再建築不可物件を売却する方法は?売りにくい理由や対処法を解説
再建築不可物件は売却しにくい不動産といわれています。
再建築不可物件を所有している場合、どのような処分方法があるのか知りたいと思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、再建築不可物件とはどのような物件なのか、売却しにくいといわれる理由や対処法などについて詳しく解説します。
再建築不可物件とはどのような物件か
まずは、再建築不可物件の特徴と、どのような物件が対象になるのかといった点について説明します。
(1)再建築不可物件とは
再建築不可物件とは、法律上新たに建物を建てることができない土地を指します。
主な理由は以下の3つです。
- 建築基準法の接道義務を満たしていない
- 土地が道路に接していない
- 市街化調整区域にある
これらの条件を満たさない土地では、再度建物を建てることが難しいため、売却や活用が制限される可能性が高くなってしまいます。
所有する物件が再建築不可かどうかは、役所に問い合わせる、自治体のホームページで調べる、または専門の不動産業者に依頼することで確認が可能です。
特に売却を考えている場合は、専門の不動産買い取り業者に相談するとよいでしょう。
(2)接道の基準を満たしていない
再建築不可物件は、建築基準法で定められた接道義務を満たしていないため、新たに建物を建てられません。
接道義務とは、建物が幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないという規定を指します。
この規定を満たさないと、建物の建て替えや増改築は認められません。
接道義務を満たす道路には、国道や都道、市町村道など、42条道路と呼ばれる特定の道路が含まれます。
該当するかどうかは、役所や専門の不動産業者などで確認できます。
(3)道路が接していない
道路に接していない袋地と呼ばれる土地も再建築不可物件に該当します。
袋地は、接道義務である「建築基準法上の道路に2m以上敷地が接していなければならない」という条件を満たしていないため、再建築ができません。
また、袋地を取り囲む囲繞地には他の建物が建っていることが多く、こうした状況にある土地が、該当する可能性が高くなるでしょう。
(4)市街化調整区域へ変更になった
市街化調整区域にある土地は、再建築不可物件である可能性が非常に高い区域です。
市街化調整区域は、都市計画法により市街地の無秩序な拡大を防ぐために指定された地域であり、土地の利用が厳しく制限されています。
このため、原則として新たな建物の建築や建て替えが認められていません。
所有する土地が市街化調整区域に該当するかどうかは、管轄の市役所で確認できます。
再建築不可物件が売却しにくい理由
再建築不可物件は、売却しにくい不動産であるといわれています。売却しにくい理由について詳しく説明します。
(1)建て替えできないため、長期の活用ができない
再建築不可物件が売却しにくい最大の理由は、建て替えができないため、長期的な活用が困難であることです。
不動産の所有には、長期にわたって住み続けたり、賃貸運用によって収益を上げたりすること可能だというメリットがあります。
しかし、再建築不可物件はその特性上、これらのメリットを享受することが難しいでしょう。
仮に解体したとしても新たな家屋を建てることができないという厳しい制約があります。
これにより、買主は物件を購入しても将来的に建物を再構築することができないため、その価値は大きく損なわれるといえるでしょう。
また、建物が老朽化した場合にも、修繕やリノベーションだけでなく、全面的な建て替えが選択肢から外れるため、住み続けること自体が難しくなるケースも考えられます。
再建築不可物件を所有している場合、売却を検討する際には、通常の不動産市場での取引よりも難航する可能性が高いことを理解しておかなければいけません。
売却の際には、解体費用や土地の利用制限を考慮した現実的な価格設定を行い、地域や物件の特性に応じたアプローチを行うことが求められるでしょう。
(2)住宅ローンの審査が通りにくい
再建築不可物件が売却しにくい大きな理由のひとつとして、住宅ローンの審査が通りにくいことが挙げられます。
金融機関は住宅ローンを融資する際、借り手の信用情報だけでなく、物件の担保価値も重視します。
再建築不可物件は、建て替えができないという制約があるため、自由に建築できる物件と比べて評価が低くなりがちです。
このため、金融機関から担保価値が不十分と判断され、住宅ローンの審査に通らないケースが多いです。
住宅ローンが利用できない場合、買主はより金利の高いローンを利用するか、現金で購入する必要があり、購入者の層が大幅に限られてしまうでしょう。
その結果、このような物件の需要がさらに減少し、売却が難しくなる傾向があります。
物件を売却する際には、これらの制約を理解し、適切な価格を設定すること、販売戦略を練ることが大切です。
