空き家の固定資産税・更地にした場合のメリット・デメリットは?

空き家相談

空き家 固定資産税

空き家を所有している場合、なかなか管理が行き届かず、解体して更地にしようと検討されている方も多いのではないでしょうか。

空き家を解体し、更地にした場合、注意しなければいけないのが固定資産税です。

この記事では、空き家と更地における固定資産税の違いや、空き家を更地にするメリットとデメリットなどについて詳しく解説します。

空き家と更地の固定資産税が異なる理由

空き家を更地にした場合、固定資産税が大きく変わるので注意が必要です。空き家と更地の固定資産税について説明します。

(1)固定資産税とはどのような税金?

固定資産税は、日常生活の基盤となる公共施設や行政サービスの整備に活用される地方税で、土地や建物、事業で使用される機械や備品など、さまざまな資産に課されます。

所有者は固定資産の価値に応じて税金を市町村に納めなければいけません。

日本では、2021年度の固定資産税の税収が9兆2,345億円で、市町村税収の約41%を占めています。

固定資産税は、日本の地方税制改正の一環として1950年に創設されました。

それ以前には地租や家屋税が存在しましたが、固定資産税がこれらを統合し、地方財政の基盤となったといえるでしょう。

空き家や更地も、固定資産税の対象です。

資産が所在する市町村によって税金が算定され、納税されます。

(2)更地とはどのような状態?

更地とは、建物や工作物が存在しない、まっさらな状態の宅地を指します

借地権や抵当権などの権利が付いておらず、購入後に自由に建物を建築できる状態を示しますが、借地権や抵当権がついている土地も形式上更地と呼ばれているのが一般的です。

抵当権が付いていても土地の使用収益を制限しないため、更地に含まれます。所有者が自らの土地に建っている建物を解体すれば更地となります。

空き家を解体し、未利用の土地を有効活用する手段としても更地での活用が注目されています。

(3)固定資産税の計算方法

固定資産税の計算は一般的に以下の式で行われます。

固定資産税=固定資産税評価額×1.4%

固定資産税評価額とは、税金の計算において基礎となる課税対象を指します。

この評価額に標準税率である1.4%をかけることで、最終的な固定資産税額が算出されます。

自治体ごとに税率が異なるため、市区町村のホームページで確認が必要です

計算方法を理解し、正確な情報を得て税金の納付を行いましょう。

(4)空き家がある土地は更地より固定資産税が安い

更地の土地は、空き家のある土地よりも固定資産税が高くなることがあります。

これは、住宅用地の特例が更地には適用されないためです。

住宅用地の特例は、人が住むための家屋が建っている土地に対して適用され、固定資産税を軽減する措置です。

特に小規模住宅用地(面積200㎡以下)の場合、固定資産税は1/6の額、都市計画税は1/3の額に軽減されます

しかし、更地の場合はこの特例を受けることができず、固定資産税や都市計画税の満額を納税しなければいけません。

このため、更地は税金負担が大きくなる傾向があります。これを踏まえて、土地利用の計画を立てる際には慎重な検討が必要です。

空き家があっても固定資産税が高いケースとは

空き家がある土地は更地と比較すると固定資産税が安いと解説しました。

しかし、空き家があっても固定資産税が高くなってしまうケースが、特定空き家です

ここからは、空き家があっても固定資産税が高い、特定空き家について詳しく解説します。

(1)特定空き家についての概要

特定空き家は、全国的な空き家問題に対処するために平成27年に制定された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいています。

これは、管理状態が不十分な空き家に指定されるもので、以下の状態が該当します。

  1. 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  2. 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  3. 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  4. その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

特定空き家の指定は、安全や衛生、景観の保全などが確保され、地域の生活環境向上が図られることを目的としています

(2)特定空き家に指定されるとどうなる?

