空き家の解体費用の内訳は?資金がない場合の対処法も解説
住まなくなった実家はなかなか管理がしにくいので、放置したままになりがちです。
そして、末は廃墟となってしまう可能性があります。
そこで、いっそのこと更地にするために解体しようと考える人も多いでしょう。
空き家の解体にかかる費用はどの程度みていればいいのでしょうか?
また、空き家となった実家を解体するにあたるメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、空き家となった実家を解体する費用やメリット・デメリット、解体費用を行う資金がない場合の対処法などについて解説します。
目次
空き家の解体にはどのような費用がかかるのか?
一番気になるのは、空き家を解体するための費用でしょう。
解体は、どのような点で費用が変わるのでしょうか?
また解体に伴った工事はどのような付帯工事があるのでしょうか?
解体工事の費用面について解説します。
(1)広さや構造、立地などで異なる
解体の費用に関係するのは、まずは広さです。
当然ですが、解体する家が広ければ広い程、解体費用は高くなります。
例えば、50坪の実家の解体だと坪6万円の解体費用ですが、70坪だと坪5万になるなど、
広くなれば単価自体の金額は下がることが多いです。
次に、構造によっても解体費用は異なります。
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造といった構造がありますが、構造別における金額は次の通りです。
【解体費用】
安い 木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造 高い
鉄筋コンクリート造は構造が強固な分、解体の手間がかかります。
鉄筋の処理など木造に比べると、解体作業が大変なので金額に影響されるのです。
立地による金額の相違もチェックしておきましょう。
例えば、道路幅が狭く、解体作業が困難になる場合や、隣家が近すぎて解体作業に影響を及ぼす場合など、
- 一回で運搬できるところが、小型車で2回運搬しなければいけない。
- 隣家対策のため、防音壁を設置しなければいけない
等の対策が必要となり、結果金額に跳ね返るのです。
立地条件も解体費用に大きな影響を及ぼすといえるでしょう。
(2)リサイクル法の施行により、以前よりも費用がかかる
解体費用は、依然と比べると非常に高くなったとの声が聞こえます。
昔は、建物を一気に丸ごと壊して廃棄するミンチ解体が可能でした。
特に分別する必要がありませんでしたので、そのまま廃棄すればよく費用も安く上げることができたのです。
しかし、建設リサイクル法が施行されてからミンチ解体は原則として禁止されており、廃棄資材をきちんと分別して廃棄する必要があります。
廃棄資材の分別や、資材ごとの処理場への搬出といった作業を行わなければいけなくなりましたので、その分解体費用が高くなってしまっているのが現状です。
(3)付帯工事によってかかる費用
解体工事を行う際、付帯するものについて工事費用が追加になる場合があります。
代表的な例がアスベストです。
アスベストは古い家によく用いられていることがありますが現在は、有害物質に指定されています。
人体に悪影響を及ぼすアスベストの処理には、解体時に特殊な対策が必要です。
その分、解体工事費に上乗せされてしまいますので、解体費用が高くなってしまいます。
空き家を解体することによるメリット
解体費用はさまざまな要因によって建物ごとに費用が異なりますので、思っていた金額よりも高くなってしまうなど、見積りしてみなければわからない部分があります。
では、実際に空き家を解体しようと考えるときに、どのようなメリットがあるのでしょうか?
空き家解体のメリットについて解説します。
(1)管理費用や修繕に関する支出がなくなる
空き家のまま保有しておくことに対し、維持管理に関する費用を支出しなければいけません。
例えば、以下の項目です。
- 庭の草を除草しておく
- 樹木などの選定
- 修繕の費用
- 定期的なメンテナンス費用
家は、保有しているだけでもさまざまな管理費用や保守費用がかかってきます。
空き家ともなると誰も住んでいないのに費用だけが、かかることになってしまい家計面で負担となるでしょう。
しかし、いったん解体してしまうと、家に関するさまざまなコストがなくなります。
最初に解体費用がかかりますが、それ以降、空き家に関する管理費用や修繕に頭を悩ますことは無くなるのです。
管理費用などのコストがなくなる点は、大きなメリットといえるでしょう。
(2)売却に有利
売却においても有利になる場合があります。
実家となっている空き家は築年数が経過しており古くなっている場合も多く、売却においては古い家があることが不利になる場合があるのです。
例えば、その場所に新たに住まいを建築することを目的としている場合、購入希望者は空き家があることで解体という余計な費用がかかってしまいます。
空き家があまりにも古く、住居として使用するには無理があるようなケースにおいては先に解体し、更地にしておくことで売却に有利になるといえるでしょう。
(3)空き家の運用について悩まなくてよい
空き家を保有しているだけでさまざまな支出を予定しておかなければいけないのは、先ほど述べました。
空き家の運用方法はいくつか考えられますが、全く手がかからなくなるわけではありません。
例えば、賃貸としてほかの人に貸した場合でも、苦情や修繕要求にはこたえなければいけません。
空室になってしまうと、募集についても対策が求められます。
このように空き家として保有しているだけで運用について悩まなければいけないケースが増えてしまいますが、
解体してしまうと空き家の運用に悩む必要はありません。
これも大きなメリットです。
空き家を解体するデメリット
空き家を解体することはメリットだけではありません。
いくつかのデメリットも考えられますので、解体することによるデメリットについて解説します。
