古い家の解体に使える補助金の種類や条件を解説
古い家を解体するのに補助金を受けることができると聞いたけれど、「なぜ家を解体するために補助金を受けることができるのだろう」「補助金を受けるのに条件はあるのだろうか」などと疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、古い家の解体に補助金が利用できる理由や、補助金の種類などについて解説します。
古い家の解体に補助金が利用できる理由
まずは、古い家の解体に補助金が利用できる主な理由について説明します。
(1)景観を維持するため
古い家を解体する際に補助金が出る理由のひとつとして、景観の維持が挙げられます。
老朽化した古い家は、地域全体の美観を損ね、場合によっては安全面でも問題を引き起こしかねません。
特に観光地や住宅街などでは、統一感のある美しい街並みが、台無しになってしまう可能性も考えられます。
自治体が、古い家の解体に対して補助金を提供するのは、地域の魅力を高め、住環境を良好に保つことが目的です。
住民が経済的に軽い負担で、古くなった建物を撤去できれば、新しい建物や公共スペースを整備しやすくなります。
空き家や老朽化した家を解体し、再開発することで、新たな住民やビジネスが誘致され、地域全体の経済活動が活発化します。
補助金制度は地域の活性化にも役立つでしょう。結果として、安全で美しい街並みが維持され、住民の生活の質が向上するのです。
(2)不法投棄などごみの散乱を防ぐ
不法投棄やごみの散乱を防ぐことも大きな理由のひとつです。
老朽化した家は、空き家になると放置されがちで、不法投棄の温床となるケースが多いといえます。
ごみの散乱は害虫や動物の繁殖を引き起こし、周辺住民の生活環境に悪影響を与える要因です。
不法投棄の元を断つことにより、地域の美観が保たれ、住民の生活環境が向上するでしょう。
(3)老朽化に伴う倒壊を防ぐ
老朽化した建物は、地震や台風などの自然災害によって倒壊するリスクが大幅に高まり、住民や周辺の人々に重大な危険が及ぶ可能性が考えられるでしょう。
解体はそれを予防するための安全対策になりますとして効果的です。
(3)犯罪防止
老朽化した建物は、無人で放置されることが多く、これが犯罪の温床となるリスクがあります。
不法侵入や放火、さらには廃棄物の不法投棄などの問題が発生しやすく、地域の治安が悪化するかもしれません。
補助金を解体に活用してもらうことで、無人の危険な建物が減少し、地域全体の安全性が向上するでしょう。
古い家の解体に補助金を受ける条件とは
ここからは、古い家の解体で補助金を受ける条件について詳しく解説します。
(1)個人が所有している
補助金を受ける古い家の所有者は個人でなければなりません。
特に、住むことが困難で周囲に悪影響を及ぼす危険性のある「特定空き家」に認定された場合、受給対象となる可能性が高いです。
(2)旧耐震の家である
旧耐震の家であることも補助金を受けるための条件のひとつです。
多くの自治体では、補助金や助成金の対象家屋の築年数を設定しており、特に1981年以前に建築された「旧耐震基準建物」を対象としています。
これらの建物は、震度5までの地震に耐えるように設計されていますが、当時は建物竣工時の行政検査が行われていないものも多く、耐震性が弱いとされています。
そのため、旧耐震基準の建物は地震による倒壊の危険性が高く、解体や補強工事を促進すべきと考えられています。
自治体はこのような建物の解体に対する補助金制度を設けており、所有者は解体費用の一部を補助金で賄うことが可能です。
(3)老朽化や破損の程度が基準を超えている
古い家の解体に補助金を受けるためには、建物の老朽化や破損の程度が一定の基準を超えていることも条件のひとつです。
解体予定の建物がこの基準を満たすかどうかは、各自治体が定める「住宅の不良度判定」によって決まります。
この判定基準は、国土交通省のガイドラインに基づいており、構造部分、防火性能、インフラ、衛生の各項目に問題がある場合、それぞれの項目に点数が加算されます。
合計評点が100点以上になると、その住宅は不良住宅と判定されます。不良住宅と判定された場合には、解体費用の補助金や助成金の対象となる可能性が高いでしょう。
(4)固定資産税などの滞納がない
古い家の解体に補助金を受けるための条件のひとつに、固定資産税などの滞納がないことが挙げられます。
補助金や助成金は、税金や国の財政を用いて賄われているからです。
そのため、補助を受けようとする個人が税金の支払いを滞納している場合、原則として補助金や助成金の受給は認められません。
補助金が利用できないのは、税金を適切に支払っている人々に対する公平性を保つための措置です。
固定資産税や他の税金の滞納がある場合、まずその滞納を解消しなければいけません。
その後、補助金の申請手続きを進めることが可能となります。
(5)所得の制限がある
自治体によっては、補助を受ける個人の所得制限を設けているケースがあります。
