてしまうと、大きな費用になってしまうこともあります。
自分たちでも処分できるゴミや家電などをそのままにして解体してしまうと、処分費が余計にかかってしまうでしょう。
室内のごみや家具など、自分たちで片付けられるものや、自治体のごみ収集時に少しでも処分できると、処分費用を抑えられます。
解体の全てを業者任せにせず、自分たちで対応できる分は、自分たちでやっておくと解体費用を安く抑えられるでしょう。
(3)見積もりの項目をしっかりと確認する
解体費用にかかる内訳もしっかりとチェックしておきましょう。
見積もりの価格だけで判断してしまうと、内訳の項目に必要な作業が入っておらず追加工事が必要になってしまうケースも考えられます。
のちのち後悔してしまうかもしれません。
複数の業者による比較と合わせて、解体の内訳もしっかりと確認しておきましょう。
(4)補助金や助成金を活用する
古家付きの解体に対し、国からの補助金や助成金などはありません。
しかし、自治体によっては、不動産の健全な流通を促進するために古家の解体に対し補助金や助成金を出しています。
補助金や助成金の内容は、工事代の半分や1/3など自治体によってさまざまです。
補助金や助成金の有無は、自治体のHPや窓口などで確認ができます。
解体に大きなサポートとなりますで、事前に確認しておくといいでしょう。
まとめ
古家付き土地の解体費用は構造や広さによって決まりますが、その他にも土地の形状や、隣接する道路幅といったものも影響されます。
つまり、場合によっては想定の金額よりも高額になってしまう可能性もありますので、事前に確認しておきましょう。
オススメは複数の業者に見積もりを依頼し、金額だけではなく、サービス内容や解体工事の内訳などもしっかりと比較して業者を選択するのがポイントです。