家の傾きを修理する工法と費用相場・傾きが発生する要因も解説

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家の傾き 修理

メンテナンスが不十分な家に長く住んでいるといつの間にか不具合が発生し、早急に対処しなければいけない事態に陥っている場合があります。

家の傾きなども不具合要因として挙げられるでしょう。

この記事では家の傾きが起こる要因や家が傾くことによる被害、修繕方法などについて詳しく解説します。

家の傾きが起こる要因とは?

家が傾く要因として以下の4点を挙げました。

ここからはそれぞれの要因を詳しく解説します。

(1)自然災害や地盤の軟弱さ

家が傾く要因として真っ先に思い浮かぶのは地震などの自然災害ではないでしょうか。

地震が原因で地盤が下がり、家が傾きます。

特に地盤が弱い地域に家が建っている場合は要注意です

地盤が弱いエリアに家を建てていると、そこまで大きくない地震でも地盤が沈下してしまう可能性が考えられます。

家を建築する際、あまりにも地盤が弱いエリアだと地盤改良などを行い、家を建てますが、それでも強化な地盤という訳ではありませんので、沈下が起こってしまいます。

災害のほか、地下水のくみ上げなども地盤沈下の要因です。

強い地震が起こった場合などは家の傾きに注意が必要です

(2)シロアリによる食害

戸建て住宅などは大部分が木造で建築されています。

木造住宅で注意しなければいけないのがシロアリによる食害です

シロアリは木材を好んで食します。

特に家の基礎部分などは、気づかないうちに食害の被害にあっているケースが多く、シロアリを発見したときには既に大部分が食害に合っているかもしれません。

家の建築時には、木材に対し薬剤を散布する防蟻処理が施されていますので、しばらくはシロアリを心配する必要はありません。

しかし年数が経過するにつれ、防蟻処理の効果が薄れてしまい、シロアリの被害が起こります。

家の傾く要因としてシロアリによる食害も多い事例といえるでしょう。

(3)施工不良

建築業者の施工不良も考えられます。

建築による利益を上げようと通常の部品よりグレードの低い部品などを使用していると、築年数の経過により、部品が劣化し本来の働きを有さなくなってしまうでしょう。

土台となる基礎部分に粗悪な部品が使用されていると、築年数の経過とともに基礎部分がずれてしまうかもしれません。

そもそも、しっかりと建築されていれば発生しないような現象も、施工不良であれば起こってしまう可能性が高くなります。

特に家の傾きなどは、建築施工技術の差も大きく、施行依頼した業者の技術や使った材質などでも大きく左右されます。

依頼する施工業者が非常に大切といえるでしょう

(4)経年による劣化

築年数が経過するとどうしても建物自体が劣化してしまいます。

土台となる基礎部分が築年数の経過とともに劣化してしまい家の傾きにつながります。

木材は築年数の経過とともに乾燥が進み、木の材質によっては収縮の度合いが想定よりも大きくなってしまい、家の傾きにつながるでしょう。

どんなに程度のいい木材を使用していたとしても、収縮しないということはありません。

しかし、安い木材ほど築年数の経過とともに収縮が進んでしまい、家の傾きが起きやすくなってしまうといえるでしょう。

家の傾きが発生することによる被害

ここからは、家の傾きが発生することによる被害について詳しく解説します。

(1)健康被害

家が傾いていると、健康に対して悪い影響を及ぼしてしまいます。

気づかないうちに家が傾いていますので、平衡感覚が狂ってしまい、目まいなどの症状が出ます

目まいを放っておくと、頭痛や吐き気といた症状まで進んでしまいますが、家の傾きに気づいていないと、原因がよくわからないといった事態にもなりかねません。

また、家の傾きは自律神経を乱してしまう要因ともなるでしょう。

自律神経が乱れてしまうと、睡眠不足や食欲不振といった症状を引き起こします。

知らず知らずのうちに健康が大きく害されるといえるでしょう。

