空き家掃除の方法・掃除の必要性や放置するリスクも解説
親から相続した実家など、住むことがなくそのままになっている空き家が増加しています。
しかし、掃除もせずに放置していると急速に劣化して、利用したいときにすぐに利用できない状態になってしまうかもしれません。
空き家は放置せずにしっかりメンテナンスすることが大切です。
この記事では、空き家を掃除する方法や、掃除が必要な理由などについて解説します。
空き家を掃除する方法
最初に、空き家の掃除方法について詳しく解説します。
(1)所有者自身で掃除する
まず、所有者自身で掃除する方法が挙げられます。
自分たちで掃除すれば費用も最小限に抑えられることが大きなメリットといえます。
自宅にある掃除道具などを空き家に持ってきて掃除すれば、使い慣れた用具できれいにできます。
掃除道具を買う必要もありませんので、費用もかからないでしょう。
また、自分の時間があるときに、空き家を訪問して掃除できますので、時間に縛られることもありません。
できる範囲から徐々に掃除してもよいですし、一気に掃除してもよいでしょう。
自由度も高く、費用もかかりませんが、遠方に空き家がある場合などは時間的な負担を感じてしまうかもしれません。
自分の生活圏内から近い場合は、おすすめの方法です。
(2) 掃除業者に依頼する
空き家の掃除は自分でも行えますが、不用品が多いケースや人手が足りない場合、掃除が負担になることがあります。
そんな時は、清掃業者に依頼することを検討しましょう。
清掃業者に依頼することで、空き家の掃除がスムーズに進み、安心して管理できるようになります。
清掃業者を選ぶ際は、口コミや評判を参考にし、複数の業者に見積もりを依頼して比較するとよいでしょう。
(3)遺品整理業者に依頼する
空き家の掃除を遺品整理業者に依頼するという方法もあります。
遺品整理業者は、亡くなった人の遺品整理だけではなく、生前整理にも対応しています。
特に荷物が多い実家などで利用するとよいでしょう。
また、相続などにおいて財産整理が必要な場合でもきれいに仕分けしてもらえるので、貴重な財産を破棄するリスクが軽減されます。
遺品の買い取りなどにより現金化が可能な点も魅力の一つといえるでしょう。
(4)空き家サービスを利用する
空き家が遠方にある場合、空き家点検サービスを利用するのも効果的です。
例えば、不動産会社などが提供しているケースが多いのですが、簡易清掃、点検、報告を行ってくれます。
清掃内容は、床の掃除機やモップがけ、ベランダ・玄関の拭き掃除、トイレ便器内部の洗浄などです。
しかし、サービス業者によって内容は異なりますので、事前に把握しておくとよいでしょう。
掃除だけではなく、窓や扉の動作、施錠の確認、破損や劣化の確認も行い、大切な空き家の現状を報告してくれます。
空き家サービスを利用することで、遠方にある空き家の管理と清掃が安心して任せられる点が大きなメリットです。
空き家の掃除が必要となる理由
空き家の掃除はなぜ必要なのでしょうか。空き家の掃除が必要となる理由について解説します。
(1)換気が必要なため
空き家の掃除が必要となる大きな理由のひとつは、換気の重要性です。
閉め切った家の中は湿気がこもりやすく、湿気は家具や建材にダメージを与え、カビやシロアリの発生原因になります。
そのため、定期的に換気を行うことが重要です。
窓やドアを開けて換気をすることで、空気が流れ湿度が下がります。
換気によって家の内部が乾燥し、カビやシロアリの発生を防ぐことが可能です。
さらに、換気によって新鮮な空気が入り、室内の空気の質も改善されます。
湿気がこもると家の老朽化が進みますので、長期間放置された空き家は特に注意が必要です。
定期的な換気を行うことで、家の寿命を延ばし、将来的な修繕費用を抑えることができます。
空き家の掃除の際には、窓やドアを開けて十分な換気を忘れずに行いましょう。
大切な家を長期間良好な状態で保つことができます。
