更地の固定資産税は高い?空き家との比較・滞納した場合の注意点を解説
固定資産税は不動産の所有者が毎年納税しなければいけない税金です。
空き屋を所有している方の中には、空き家のまま所有する場合と更地にする場合では、どちらが固定資産税を安く抑えられるか知りたいという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、固定資産税の概要や空き家と更地の固定資産税の違い、税負担を軽減する方法などについて解説します。
固定資産税の概要や計算方法とは?
最初に固定資産税の概要や計算方法などについて解説します。
(1)固定資産税とはどのような税金?
固定資産税は、土地や建物などの不動産資産に課される地方税のひとつです。
各自治体が課税し、所有者は毎年納税しなければなりません。
土地と建物は別々に課税され、固定資産評価額に基づいて計算されます。
市町村によって税率が異なり、評価額は登記簿や市場価格に基づいて算出されます。
固定資産課税台帳に基づいて評価が行われ、納税先は地方自治体になります。
固定資産税は不動産の広さや所在地によって納税額が大きく異なるという点も理解しておきましょう。
(2)固定資産税の納付先は?
固定資産税の納付先は、各自治体の税務課や市町村役場です。
納付は通常、毎年一定の期間内で納税しなければいけません。
市町村によって異なる納期が設定されていますので、地方自治体のホームページや納付通知書を確認して納期を確認しましょう。
固定資産税を滞納すると利子や遅延損害金が発生するので、期限内に納税することが大切です。
固定資産税について不明な点がある場合は、管轄の市町村の税務課に直接確認するか、オンラインで提供されている情報などを活用するといいでしょう。
(3)固定資産税はどのように支払う?
固定資産税は、通常、税務課が送付する納付通知書に基づき、振込や口座振替をするか、郵便局などの窓口で支払います。
口座振替の場合は、事前に申し込みが必要です。また、インターネットバンキングやコンビニエンスストアでの支払いも可能です。
具体的な手続きや支払い方法に関しては、所在地の市町村の税務課に確認するか、納付通知書に記載された情報を参考にしてください。
(4)固定資産税の計算方法
固定資産税の計算は、土地と建物の評価額に基づきます。
土地はその広さや所在地に応じて評価され、建物は建築面積や構造などが考慮されて評価されるのが一般的です。
評価額に対して市町村が設定した税率が適用されますが一般的には固定資産税評価額の1.4%の税率である自治体が多いでしょう。
具体的な計算式は「評価額 × 税率 = 課税額」となります。
詳細な計算は各自治体の税務課で行われ、毎年課税台帳が更新されます。毎年の固定資産税は少しずつ変化するので注意しておきましょう。
空き家と更地の固定資産税について
空き家と更地では固定資産税が異なります。ここからは、空き家と更地の固定資産税について詳しく説明します。
(1)空き家などの固定資産税は安い
空き家が建っている土地は、通常よりも固定資産税が安くなっているのが一般的です。
空き家が建っている土地の固定資産税は、地目が宅地となり通常の固定資産税よりも税額が抑えられています。
建物が建っている土地の広さが200㎡までに部分なら、通常の固定資産税の1/6、200㎡以上で建物の床面積より10倍までの部分に対して1/3になります。
家が建っている土地は、更地の土地よりも固定資産税が安い点が特徴といえるでしょう。
ここで注意が必要な点は、空き家がある場合、土地の固定資産税は安くなりますが、建物の固定資産税が必要になることです。
空き家がある場合は土地と建物の固定資産税を納税する必要があることを認識しておきましょう。
(2)更地にしてしまうと固定資産税は高くなる
空き家がある土地を更地にしてしまった場合、固定資産税の宅地並み課税の特例が利用できません。
つまり、これまで抑えられていた固定資産税が、解体し更地にしてしまうと大幅に上昇してしまいます。
上記で解説したように1/3から1/6まで減額されていますので、宅地並み課税の特例から外れてしまうと3倍から6倍に増額されてしまうことになります。
ただし、更地の場合、固定資産税評価額の70%が課税標準額になりますので、実際は6倍まで増額されるケースはほとんどありません。
また解体して更地にしますので、建物部分の固定資産税がかからなくなります。
土地の固定資産税が高くなりますが、トータルでどのように変化するかをきちんと把握しておきましょう。
(3)特定空き家に指定されると固定資産税は高くなる
空き家など建物が建っている土地は宅地並み課税の適用を受けられますので、通常よりも固定資産税が抑えられている点を前述しました。
しかし、2015年に施行された空き家対策特別措置法により、管理されていない空き家は特定空き家に指定されてしまいます。
特定空き家に指定されてしまうと、行政より空き家を管理してもらうために指導や勧告などを受けますが、勧告を受けてしまうと宅地並み課税の特例から外されてしまいます。
空き家を所有している場合の大きなメリットが無くなってしまうことになるのです。
土地は、宅地並みの特例から外れる上に建物の固定資産税もかかりますので、大きな負担となります。
空き家を所有している場合、特定空き家に指定されないよう、しっかりと管理していかなければいけません。
更地の固定資産税を滞納してしまうと?
