老朽危険家屋とは?基準や解体に使える補助金について解説

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老朽危険家屋とは?

築年数の古い家で、メンテナンスを全くしていない家は、老朽化が進み、倒壊の危険が高まります。

このような家は老朽危険家屋と呼ばれます。

老朽危険家屋は、周辺地域の景観に悪影響を及ぼすだけではありません。

住んでいる人にとって危険ですし、近隣の住宅、通行者にも大きなリスクになります。

この記事では、老朽危険家屋の意味や基準、老朽危険家屋解体撤去補助金制度などについて詳しく解説します。

老朽危険家屋とは?

老朽危険家屋とは、老朽化が進んで倒壊の危険性が高まっている建築物を指します

特に人が住んでいる家屋で、老朽化が進み倒壊が危惧される建物を指すことが多く、築数十年の古い木造住宅の多くが当てはまります。

古い住宅は耐震基準が現在より緩い時期に建てられているため、地震による倒壊のリスクも高まります。

地方自治体の中には、老朽危険家屋の解体・除去にかかる費用を補助する制度を設けているところもあり、安全と景観の向上を目指して積極的に対策が進められています。

老朽化した家屋の一般的な基準

老朽化した家屋の一般的な基準について解説します。

(1)築年数が法定耐用年数を超えている

老朽化した家屋の一般的な基準として、築年数が法定耐用年数を超えている点が挙げられます

国税庁によると、木造戸建て住宅の法定耐用年数は22年とされています

これは税務上の数字であり、実際の劣化度合いを測るものではありませんが、建築物の資産価値は築年数に応じて減少します。

築20年以上の木造戸建て住宅では、資産的価値がほぼなくなっている可能性があります。

耐用年数を超えた建物は、老朽化が進み、安全性や住み心地に問題が生じることが多いです。

定期的なメンテナンスやリフォームが行われていない場合、さらに劣化が進むため、早めの対応が必要になります。

(2)旧耐震基準の家である

老朽化した家屋の一般的な基準として、旧耐震基準で建てられた家である点が挙げられます

昔の建築基準法で建てられている古い家屋は、耐震性が今の時代よりもずっと低いからです。

1981年6月1日以降に建てられた家は、改正された新耐震基準が適用されていますが、それ以前に建てられた家は旧建築基準が適用されています。

旧耐震基準では建物が中規模地震で倒壊しないという基準になっています。

現在の新耐震基準では中規模地震でほとんど損傷せず、大規模地震で倒壊・崩壊しないと、大きく変化しました。

旧耐震基準で建てられた家屋は、大規模な地震に対して脆弱なため、現行の基準を満たすためには耐震補強が必要になります

近年の地震の多発と専門家の警告を考慮して、地震対策にはより注意を向ける必要があります。

(3)管理ができていないと老朽危険家屋となる

老朽化した家を適切に管理しなければ老朽危険家屋とみなされます

老朽危険家屋とは、倒壊の危険性が高く、住民や周辺の安全を脅かす建物のことです。

特に築数十年を経た木造住宅は、住人の高齢化や核家族化により維持保全が難しくなってしまうでしょう。

管理が行き届かないまま放置されると、建物の劣化が進み、地震や強風などの自然災害で倒壊するリスクが高まります。

また、老朽危険家屋は景観を損ねるだけでなく、倒壊時には近隣住民や通行者に重大な危険をもたらします。

老朽危険家屋解体撤去補助金制度とは

老朽危険家屋解体撤去補助金制度について解説します。

(1)老朽危険家屋解体撤去補助金制度の概要

老朽危険家屋解体撤去補助金制度は、老朽化による倒壊のリスクが非常に高い家の解体に際し、活用が可能な補助金制度です

自治体が主体となり、地域の治安や景観の保全を目的としています。

古くなった家屋、特に空き家は建物が急激に劣化し、年月が経つにつれて崩れやすくなるのが特徴です。

家屋が崩れると近隣の景観に悪影響を及ぼすだけではなく、道路をふさぎ、通行人にも怪我をさせる可能性が高まるなど周辺に被害を与えてしまうでしょう。

補助金制度は、こうしたリスクを未然に防ぐための重要な対策です。自治体はこの制度を通じて、危険家屋の解体を促進し、地域の安全と美観を保つことを目指しています。

(2)老朽危険家屋解体撤去補助金制度で支給される補助金額

老朽危険家屋解体撤去補助金制度で支給される補助金額は、一般的に上限が100万円程度とされています

ただし、具体的な金額や補助の割合は自治体によって大きく異なりますので一概には言えません。

多くの自治体では、解体工事にかかった費用の一部を補助し、補助率や上限金額が設定されています。

例えば、解体費用の50%を補助し、上限額を100万円とするケースや、上限を70万円とする自治体もあります。

補助金額を把握するためには、まずはお近くの自治体に問い合わせてみましょう。

老朽危険家屋解体撤去補助金制度を受けられる条件

ここからは、老朽危険家屋解体撤去補助金制度を受けられる条件について解説します。

(1)個人が所有している

老朽危険家屋解体撤去補助金制度を受けるためには、個人が所有していることが条件となります

特に、住むことが困難で周囲に悪影響を及ぼす危険性のある特定空き家に認定された場合、補助金の対象となる可能性が高くなるでしょう。

