空き家売却時の注意点とは・売却方法や費用についても解説
空き家を所有しており、賃貸などの有効活用ができない場合、売却を検討する方も多いのではないでしょうか。
空き家の売却には注意しておくことも多く、売却前、売却後の注意点などをしっかりと理解しておかなければいけません。
この記事では、空き家売却における注意点について詳しく解説します。
空き家の売却前に考えておく注意点とは
所有する空き家を売却する前に理解しておくべき注意点とは、どのようなものがあるのか気になります。
売却前の注意点を把握しておくことにより、売却中、売却後のトラブルを抑えることも可能です。
ここからは、空き家を売却する前の注意点について解説します。
(1)空き家の売却前に解体やリフォームは必要か
空き家の所有者が売却前に悩むことで多いのが、解体やリフォームをやっておくべきなのかという点です。
空き家の中には築年数が古く、購入希望者がいたとしても建て替え目的が多いと思われるほどに劣化した空き家や、リフォームしないと住めないと思われる空き家があります。
このような状態の空き家を事前に解体やリフォームしておくことにより、売却しやすくすることが目的です。
結論から言いますと、空き家の売却前に解体やリフォームの必要はありません。
解体やリフォームによって支出するお金は高額になってしまうことも多く、万が一売れ残ったりすると赤字になってしまう可能性も高いからです。
解体やリフォームしたからと言って売却が約束されているわけでもありません。
売却前の支出を抑える意味でも、空き家を売却する場合に解体やリフォームなど、余計な手を入れるのは控えましょう。
(2)登記名義人が売主と同じになっているのか
空き家などの不動産を売却する場合、原則として不動産に所有者として登記されている人でなければ売却することができません。
もし、登記名義人以外が売却しても、本人の同意がなければ、所有権の移転は行われません。
親の不動産を子供が売却することでさえできないということを理解しておく必要があります。
実家を相続し、空き家になったから売却しようと思った際、名義の書き換えが行われていなかったというケースもよくある事例です。
空き家の売却前に登記名義人が誰になっているかを確認し、登記が変更されていない場合などは速やかに変更して登記名義人と売り主が同じにしておく必要があります。
(3)借り入れがある場合、売却により完済ができるのか
空き家の住宅ローンをまだ抱えており、毎月金融機関に返済している場合に注意する点として、住宅ローンを完済できる以上の金額で売却が可能かといった点を把握しておかなければいけません。
住宅ローンが残っている空き家には、抵当権が設定されています。
抵当権とは、住宅ローンを組む時に金融機関が土地や建物に設定し、万が一住宅ローンの返済が行われない場合などに土地や建物を取り上げることができる権利です。
抵当権が実行されてしまうと土地や建物は競売にかけられ、強制的に売却金を返済の一部や全部に充てられできます。
抵当権を抹消しなければ空き家を売却することができず、抵当権を抹消するには住宅ローンを完済しなければいけません。
住宅ローンを完済できる金額で売却できることが大前提といえるでしょう。
空き家の売却後に考えておく注意点とは
空き家の売却前に注意しておく点について解説しました。
売却前に注意することの他に売却後にも気を付けておかなければいけない点があります。
ここからは空き家を売却した後に注意する点について解説します。
(1)契約不適合責任が問われないのか
空き家を売却できたからといって、売主は売却後に責任がすべて買主に移るわけではありません。
契約不適合責任について注意しておく必要があります。
契約不適合責任とは、空き家を売却する際に、締結する売買契約書に記載のなかった不具合について、売主が負う必要のある責任のことを指します。
契約不適合とみなされる事案が発生すると、売主は損害賠償や修繕に関するコストがかかる場合があり、売買契約自体が取り消しとなってしまうこともあるのです。
契約不適合責任の問われないようにするためには、不具合個所などを契約書に漏れなく記載することが重要といえます。
ホームインスペクションなどを活用して、建物の状況を売却前に検査し、不具合個所は売買契約書にもれなく記載するなどの対策が必要です。
(2)購入価格などはきちんと把握できているのか
空き家の売却ができると、翌年の確定申告において譲渡所得税などが課税対象になるかもしれません。
空き家の購入した時の価格より売却金額が高かった場合などが、譲渡所得税の対象です。
譲渡所得は不動産売却により利益が出た場合に課税され、空き家を所有して5年以内だと39.63%、5年以上所有していると20.315%が税率となります。
購入時の価格がわかっていると、正確に売却時との差額が把握できますが、そうでなければ、売却時価格の5%が購入額となり、譲渡所得税の税額負担が大きいものになるでしょう。
購入時の価格を把握しておくことにより、譲渡所得税の税額を抑えることに繋がります。
(3)譲渡所得税の控除に関する期間は把握できているのか
譲渡所得税を大幅に抑える方法として挙げられるのが、3,000万円の特別控除を利用することです。
3,000万円の特別控除が利用できる条件として、空き家をマイホームとして活用していたことが挙げられます。
売却して利益が出たとしても3,000万円以上の利益がなければ税金はかかりません。
現在は空き家だったとしても住まなくなって3年以内の売却により特別控除を使うことができます。
