老朽化した家を建て替えする際の費用相場と注意点
現在住んでいる家や、相続した実家など、築年数がかなり経過して、老朽化している場合、建て替えなどを検討する方も多いのではないでしょうか。
この記事では老朽化した家を建て替える場合の流れや建て替えにかかる費用、建て替えする場合の注意点などについて詳しく解説します。
老朽化した家を建て替える流れ
まずは、老朽化した家を建て替える流れについて詳しく解説します。
(1)建築会社を決定する
老朽化した家を建て替える際は、まずインターネットや情報誌を活用して信頼できる建築会社を探しましょう。
気になる建築会社が見つかったら、モデルハウスを見学するとよいでしょう。
モデルハウスでは最新の設計や設備を実際に確認でき、住み心地を体感できます。
また、実際にその会社が建てた家を見せてもらうことで、施工品質やデザインの細部までチェックできます。
(2)資金計画の相談
老朽化した家を建て替える際、資金計画の相談は非常に重要なポイントになります。
まず、候補の建築会社を2~3社に絞りましょう。
その後、各社の営業担当者にプランや資金計画について詳しく相談します。
担当者は現住居の不満点や気に入っている点をヒアリングしながら、最適なプランを提案してくるでしょう。
(3)プランの決定
次に建築会社と相談し、家族のライフスタイルや将来のニーズを考慮したプランを練りましょう。
今の住まいの不満点や気に入っている点を共有し、改善点を具体的に伝えることが大切です。
また、モデルハウスを見学し、最新の設計や設備を実際に確認しながら複数のプランを比較検討し、納得のいく最適なプランを選びましょう。
(4)仮住まいへの引っ越し
老朽化した家を建て替える際、解体工事前に仮住まいへの引越しが必要になります。
大手ハウスメーカーでは提携先の不動産会社と連携し、仮住まい先を紹介してくれることが多いので安心です。
プラン詳細の決定と引越し準備を同時に進める忙しい時期ですが、スムーズに進行させるためには、早めの手配が重要になります。
エリアや時期によっては仮住まい可能な物件が少ないこともあるため、信頼できる不動産会社に依頼し、適切な物件を確保しましょう。
(5)解体、工事
老朽化した家を建て替える際、まず解体工事を行い、その後、建物滅失登記を法務局に申請しなければいけません。
新しい家の工事が始まる前に、地鎮祭や上棟式を希望する場合は、工事日程の調整が必要なため担当者などに相談しましょう。
工事が始まったら、必要に応じて現場調査に立ち会い、進捗を確認します。工事が完成したら、建築会社と共に竣工検査を行い、問題がないことを確認した上で、家の鍵を受け取り、引き渡しです。
老朽化した家を建て替えるときの費用
ここからは、老朽化した家を建て替える場合の費用相場などについて詳しく解説します。
(1)解体工事の費用相場
老朽化した家を建て替える際、解体工事の費用は構造によって異なります。
木造住宅の解体費用は1坪あたり4万円前後、鉄骨造は5万円程度、鉄筋コンクリート造は8万円程度が相場です。
家の中に家具が残っている場合や、ブロック塀、庭木の撤去が必要な場合だと、別途費用がかかります。
費用を抑えるためには、自分でできることは自分で対応しましょう。
また、地盤調査で問題が見つかれば、地盤改良工事が必要になり、簡単な工事でも40万円程度、大掛かりな工事で、高額だと180万円程度の費用がかかることもあります。
(2)本体工事の費用相場
老朽化した家を建て替える際、本体工事費用は建築費用の大部分を占めます。
建築業者によって1坪あたりの費用は異なり、大手企業や高価格帯住宅を提供する会社では1坪あたり70万円以上が相場です。
一般的なハウスメーカーでは1坪あたり30~50万円、工務店では最低50万円程度が目安となります。
建築費用は「延べ面積×坪単価」で概算できます。
一般的に、建築に必要な総費用のうち、約7割が本体工事費、約2割が付帯工事費、残りの1割が諸費用です。
(3)工事以外の諸経費
家の建て替えには、工事費用の他に様々な諸経費がかかります。
まず、工事請負契約書には印紙税が必要で、金額に応じて5,000円から3万円程度が課税されます。
次に、登録免許税が不動産の登記手続き時に発生し、所有権保存登記や抵当権設定登記にそれぞれ異なる税率が適用されます。
不動産取得税も課税され、軽減税率を適用すると固定資産税評価額から1,200万円を引いた額に0.03%の課税です。
さらに、火災・地震保険料も必要で、木造住宅で20万円前後、鉄骨造・鉄筋コンクリート造で10万円程度が目安です。
思いがけない費用が発生する可能性もあるため、余裕を持った予算計画が必要です。
(4)引っ越し費用など
家の建て替え時に見落としがちな費用として挙げられるのが引っ越し費用です。
建て替えには半年から一年程度かかることが多く、その間の仮住まい費用も考慮する必要があります。
マンスリーマンションは、敷金・礼金がかからず、水道光熱費や家具家電が含まれているので、おすすめです。
また、引っ越し費用は時期によって費用が変動します。
通常期では単身者で4万円程度、2~3人家族で7万円程度が相場ですが、繁忙期にはそれぞれ6万円程度、10万円程度です。
費用を抑えるためには繁忙期や土日祝日を避け、トランクルームなどを活用するのも効果的といえます。
