空き家を店舗活用する方法・メリットとデメリットも解説
空き家が年々増加する中、空き家を有効活用する方法の一つとして、店舗活用を検討される方が増えています。
空き家を店舗活用できるとメリットが多いですが、デメリットについても理解しておくことが大切です。
この記事では、空き家を店舗活用する方法、メリットとデメリット、店舗活用する場合の注意点などについて詳しく解説します。
空き家を店舗活用する方法
まずは、空き家を店舗活用する具体的な方法について説明します。
（１）飲食用店舗として活用
空き家を飲食用店舗として活用する事例は、特に取り組まれやすい活用方法のひとつです。
カフェや喫茶店などの軽飲食店から、本格的な料理を提供するレストランまで、幅広い用途で利用されています。
郊外では古民家をリノベーションし、地域の特産品やこだわりの素材を使ったメニューを提供するスタイルなども注目されています。
このような店舗は、地域の観光資源としても価値を高め、地元経済への貢献にもつながります。
空き家の活用は、地域に新たな集客拠点を生み出し、飲食業の新しいビジネスチャンスを提供する典型的な成功事例といえるでしょう。
（2）物販店舗として活用
空き家を物販店舗として活用する事例は、初期投資を抑えながらビジネスをスタートできる活用方法といえるでしょう。
物販店舗の利点は、飲食店とは違い、水回りの改装が不要なことです。商品を陳列できるスペースがあれば十分なため、空き家を整理整頓するだけで始められる手軽さがメリットです。
また、地域の特産品を取り扱うことで、観光客や地元住民の集客も期待できるため、地域の経済活性化にも寄与できるでしょう。
（3）宿泊用の店舗として活用
観光地で空き家を宿泊用店舗として活用するのも効果的な方法の一つです。
特に民宿や民泊施設は、外国人旅行者を中心に人気を集めています。
その理由は、ホテルでは味わえない日本の生活体験ができることや、格安で宿泊できる点です。
住宅として利用されていた空き家の場合、大きな用途変更をせずに宿泊施設へ転換できるため、改装費用を抑えてスタートすることも可能でしょう。
また、地域の伝統や生活文化を直接感じられる空間として、観光客にとって魅力的な選択肢となります。
空き家を店舗活用するメリット
空き家を店舗活用する主なメリットについて解説します。
（1）収入が入る
空き家を放置すると、固定資産税や都市計画税、維持管理費など、さまざまな費用が発生し大きな負担と感じるかもしれません。
しかし、空き家を店舗として活用することで、家賃収入を得られる資産へと生まれ変わらせることが可能です。
家賃収入により、不動産に必要な維持費用を補うだけではなく、毎月の安定した収入源となります。
さらに、収入額によっては、家賃収入を活用して資産形成を始めることも可能です。
また、店舗利用者が地域に訪れることで周辺経済の活性化につながる可能性も考えられます。
観光地や住宅街に適した業態を選ぶことで、長期的な収益も期待できるでしょう。
（2）不動産価値を維持できる
空き家を放置すると、劣化が急激に進行し、不動産価値が大きく下がるリスクがあります。
一方で、空き家を店舗として活用するために修繕や適切な管理を行うことで、建物の資産価値を維持することが可能です。
店舗として活用することで、建物には人の手が入り、定期的なメンテナンスが自然と行われるため、老朽化の進行を抑える効果が期待できるでしょう。
また、将来的に空き家を売却する際、手入れの行き届いた状態であれば、建物付き土地として適正な価格で評価される可能性も高まります。
（3）色々なリスクが回避できる
空き家を放置すると、劣化が進みやすく、腐食や破損が原因で倒壊する危険性が増大するなど、さまざまなリスクが発生します。
また、管理が行き届いていない空き家は、不法侵入や放火、不法投棄といった犯罪行為のターゲットにもなりやすい状況をつくり出してしまいます。
犯罪のリスクは空き家だけにとどまらず、周囲の住民や地域社会にも悪影響を及ぼします。
例えば、倒壊や火災は隣接する建物への被害を招きかねませんし、不法投棄による景観悪化は地域全体の価値を下げるかもしれません。
さらに、地域住民とのトラブルに発展すれば、所有者としての社会的信用も低下してしまうでしょう。
しかし、空き家を店舗として活用すれば、定期的なメンテナンスが行われ、建物の劣化や犯罪リスクを抑えることができます。
空き家を店舗活用するデメリット
次に空き家を店舗活用した場合の主なデメリットについて説明します。
（1）初期費用がかかる
空き家を店舗として活用する場合、多くの場合そのままでは使用できず、用途に応じた設備投資が必要です。
例えば、飲食店であれば水回りの改修や厨房設備の設置、物販店であれば内装のリニューアルや什器の準備が必要になるでしょう。
また、外観の補修や安全基準をクリアすることも重要なポイントです。
さらに、店舗運営を持続させるためには、定期的な清掃や修繕などの管理費がランニングコストとして発生します。