再建築不可物件を再建築可能にして売却する方法
再建築不可物件でもケースによっては、再建築可能となることもあります。
建築ができる状態で売却することにより、相場並みの価格で売却することが可能です。
再建築不可物件を再建築可能物件にして売却する方法について説明します。
(1)セットバックして建築可能にする
再建築不可物件を再建築可能にする方法のひとつに、セットバックがあります。
土地が2項道路に接している場合、道路幅が4m未満でも、セットバックを行うことで再建築が可能です。
建築基準法では、2項道路に接道している土地は、道路中心線から2m後退した部分を道路とみなすと規定されています。
例えば、道路幅が2mの場合、道路中心線から2m後退した部分は建築できませんが、その後退した範囲以外の土地部分には建築が可能です。
このセットバックを行い、再建築が可能な物件として売却することで、物件の価値を高めることができます。
(2)隣地を取得して接道を広げる
隣地を取得して接道を広げる方法も挙げられます。
建築基準法では、建物が道路に接する間口が2m以上必要です。
この間口が2m未満の場合、再建築が不可能となりますが、隣地から土地を購入したり借りたりして間口を広げることで、再建築が可能な物件にすることができます。
隣地の所有者に相談し、土地の一部を取得できれば、接道義務を満たすことができ、物件の価値を向上させることが可能です。
売却を考えている場合、まずは隣地所有者との交渉を進めてみましょう。
(3)道路の申請を行う
隣接する道路の申請を行うことも効果的な方法のひとつです。
建築基準法第43条には、建物の敷地が道路に2m以上接していない場合でも、特定の条件を満たせば建築が可能になる「43条但し書き道路」の規定があります。
この規定に基づき、建物の周囲に広い空地があるなどの条件を満たし、安全が確保できると認められれば、特定行政庁からの許可を得て再建築が可能です。
しかし、申請が必ず許可されるわけではなく、厳しい審査が行われるため注意しなければいけません。
道路申請を行いたい場合は、専門家のアドバイスを受けながら、申請手続きを進めましょう。
再建築不可物件をそのままで売却する方法
再建築不可物件は建築可能にしなければ売れないわけではありません。
ここからは、再建築不可物件のまま売却する方法について解説します。
(1)隣地に売却する
再建築不可物件をそのまま売却する方法として、隣地所有者に土地の買い取りを打診する方法があります。
隣地所有者が増築や敷地の拡張を考えている場合、買い取りに応じてもらえるかもしれません。
売却を諦める前に、まずは隣地所有者に相談してみましょう。
仮に買い取りが難しい場合でも、隣地の一部を売却または賃借することで、あなたの土地の間口を広げることが可能になるかもしれません。
間口が2m以上に広がれば、建築基準法の接道義務を満たし、再建築が可能な物件として売却する道が開けます。
隣地所有者との交渉は、売却の可能性を広げる一手です。まずは、率直に相談を持ちかけてみましょう。
(2)不動産会社に買い取ってもらう
再建築不可物件をそのままで売却する方法として、不動産会社に買い取ってもらう方法があります。
業者による買い取りは一般に仲介による売却よりも安値での取引になりますが、再建築不可物件は仲介でも高値で売却できる可能性が低いため、早く現金化したい場合には有効な選択肢です。
不動産会社は、再建築不可物件を買い取った後に、周辺物件の買い取りを進めて一団の土地として分譲するなど、専門的な活用方法を検討することができます。
これにより、個別の土地の制約を克服し、より高い価値を見出せることができるかもしれないからです。
(3)通常通りに売却する
再建築不可物件をそのままで売却する方法として、通常通りに不動産会社に仲介を依頼する方法があります。
この方法では、一般的な売却と同様に不動産会社に物件を仲介してもらい、買主を探すことが可能です。
ただし、再建築不可物件には建て替えができないリスクや、現金購入が可能な買主に限られるなどの制約があります。
売却価格は周辺相場の5~7割程度になる可能性が高いことを理解しておく必要があるでしょう。
また、隣地所有者が売却を検討している場合には、隣地との一団の土地として売却できる可能性も考慮に入れるべきです。
この場合、同じタイミングで不動産会社に相談し、一括して売却するプランを検討することで、より有利な条件での取引が実現するかもしれません。
再建築不可物件の売却を成功させるためには、適切な不動産会社への依頼と、戦略的な価格設定が重要です。
まとめ
再建築不可物件が売却しにくいといわれる理由や対処法などについて解説しました。
再建築不可物件は、一般的な不動産よりも売却しにくく、売却しても相場より低くなってしまう可能性が高い不動産です。
しかし、再建築可能な不動産として相場内の価格で売却することも可能ですし、工夫次第ではそのままの状態で売却することも可能です。
不動産会社などに依頼して、効果的な売却方法を検討するとよいでしょう。