特定空き家の指定は、自治体による一連の手続きによって行われます

まず、空き家が調査され、管理されてないことがわかると特定空き家に指定されます。

その後、自治体からの助言・指導が行われ、改善されない場合は勧告の措置が取られるのが通常の流れです。

勧告にも従わない場合、所有者に対して命令が出され、罰金が科されることもあります。

最終的には、自治体が行政代執行に移り、空き家の取り壊し費用を所有者に請求します。

特定空き家の指定は、固定資産税などの税金が増加し、所有者に負担がかかることを意味します。

(3)特定空き家を改善するためには

特定空き家を改善するためには、行政の指導や指示に従い、きちんと管理した状態に戻さなければいけません。

定期的に空き家を訪問し、修繕が必要な個所では修繕するといった措置が必要です

空き家を更地にするメリットとは

ここからは空き家を更地にするメリットについて詳しく解説します。

(1)売却しやすくなる

更地にするメリットの一つは、買い手が見つかりやすくなる点です

空き家が老朽化し、管理が難しい状態だと購入希望者にとって手間がかかるため、解体により手間や面倒が減り、売りやすくなります。

また、新築住宅を建てる予定の人にとっては更地の土地は都合が良いため、買い手が見つかりやすい点もメリットです。

特に建物が劣化しており、解体が必要な場合は更地にすることで土地全体の状態が分かりやすく、有利な条件での売却が期待できます。

(2)建物の維持管理費が必要なくなる

更地にするメリットの一つは、建物の維持管理が不要になる点です

古い建物を売却した場合、雨漏りやシロアリ被害などの欠陥が発覚すると、売主は買主に対して契約不適合責任という責任を負う必要があります。

古い物件は思わぬリスクが潜んでいることがあるため、取り壊して更地にすれば、これらのリスクを事前に回避できます。

建物の維持管理から解放され、安心して売却手続きが進められるという利点があります。

空き家を更地にするデメリットとは

ここからは空き地を更地にするデメリットについて詳しく解説します。

(1)解体など初期コストがかかる

空き家を更地にする際のデメリットとして、初期コストがかかる点が挙げられます

建物を解体するためには解体費用が必要で、建物の構造によって異なります。

例えば、木造の場合は1坪あたり4~5万円、鉄骨造は6~7万円、鉄筋コンクリート造(RC造)は6~8万円程度が目安です。

30坪の木造一戸建てを解体する場合、約150万円前後の費用がかかります。ただし、立地や時期、地域によって金額は変動するため、複数の業者に見積もりを依頼して比較することが重要です。

解体費用が初期にかかるデメリットがあるものの、空き家を売却する際には取り壊して更地にすることのメリットも考慮する必要があります。

(2)固定資産税が高くなる

空き家を更地にするデメリットとして、解体により固定資産税が高くなる点が挙げられます。

解体すると住宅用地の軽減措置が適用されず、土地の固定資産税が通常の金額に戻り、最大で3倍から6倍程度上昇するかもしれません

建物の固定資産税はなくなりますが、土地にかかる税金が増加するため、更地にすることで税金負担が増えることがあります。

ただし、必ずしも更地にすることで税金が高くなるわけではありません。

具体的なケースにより異なるため、税務署や税理士に相談して確認することが重要です。

空き家の固定資産税を抑えるための活用方法

ここからは、空き家の固定資産税を抑えるための活用方法について詳しく解説します。

(1)売却

空き家の固定資産税を抑えるための活用方法の一つとして挙げられるのは売却です。

空き家を売却することで、空き家の譲渡所得の3000万円控除の特例が適用され、所得税や住民税の納税額が大幅に削減されます

また、相続税を納めている場合、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに売却すると、税制上のメリットが受けられます。

譲渡所得の計算上、売却した空き家に対応する相続税額を取得費に加算することが可能です。

これらの特例を利用することで、税金負担を軽減しながら、空き家を処分できます。

(2)解体して活用

解体して更地にすることも活用方法の一つです

一部の自治体では、解体費用に対する補助制度を設けており、この補助を受けることで解体費用の一部をカバーできます。

ただし、更地にすることで住宅用地から外れ、固定資産税が増加する可能性があるため、慎重な検討が必要です。

解体して更地にした場合、土地の使い道が柔軟になり、新たな投資や活用が可能となります。

これにより、将来的な価値向上や収益性の向上が期待できるでしょう。

(3)賃貸に出す

空き家の固定資産税を抑える方法の一つとして、賃貸に出すことが考えられます。

空き家をリフォームし、賃貸物件として再生させることで、安定した賃貸収入を得ることができるようになるでしょう

賃貸収入が得られる場合、リフォームや解体費用、そして毎年の固定資産税の負担を賃貸収入で相殺することが可能です。

さらに、長期的には資産価値を保ちながら税金の負担を軽減することが期待できます。

また、更地にすることなく賃貸として活用する場合も、土地の活用が柔軟になり、様々な選択肢が生まれるかもしれません。

(4)セカンドハウスにする

空き家の固定資産税を抑える方法の一つとして、セカンドハウスとして活用することが挙げられます。

空き家をセカンドハウスとして利用することで、自らのレジャーや休暇の場として有効に活かすことが可能です

セカンドハウスは通常の住宅用地と同様に住宅用地特例の対象となり、固定資産税が軽減される場合があります。

このような使い方で、固定資産税の住宅用地特例を維持しつつ、土地を有効に活用することができます。

ただし、地域や自治体によって適用条件が異なるため、具体的な情報を確認した上で計画を進めることが重要です

まとめ

空き家と更地における固定資産税の違いや、空き家を更地にするメリットとデメリットなどについて解説しました。

空き家を更地にすることにより、さまざまなメリットがありますが、反面コストの問題などデメリットもあります。

経済状況や、有効活用できるエリアかどうかといった分析が必要です。

また、空き家対策特別措置法が施行され、管理できていない空き家に対する取り締まりが厳しくなっています。

空き家を管理できない場合は、更地や売却など、何らかの対処方法は必要になるでしょう。

本日のオススメ専門家をピックアップ

専門家を探す

相談内容から専門家を探す
相談内容から専門家を探す
職種から専門家を探す
職種から専門家を探す
所在地から専門家を探す
対応エリアから専門家を探す
フリーワードで探す
  1. 空き家活用.net
  2. 空き家活用.netのコラム一覧
  3. 空き家相談
  4. 空き家の固定資産税・更地にした場合のメリット・デメリットは?