(2)建具の開閉に不具合が生じる

家が傾いていますので建具の不具合が生じてしまいます。

1ヶ所や2ヶ所といった不具合ではなく全部の建具に不具合が生じるかもしれません。

傾きがひどい箇所になると全く開閉ができないケースも考えられるでしょう。

開閉に不具合が生じた建具を一旦修繕したとしても、傾きの症状が進めば、また建具の不具合が生じてしまうかもしれません。

本来ならばスムーズに開閉できる建具が開閉できないわけですので、実生活において大きなストレスを感じてしまいます。

多くの箇所で建具の不具合が起こっている場合は、家の傾き自体を疑う必要があるでしょう。

(3)鍵がかかりにくい

建具の不具合にも関係しますが鍵も閉まりにくくなってしまいます。

家が傾いていますので、玄関ドアもずれているかもしれません。

ドア自体は何とか開閉できたとしても鍵がうまくかからなくなっているかもしれません。

ドアに鍵をかけるとデッドボルトと呼ばれるドアの飛び出しがストライクと呼ばれる受け部分に入ることで鍵の役割を果たします。

しかし、ドアがずれると、デッドボルトとストライクがずれてしまい鍵がかかりません。

鍵の開閉も通常であればスムーズにできて当たり前の部分ですので、生活上大きなストレスを感じてしまうでしょう。

(4)建物にヒビが入る

建物にヒビが入りやすくなります。

家が傾きますので、通常ではかからないストレスが家のあちこちに生じます。

通常ではない場所にかかるストレスによって現われるのがヒビと考えるといいでしょう。

(5)倒壊リスク

家が傾く大きな要因は土台となる基礎部分のズレなどが挙げられます。

また土地の不同沈下なども傾きの大きな要因です。

このような状況の中、地震などが起こってしまうと、通常倒壊などが起きない程度の震度であっても傾いている家は倒壊してしまうリスクを負ってしまいます。

倒壊しやすくなる点も、傾いている家が持つ大きなリスクといえるでしょう。

家の傾きを修理する方法と費用の目安

ここからは、家の傾きを修理する方法や費用面の目安について解説します。

(1)耐圧板工法

耐圧版工法とは耐圧版を用いた工法で、基礎部分の下を掘り、耐圧版を設置した後、基礎をジャッキアップして傾きを解消します。

ジャッキアップ後に水平にした後は台座を設置し、土を埋め戻し工事完了です。

耐圧版工法は、不同沈下が原因となって傾いた家に用いられます。

地盤がすでに改良され、今後不同沈下の可能性がほとんどない時に効果が高い工法です。

まだ不同沈下が起こる可能性がある場合は耐圧版を設置しても再度傾く可能性がありますので、沈下の可能性を完全に解消した上でこの工法を用いましょう。

200万円から400万円程度の費用がかかります

(2)土台上げ工法

土台挙げ工法とは、傾いた基礎と土台の間をジャッキアップして解消する工法です。

基礎部分と土台をいったん切り離し、その間をジャッキアップして家を水平に戻します。

その後、ジャッキを入れたスキマに鉄板を入れ、モルタルで基礎と土台の間を固めて水平な状態を維持する工法です。

この方法も不同沈下が今後起こらない場合に効果的な工法といえます。

不同沈下が再度起こってしまうと基礎部分が再度傾いてしまうことになりますので、土台を上げても意味がありません

地盤改良などを行った後に施工するといいでしょう。

費用の目安としては200万円から400万円程度です。

(3)薬液注入工法

地盤があまり強いエリアではなく、ベタ基礎工法で建築された家に用いられる工法です。

セメントなどを用いた薬剤を地盤の中に注入して家自体を持ち上げます。

薬剤注入工法の大きなメリットとしては、家の傾きを直すと同時に地盤改良もできる点です。

再沈下の可能性が非常に低くなる工法です。

布基礎の場合は、他の工法と併用するとさらに効果を発揮するといえるでしょう

しかし、ある程度作業できるスペースが必要になりますので、狭い場所だと工事金額に影響を及ぼしてしまうケースがあります。

費用の目安としては、250万円から400万円を見ておくといいでしょう。

(4)アンダーピニング工法