空き家であることが主な前提とされており、自治体によってはさらに厳しい条件が設けられているケースもあります。

補助金を受けるためには、自治体の認定を受ける必要があり、空き家の状態や老朽化の程度を確認するための審査が行われます。

自治体ごとに具体的な条件や手続きが異なるため、事前に詳細を確認することが重要になります。

(2)旧耐震基準時点で建てられた家であること

老朽危険家屋解体撤去補助金制度を受けるための条件として、旧耐震基準時点で建てられた家であることも条件のひとつです

特に1981年以前に建築された旧耐震基準建物は、耐震性が極めて乏しいとされています。

この基準だと、震度5までの地震に耐える設計ですが、建物竣工時の行政検査が行われていないケースも多く、倒壊の危険性が高いのが現状です。

自治体は補助金や助成金の対象家屋の築年数を設定しており、旧耐震基準建物は解体費用の補助対象になりやすい傾向があります。

これらの家屋は地震による倒壊のリスクが高いため、解体工事や補強工事の促進が求められているといえるでしょう。

(3)破損や老朽化の程度がひどいこと

老朽危険家屋解体撤去補助金制度を受けるためには、建物の破損や老朽化の程度がひどいことも条件となります

解体予定の建物が補助金や助成金の対象となるかは、各自治体が定める住宅の不良度判定に基づくのが一般的です。

この判定基準は、国土交通省のガイドラインに準拠しています

具体的には、建物の構造部分、防火性能、インフラ、衛生に関して問題があれば数値を加算されていきます。

合計評点が100以上となった場合、不良住宅と判定されてしまうでしょう。

この基準を満たす建物は、補助金の対象となる可能性が高いです。

老朽化が進んで倒壊の危険性がある建物は、周囲の安全を確保するためにも早急に対処する必要があります。

(4)税金の滞納をしていない

税金の滞納がないことも条件のひとつです

補助金や助成金は国民全体から徴収した税金や国の借金で賄われています。

補助金を受給される個人に税金支払いの滞納がある場合には、基本的に補助金や助成金の受給は認められません。

補助金を申請する前に、固定資産税や住民税など、納税義務のある税金の支払い状況を確認しておきましょう。

老朽危険家屋で考えられるリスク

ここからは、老朽危険家屋で考えられるリスクについて解説します。

(1)自然倒壊

老朽危険家屋には自然倒壊のリスクが潜んでいます

建材の腐食やシロアリ被害などが進行し、放置されたままの傷んだ箇所はさらに悪化してしまうでしょう。

特に空き家ではこれらの問題が見過ごされがちで、台風や地震などの自然災害が重なってしまい、建物が自然倒壊する危険性が高まります。

(2)害虫の発生

老朽危険家屋では害虫の発生も深刻なリスクです

空き家ではゴキブリやハエ、ハチの増殖に注意しなければいけません。

またネズミやハクビシン、イタチ、アライグマなどの動物が住み着いてしまう点にも注意しましょう。

これらの生物が繁殖すると、周囲に悪臭や病原菌の拡散を引き起こす可能性があります。

不衛生な環境は周辺住民に不快感を与えるだけではなく、健康リスクを引き起こすおそれがあります。

(3)犯罪に巻き込まれる

老朽危険家屋では管理が行き届かないため、さまざまな犯罪の発生源となってしまう可能性も考えられます

誰も住んでいない家は、不法侵入やゴミの不法投棄、盗難、放火だけではなく、違法薬物取引や性犯罪の現場として悪用されるかもしれません。

地域の治安や住民の安全を考えると、老朽化した家の管理や定期的な巡回は不可欠だといえるでしょう。

(4)特定空き家に指定される

老朽危険家屋が特定空き家に指定されると、地域住民の生活に悪影響を与えるとされ、行政が積極的な対策をとります

市町村は苦情を受けると空き家を調査し、所有者に助言や指導を行います。

しかし、所有者がこれに従わない場合、行政代執行法に基づき除却や修繕を強制されてしまうかもしれません。

法律違反には罰金が科せられ、固定資産税の特例も失われる可能性があります。

(5)景観悪化による近隣不動産の価値が下落するリスク

老朽危険家屋は、その見た目や状態が周辺の景観を悪化させることが考えられます

近隣の不動産の所有者にとって、景観の悪化は直接的な問題です。

美しい景観は不動産価値を保つ重要な要素であり、老朽化した建物が目立つことで周辺地域全体の魅力が低下し、価値が下落するリスクがあります。

不動産取引や賃貸市場での評価も影響を受け、投資価値が低下する可能性も考えられるでしょう。

まとめ

老朽危険家屋について解説しました。

老朽化してしまった家は、さまざまなリスクを抱えています。

特に自然倒壊の可能性も考えられる老朽危険家屋となってしまうと、近隣住人に迷惑をかける可能性があるので早急な対処が必要です。

その中のひとつが解体ですが、補助金などをうまく活用できると、費用負担を軽減しながらリスクを回避することが可能です。

補助金を受給するには、いくつかの条件をクリアしなければいけませんし、自治体によっても異なりますので、各自治体のホームページを確認しながらうまく活用しましょう。

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