こうした費用も、初期投資と合わせて事前にしっかり計画を立てなければいけません。
空き家を店舗活用する際は、魅力的な収益源になる一方で、初期費用の負担が大きくなるかもしれない点を理解し、収支計画を慎重に組み立てることが成功の鍵です。
（2）管理面に注意が必要なケースがある
空き家を店舗活用する場合、管理面に注意しなければいけません。
たとえば、建物の状態維持や不審者侵入防止、周辺環境の整備など、継続的な管理が必要です。
外部業者に委託することも可能ですが、内容や料金は業者ごとによって大きく異なり、基本的な換気や除草作業程度でも月1万円ほどのコストがかかることがあります。
さらに、賃貸店舗や駐車場として活用する場合は、専門的な管理が必要となり、費用が増加することもあるでしょう。
収益以上にコストがかさみ、赤字になる可能性も考えられます。
また、地方などでは外部委託できる業者が見つからないこともあり、建物管理が一層難しくなるかもしれません。
空き家を活用する際は、収支計画と管理方法を慎重に検討することが重要です。
（3）赤字経営になってしまう可能性もある
空き家を店舗として活用する場合、赤字経営に陥る可能性も考えなければいけません。
店舗運営には、前述したように設備投資や内装工事などの初期費用に加え、維持管理費や光熱費などのランニングコストが発生します。
特に収益が計画通りに得られない場合、これらのコストが重くのしかかり赤字となるリスクが高まるでしょう。
さらに、地域の需要や立地条件によっては、店舗の利用者が限られ、安定した収益を確保するのが難しいケースもあります。
加えて、競合店舗が多い地域では、価格競争や集客の難航により利益率が低下することも考えなければいけません。
赤字経営に陥らないためには、事業計画を綿密に立て、収支バランスを徹底的にシミュレーションすることが大切です。
空き家を店舗活用する場合の注意点
空き家を店舗活用する場合は、以下の点に注意してください。
（1）立地に十分注意する
店舗経営において、立地は集客力を大きく影響するため、空き家を店舗に活用する場合は、立地に注意しましょう。
どんなに魅力的な店舗でも、人目につきにくい裏通りやアクセスの悪い場所にあると、お客様が訪れにくくなり、店舗運営に苦労してしまうでしょう。
空き家は必ずしも店舗に適した場所にあるとは限りません。
特に住居用で使用していた空き家となると、一般の店舗物件よりも立地条件が厳しいケースが多いため、活用の前に慎重な検討が必要です。
周辺の交通量や人通り、ターゲット層の動線を十分に調査しましょう。
立地条件が理想的ではない場合、オンライン販売を取り入れるなど、立地を補完する方法を考えることも有効です。
（2）空き家の強度を調べておく
空き家を店舗として活用する場合、その建物の強度を必ず事前に確認しましょう。
空き家は長期間使用されていないため、構造部分が劣化している可能性があります。
地震や台風などの自然災害に対する耐久性を欠いている場合、顧客や従業員の安全を脅かすリスクを抱えてしまうのです。
店舗としての改装を進める前に、建物診断をプロの業者に依頼し、耐震性や基礎部分の状態をチェックしましょう。
必要に応じて補修や改修を行うことで、安心して営業できる環境を整えることができます。
また、建物の安全性を示すことで、来店客に信頼感を与え、長期的な経営にもつながるので、安全対策をしっかり行い、安心して利用できる店舗を目指しましょう。
（3）店舗として活用できるかどうかの検証
空き家を店舗として活用するためには、事前にしっかり検証することが大切です。
特に飲食店舗の場合、水回りの問題が大きな課題です。
給排水設備の改修や、下水道工事が必要になることがあります。
また、バックヤードの確保も重要です。
居住目的の空き家では倉庫や厨房スペースが不足しがちなため、増改築やレイアウト変更が求められるでしょう。
事前に現地調査を行い、改修の可否とコストを正確に把握することで、無駄な出費を防ぎ、スムーズな活用計画が立てられます。
（4）店舗にできるかどうかを調べておく
空き家を店舗に活用する際は、その場所が店舗営業可能なエリアかを必ず確認しましょう。
市街化調整区域では店舗向けの増改築が難しく、市街化区域内でも特定条件で営業が制限される場合があります。
物件が見つかっても営業が不可能な場所では当然ながら店舗活用ができません。
事前に自治体へ用途地域の確認を行い、空き家の立地条件が店舗運営に適しているか調査しましょう。
まとめ
空き家を店舗活用する方法、メリットとデメリット、店舗活用する場合の注意点などについて解説しました。
空き家をそのままの状態で放置していると、さまざまなリスクを負ってしまいますが、店舗活用をすれば収益性のある資産になる可能性があります。
しかし、立地環境や建物の強度など、クリアしなければならない問題もあります。
所有する空き家のエリアに詳しい不動産会社などに相談して、専門家からアドバイスを受けながら、効果的な活用方法を検討しましょう。