(1)固定資産税の軽減措置が受けられなくなる
空き家がある場合、その土地は宅地として取り扱われます。
土地や建物といった不動産は、保有しておくだけで毎年固定資産税や都市計画税といった税金を、所有者は支払わなければいけません。
固定資産税には軽減措置があり、宅地の場合、固定資産税が1/3若しくは1/6まで税金が軽減されています。
しかし、解体して更地にしてしまうと、雑種地という扱いになってしまうので固定資産税の軽減措置を受けることができません。
つまり、解体したとたんに、土地の固定資産税については3倍から6倍に跳ね上がってしまうのです。
現在、空き家の増加が社会問題化しており廃墟と化した空き家が増えていますが、固定資産税の軽減措置が空き家問題には大きく影響しています。
毎年の固定資産税に関する費用は馬鹿になりませんので、一気に3倍から6倍になってしまうと大きな負担を強いられるかもしれません。
固定資産税の軽減措置が受けられない点は、大きなデメリットといえるでしょう。
(2)最初に解体費用がかかる
解体費用が最初にかかりますのでまとまったお金が必要になるでしょう。
例えば50坪の空き家の解体における単価が坪6万円だった場合
50坪×6万円=300万円
といった費用がかかります。
最初の解体費用が高いことから、解体するのをあきらめる人もいますので、安くはない費用がかかってくる点もデメリットといえるでしょう。
(3)解体したために家が建てられない土地もある
空き家がある時点では家を建てられるような土地でも、時間の経過によって家が建てられなくなってしまっている場合があります。
例えば、
- 隣接する道路の幅が狭くなってしまった
- 用途地区が未指定から市街化調整区域になった
等が挙げられます。
解体してしまったとしても家が建てられないとなると、売却に大きく影響するし、売却価格も大きく引き下げなければいけません。
空き家を解体したために土地の資産価値が下がることがありますので、これもデメリットといえるでしょう。
空き家を解体したいけどお金がない場合の対処法
前述しましたが、空き家を解体する場合の解体費用は決して安いものではありません。
解体費用を捻出できないために解体ができないという人も多いでしょう。
では、資金がなくても解体を行うことはできるのでしょうか?
解体工事を行いたいけど資金がない場合の対処法について解説します。
(1)空き家解体はローンの利用が可能
解体費用をローンで利用することができます。
解体後、新築の住まいを建てる場合は新築の住宅ローンに解体費用を追加して借入することが可能です。
そのまま更地として所有しておく場合においても、空き家解体ローンなどが地方銀行を中心に提供されています。
空き家解体ローンは、空き家問題に対応するために日本政府からの要望によってできた商品です。
このような商品を積極的に利用することで解体費用を捻出することができるでしょう。
(2)自治体によっては補助金の取得も可能
自治体によって異なりますが、空き家解体に対して補助金を助成しています。
自治体ごとに呼び名が異なり空き家の定義が各自治体によって違います。
ある自治体では耐震診断が必要なところもあるし、自治体の定義する空き家としての認定を通過しなければいけません。
しかし、助成を受けることができると、解体費用の20%~50%が補助金として降りてきますので是非とも利用したい制度です。
空き家を放置したことによるリスク
解体費用がない、解体することを考える時間がないといった理由で、いつまでも空き家のまま放置しているとしましょう。
空き家の放置は絶対に避けるべきです。
空き家の増加が社会問題化されたことを受け、2014年に空き家対策特別措置法が施行されました。
これにより、空き家の状態が著しく悪い場合は行政指導が可能となっています。
空き家状態を放置しておくといろいろなリスクを負うことになってしまいますが、どのようなリスクを負うことになるのでしょうか。
(1)倒壊のリスク
建物が劣化することによる倒壊のリスクが一番に挙げられます。
空き家状態は建物の劣化を早めます。
湿気によるカビからの害虫の発生などにより建物内部の腐食や劣化が進み、倒壊までには至らない程度の地震でさえ、
あっけなく倒壊することに繋がるでしょう。
十分に注意しなければいけないリスクです。
(2)犯罪のリスク
犯罪の温床となってしまうケースも考えられます。
空き家状態が長く続くと周囲の人にも知れ渡り、気づかないうちに犯罪に利用されているのです。
例えば麻薬取引の場になっている場合や、不正取引の場として利用されているかもしれません。
不法潜入されており、住みつかれているようなケースも考えられます。
(3)管理不備で近隣へのリスク
管理を十分に行っていなければ、庭の草木が伸び放題になり、景観を損ないます。
景観を損なうだけではなく、ごみの不法投棄の場になってしまうことも考えられるでしょう。
近隣住民は景観が損なわれたり、ごみによる悪臭に悩まされたり、さまざまな迷惑を被っているかもしれません。
近隣へ迷惑をかけることにより、運用方法に支障をきたすこともあるので近隣に対するリスクも早めに解消する必要があります。
まとめ
空き家の解体は、構造や広さ、立地によって費用は異なります。
最初にまとまった費用がかかりますが、空き家の運用方法が見つからない場合は、解体して売却するのも有効な方法です。
しかし、更地のまま長期間保有しておくことで、固定資産税の費用などは、空き家があるときよりも3倍から6倍に上がります。
しっかりと見極めたうえで解体する必要があるでしょう。
しかし、もっともタブーなのは空き家状態のまま放置することです。
空き家対策特別措置法が施行されたことにより、空き家が行政指導を受けることもあるし、固定資産税の軽減措置が受けられなくなる場合もあります。
解体費用が捻出できない場合は、ローンを利用する、補助金を申請するなどの対策も効果的です。
解体も含め、空き家を放置しておかないことが最も大切なポイントといえるでしょう。