重量物のある鉄筋コンクリート造の家などに効果が高い工法としてアンダーピンニング工法が挙げられます。

基礎部分の下を掘り、50㎝以下の鋼管杭をジャッキの下に設置した上でジャッキアップします。

鋼管杭がどんどん地中に埋まりますので、溶接により鋼管杭をつぎ足しながら支持層まで到達させる工法で重量物でも対応が可能な工法です。

土台の下で作業しますので、広い作業スペースが必要ない点などがメリットです。

しかし、支持層まで鋼管杭を繋げる必要がありますので、工期が他の工法よりかかりやすいといえます

費用の目安としては400万円から600万円程度です。

家の傾きを修理して売却する場合のメリットやデメリット

家の傾きを修理して売却する場合のメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

また、家の傾きを直すには工事金額が高額で、家の修理をあきらめて解体した後に売却するメリットやデメリットなどについても詳しく解説します。

(1)家の傾きを修理して売却するメリット

家の傾きを修理して売却するメリットとして挙げられるのは、相場並みの価格で売却できる点です。

家が傾いたままの状態で売却する場合、相場よりも安い価格でなければ売却できませんし、そもそも売却できるかどうかはわかりません。

非常に安い価格でなければ取引が成立しない可能性も考えられます。

しかし、家の傾きをきちんと修理した上で売却できると、相場並みの価格で売却が可能です

売却できない可能性がある家を、相場並みの価格で売却できるようになる点が大きなメリットといえるでしょう。

(2)家の傾きを修理して売却するデメリット

家の傾きを修理した上での売却は相場並みの価格で売却できますが、工事金額が売却価格に上乗せできるかどうかがわかりません。

もしかすると、家の傾きを直さないで売却した方が、売却による利益は大きくなる可能性もあります。

家の傾きを直す方法をいくつか紹介しましたが、価格帯としては200万円から600万円と決して安価な工事金額ではありません。

家の修理費用を売却価格に上乗せできなければ、上乗せできなかった金額は持ち出しとなってしまいます。

家の傾きを修理しなければどの程度の価格で売却できるのかといった点と修理して売却できる金額を把握したうえで、修理するかどうかの選択が必要です。

(3)家を解体して売却するメリット

家を修理せず、解体したうえで売却するメリットとして挙げられるのは、契約不適合責任を負う責任を大幅に抑えられる点です。

契約不適合責任とは、家を売却した後に、契約書に記載していない不具合があったときに売主が負う責任を指します。

傾いている家は、他の部分にもストレスを与えている可能性があり、売却後に発覚した不具合により、契約不適合責任を負うことになるかもしれません。

家解体して売却することにより、家に関する契約不適合責任を負わなくなります

大きなメリットといえるでしょう。

(4)家を解体して売却するデメリット

家を解体して売却するデメリットとなるのは、中古の家を購入したい層を逃してしまう点です。

解体して更地として売却する場合、購入する層は基本的に新たに家を新築して購入する人が大部分となります。

中古の戸建てを購入したい層も一定数いますので、このような層を逃してしまう点はデメリットといえるでしょう。

まとめ

家の傾きは最悪の場合倒壊してしまう可能性も秘めていますが、工事費用も決して安い価格ではありません。

工事の内容も家の特徴などによって異なりますので、修理する場合は家の特徴にあった修理方法を選択しましょう。

金額面だけにこだわってしまうと、家にとって最適な修理方法が選択できず、また傾いてしまうことにもなりかねません。

また売却時には、修理するのも、修理せずに解体して売却するにもそれぞれメリットやデメリットがあります。

それぞれのメリットやデメリットを理解した上で、家の修理法を選択しましょう。

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