再建築不可物件の活用方法・再建築可能にして活用する方法も解説
戸建ての売却募集などで、再建築不可と書かれている物件を目にすることがあります。
再建築不可と表示されている物件は、相場よりも安く募集されているケースが多いので、目を引くことも多いのではないでしょうか。
この記事では、再建築不可物件の特徴や理由、再建築不可物件の活用方法、再建築可能にして活用する方法などについて詳しく解説します。
再建築不可物件の特徴と理由
最初に再建築不可物件とはどのようなものなのかを知っておく必要があります。
ここからは、再建築不可物件の特徴や、再建築不可になる理由といった点について解説しましょう。
(1)再建築不可物件とは?
再建築不可物件とは名前の通り、現在の建物を壊してしまうと、次に建物が建てられない土地のことです。
建替え目的で再建築不可物件を購入すると、その建物を解体してしまった場合、新たな建物が建てられません。
再建築不可物件は、その土地に新たな建物を建て替えたい方には、希望に合わない物件となります。
再建築不可物件だと、建物を解体してしまうと更地としての活用しかできません。
そのため建物を改築などによよって、長期間維持するケースが一般的です。
再建築ができないという縛りがありますので、購入時には注意が必要な物件といえるでしょう。
(2)再建築不可物件になる理由
再建築不可物件になる理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
最も多い理由として挙げられるのが、接道義務を満たさなくなったケースです。
接道義務とは建物を建築するため必要な要件で、建物を建てるためには幅員が4m以上ある建築基準法上の道路に2m以上接していなければいけません。
現在ある建物が建築されたときには接道義務を満たしていたのに、長い年月の間、接道義務を満たさなくなった場合などに、再建築不可物件となります。
また建築当時は接道義務がなかった建物なども該当するでしょう。
再建築不可物件と接道義務を満たさない場合のケースが以下の通りです。
- 建築基準法上の道路と接していない
- 4m未満の建築基準法上の道路と接している
- 建築基準法上の道路と接しているが間口が2m未満だった
接道義務違反が再建築不可物件になってしまう最も大きな要因といえます。
(3)再建築不可物件の数は?
再建築不可物件の数はどの程度あるのでしょうか。
総務省が調査した2013年の住宅・土地統計調査では幅員2m未満の道路に接している土地の数が約57万戸、敷地が道路に接していない土地の数が約31万戸となり、全体の10%程度が再建築不可物件との結果でした。
そのうち売却されるような住宅の割合が全体の6%程度ですので、そこまで多い数ではありませんが、100戸のうち6戸は再建築不可物件となります。
中古物件の購入を検討する際に、インターネットなどで検索すると1件前後は再建築物件を見つける可能性もあるのではないでしょうか。
再建築不可物件を活用するメリットとデメリット
再建築不可物件となると、次に建物を建てられませんので、デメリットの方が多いと感じる方も多いのではないでしょうか。
確かに再建築不可物件にはデメリットも多いですがメリットもあります。
ここからは再建築不可物件を活用するメリットやデメリットについて詳しく解説しましょう。
(1)活用するメリット 安価に取得できる
再建築不可物件のメリットとして真っ先に挙げられるのは、購入価格が安い点です。
再建築ができない物件ですので、建て替えを希望する方は、購入の候補から外してしまいます。
現在建っている建物に現時点では住み続けることは可能です。
しかし、築年数の経過とともにいずれ建て替えとなるときにも建て替えができません。
このような制限があるため、購入者はそう多くありません。
相場の価格で売却は難しく、ほとんどの再建築不可物件の価格は相場よりも安くしなければ売却ができないでしょう。
とにかく安い価格で物件を購入したい方などにはメリットとなります。
(2)活用するメリット 固定資産税が安い
土地や建物といった不動産を所有している場合、固定資産税を納税しなければいけません。
毎年1月1日時点の所有者に対して納税通知書が地方自治体から届きます。
固定資産税は固定資産税評価額に所定の税率をかけて算出されますが、不動産のエリアや広さによっては非常に高額な納税額になることもあります。
しかし再建築不可物件は、接道義務を満たさないことから評価額が安いケースが多いため、固定資産税が安くなるのが一般的です。
固定資産税は毎年の負担となりますので、高額な場合、固定資産税が大きな負担になっている場合もあります。
維持費である固定資産税が安い点も大きなメリットです。
(3)活用するデメリット資産価値が低い
次に再建築不可物件のデメリットについて解説しましょう。
再建築不可物件のデメリットとして挙げられるのは、資産価値がどうしても低くなる点です。
物件の価格が安いということは、資産価値が低いことを表しています。
需要もあまり多くはなく、建て替えができないため活用方法が大幅に限られてしまう点が要因のひとつです。
一般的な不動産と比較しても、再建築ができないというのは大きなマイナス要因のため、価値が低くなりやすいといえるでしょう。
再建築不可物件の大きなデメリットです。
(4)活用するデメリット住宅ローンは通りにくい
再建築不可物件に購入希望者がなかなか現れない理由としてもうひとつ挙げられるのが、住宅ローンが通りにくい点です。
不動産物件は非常に高額なので自己資金だけでは購入ができず、住宅ローンなどを利用して不動産を購入します。
しかし、住宅ローンを申し込めばすべての方が融資を受けられるわけではありません。
申込者の属性や債務の状況など複数の面から審査しますが、その中に物件の担保が融資額に見合っているかどうかも審査の内容に含まれます。
