鉄骨住宅の解体費用の内訳は?安く抑える方法も解説
建物を解体する場合、解体業者などに依頼するのが一般的です。
鉄骨住宅の解体を業者に依頼する場合はどの程度の費用がかかるのでしょうか。
この記事では、鉄骨住宅の解体費用の内訳や、解体費用を安く抑える方法などについて詳しく解説します。
鉄骨住宅でかかる解体費用の内訳
まずは、鉄骨住宅でかかる解体費用の内訳について説明します。
(1)仮設工事
鉄骨造の住宅を解体する際には、解体工事の前に仮設工事が必要になります。
仮設工事とは、解体のための準備工事で、現場に最適な足場を設置し、ガス切断による解体時の火災防止対策を講じるなどが主な工事内容です。
鉄骨造の解体では、溶断片や火花が火災の原因になる可能性があるため、防炎シートや金網ネットなどの防火対策も欠かせません。
仮設工事に関連する費用も解体工事全体の費用に含まれます。
(2)本体工事
鉄骨住宅の解体工事には、内装材や外装材の撤去、屋根材や床材の撤去、そして躯体の解体など、複数の工程が含まれます。
これらの内容が本体工事と呼ばれる工事です。
最初に、内装材や外装材の撤去を行います。
可燃性の材料は、火災の危険性を考慮して撤去され、アスベストを含む外装材は丁寧に取り外し、飛散を防がなければいけません。
次に、屋根材の撤去作業です。
建物の種類によって異なる屋根構造に対応し、工場の場合は特に安全に注意しながら取り外されます。
その後、床材や屋根材と同様に、コンクリートと鋼材を剥離する作業が必要です。
これにより、躯体の解体が可能となります。
躯体の解体では、安全を確保するために壁を一定のスパンで内側に倒しながら解体されるのが一般的です。
(3)付帯工事
鉄骨造の建物を解体する際には、解体された鋼材など、廃材の処理が不可欠です。
解体された鋼材は重量物であるため、一時的な保管場所を確保し、解体作業の進行に合わせて搬出計画を立てなければいけません。
また、基礎の解体作業も付帯工事の中で重要な項目です。
まず、土間コンクリートを解体し、基礎スラブと地中梁を圧砕機で切り離します。
その後、地中に埋まっている部分を引き上げ、さらに細かく割ります。最終的には整地作業を行い、解体工事が完了です。
付帯工事も、鉄骨住宅の解体費用の一部となります。
鉄骨住宅の解体費用が高くなる要因
ここからは、鉄骨住宅の解体費用が高くなる要因について説明します。
(1)騒音対策が必要
鉄骨住宅の解体工事では、騒音規制法に基づく規制に注意しなければいけません。
騒音規制法により、騒音や振動を制限する必要があります。
特に隣接する住宅や静かな住宅地では、まず、養生シートや防音シートの設置が必要です。
周囲への影響を最小限に抑えるために必要な設置工事です。
設置する量が多ければ費用も上昇しますので、コストが高くなる要因となるでしょう。
また低騒音型の重機の使用なども騒音対策としてよく利用されます。
業者が低騒音型の機械を所有していない場合、レンタルなどで調達しますのでコストが余計にかかります。
また低騒音型の機械は作業が遅くなる可能性があり、作業時間が延びることで人件費が高くなり、費用面の負担につながるでしょう。
早朝や夕方遅く、土日の作業を避けるなど、周囲への影響を最小限に抑える必要があります。
しかし、丁寧な作業や特定の時間や曜日での作業によっても工程が延び、費用が上昇する傾向があります。
これらの要因が、鉄骨住宅解体工事の費用を高くする一因となっています。
(2)建物が近い
隣接する建物が近い場合、騒音や振動だけでなく、粉塵の飛散や隣地の建物への被害も懸念されます。
特に建物が近いと重機が使いにくいため、手作業が増えます。手作業が増えると工期が延び、それに伴い人件費が上昇する要因となるでしょう。
(3)接道が狭い
前面道路への接面幅が狭い場合、大型重機の導入が難しくなります。
大型重機が使えない場合、小型の重機や手作業での作業が必要です。
小型重機の使用や手作業の増加は工期が長引き、人件費が増加します。
また、接道が狭い場合、道路の歩道を切り上げて工事車両を搬入しなければいけません。
切り上げた歩道は工事完了後に復旧する必要があり、これらの切り上げ工事と復旧工事にも費用が発生します。
(4)土地が狭い
土地が狭い場合、大型重機の導入が制限され、解体作業が困難になります。
大型重機の使用ができない場合、小型の重機や手作業での作業が必要です。
さらに、解体作業に従事する職人が自動車を駐車するスペースが限られている場合、別途駐車場を借りる必要が生じます。
余分に駐車場を借りますので、駐車料金などの追加費用が発生する点も注意しなければいけません。
(5)アスベストがある場合
建物にアスベストが使用されている場合、アスベスト除去費用が追加で発生します。
かつては建築材料として広く使われていましたが、その後の有害性が明らかになり、規制が厳しくなりました。
特に1975年以前の建物にはアスベストが多く含まれており、除去には多大な手間がかかります。
アスベストの種類や面積によって費用は異なりますが、解体工事費用が膨らむ大きな要因となるでしょう。
鉄骨造の解体期間や処分方法とは
ここからは、鉄骨住宅の解体期間や処分方法などについて解説します。