また、空き家が相続されたものであった場合も相続してから3年経った日が属する年の12月31日までに売却すると、3,000万円の特別控除が利用可能です。
3,000万円特別控除が利用できる期間内で売却すると、税制面で大幅に違いがでますので注意しておきましょう。
空き家の売却に必要な費用には何がある
空き家を売却する場合、売却した価格がそのまま手元に残るわけではありません。
不動産の売却においては売却するためにいくつかの費用が発生します。
ここからは、空き家などの不動産を売却するさいにかかる費用について、解説していきましょう。
(1)印紙税
空き家などの不動産を売却する場合、売主と買主は売買契約書を締結し、不動産売買に関する取り決めごとを書面として残すのが一般的です。
売買契約書を作成した場合、印紙税が発生し、売買契約書に印紙を貼付することで印紙税を納めます。
印紙税額は売買金額によって異なり、印紙税の負担が軽減されている時期もあります。
高額な売買契約になればなるほど貼付する印紙の額が高くなるのも特徴のひとつです。
空き家の売却時には必ずといっていいほど必要な経費といえます。
(2)仲介手数料
空き家の売却を行う場合、一般的には不動産会社に依頼して買主を見つけてもらい空き家を売却するのが一般的です。
この場合空き家を売却した後、不動産会社に仲介手数料を支払わなければいけません。
仲介手数料は売買価格によって支払う上限額が定められています。
仲介手数料の上限額を以下の表にまとめました。
売買金額 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 売買価格×4%+消費税 |
400万円超 | 売買価格×3%+消費税 |
不動産会社に仲介を依頼しての売却となると、仲介手数料が発生します。
売却価格が高ければ支払う仲介手数料の額も高くなるのが特徴です。
(3)抵当権の抹消費用
空き家の住宅ローンが完済されていない場合には金融機関から抵当権が設定されているのは前述した通りです。
住宅ローンを完済することで、抵当権を抹消することが可能になりますが、抵当権の抹消を行う場合は費用がかかります。
抵当権を抹消するためには個人で行うことも可能ですが、司法書士に依頼して抵当権を抹消してもらうのが一般的です。
登録免許税と司法書士の手数料が発生しますので、こちらの費用もチェックしておきましょう。
(4)測量に関する費用
空き家を売却する場合、買主からの希望として家の境界を明確にしておきたいので実測を条件と慣れるケースも多いといえます。
測量とは、敷地内の境界を明確にするために行うもので、測量士に依頼して境界を図面に残すことです。
測量にもいくつかの種類があり、種類によって測量にかかる費用も異なります。
売買する場合に必ず必要な費用ではありません。
しかし、境界に関するトラブルを未然に防ぐために、測量を行った上で売却するのがおススメです。
空き家を売却する場合、測量に関する費用を見込んでおく必要があるでしょう。
空き家の売却にはどのような方法がある
空き家の売却方法としては
- 仲介による売却
- 買取による売却
- 更地にしての売却
が挙げられます。
ここからは、空き家の売却方法について解説します。
(1)仲介による売却
最も多くの人が利用する売却の方法が仲介による売却です。
不動産会社に売却を依頼し、不動産会社が買主を見つけ、査定から募集や契約、引き渡しまで不動産会社を介して行います。
不動産仲介による売却では、広く購入希望者を求めますので、高い金額で募集ができる反面、いつ売却できるかわからない点や、仲介手数料がかかる点などが挙げられるでしょう。
少しでも高い金額で売却したいと考えている人や、はやく決める必要がない人などは仲介による売却を選択するケースが多いといえます。
(2)買取による売却
不動産買取業者が直接、不動産を買い取る場合もあります。
買取による売却です。
不動産業者は、買取った不動産を賃貸に出したり、リフォームして再販したりすることを目的として空き家などの不動産を買い取ります。
買取による売却は、不動産買取業者が買主となるので仲介手数料がかかりません。
また金額の折り合いさえつけば、すぐに買取ってくれますので買主をわざわざ探す必要がない点が特徴です。
反面、再販目的での空き家購入ですので、買取価格はあまり高くありません。
中には大幅に安い金額で買取している業者もいます。
売却の時間がない方や、買主が見つからない場合などに良く利用されている方法であるといえるでしょう。
(3)更地にして売却
家が修繕不可能なほどに傷んでいる場合や、住宅としての需要が全くないエリアにある場合などにとられる方法が、更地にしての売却です。
解体とリフォームは、売却前に行う必要がないと前述しました。
しかし、場合によっては解体しか方法がない空き家などもあり、前もって更地としておく方が、売却しやすいケースもあります。
空き家を解体することにより、更地での活用方法を検討している人にとっては更地の方が買いやすいといえるでしょう。
まとめ
空き家を所有しているだけでは、維持管理費や固定資産税の支出など経済的な負担があり、早く売却したいと考えている人も多いのではないでしょうか。
安直に空き家を売却に出してしまうと、さまざまなトラブルに発展しやすいので、事前・事後の注意点をしっかりと把握しておくことがポイントです。
この記事では、空き家の売却における注意点や、売買にかかる費用、売却方法について解説しました。
空き家の売却を検討している人は、ぜひ一度チェックしてはいかがでしょうか。