補助金や助成金は、基本的に低所得層を支援する制度であり、解体工事の金銭的負担を軽減することを目的としているからです。
具体的には、前年の所得が1,000万円以下であることを条件とする自治体が多いです。
1,000万円を超える所得があった場合、補助金や助成金が支給されない可能性があります。
古い家を解体に利用できる補助金の種類
ここからは、古い家の解体に利用できる補助金の種類について解説します。
(1)老朽危険家屋解体撤去補助金
古い家を解体する際に利用できる補助金の一種として、老朽危険家屋解体撤去補助金があります。
この補助金は、老朽化やその他の理由により倒壊の危険性が高い家屋を除却することを促進する制度です。
補助金の申請には、自治体の認定や耐震診断を受けなければいけません。
自治体によって支給基準は異なりますが、通常は解体費用の1/5から1/2程度が補助されることが一般的です。
この制度は、地域社会の安全性を向上させるために重要な役割を果たしており、老朽化が進んだ建物の早期解体を奨励しています。
補助金の申請に際しては、自治体の指針に従い、必要な書類や条件を満たさなければいけません。
(2)都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金
古い家の解体で利用できる補助金のひとつに、都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金があります。
この補助金は、都市の景観を保護するために、長期間放置された空き家の解体費用を一部負担することを目的としています。
補助金の申請には、空き家の所有者や相続関係者が、解体後に景観形成基準を満たす新たな土地利用計画を提示しなければいけません。
自治体によって支給基準は異なりますが、通常は解体費用の1/5から1/2が補助されます。
この補助金は、地域の美観維持と安全確保を目的としており、特に都市部での景観改善に寄与します。
(3)建て替え建設費補助金
古い家を解体し、新たに建て替える際に利用できる補助金のとして、「建て替え建設費補助金」があります。
この補助金は、老朽化した家屋を除却し、一定の基準を満たす新しい住宅を建築する施主に対して、解体費用だけでなく建築費用の一部が支援される制度です。
建設する住宅が良質なものであることや、賃貸部分を含むなどの条件を満たす必要があります。
各自治体が独自の助成事業を行っており、詳細な条件や申請手続きについては自治体の公式ホームページで確認することができます。
古い家の解体に補助金を利用する場合の注意点
ここからは、古い家の解体に補助金を利用する場合の注意点について解説します。
(1)承認されるまで時間がかかる
古い家の解体に補助金を利用する際、注意点として審査に時間がかかることがあります。
自治体ごとに異なる基準や要件があり、対象物件の状態を確認するために時間が必要です。
手続きから補助金支給までには数週間から1ヶ月程度の期間がかかる場合もあります。
解体工事を計画する際は、承認にかかる時間を考慮し、早めに手続きを進めることが重要です。
(2)後払いでの受け取りとなる
古い家の解体に補助金を利用する際、後払いでの受け取りになる点も注意が必要です。
補助金は解体工事完了後に申請し、審査が通ると支払われます。そのため、解体費用は最初に自己負担で支払う必要があります。
事前に見積もりを行い、予算を確保しておくことが重要です。補助金を頼りにして計画を立てる際には、この点を考慮しましょう。
(3)審査基準が自治体によって異なる
古い家の解体に補助金を利用する際、審査基準が自治体によって異なる点に注意が必要です。
全国的には空き家解体の補助金制度がありますが、各自治体で支給要件や助成金の金額、対象となる建物の条件が異なります。
さらに、一部の自治体ではこのような制度が設けられていない場合もありますので、古い家があるエリア次第では、全額自己負担になるかもしれません。
解体を検討する前に、対象自治体の最新情報を確認し、詳細な条件や手続きについて把握しておくことが重要です。
(4)要件が変わるケースや予算がなくなることがある
古い家の解体に補助金を利用する際、申請しても必ず承認されるわけではありません。
自治体ごとに異なる制度があり、対象物件や金額、審査基準に大きな違いがあります。
年度ごとに条件が変わる場合や、制度が廃止されたりする場合もあります。
また、事業の予算が限られている場合は、上限に達したら受付が終了することもあります。
補助金や助成金を期待する際には、これらのことを考慮して計画を立てましょう。
まとめ
古い家の解体における補助金について解説しました。
古い家を所有し続けると、さまざまなリスクを伴うので、補助金などを利用して解体することを検討してもよいでしょう。
ただし、自治体ごとに制度や補助金の額が異なるので、注意が必要です。まずは、自治体のホームページなどを確認し、補助金を受けるための条件や、補助金額などを事前にしっかり把握したうえで、解体を検討することをおすすめします。