老朽化した家を建て替えするときの注意点
ここからは、老朽化した家を建て替えするときの注意点について詳しく解説します。
(1)見積もりを複数社からとる
老朽化した家を建て替える際には、解体や建て替え工事の見積もりを複数社から取ることがおすすめです。
複数の建築会社や工務店から見積もりを依頼することで、料金や提案内容を比較し、最適な選択をしやすくなります。
見積もりを依頼する際には、具体的なプランや工事内容を詳細に伝えることが大切です。
また、見積もりに含まれる内容や費用の内訳を理解し、忘れている費用がないかを確認しましょう。
信頼できる会社を選ぶためには、実績や口コミ、施工例なども参考にするとよいでしょう。
(2)再建築不可の土地でないかを確認する
老朽化した家を建て替える際には、再建築不可の土地でないかを確認しましょう。
再建築不可物件とは、接道義務を満たしておらず、新たな建物が建てられない土地のことを指します。
接道義務とは、幅4m以上の道路に2m以上接していなければ建物を建てられないという規定で、これに適合しない土地は再建築が認められません。
道路の幅が4mに満たない場合は、道路の中心線から2m下がった位置での建築が認められる場合もあります。
しかし、有効面積が制限されるため、建物の規模も制約されますので注意しましょう。
建て替えを検討する際には、土地の法的制約や地域の建築基準を確認し、問題なく建築できるかを事前に確認することが重要です。
(3)できることはなるべく自分たちでする
老朽化した家の建て替えでは、自分たちでできることが多くあります。
例えば、解体前の家財整理や撤去作業、不要な物の処分を自分たちで行うことで、費用を節約することが可能です。
また、建設中の現場監督や進捗管理を自身で行うこともできます。
DIYでできる工程もあり、塗装や内装の一部を自分たちで手がけることで、自分たちの理想に近い家を実現しやすくなるでしょう。
ただし、専門的な作業や法的な手続きはプロに依頼する必要があります。
建築会社との協力やコミュニケーションも大切にしましょう。
(4)間取りなどしっかりプランを決めておく
老朽化した家を建て替える際に重要なポイントは、間取りの計画です。
快適で安全な住空間を実現するためには、計画段階で家族構成や将来の暮らし方を考慮することが大切です。
建て替えならではの自由度を生かし、将来のライフスタイルに合わせた理想の間取りを考えましょう。
例えば、バリアフリーを意識した設計や、断熱性や耐震性を高めた家を検討することが可能です。
老朽化した家に対する建て替え以外の対処法
老朽化した家は建て替え以外での活用も可能です。
ここからは、老朽化した家に対する建て替え以外の対処法について、詳しく解説します。
(1)売却
老朽化した家を所有している場合、建て替え以外の選択肢として売却が挙げられます。
売却方法としては、そのまま古家付きの土地として売却するか、解体して更地にしてから売却する方法があります。
古家付きのまま売却する場合は、価格を抑えつつ自己負担でリフォームし、住むことを希望する購入者がターゲットです。
一方、解体して更地にする場合は、土地のみを希望する購入者が対象になります。
この方法では、土地の有効活用や新しい建物の建設が可能です。
どちらの方法を選ぶかは、地域の需要や市場状況、所有者のニーズによって異なりますが、専門家と相談しながら最適な選択を検討することが重要です。
(2)リフォーム
老朽化した家を建て替える代わりに、リフォームを検討することも選択肢のひとつです。
主にキッチンやお風呂の交換、リビングの改修、外壁塗装などが挙げられるでしょう。
リフォームのメリットとしては、売却時に買い手が見つかりやすくなることや、戸建てを賃貸物件として収益化するチャンスが広がることです。
また、建て替えに比べて費用や工期を抑えられ、倒壊リスクを軽減できる点も利点といえるでしょう。
一方で、リフォームには自由な間取り変更が難しいというデメリットもあります。
また、賃貸や売却においてリフォームが逆効果になる場合もあり、複数回行うことで費用がかさむことも考慮すべき点です。
(3)解体
老朽化した家に対する対処法として、解体して更地にする方法も挙げられます。
解体後の更地を利用して、駐車場を経営することが活用方法のひとつです。
駐車場経営は比較的低コストで始められ、継続的な収益を見込むことができます。
ただし、駐車場経営の成功には立地や需要の見極めが重要です。
例えば、商業地や駅周辺のような車の出入りが頻繁なエリアであれば、利用者が多く収益が期待できます。
一方、住宅地や交通量の少ない場所では利用者が見込めず、収益が上がらないかもしれません。
また、駐車場経営には初期投資が必要です。
更地にするための解体費用や、駐車場の舗装、駐車ラインの設置、照明設備の設置などに費用がかかります。
これらのコストを考慮した上で、収益を上げるための適切な料金設定や管理体制を整えることが重要です。
まとめ
老朽化した家の建て替えについて解説しました。
老朽化している家を放置してしまうとさまざまなリスクが考えられます。そのため、老朽化した家を解体し、建て替える動きも多くなっています。
老朽化した家の建て替えの場合は、解体が含まれますので、流れを理解した上で実行しなければ、手間もコストも大きくなるかもしれません。