空き家の災害時のリスク・被害防止策を解説
空き家は、きちんと管理しなければ自然災害などによって大きなダメージを受ける可能性があります。
空き家はどのような自然災害による被害を受けるのでしょうか。また、自然災害に備えるためにはどうすればよいのでしょうか。
この記事では、空き家が受ける自然災害のリスクや、自然災害に備える方法などについて詳しく解説します。
空き家が被害を受ける自然災害のリスク
最初に、空き家が自然災害による被害を受けた場合のリスクについて解説します。
(1)台風による被害のリスク
空き家は自然災害、特に台風による被害を受けやすいといえます。
空き家はたとえ定期的なメンテナンスが行われている場合であっても、人が住んでいる場合には日常的に行われる清掃、手入れがなされないため、建物の老朽化や劣化が進んでいるケースが一般的だからです。
定期的なメンテナンスが行われていない場合はなおさらです。
そのため、強風や大雨を伴う台風が直撃すると、屋根や壁が破損しやすく、窓ガラスが割れるリスクも高まります。
さらに、空き家の周囲にある樹木や電柱が倒れると、建物自体に大きな損傷を与える可能性も考えられるでしょう。
建物が壊れた場合、その破片が飛散し、近隣の建物や住民に被害を及ぼすリスクもあります。
空き家の台風被害は、物理的な損害による、修理費用や片付け費用を考えなければいけません。
被害が拡大すると、自治体からの撤去命令が出されることもあり、経済的な負担が増える可能性があります。
このようなリスクを避けるためには、定期的な点検や修繕を行うことが重要です。
(2)地震による被害のリスク
空き家は自然災害のなかでも特に地震による被害のリスクが大きいといえます。
空き家はきちんと維持管理されていないことが多く、建物の老朽化が進み、耐久性が著しく落ちているケースが多いためです。
このため、地震が発生すると、空き家の壁や基礎部分に亀裂が発生し、倒壊するリスクが高まります。
また、空き家の周囲にあるブロック塀や庭木も管理が行き届いていない場合が多く、これらが倒れることでさらに被害が拡大する可能性も考えなければいけません。
倒壊した空き家やその周囲の構造物が、近隣の建物や住民に重大な被害をもたらすことも懸念される事態です。
さらに、地震による空き家の倒壊は、道路の封鎖や避難経路の遮断のもとになり、災害対応においても重大な問題を引き起こします。
倒壊した建物の片付けや撤去には高額な費用がかかり、所有者にとって大きな経済的負担となるでしょう。
旧耐震基準で建てられている空き家(1981年以前の建築)は、早めに解体することも検討しましょう。
(3)土砂災害による被害のリスク
土砂災害による被害にも注意しなければいけません。
管理されていない空き家は、豪雨や地震による土砂崩れや地滑りが発生すると、かんたんに倒壊するリスクが高まります。
もし、空き家の周囲の地盤が不安定な場合、土砂災害のリスクはさらに増加します。
空き家が土砂で埋もれた場合や、押し流されたりすると、その周囲の建物やインフラにも大きな被害をもたらす可能性も考えなければいけません。
土砂災害が発生した場合、被害の規模や範囲が広がり、復旧作業にも多大な時間と費用がかかることが懸念されます。
空き家の土砂災害リスクを軽減するためには、周囲の地盤や斜面の状態を定期的にチェックし、必要に応じて土砂崩れ防止対策を講じることが大切です。
また、特にリスクの高い空き家は早めに解体し、土地を適切に管理することも検討しましょう。
空き家の土砂災害リスクを認識し、適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることが可能です。
(4)水害による被害のリスク
水害による被害も十分に注意しなければいけません。
定期的なメンテナンスが行われていないため、建物の防水性能が低下しやすく、雨水の浸入や浸水のリスクが高まります。
豪雨や台風による河川の氾濫や内水氾濫が発生すると、空き家は簡単に浸水し、構造的な損傷を受けやすくなります。
さらに、管理されていないため、空き家の周囲に堆積したゴミや落ち葉が排水溝を塞ぐことが多く、水はけが悪くなり、浸水リスクがさらに増加するでしょう。
水害によって空き家が損傷すると、その修繕や片付けに多額の費用がかかるだけでなく、近隣住民にも悪影響を及ぼす可能性があります。
水害のリスクを軽減するためにも、空き家の定期的な点検と清掃が不可欠です。
特に排水設備や屋根、外壁の防水性能を確認し、必要な修繕を行うことが効果的な予防対策といえます。
また、浸水の恐れがある地域では、事前に土嚢や防水シートを設置するなどの対策を講じることも検討しましょう。
空き家の水害リスクを認識し、適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることが可能です。
空き家の自然災害を防ぐための点検
ここからは空き家の自然災害を防ぐための点検について解説します。
(1)屋根や外壁
空き家の自然災害を防ぐためには、屋根や外壁の点検が重要です。
屋根や外壁に亀裂やズレ、ひび割れがあると、台風による気圧の変化で雨漏りが発生する可能性があります。
これらの損傷は、建物の内部に水が浸入し、さらなる劣化やカビの発生を引き起こします。
事前に屋根や外壁を点検し、必要な補強を行うことで、これらのリスクを軽減することが可能です。