(2)修繕個所を見つけるため
空き家の掃除は、汚れやすいところ、傷みやすいところの点検の機会となるので、修繕個所を見つける効果ももたらします。
壁のヒビ、塗装の剥がれ、雨漏りなど、家のトラブルを早期に発見することが、空き家の管理には欠かせません。
最初は小さな雨漏りであっても、放置すれば徐々に進行し、建材が腐敗して大きな被害につながる可能性があります。
また、壁のヒビや塗装の剥がれも、放置すると構造的な問題を引き起こす可能性も考えられるでしょう。
定期的な掃除を行うことで、修繕箇所の見落としによるトラブルを早期に発見し、迅速に対処することができます。
早期に対処することで、修繕費用を最小限に抑え、家の寿命を延ばすことが可能です。
空き家の掃除は単なる清掃作業ではなく、家の状態を把握し、必要な修繕を行うためでもあります。
定期的な掃除と点検を行い、家を良好な状態で維持しましょう。
(3)きちんと管理しておくため
空き家を適切に管理しないと、腐敗や劣化が進み、倒壊のリスクが高まります。
さらに、シロアリなどの害虫が発生し、近隣の住宅にも迷惑をかける可能性も想定されるでしょう。
2015年に施行された「空き家等対策の推進に関する特別措置法」により、自治体は「適切な管理をしていない空き家」と認定した場合、特定空き家に指定することができます。
特定空き家に指定することで、自治体が改善を促し、強制執行を行うことも可能となりました。
特定空き家等に認定されると、住宅用地の特例の対象から外れ、固定資産税や都市計画税が大幅にアップする可能性があります。
また、強制執行となれば、自治体が空き家を強制的に解体・撤去しますが、その費用は持ち主に請求されます。
空き家を放置せず、適切に管理することで、こうしたリスクを避けることが可能です。
定期的な掃除と点検を行い、家を良好な状態で保たなければいけません。
適切な管理により空き家の価値を維持し、トラブルを未然に防ぐことができます。
(4)使いたいとき、すぐに使える状態を保つために
空き家の掃除が必要な理由のひとつは、利用したいときすぐに利用できるようにしておくためです。
空き家は放置されると埃やカビが溜まり、使い物にならなくなる可能性があります。
掃除を怠ると、部屋の臭いや害虫の発生も起こりかねません。
定期的な掃除とメンテナンスを行うことで、空き家をすぐに活用できる状態に保つことができます。
また、掃除を行う際には不要な物品の整理も行い、スペースを有効活用できるようにしておくことも重要です。
空き家をきれいに保つことで、急な場合にもすぐに活用できるようになります。
また、美しい状態を保つことで、将来的な売却や賃貸にもプラスの影響を与えることが期待できるでしょう。
空き家を掃除する手順
ここからは、空き家を掃除する手順について詳しく解説します。
(1)拭き掃除や掃き掃除
まずは、床や壁などをきれいに掃除します。
床は掃き掃除(または掃除機かけ)でゴミを取り除き、雑巾で拭いてほこりやちりを除去します。
汚れは床だけでなく、壁や窓などにも広がっています。
汚れがつく可能性のある場所は掃き掃除や拭き掃除をして、汚れを溜めないようにしましょう。
定期的な掃き掃除や拭き掃除を行えば、空き家を清潔で快適な状態に保てます。
(2)カビ掃除
空き家の掃除では、水回り、排水溝の徹底した清掃が重要です。
特にカビが生えやすい場所は重点的に掃除しカビ対策を施しましょう。
キッチンのシンクやトイレの便器、お風呂の浴槽や洗面所などはカビが発生しやすい箇所です。
カビは根が深く、一度生えてしまうと再発することがありますので、根気強く退治する必要があります。
専用のカビ取り剤や重曹を使ってカビを除去し、定期的な換気と掃除でカビの再発を防ぎましょう。
空き家を清潔で健康的な状態に保つためにもカビ掃除は欠かせません。
(3)換気して通風
空き家の掃除において、換気と通風は重要な要素です。