ここからは、更地の固定資産税を滞納した場合について詳しく解説します。
(1)延滞金がかかる
更地の固定資産税を滞納すると、延滞金が発生します。
通常、固定資産税の支払期限を過ぎると延滞金が課され、遅延の期間や滞納額に応じて納税額が増えます。
延滞金の発生は法的な制裁となり、滞納者にとって追加の負担となります。
延滞金を回避するためには、税金の納付期限を守り、滞納の可能性がある場合には自治体の税務課に早期に相談することが重要です。
滞納が続くと、最終的には強制的な取り立て手続きが行われ、担保差し押さえや競売が行われる可能性もあります。
(2)督促されてしまう
更地の固定資産税を滞納すると、自治体から督促が届きます。
滞納が発生すると、まずは書面や通知による督促が行われ、未納の旨が通知されるでしょう。
通常は、滞納期間や金額に応じて督促状が数回送付されます。
督促が無視されると、最終的には強制執行の手続きが取られるかもしれません。
この手続きは、担保差し押さえや競売といった強制的な取り立て手段の前段階です。
滞納が予測される場合には自治体の税務課に早期に連絡し、相談することが大切です。
督促が始まった場合も、迅速に対応し、納税計画や債務整理の提案を行うことが望ましいといえるでしょう。
(3)財産を調査される
更地の固定資産税を滞納すると、自治体が財産調査を実施する可能性があります。
未納が続くと、担保差し押さえや競売の手続きに進むため、滞納者の財産や所得状況を詳細に調査する必要があるからです。
この調査は、滞納者の財産が税金の滞納金額に充てられるかどうかを確認するために行われます。
滞納者は法的な措置を避けるために、滞納が予測される場合には自治体に早期に連絡し、支払い計画の提案や相談を行いましょう。
(4)差し押さえられる
更地の固定資産税を滞納すると、自治体は差し押さえ手続きを行う可能性があります。
滞納が続くと、未納の税金や延滞金などが積み重なり、最終的には財産の担保差し押さえになってしまうかもしれません。
差し押さえられる財産には土地や建物が含まれ、所有している不動産が競売にかけられる可能性があります。
差し押さえを避けるためにも、自治体に対する協力的な対応が不可欠です。
更地の固定資産税負担を軽減する方法とは?
ここからは更地にしている場合の固定資産税を軽減する方法について詳しく解説します。
(1)土地活用により収益化する
更地の固定資産税負担を軽減する方法として、土地を有効活用し収益化することが挙げられます。
例えば、賃貸用地や駐車場、農地として活用することで、土地の収益性を向上させることが可能です。
市場や地域の需要に合わせて土地を最適な方法で活用できると、不動産の資産価値を高め、収益を生み出せるかもしれません。
土地利用には関連法規や地域の土地利用計画などがありますので、法令をしっかりと確認しておきましょう。
専門家の助言を受けつつ、適切な土地活用戦略を立て、固定資産税の負担を軽減する方法を検討することが重要です。
(2)更地を売却する
更地を売却すると、現金化ができると同時に固定資産税負担を軽減できます。
売却する場合は、市場価値や地域の需要に基づき、適切な価格で販売することが重要です。
そのためには、信頼できる不動産仲介業者を利用し、地元の市場動向を考慮しつつマーケティング戦略を展開するとよいでしょう。
また、土地の特性や用途制限を理解しておく必要もあります。
(3)農地へと変更する
農地への変更も、更地の固定資産税負担を抑える方法のひとつです。
農地に対する固定資産税は通常低い水準なので、地域の土地利用計画や法規制に基づき、更地を農地へと変更できると、固定資産税の軽減につながります。
変更には地元の自治体の許可が必要であり、変更に伴う手続きや条件を理解しなければなりません。
また、実際に農地として利用するためには、農業のノウハウや計画が必要です。農地への変更を検討する場合は専門家からアドバイスを受けるとよいでしょう。
(4)建物を解体する日程を考慮する
空き家の土地を更地にする場合、解体する日程を考慮しましょう。
固定資産税は1月1日時点の所有者に対して課せられるので、1月1日時点で建物がある場合、その年は宅地として固定資産税評価の対象となります。
つまり、宅地並み課税の特例が利用できますので、更地時点よりも安い固定資産税の納税が可能です。
解体の日にちを考慮するだけでも節税につながります。
まとめ
この記事では、更地の固定資産税について解説しました。
宅地としてみなされる土地よりも更地にすると固定資産税が高くなってしまいますが、更地にしてしまうと建物部分の固定資産税はかかりません。
さらに今後管理されていない空き家に関しては、行政の指導が入り、「特定空き家」に指定されると減税の特例が適応されなくなるので、しっかり管理を続けることが求められます。
更地にするべきか空き家を維持するべきか判断ができない場合は専門家に相談するとよいでしょう。