前述したように、再建築不可物件は資産価値が低いので融資に十分な担保であるとみなされないことも多く、住宅ローンを利用する場合、融資が通らない可能性が高いのです。
自己資金でなければ購入できないとなると、さらに購入する方の条件が厳しくなりますので、デメリットといえるでしょう。
再建築不可物件の活用方法
再建築不可物件のままで活用するにはどのような方法があるのでしょうか。
ここからは再建築不可物件の活用方法について詳しく解説します。
(1)賃貸として活用する
自分たちが住まなくなった家を賃貸に出すことができます。
再建築はできませんが現在の建物は住まいとして、十分に活用可能です。
賃貸に出して家賃収入を得ることにより、再建築不可物件の維持管理費用や税金を捻出できるでしょう。
一旦入居が決まると、安定的な家賃収入にも期待できます。
しかし、部屋を貸す前にリフォームなどまとまった費用が必要になりますので、どの程度の費用をかけるのかといった点を検討しなければいけません。
賃貸需要が高いエリアなら一度は検討したい活用方法といえるでしょう。
(2)トランクルームとして活用する
トランクルームとは、自宅においておけない荷物や、季節によっては全く使わないものなどを預けておくために借りる倉庫です。
賃貸需要が少ないエリアや、賃貸で出すにはリフォーム費用がかかる場合にオススメの活用方法といえます。
リノベーションなどと比較すると、トランクルームへ改装する方が安価です。
また、トランクルームとして貸し出す数にもよりますが、ゼロということはありませんので、空室があると家賃がゼロになる賃貸よりも比較的安定しています。
注意点としては宅地としての利用ではないので固定資産税の宅地並み課税から外れてしまいますので、固定資産税の増加に注意が必要です。
近年トランクルームの需要はどんどん増えていますので、効果的な活用方法といえます。
(3)解体して駐車場として活用する
再建築不可物件は、築年数が古いケースも多いので修繕費用に費用がかかりやすく、常に修繕のリスクと向き合わなければいけません。
そのため、もう建物は建てられませんが、解体して更地にし、駐車場としての活用方法も考えられます。
建物の修繕費用もかからなくなりますし、駐車場収入が定期的に得られるでしょう。
注意点としては、土地が宅地ではなくなりますので宅地並み課税から外れてしまい、固定資産税が高くなる点が挙げられます。
また接道義務を満たさない土地は駐車場としての利用が難しい場合がある点などに注意しておきましょう。
(4)解体して農地として活用する
前述したように解体しての活用方法を考える際、駐車場経営が一番先に上げられるでしょが、接道の関係により駐車場ができないこと考えられます。
接道する道路がない場合や道路の間口が非常に狭い場合などには、農地としての利用もオススメです。
自分で野菜をつくってもいいでしょうし、貸し農地としての活用もできます。
貸し農地にしても高額な賃料は見込めませんが、農地にすると固定資産税が安くなりますので負担感は大幅に減るでしょう。
再建築不可物件を再建築可能にする活用方法
再建築不可物件でも、やり方次第では再建築可能物件に変更が可能です。
ここからは再建築可能にする活用方法について詳しく解説します。
(1)所有土地の一部を道路として申請する
所有土地の一部を道路として申請し、申請が通れば再建築可能な物件に変更できます。
建築基準法上の道路には、位置指定道路も含まれており、自分の敷地を道路として提供すると位置指定道路として認められる場合があります。
いくつかの条件や、内容が地方自治体によって異なるケースもありますが、位置指定道路が設けられると再建築が可能です。
(2)セットバックする
建築基準法上の道路は幅員4m以上を道路としてみなしますが、4m以上の幅員がない道路の場合は、道路の中心線から2m以上になるよう敷地をセットバックすることにより建築が可能です。
セットバックして道路の広さを確保する方法はよく利用されますが、敷地が狭くなってしまう点や、道路の幅が間違っていないようにしっかりと計測しなければいけません。
セットバックする広さにもよりますが再建築可能になることで、一気に価値が上がりますので、効果的な方法といえるでしょう。
(3)隣地の購入や賃貸
道路は建築基準法上の道路だったとしても、敷地の間口が2m以上接していなければ建物の建築ができません。
隣地の購入や賃貸により道路の間口を2m以上接することができるようになると、再建築可能となる土地になります。
場合によっては、少しの広さだけを買い上げれば間口が2m以上接することが可能になるケースもありますので、そこまでの資金が必要なく再建築可能物件にできるでしょう。
隣地所有者との交渉が必要になりますので個人間での交渉はトラブルなどのリスクを抱えてしまいます。
不動産会社を介して交渉するといいでしょう。
(4)43条但し書きの許可を受ける
43条但し書きの許可を受けると接道義務を満たしていなくても再建築が可能になります。
43条但し書きとは、建築基準法上の道路ではなくても建築審査会の同意を受けると、再建築可能になる通路です。
43条但し書きの許可を受けるためには特定の行政庁に許可申請を出し、認められなければいけません。
43条但し書きの申請も効果的な活用方法といえるでしょう。
まとめ
再建築不可物件は、売却しにくい物件です。しかし、安く購入できるといった購入者側のメリットもありますので、メリットをしっかりとアピールできると売却できる可能性も高まります。
また、再建築不可物件も工夫次第では再建築ができる物件へ変更が可能です。
一般の物件になると資産価値も上がり、通常の取引で売却ができるかもしれません。
特に接道義務などが再建築不可物件になりやすいので、土地の購入時などには注意していくとよいでしょう。