実家を相続した場合の名義変更の方法と注意点・費用や必要書類は?

空き家相談

実家 相続

実家を相続した場合、行わなければいけないのが名義変更の手続きです。

名義変更は、国や地方自治体が強制的に行うものではありません。

つまり自分で名義変更を行わなければ、いつまでたっても亡くなった方の所有となっているかもしれないのです

では、相続における名義変更はどのように行えばいいのでしょうか?

また、費用や必要な書類にはどのようなものがあるのでしょうか?

この記事では、相続に関わる名義変更について詳しく解説します。

実家を相続する前に注意することは何?

実家を相続する場合、相続する前にいくつかの注意点をしっかりと掴んでおく必要があります。

何となく実家を相続してしまうと、あとでこんなはずではなかったと後悔するかもしれません

ここからは実家を相続する前に注意すべき項目について解説します。

(1)実家を相続したくなければ3ヶ月以内に決断が必要

実家を相続した場合、行わなければいけないのは管理やメンテナンスです。

貸家にするなど活用方法があればいいのですが、そうではない場合定期的に訪問し、こまめな換気や修繕個所のメンテナンスを行う必要があります。

しかし、実家が遠方にある場合やなかなか訪問できる時間がない場合、若しくは活用方法がない場合など、相続したくない資産かもしれません。

このような場合相続時に相続放棄を行うことにより、実家を所有する権利を放棄することができます

しかしこの相続放棄は、相続開始日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があるのです

また相続放棄にはすべての財産を放棄することも含まれますので、さまざまな角度から検討し決断する必要があります。

(2)実家が高額な資産の場合は相続税の対象となるかも

実家を相続した場合、場合によっては相続税を支払う必要があります。

相続税は、被相続人の財産が一定額以上になった場合に発生する税金です。

相続税には基礎控除があります。

3,000万円+600万円×法定相続人の数=控除額

となっています。

つまり、法定相続人が3人だった場合、3,000万円+法定相続人×3人=4,800万円が控除額です。

控除額以上の資産がある場合は、相続税の対象となります。

実家が都心部にあり、高額な資産だった場合は相続することにより相続税が発生する可能性があることを理解しておきましょう

(3)相続税が発生する場合は10ヶ月以内に納付する

上記のように相続税が発生する場合、原則的には現金一括で納付しなければいけません。

しかも相続が開始されてから、つまり被相続人が亡くなって10ヶ月以内に相続税を納付しなければいけません

もし、相続税を納付する現金がなければ資産を処分し現金化する必要もあります。

相続した実家の資産価値や相続税の対象となるのかどうかを早めに把握して対策を練っておくことがポイントです。

(4)実家を相続する場合は相続人の同意が必要

被相続人の財産をどのように相続するのかは、基本的に法定相続により決められた割合で相続するか、遺言書などで故人の意思がある場合は、その意思に沿って相続する必要があります。

つまり、あなたが実家を相続するとなっても相続人が全員同意した上で相続する必要があるのです。

遺産分割協議を行い、誰がどのように相続するのかを取り決める必要があります

相続した実家の名義変更にはどのような費用が必要?

相続に対するいくつかの過程をクリアし、実家を相続するとなって名義変更を行います。

では、この名義変更には、どのような費用がかかるのでしょうか?

ここからは、相続した実家を名義変更する場合の費用面について詳しく解説します。

(1)登録免許税

名義変更とは、あなたの所有ですよと登記簿に登記することを指します。

この際に必要な税金が登録免許税です。

実家の土地と建物に対して登録免許税が必要になります

登録免許税の計算は、固定資産税評価額×0.4%で計算されます。

つまり、土地の固定資産税が2,000万円、建物の固定資産税評価額が1,000万円だった場合は、土地は8万円、建物が4万円、計12万円の登録免許税が必要です。

登記を申請する際に印紙によって納めなければいけません

登記を行う際は、登録免許税の費用を準備しておきましょう。

(2)謄本などの取得費用

申請にあたり、登記簿謄本を取得しなければいけません。

あわせて印鑑登録証明書や戸籍謄本なども必要になります。

登記簿謄本は、最寄りの法務局で取得することができます。

印鑑登録証明書や戸籍謄本は居住地の役所で取得します。

登記事項証明書は1筆あたり600円程度です。

印鑑登録証明書と戸籍謄本は300円程度で取得可能です。

そう大きな費用ではありませんが必ず必要となる書類ですので、これも忘れずに費用を払って取得しましょう。

(3)司法書士への手数料

実家の名義変更はあなた自身で行うことも可能です。

しかし、書類の煩雑さや法務局への訪問など労力がかかってしまい、手順がわからないので何回もやり直すこともあります。

そのため、司法書士へ依頼して名義変更を行うのが一般的です

手数料がかかり、手数料は依頼する司法書士によって異なります。

大まかな相場としては5万円~15万円程度です

手数料が安い司法書士などを利用して依頼することでコストダウンが計れます。

(4)相続税がかかる場合の費用

財産を相続し、相続税が発生する場合は相続税の申告を行い支払う必要があります。

相続税の申告に関しても非常に煩雑な作業や書類を準備しなければいけません。

そのため基本的には税理士へ依頼するケースが多いといえるでしょう。

税理士の手数料も税理士によって異なりますが財産額によっても異なります。

大まかな相場では、財産総額の0.5%~1.0%程度です。

つまり財産額が高ければ高い程、手数料は高いといえます。

実家の名義変更を行う場合、どのような書類が必要?

