セカンドハウスにかかる税金や優遇措置とは?申請の注意点も解説
自宅などの他に家を所有している場合、維持管理費や税金などの負担が二重にかかってしまいます。
そこで、あまり使っていない家をセカンドハウスとして利用することにより、いくつかのメリットを享受することが可能です。
この記事では、セカンドハウスの概要や、メリット、デメリット、優遇される税金などについて詳しく解説します。
セカンドハウスの概要
まずは、セカンドハウスの概要や別荘との違いについて説明します。
(1)セカンドハウスとは
セカンドハウスとは、普段生活する自宅以外に所有していて、定期的に居住する家のことを指します。
その形態はさまざまで、会社の近くや自宅の近く、県外など、さまざまな場所において活用することが可能です。
郊外に住んでいる人が通勤のために都内にもう一軒住宅を借りる場合や、週末だけ田舎の暮らしを楽しむために県外に家を借りる場合などが考えられます。
セカンドハウスは、所有者のライフスタイルや目的に合わせて利用され、リフレッシュや休暇を楽しむための空間として重要な役割を果たすことが可能です。
(2)セカンドハウスと別荘の違い
セカンドハウスと別荘の違いは、主に使用の頻度や目的にあります。
セカンドハウスは、遠距離通勤のための平日滞在や週末の家族との時間を過ごすために活用されるのが一般的です。
一方、別荘は保養や休暇を目的としたものであり、通常は夏や冬の長期休暇の間だけ利用されます。
セカンドハウスは日常生活の一部を提供する住まいであるのに対し、別荘はリフレッシュや休息を目的とした非日常的な場所としての性格がある点が大きな違いです。
セカンドハウスを所有するメリットとデメリット
セカンドハウスを所有する主なメリットやデメリットについて説明します。
(1)セカンドハウスを所有するメリットとは
セカンドハウスを所有するメリットは多岐にわたります。
まず、不動産を子孫に残すことで資産の継承や実家をセカンドハウスとする場合、思い出を残すことが可能です。
さらに、災害時の避難先としての役割や、退職後の移住先の準備として利用することもできます。
相続不動産をセカンドハウスとして維持する場合は、税金の優遇措置や初期費用の負担軽減、コミュニティの継続などといったメリットも考えられるでしょう。
セカンドハウスとして活用することにより、資産の管理や相続に関する心配が軽減され、安心して所有することが可能です。
(2)セカンドハウスを所有するデメリットとは
セカンドハウスを所有することにはメリットばかりではなくデメリットもあるので、双方をしっかりと比較する必要があります。
まず、定期的に生活しなければセカンドハウスとして認められないので、定期的に生活しなければならないという点がデメリットのひとつです。
また、セカンドハウスは定期的なメンテナンスや管理が必要であり、放置すると劣化や問題が生じる可能性があります。
セカンドハウスは定期的に居住しますが、不在のときもあるので、防犯対策が必要であるという点にも注意が必要です。
さらに、セカンドハウスがある場所には地域の人々との関係や社会的責任が生じるため、適切なコミュニティづくりが求められるでしょう。
これらのデメリットを考慮し、セカンドハウスを所有する際には慎重な計画と管理が必要です。
セカンドハウスを所有する場合の税制優遇
セカンドハウスと別荘の大きな違いはセカンドハウスの方が税制面で優遇されている点です。
セカンドハウスの税制面について詳しく解説します。
(1)固定資産税
セカンドハウスを所有する場合、固定資産税について優遇されている点をしっかりと理解しておきましょう。
固定資産税とは、土地や建物にかかる地方税で、所有者に毎年課税されます。
土地や建物の評価額に基づいて算出され、税率は1.4%が一般的です。
ただし、セカンドハウスのような住宅用地には特例があり、小規模住宅用地や一般住宅用地によって課税標準額が異なります。
場合によっては一般的な固定資産税の1/6まで減額されるので、大きな優遇措置といえるでしょう。
自治体によって税率が異なるため、詳しく知りたい場合はセカンドハウスを所有するエリアの自治体に問い合わせましょう。
(2)都市計画税
セカンドハウスを所有する場合、固定資産税と同様、都市計画税も優遇措置があります。
市街化区域内の土地や家屋は、固定資産税と同様に都市計画税の課税対象です。
税率は最高で0.3%であり、課税標準額に特例が適用される場合はそれに応じて減額されます。
住宅用地に対しては、固定資産税と同じく、小規模住宅用地や一般住宅用地によって減額割合が異なります。
セカンドハウスを所有する際には、固定資産税だけでなく都市計画税も計算しておきましょう。
(3)不動産取得税
不動産取得税は、不動産の売買や贈与、新築、増築などにかかる地方税です。
固定資産税や都市計画税と異なり、毎年課税されるわけではありません。
取得後半年から1年半の間に都道府県から課税されます。
標準税率は4%で、特例により減額対象となります。
特に住宅・住宅用地の特例では、土地や建物の評価額から一定額が控除されます。
2024年3月31日までに取得した不動産には軽減措置が適用され、税率が4%から3%に軽減される場合もあります。