特に、瓦やタイルのズレ、ひび割れを事前に調査、補修することが重要といえます。
また、外壁の塗装が剥がれている場合も、再塗装を検討することで防水性能を維持できます。
忘れがちなポイントとして、軒天のチェックも欠かせません。
軒天は屋根の裏側にあり、風雨を防ぐ役割を果たしています。
ここに損傷があると、風雨が直接建物内部に入り込み、被害が拡大する恐れがあります。
このように、屋根や外壁の定期的な点検と補強を行うことで、空き家の自然災害リスクを大幅に減らすことも可能です。
(2)外部周辺
空き家の自然災害を防ぐためには、外部周辺の点検と清掃が欠かせません。
特に、ベランダの排水溝や雨樋が詰まっていないかを確認することが重要です。
葉や枝が詰まっていると、排水がうまくいかず、雨漏りの原因になります。
定期的に点検し、詰まりが見つかった場合は清掃を行いましょう。
また、門扉やフェンスなど、風で開閉する部分も注意が必要です。
強風によってこれらが開いてしまうと、飛散物が発生し、周囲に危険を及ぼす可能性があります。
ロープやチェーンでしっかりと固定し、風対策を行っておくことが重要です。
さらに、敷地内の木々や植栽も点検しておきましょう。
枯れた枝や過剰に伸びた木々は、強風や豪雨で倒れるリスクがあり、建物や周囲の施設に被害を与える可能性があります。
剪定や伐採を適切に行い、安全な状態を維持することが必要です。
このように、空き家の外部周辺を定期的に点検・清掃し、必要な対策を講じることで、自然災害による被害を効果的に防ぐことができます。
(3)窓
窓の点検と補強も注意するポイントです。
窓や雨戸が緩んでいないかを定期的に点検しましょう。特に雨戸は、がたつきがないかを確認しておかなければいけません。
緩んだ窓や雨戸は、強風や豪雨の際に雨水や風が侵入し、建物内部に被害をもたらす可能性があります。
点検の際に緩みや不具合が見つかった場合は、外部から補強することが効果的です。
窓枠や雨戸の取り付け部分に補強材を取り付けるなど、しっかりと固定することで、窓の安定性を確保できます。
また、窓ガラスの割れやひび割れも点検対象です。
破損した窓ガラスは、台風や地震などの自然災害によって、さらなる被害を引き起こす可能性があります。
必要に応じて早急に修理や交換を行いましょう。
窓の点検と補強を定期的に行うことで、空き家の自然災害リスクを軽減し、建物の安全性を確保することができます。
空き家の災害リスクを回避し活用する方法
ここからは、空き家の災害リスクを回避し活用する方法について解説します。
(1)空き家の解体
老朽化した空き家を解体する際には、国や市区町村の補助金を受けることができる場合があります。
市区町村のウェブサイトや窓口で補助金の情報を調べ、活用しましょう。
また、民間事業者と連携して、解体業者の紹介や手続きのサポートを受けることも可能です。
空き家を放置せずに解体することは、自身や家族、地域の安全を守ることにもつながります。
空き家の老朽化や損傷が進む前に、積極的に解体手続きを進めましょう。
先送りせずに行動することで、災害リスクを回避し、地域の安全を確保することができます。
(2)空き家を改修
空き家の売却や賃貸などの目的で活用する際には、事前に改修を行うことが考えられます。
目的に応じて改修内容は異なりますが、「耐震性を高めたい」「見栄えをよくしたい」などの希望が考えられます。
このような場合は、建築士や専門家と相談し、適切な改修プランを検討するとよいでしょう。
改修工事には補助金制度を活用することもできます。
国や地方自治体が提供する補助金を受けることで、改修費用を抑えることが可能です。
(3)空き家の売却
空き家を活用する方法の一つとして、売却することがあります。
空き家は放置されることで災害リスクが高まるため、売却することでそのリスクを回避することが可能です。
空き家を売却する際には、専門家や不動産業者のアドバイスを受けましょう。
適切な価格設定や販売戦略を立てることで、より早く買い手を見つけることができます。
また、空き家の売却には税金や手数料などの費用がかかります。
事前にこれらの費用を計算しておき、売却をスムーズに進めることが重要です。
空き家の売却は、空き家問題の解決だけでなく、新たな所有者による有効活用や地域の活性化にもつながります。
(4)空き家を賃貸
空き家を有効活用する方法の一つとして、賃貸に出すことが挙げられます。
空き家を賃貸に出すことで、災害リスクを回避しながら収益を得ることができます。
空き家を賃貸に出す際には、適切な価格設定や広告宣伝が重要です。
不動産業者や賃貸管理会社を活用して、効果的な販促活動を行いましょう。
また、賃貸契約を結ぶ際には、入居者との適切な契約や定期的な点検・管理が必要です。
入居者が住むことで定期的な点検が行われ、空き家の状態を把握しやすくなります。
空き家を賃貸に出すことで、建物の劣化を防ぎながら収益を得ることが可能です。
また、地域の活性化にも貢献し、空き家問題の解決にもつながります。
まとめ
空き家が受ける自然災害のリスクや、自然災害に備える方法などについて解説しました。
管理されていない空き家は、耐久性が著しく脆弱なので、自然災害に弱く、回復不可能なダメージを受ける可能性があります。
空き家の倒壊などにより、近隣住民への大きな被害をもたらす場合もあるので注意しましょう。