手放したい空き家を放置するリスクや処分方法を解説
所有している空き家を手放すことを検討していて、空き家を手放す場合の処分方法や売却の流れを知りたいという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、空き家を放置しておくリスクや、処分する方法、手残りを多く残せる売却方法などについて詳しく解説します。
空き家を放置するリスクとは?
空き家を処分せずに放置してしまうと、どのようなリスクがあるのでしょうか。空き家を放置するリスクについて説明します。
(1)所有している以上管理責任がある
空き家を所有している場合、所有者には管理責任が伴います。
建物や敷地の放置により、風化や劣化が進むと、安全上のリスクが増加してしまいます。
また、犯罪や不法侵入の危険性も高まります。
所有者はこれらの問題に対処し、地域社会への悪影響や実際の被害を最小限に抑えなければいけません。
適切な管理が行われないと、所有する空き家そのものに経済的な損害が生じるだけでなく、地域全体に悪影響をもたらす可能性があります。
そのため、所有者は定期的な点検や必要な修繕を行い、空き家を適切に管理することを求められます。
(2)近隣とのトラブルを招く可能性がある
空き家の放置は近隣とのトラブルを招く可能性があります。
放置された空き家は見た目や環境に悪影響を与え、近隣住民の居住に不安感を与えるかもしれません。
また、犯罪や火災の発生リスクが高まり、近隣住民の安全を脅かすことは、空き家所有者と地域住民との信頼関係を損なうばかりでなく、地域共同体を弱め、住民間の対立をも引き起こしかねません。
空き家の所有者は近隣住民とのコミュニケーションを重視し、空き家の適切な管理や安全対策を行うことが重要です。
(3)維持管理費がかかる
空き家を所有し続けることは、維持管理費がかかる点もデメリットです。
建物や敷地の風化・劣化が進み、放置による損傷や老朽化が生じるため、将来的な修繕費用が膨らむ可能性が高まります。
また、雨風や自然災害などの影響で建物や設備が崩れたり、損傷が進んだりすることで、修理や補修が不可欠です。
定期的な点検や清掃、防犯対策なども必要になるでしょう。
空き家の維持管理活動を怠ると、空き家はより早く劣化し、最終的には再建築や再利用が難しくなるかもしれません。
維持管理費用の増加は所有者にとって大きな負担となり、経済的な損失を引き起こす可能性も高まります。
また、適切な維持管理が行われない場合には、所有者は将来的にさらに高額な負担をしいられるというリスクが生じるでしょう。
(4)火災や倒壊のリスクがある
空き家を放置すると、火災や倒壊のリスクがあります。
定期的な点検や保守が行われないと、電気の故障や不法侵入による火災の可能性が高まります。
また、放置により建物や構造物が劣化し、地震や自然災害に対する強度が低下するため、倒壊の危険性も増加するかもしれません。
空き家周辺の住民や近隣の建物に対しても安全上の脅威が生じる可能性があります。
放置された空き家が火災や倒壊を起こすと、それに伴う災害復旧や損害賠償などが発生し、地域全体に影響を及ぼすことが考えられるでしょう。
所有者は定期的な点検や安全対策を怠らず、放置に伴うリスクを最小限に抑える努力が求められます。
手放したい空き家を処分する方法
ここからは、手放したい空き家を処分する方法について解説します。
(1)国庫に無償で渡す
相続などにより所有した空き家を処分する際、相続土地国庫帰属法制度を活用し、国に引き渡す方法が考えられます。
一定の条件を満たした場合、相続した土地を無償で渡すことが可能です。
しかし、条件の内容は厳しいものが多いので、条件を満たしているかどうかをしっかりと理解しておかなければいけません。
所有しておくだけで、さまざまなコストがかかる不動産を無償で引き渡せますので、効果的な処分方法といえるでしょう。
(2)寄付する
手放したい空き家を処分する方法の一つとして、寄付が考えられます。
所有者がその空き家を社会的な目的や慈善事業に利用することを望む場合、非営利団体や地域組織に寄付することができます。
この方法は、空き家の再活用や地域社会への貢献を目指す場合に効果的な処分方法です。
ただし、寄付を行う際には地元の法律や手続きに従い、関連する契約書や法的な手続きを遵守しなければいけません。
また、寄付先の団体が資産を受け入れる準備が整っていることも確認する必要があります。
(3)売却する
手放したい空き家を処分する一般的な方法として挙げられるのが売却です。
不動産市場での販売を通じて、所有者は空き家を現金化できるでしょう。
ただし、売却には仲介手数料や税金が発生するので、売却にかかるコストもしっかりと把握しておきましょう。
売却先が見つからない場合や急いで現金化が必要な場合には、価格を下げて売却したり不動産会社に買い取ってもらったりすることも可能です。
不動産の市況や地域の需要に注意しながら、売却を進めることが重要といえるでしょう。
(4)空き家を解体する
手放したい空き家を処分する方法の一つとして、空き家を解体することが考えられます。