建物の場合は、新築でも中古でも最高1,200万円が評価額より控除される点もチェックしておきましょう。
不動産取得税は所有者にとって大きなコストですが、特例の適用や軽減措置を利用することで負担を軽減できる場合があります。
(4)住民税も課税対象
セカンドハウスを所有する場合、住民税もかかります。
個人住民税は、地域社会のインフラ整備や福祉などに充てられる費用を負担するための税金であり、セカンドハウスも同様に課税されます。
個人住民税の内訳は、所得割と均等割の二つから成り立ち、セカンドハウスは均等割のみの課税です。
税率は自治体によって異なりますが、一般的には10%の税率が適用されます。
一部の自治体では環境保護などの特定目的のために超過課税を行っている場合もありますので注意しましょう。
セカンドハウスにおける購入と賃貸の判断基準
セカンドハウスを所有する方法として考えられるのは、購入と賃貸による所有ではないでしょうか。
セカンドハウスを所有する場合の判断基準として賃貸での所有と購入での所有について、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
(1)セカンドハウスを購入するメリット
セカンドハウスを購入することにはいくつかのメリットがあります。
まず、購入した物件は資産として所有することができ、将来的に売却すれば現金化も可能です。
また、所有者の好みやニーズに合わせてリフォームやリノベーションを行うこともできます。
さらに、自分たちで利用するだけではなく賃貸物件として活用することも可能です。
これにより、セカンドハウスが投資としての利益を生む可能性もあります。
(2)セカンドハウスを購入するデメリット
セカンドハウスを購入する場合、いくつかのデメリットも考慮しなければいけません。
まず、購入価格が高額であるため、多額の資金が必要です。
また、セカンドハウス購入の場合、自宅よりもローンの審査が厳しいケースが多いので、購入が難しい場合もあります。
さらに、セカンドハウスはすぐに売却することが難しく、資産を流動化するのに時間がかかる点も留意する必要があるでしょう。
所有すると税金がかかるため、維持費用も考慮する必要がある点もデメリットです。
(3)セカンドハウスを賃貸するメリット
セカンドハウスを賃貸する場合、購入に比べて費用を抑えることが可能です。
賃貸の場合、購入に伴う膨大な初期費用がかからず、ローンの審査を心配する必要もありません。
また、賃貸は購入よりも比較的柔軟であり、気軽に転居することができます。
転勤やライフスタイルの変化に柔軟に対応できる点もメリットといえるでしょう。
(4)セカンドハウスを賃貸するデメリット
セカンドハウスを賃貸する場合、毎月家賃の支払いが必要です。
継続的な支出が必要となるため、財政面での負担が大きくなる可能性があります。
また、賃貸物件ではさまざまな制限事項があるかもしれません。
例えば、ペットの飼育が禁止されたり、リフォームやリノベーション工事が制限されたりすることがあります。
セカンドハウスの申請方法と注意点
セカンドハウスと認定されることにより税制優遇の対象となります。セカンドハウスの申請方法や注意点について解説します。
(1)セカンドハウスの申請に必要な書類
セカンドハウスの申請にはいくつかの書類が必要です。
まずは家屋の利用状況を示す申告書が挙げられます。
さらに、毎月1泊2日以上の利用がわかる書類も提出する必要があります。
例えば、交通機関利用時の領収書や、対象物件の近隣にある店舗でのレシートなどを保管しておくといいでしょう。
ただし、公共料金の領収書や写真などは証明資料として認められません。
また、セカンドハウスの利用が長期入院などで困難になった場合は、診断書などの書類も必要です。
これらの書類を適切に整理して申請を行いましょう。
(2)セカンドハウスの申請先
セカンドハウスの認定申請は、物件が所在する都道府県税事務所に行います。
申請方法や必要書類は自治体によって異なるため、事前に確認が必要です。
セカンドハウスを購入する際には、申請先や手続きについて十分に調査しましょう。
(3)セカンドハウスを申請する場合の注意点
セカンドハウスを申請する際には、いくつかの重要な注意点があります。
まず、物件を取得した後は60日以内に、その物件が所在する都道府県税事務所で申請手続きを行わなければいけません。
さらに、市区町村役場には毎月1泊2日以上の滞在実態を提出する必要があります。
病気などやむを得ないケースもありますが、正当な理由以外でのセカンドハウスの使用停止は認められないことにも留意しましょう。
セカンドハウス認定の条件は自治体ごとに異なるため、申請時には各地域のルールを十分に確認することが大切です。
まとめ
この記事では、セカンドハウスの概要や、メリット、デメリット、優遇される税金などについて詳しく解説しました。
空き家を相続などで所有した場合、活用しなければ維持管理のコストばかりかかってしまいますが、セカンドハウスとして活用することで、税制上のメリットが享受できます。
セカンドハウスの認定条件は、定期的な居住などがありますが、申請方法は自治体によっても異なります。
セカンドハウスを計画しているエリアの自治体にセカンドハウスの条件などを確認しておきましょう。