閉め切った空間では湿気が溜まり、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。
換気扇を回しながら窓を開け、空気を入れ替えることで、部屋内の空気を新鮮な状態に保ちましょう。
通風をする際には、部屋の対角線に風の通り道を作り、部屋全体の空気が入れ替わるようにすると効果的です。
定期的な換気と通風を行うことで、空き家の湿気や臭いを排出し、健康的で快適な環境を維持することができます。
(4)チラシや郵便の処理
空き家でも郵便物が届くことがありますので、郵便受けの点検、定期的な回収と処理が必要です。
地域全体に向けた郵便物やチラシが届くこともあります。
郵便物がポストから溢れていると、空き家であることが周囲にわかってしまうので、防犯面でマイナス要因です。頻繁な郵便物の回収と処分がポイントとなります。
(5)害虫処理
空き家ではゴキブリやシロアリ、ネズミ、ハトなどの害虫や害獣の発生が珍しくありません。
住人がいないため衛生管理がなされず、害虫や害獣の被害が生じやすい傾向にあります。
このような状況を放置すると、周囲に被害が広がり、トラブルの原因ともなるでしょう。
空き家の害虫処理には、ベランダや床下、排水溝などを定期的に点検し、害虫や害獣を駆除することが必要です。
定期的な清掃と駆除活動で、空き家を清潔で快適な状態に保ちましょう。
空き家を掃除せずに放置するリスク
ここからは、空き家を掃除せずに放置するリスクについて解説します。
(1)劣化のスピードが早くなる
空き家を掃除せずに放置すると、劣化のスピードが加速します。
定期的な掃除やメンテナンスが行われないため、建材や設備の老朽化が進むためです。
特に災害に対する弱さが大きな問題となります。
地震や台風などの自然災害が発生すると、空き家は崩壊する危険性が大幅に高まります。
また、飛散物の被害や近隣への影響も考えられるでしょう。
(2)不法投棄されてしまう
空き家を掃除せずに放置すると、不法投棄のリスクが高まります。
誰も住んでいない空き家は、不法投棄しやすいからです。
高い塀や植木によって家が視界から遮られており、周囲が目につきにくい場合、不法投棄されたゴミが目立たず、不法投棄されたゴミが長期間放置されることがあります。
また、一度不法投棄が行われると、次々と繰り返されることが考えられます。
その結果、ゴミが増えていくとともに近隣住民に大きな迷惑をかけることになるでしょう。
(3)犯罪に使われる
空き家を掃除せずに放置すると、犯罪に使用されるリスクが高まります。
閉ざされた家には、誰もいないことが知られているため、不審者や犯罪者が侵入しやすい環境となります。
空き家は犯罪に利用される可能性があり、単なる侵入だけでなく、薬物の密造や売買、不法占拠、違法な集会場として悪用されることもあります。
特に周囲に人目がなく、管理が不十分な場合は、犯罪者にとって魅力的な標的となります。
空き家の放置は、犯罪の温床となるリスクが高まることを認識し、定期的な管理と対策が必要です。
(4)特定空き家になる
空き家を掃除せずに放置すると、特定空き家に指定されるかもしれません。
特定空き家に指定されると、固定資産税が6倍になる可能性があります。
特定空き家に指定されるのは、放置により倒壊の恐れや保安上の危険性が高まる家です。
特定空き家に指定され、改善が見られない場合、罰則などが課せられますので所有者にとって大きな財政的負担となります。
まとめ
空き家を掃除する方法や、掃除が必要な理由などについて解説しました。
空き家の掃除は、部屋をきれいにするだけではなく、修繕箇所の早期発見など、管理面でも重要です。
空き家を放置してしまうと、不法投棄や犯罪に巻き込まれるなど、さまざまなデメリットが生じます。
逆に、きちんと掃除している空き家は資産価値が維持され、売却や賃貸としての活用もやりやすくなるでしょう。
空き家だからといって放置せずに掃除を含めて、しっかりと管理することが重要です。