(1)鉄骨造の解体期間
鉄骨造の建物を解体するには、一般的に1ヵ月から2カ月の期間が必要です。
ただし、建物の規模や周辺環境によって異なります。
例えば、屋根が瓦屋根であれば手作業での撤去が必要であり、雨が数日間続くと作業が遅れる可能性もあるでしょう。
また、地中から埋没物が見つかるとそれを撤去する必要があり、解体期間が延びることもあります。
解体期間が延びる原因はさまざまですが、スケジュール管理には余裕を持たせることが重要です。
(2)解体する方法
鉄骨造の建物の解体には、主に鉄骨切断カッター工法と、ガス切断工法の2つの方法があります。
鉄骨切断カッター工法では、重機の先端にハサミ状のアタッチメントを取り付け、鉄骨を効率的に切断していきます。
この方法は作業効率が高く、安全性が確保されているため、広範囲の鉄骨を効率的に切断する際に用いられます。
もうひとつのガス切断工法は、ガスで切断したい部分を加熱し、酸素を吹き付けて鉄骨を溶かして切断する方法です。
ガス切断工法は、重機を使用しないため、狭小地や静かな住宅地での解体作業に適しています。
また、騒音や振動を最小限に抑えることができるため、周囲への影響を軽減しやすい点も特徴です。
解体現場の状況や要件に応じて適切な方法を選択することが重要です。
作業効率や安全性、周囲環境への配慮を考慮し、適切な解体方法を選定することで、スムーズかつ効率的な解体作業を行うことができます。
(3)処分方法
鉄骨造の建物を解体する際に発生する鉄骨は、産業廃棄物として処理されます。
しかし、鉄くずは再利用可能な資源として換金が可能です。
産業廃棄物収集運搬業者や不要品回収業者などが鉄くずを買取ります。
鉄骨の量や種類によって価格は異なりますが、一般的に1kgあたり40円から50円程度です。
例えば、3tの鉄くずが出た場合、12万円から15万円の買い取り価格です。
鉄くずを買い取ってもらうことで、解体費用の一部をカバーすることもできるでしょう。
解体工事後に発生した鉄くずは、再利用のチャンスとして積極的に買い取りに出すのがおすすめです。
鉄骨住宅の解体費用を安く抑える方法
最後に鉄骨住宅の解体費用を安く抑える方法について解説します。
(1)複数の業者に見積もりを依頼する
鉄骨住宅の解体費用を安く抑えるためには、複数の業者に見積りを依頼しましょう。
同じ工事内容であっても、解体業者によって見積もり費用は大きく異なります。
業者の拠点から現場までの距離や、廃棄場所までの距離が異なる点などが挙げられるでしょう。
さらに、業者の利益率や使う経費に差があることから、費用に違いが生じます。
また、同じ業者でも依頼するタイミングによって見積もり額が変わることもあります。
これは、繁忙期など忙しさの時期によって費用が変動するためです。
(2)直接契約する
鉄骨住宅の解体費用を安く抑えるためには、解体業者と直接契約することも効果的です。
工務店やハウスメーカーを経由すると中間マージンが発生し、費用が上がってしまいます。
直接解体業者に依頼することで、中間マージンを削減し、コストを節約することが可能です。
(3)自分でできることは自分でする
鉄骨住宅の解体費用を安く抑えるためには、自分でできることは自分で取り組みましょう。
解体工事そのものは業者に依頼する必要がありますが、工事前に自分で準備することで費用の削減が可能です。
不用品や処分が必要なものが多いと、業者の労力が増え、その分費用が高くなります。
工事前に自分で不用品を処分しておくことがポイントです。
例えば、家具や家電、その他の不要品を事前に片付けておくことで、業者の作業がスムーズになり、解体費用を抑えることができます。
また、庭の整理や簡単な内装の撤去など、自分でできる範囲の作業を行うことで、業者に依頼する範囲を減らし、コストを削減することが可能です。
事前に自分でできることを行うことで、鉄骨住宅の解体費用を効果的に抑えられるでしょう。
(4)補助金を利用する
鉄骨住宅の解体費用を安く抑えるためには、補助金や助成金の制度を有効活用しましょう。
地方自治体によっては、危険な空き家の解体費用を補助する制度があり、解体費用の1/2を補助してもらえるケースもあります。
これは、国土交通省が自治体に対して提供している補助金制度の一環であり、空き家を除去・活用することで地域の活性化を図る取り組みです。
この制度を利用することで、大幅に解体費用を抑えることができます。
補助金の利用方法や申請手続きについては、各自治体のホームページや窓口で確認することが可能です。
必要な書類や手続きの流れを把握し、適切に申請を行うことで、補助金を受け取ることができます。
補助金制度を上手に活用することで、鉄骨住宅の解体費用を効果的に削減しましょう。
まとめ
鉄骨住宅の解体費用の内訳や、解体費用を安く抑える方法について解説しました。
解体費用は、土地の形状や場所などによって高くなるケースがあるので、複数の業者に見積もりを依頼して、比較するとよいでしょう。
また、鉄くずは換金可能なので、現金化することにより、解体費用を抑えることにつながります。補助金なども活用できるとさらに費用の軽減に役立つでしょう。