実家の名義変更にかかる費用について解説しました。

登録免許税や登記簿謄本などいくつかのコストがかかることがわかります。

費用面がわかると、次に把握しておきたいのが必要な書類です。

名義変更というと、色々な書類が必要となるイメージが強いのですが、実際にどのような書類が必要なのでしょうか?

ここからは、名義変更に必要な書類について解説します。

(1)遺産分割協議書

遺産分割協議書が必要です

遺産分割協議書とは、相続人全員が遺産を分割することを協議し同意したことを表す書面のことを指します。

不動産を相続登記する場合や、預貯金・株式などの名義を変更する場合に必要な書面です。

遺産分割協議書として書面を残しておかなければ、一旦同意した遺産分割協議に異を唱えられた場合対抗することができません。

相続人全員が遺産分割に対する同意を示したことを表す書面として非常に大切な書面です。

名義変更に際にも必要ですので、きちんと取り交わしておきましょう。

(2)相続人と被相続人の戸籍謄本

相続人と被相続人の戸籍謄本も準備しておきましょう

これは、相続人全員が必要ではなく、登記する不動産を相続する相続人の分が必要です。

戸籍謄本は、管轄の役所で取得可能ですので、こちらも必ず必要な書類となります。

(3)相続人の印鑑証明書や住民票

相続人の印鑑証明や住民票も必要な書類です

本人が押印した証明書として印鑑証明書を取得し、現在の住居を証明するものとして住民票を取得します。

どちらも、管轄の役所で取得することが可能です。

(4)固定資産税評価証明書

固定資産評価証明書とは、固定資産税の課税対象となっている土地や建物について評価額を証明する書類となります。

不動産の所在地にある役所で取得可能です。

固定資産税評価証明には、所在地、面積や評価額が記載されています。

固定資産税や登録免許税など計算の基本となるものは固定資産税評価額となりますのでこの書類も早めに取得しておきましょう

実家を名義変更して相続する前の注意点とは?

名義変更に必要な費用や書類などについてか解説してきました。

基本的には司法書士に依頼して指定の書類を集め、書類に記入し、名義変更の手続きを行います。

司法書士の指示に従っておくだけでも名義変更は可能です

しかし、名義変更だけではなく相続する場合の注意点をしっかりと理解した上で、相続し名義変更を行わなければいけません。

では、実家を相続し、名義変更を行う前に、どのような点に注意しておかなければいけないのでしょうか?

ここからは、実家を相続する前の注意点について解説します。

(1)相続税の支払いにより実家を売却する可能性もある

最も注意しなければいけない点は相続税です。

前述しましたが財産額が多い場合、相続税の対象となります。

相続税は現金一括払いとなりますので、あらかじめ相続税に納付する現金が準備できていなければ最悪の場合、実家を売却し相続税を準備しなければいけないかもしれません

これも前述しましたが、相続税の納付は相続開始を知ってから10ヶ月以内の納付が原則です

すぐに売却できればいいのですが、なかなか売却できない場合は、売却することを優先してしまい安値で売却しなければいけないことも考えられます。

親が亡くなった場合、相続税が発生するのかどうか?相続税が発生する場合、どの程度の相続税となるのかを早く算出する必要があるでしょう。

(2)誰が相続するのかをしっかりと決めよう

相続は、争続と言い換えられることもあり、遺族間のトラブルが起こりやすいといえるでしょう。

もし、親が亡くなったときに相続する資産が高額な場合や数が多い場合、誰がどのように相続すればいいのかをしっかりと話し合う必要があります。

また、あらかじめ遺言書の作成をするように親に話しておくことも大切なポイントです

法定相続により、相続の割合は定められているとはいえ、全てがきちんと分けることができる資産ではありません。

相続人同士が遺恨なく分割するためには遺言書の作成など、相続が発生する前に対策しておくこともポイントです。

(3)共有名義での実家相続はトラブルの可能性がある

例えば親の資産が実家のみで相続人が3人いるような場合、実家を共有名義としてそれぞれの持ち分に応じて登記し共有名義とする場合があります。

この場合、実家の活用方法などについて所有者全員の同意が必要となり、全員が同意しなければなかなか進まないといった事態も考えられるでしょう。

なるべく資産を共有名義にすることは避けましょう

前述した資産が実家のみで複数の相続人がいる場合は、持ち分を買い取るなどの方法で共有名義の数を減らすことも効果的な対策です。

(4)相続する人が決まったら早急に名義変更を行おう

相続する人が決まったら、とにかく早急に名義変更を行いましょう。

遺産分割協議書をきちんと作成している場合は、トラブルにはなりにくいのですが、それでも協議決定後に不満を述べる相続人が現れるかもしれません。

遺産分割で決定した事項は早めに名義変更を行い既成事実化することによって不満の後出しを抑える必要があります。

まとめ

実家を相続し、名義変更を行う場合の費用や書類、名義変更について解説しました。

そもそも、相続を経験する機会はそう多いものではありません。

一度経験したからとはいえ、次の相続発生時には相続人の数や状況が大きく異なっていることもあるので、以前のようにできるとは限らないのです。

まずは、故人の資産を洗い出し、遺産分割によって相続するものを分けましょう。

一旦協議が整えば、名義変更などを早急に行い、相続をスムーズに素早く終了させることがポイントといえます。

本日のオススメ専門家をピックアップ

専門家を探す

相談内容から専門家を探す
相談内容から専門家を探す
職種から専門家を探す
職種から専門家を探す
所在地から専門家を探す
対応エリアから専門家を探す
フリーワードで探す
  1. 空き家活用.net
  2. 空き家活用.netのコラム一覧
  3. 空き家相談
  4. 実家を相続した場合の名義変更の方法と注意点・費用や必要書類は?