解体により、不要な物件を取り除き、土地のみの所有とすることが可能です。
解体後は、新しい建物を建てられますし、土地のみの活用も可能など新たな活用が考えられます。
解体には解体業者の手配や行政への手続きが必要です。
地域の建築基準や環境法規などの確認も必要でしょう。
解体作業を安全かつ合法的に行うことが重要です。
解体にはコストがかかりますので、費用負担を考慮する必要があります。
建築的に問題がある場合や新しいプロジェクトに土地を利用したい場合には、解体が有益な解決策となります。
手放したい空き家を売却する流れとは
ここからは所有している空き家を売却する場合の流れについて詳しく解説します。
(1)査定依頼する
最初に、どのくらいの価格で売却できるかの査定が必要です。
不動産会社に査定依頼をします。
査定では不動産の特徴や立地、建物の状態とあわせて、市場動向も考慮されます。
査定が完了したら、不動産業者から査定額や販売プランが提示されます。
この段階で、複数の不動産会社に依頼している場合は、売却価格や条件を比較して検討しなければいけません。
(2)売却依頼する不動産会社を決定する
複数に査定依頼した場合、査定の価格やサービス内容から依頼する不動産会社を決定します。
不動産会社を選ぶ際は、複数の不動産会社を調査して実績を確認しましょう。
実績が豊富な不動産会社をいくつか見つけたら、実際に問い合わせをして、提案された査定額や販売プランを比較検討します。
その際、担当者の対応や提案内容も考慮するとよいでしょう。
信頼性が高く、希望に合うプランを提供する不動産会社を選ぶことが重要です。
また、契約前には、手数料や契約条件についても確認し、理解しておきましょう。
不動産会社との円滑なコミュニケーションが売却の成功につながります。
(3)売買市場に出す
売買市場においては、プロモーションや独自の購入希望者リスト、不動産ポータルサイトを活用して広告を行います。
興味を持った買い手が現れたら、具体的な内容の詰めや交渉など基本的には依頼した不動産会社が中心となって円滑な進行をサポートします。
適切な市場価格でのマーケティング戦略や効果的な広告が、スムーズな売却のポイントとなります。
(4)契約や決済
買い手が見つかれば、売主と買主は価格や条件に合意し、売買契約書を取り交わします。
売買契約後には不動産取引の決済です。決済では買主が資金を用意し、不動産権利の移転手続きが完了します。これにより取引が完了し、所有権の移転が完了します。
契約と決済には法的な問題も伴うため、法務的なアドバイスを受けながら進め、円滑な取引を確保することが重要です。
手残りを多くするための売却方法
ここからは、手残りを多くするための売却方法について解説します。
(1)自分で工夫できることをしっかり行う
空き家の売却で手残りを最大化するために、所有者ができることがあります。
まず、物件を清掃・整理し、良い印象を与えるよう心がけましょう。不要な家具や物品を処分し、庭や外観も整えます。
写真撮影や広告文の作成にも気を配り、物件の良さを強調します。また、簡単な修繕や塗装など小規模な改善も検討し、物件の魅力を引き立てます。
専門業者に頼むことなく自分たちでできる工夫をしっかり行うことで高い価格で売却できる可能性が高くなります。
(2)リフォーム費用をかけない
手放したい空き家を売却する際に、リフォーム費用をあまりかけなければ売却のコストを抑えられます。
物件の清掃や整理整頓を自分たちでするだけでも、良い印象を与えることができるでしょう。
コストをあまりかけずに見映えよくする方法としては、物件の外観を整えるのが効果的です。
庭の手入れや草刈りも忘れずに行います。
不動産仲介業者を利用する場合は、手間をかけずに専門家のアドバイスやサポートを受けながら、適正な価格で売却できるよう工夫しましょう。
(3)現状のまま売却する
手放したい空き家を現状のまま売却すれば手元に残る資金を最大化できます。
物件を清掃し、必要に応じて整理整頓を行いますが、リフォームに費用はかけません。
写真や広告文で物件の魅力を最大限にアピールし、価格を適正に設定します。
不動産仲介業者を利用する場合も、現状を正直に伝えながら、査定や販売活動を進めるとよいでしょう。
余計な手間やコストをかけずに売却を進めるためには、市場の動向や価格設定に注意を払い、慎重に交渉や契約手続きを進めることが重要です。
(4)特例を活用して税負担を軽減する
空き家の売却で税負担を軽減する方法として、特例を活用することが考えられます。
空き家などの売却において利益が出た場合などに譲渡所得税などの納税が必要になりますが、相続した空き家の場合、一定期間内の売却だと3,000万円の特別控除が利用可能です。
これらの特例を上手に利用できると税金などの大幅な負担減が見込めます。
まとめ
空き家を放置しておくリスクや、処分する方法、手残りを多く残せる売却方法などについて解説しました。
今後、管理されていない空き家は、特定空き家に指定されてしまい、さまざまな罰則を受ける可能性も考えられます。
空き家を所有しており、管理ができていない場合は、早めに売却などの処分を検討することが望ましいでしょう。